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  • レベルファイブ
  • 発売日:2018/03/24
  • 価格:通常版:8000円(税抜)
    初回限定版「COMPLETE EDITION」:1万円(税抜)
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ゲームの中に息づく世界にゾクゾクするんです――鉄拳・原田Pの不定期連載「原田が斬る!」,第5回はレベルファイブの日野晃博氏
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印刷2018/03/24 00:00

企画記事

ゲームの中に息づく世界にゾクゾクするんです――鉄拳・原田Pの不定期連載「原田が斬る!」,第5回はレベルファイブの日野晃博氏

MMORPGへの憧れと20周年記念作品への想い


4Gamer:
 ここからは,これからのレベルファイブとその作品についてお聞きしたいと思うのですが,まず先ほども話に出た「二ノ国II」が,いよいよ3月23日に発売されます。先ほどのお話だと,日野さんご自身はワールドシミュレータ的な仮想世界に憧れるとのことでしたが,「二ノ国II」にもそういったこだわりが反映されているのでしょうか。

日野氏:
 いや,「二ノ国」の場合はそこには注力せず,「ジブリの世界に足を踏み入れたら」という世界観を重視しています。ほかのゲームでは「ちょっと違う」と思われることでも,ジブリの世界なら許されるようなことってあるじゃないですか。例えば小さな妖精のフニャが出てきて,主人公と一緒に戦ってくれるとか。そういうジブリならではの部分で個性を出そうとしているので,反対にフィールド上の花にテントウムシがいて……みたいなものには,そこまでこだわる必要はないと思っています。

二ノ国II レヴァナントキングダムPC / PS4

原田氏:
 「二ノ国」って衣服の揺れにさえもジブリっぽさを感じますよね。

日野氏:
 今となっては細かな部分まで僕が関わっているわけではないのですが,ただ1作目でシナリオとプロットを書いたときは,派手なシーンのアニメをスタジオジブリに描いてもらおうと思って,「そうではない」と指摘されたことがあるんですよ。

原田氏:
 ああ,クライマックスみたいな映画的なシーンを。

日野氏:
 その時に鈴木さん達に言われたのが,スタジオジブリの持ち味はそこではない,ってことなんです。派手なシーンを得意とするアニメスタジオはほかにあるから,そこに任せればもっとすごいものが作れる。スタジオジブリを使うんだったら,飯を食うところや服を着替えるところ,そういった生活芝居のシーンを作らせてほしいと。それで,冒頭の飯を食うシーンをアニメに変更した経緯があります。

原田氏:
 ああ,やっぱりそうなんだ。僕はジブリ映画から,感情移入させるなら飯を食べるシーンを入れて,悪役にはワイン程度しか飲ませないっていうのを学びましたからね。「これはゲーム作りに活かせる!」と思ったら,鉄拳にはそもそも“まともないい人”がいなくて,CGムービーで飯を作るシーンをほとんど作れなかったという。

日野氏:
 生活芝居の中にある人間くささの演出こそがスタジオジブリらしさであり,それこそが「二ノ国」の個性でもある。今はそういう考えで作っています。

原田氏:
 ワールドシミュレータ的なゲームという話ともつながるのですが,日野さんはMMORPGがお好きじゃないですか(関連記事)。

日野氏:
 「ウルティマ オンライン」(以下,UO)でMMOを始めて,いろんなタイトルを遊びましたね。

原田氏:
 そうなると,ご自身でMMORPGを作りたくなりませんか?

日野氏:
 なりますよ。チャンスがあれば,常に作りたい気持ちはあるんです。ただ,「トゥルーファンタジー ライブオンライン」(Xbox)の開発中止が,未だに心の傷になっているんですよ。

トゥルーファンタジー ライブオンライン(開発中止タイトル)
二ノ国II レヴァナントキングダム 二ノ国II レヴァナントキングダム
二ノ国II レヴァナントキングダム 二ノ国II レヴァナントキングダム

原田氏:
 ああ,そこまでのものだったんですね。

日野氏:
 MMORPGを作るためには,会社としての力,それからオンラインゲームの知識や技術が必要です。中途半端な憧れの気持ちだけでは作れない。実際にあのときは,気持ちが先行した結果スケジュールがうまく回らなくて,プラットフォームであるXbox自体の状況なども鑑みた結果,開発中止を宣告されてしまいました。
 プレイヤーからの期待も大きかったので,開発サイドとしては盛り返していくつもりでいましたが,運営型タイトルですので,発売後のプレイヤーの推移なども考え,時期ではないと判断されてしまったんです。

原田氏:
 そんな経験をしたあとでも,やりたい気持ちがあるんですね。今そういった企画があるのかどうかは分からないですが,仮に出資者が現れたとしたら,日野さんはどんなテーマを選ぶんでしょうか。傾向としては,やっぱり王道のファンタジーものが強い印象ですけど。

日野氏:
 構想はありますよ。MMORPGという名前で呼んでいいかは分からないですが,それと同規模のビッグタイトルを作ろうとしています。会社も20周年を迎えるので,ここで好きなものを作りたいと。今だったら,レベルファイブに足りない知識を補ってくれる人達の力を結集すれば,作れるんじゃないかと思っていて。ちなみに,それはファンタジーではなく“現代”です。そんな20周年記念作品を今準備中です。

原田氏:
 え。それはここで言っても大丈夫なんですか。

日野氏:
 20周年記念作を作るというのは,どこかで言った気がするから大丈夫じゃないかな。記念作といってもその年に出すということではなく,20周年のタイミングで発表したいと思っています。思えば「二ノ国」も10周年記念作品でしたけど,実際にリリースされたのは2年後ですからね。

4Gamer:
 なんだか思いがけずビッグな情報で,びっくりしてしまいました。話は少し戻るんですが,直近のレベルファイブのタイトルを振り返ると,女性向けゲームの「オトメ勇者」iOS / Andoroid)やDMMとタッグを組んだ「装甲娘」PC / iOS / Android)など,これまでのイメージとは違った路線のゲームが並んでいますよね。これはどういった経緯からスタートしたのでしょうか。

オトメ勇者 (c)倉花千夏 (c)LEVEL-5 Inc.
二ノ国II レヴァナントキングダム
日野氏:
 簡単に言うと,僕が主体になっているか,そうでないかという違いです。これまでのレベルファイブ作品は,プランナーとして僕が世界観を作って立ち上げた作品が多かったのですが,この2作品の世界観には,僕はあえて口を出さないようにしています。ゲームシステムについて意見したことはありますけど。

原田氏:
 つまり,企画自体が日野さんではない,社員や社外の方から上がってきたものなんですね。

日野氏:
 やるかどうかの判断は,もちろん僕がしていますけど。例えば女性向けゲームを作るにあたって,中途半端な人間が口出ししてしまったら,本当にそのジャンルを好きな人が楽しめるゲームにはならないじゃないですか。

原田氏:
 「オトメ勇者」はリリースから数か月というところですが,手応えはいかがでしょう。狙ったところにアプローチできました?

日野氏:
 狙ったところにちゃんと響いたようで,いつものレベルファイブファンとは違うところからお客さんを連れてきてくれました。おかげさまでセールスもよく,いいスタートを切れたと思います。とくに,キャラクターデザインに起用した倉花千夏さんの力が大きかった。

原田氏:
 僕がこれまで作ってきたゲームなんて,日本のプレイヤー比率を見たら,男が98%とかですからね。女性の心を掴めたことなんてないですよ(笑)。これがドイツとかなら,女性が30〜35%くらいになるんですけど。

日野氏:
 鉄拳はアニメ展開とかしないんですか?

原田氏:
 OVAとCGアニメはやりました。ただ,こうした展開は格闘ゲームをやらない層は反応するものの,製品のセールスにはそこまで直接的には結びつかないですね。それぞれビジネスにはなるけど,客層が連動しないというか。映像側のコアなファンは増えても,競技性を重視するような層はなぜかアニメを見ない,響かない。格闘ゲームというジャンルの特性なのか,そういう不思議な現象が起きるんです。

日野氏:
 アニメだけがヒットして,製品にまで波及しないパターンもありますよね。僕の場合は,アニメの恩恵でゲームが売れることが多かったですけど。

原田氏:
 レベルファイブは,アニメとゲームがうまくかみ合っていますよね。バンダイナムコグループとしては,「妖怪メダル」でお世話になってます(笑)。

4Gamer:
 レベルファイブさんは,ゲームを企画する段階からアニメ展開を視野に入れているのでしょうか。「イナズマイレブン」「ダンボール戦機」「妖怪ウォッチ」「スナックワールド」と,どれもアニメに積極的な印象ですが。

日野氏:
 最初からアニメ,映画,玩具と連動する企画を立てるようにしています。「イナズマイレブン」のときは,ゲームとアニメとマンガの3つで考えていましたが,今はそこに映画とおもちゃが加わって,ビジネスとして成り立つような構想を練っています。うまく回るようになったのは,他社と連携してコンテンツの魅力を高めることを意識的にやってきたおかげかもしれません。


原田氏:
 そこがすごいんですよ。バンダイナムコもそういった分野が得意だと思われてますけど,元を辿ると,アニメ番組も仕掛けるおもちゃ会社のバンダイと,ゲーム会社のナムコが一緒になったからこそ連携できているようなところもあるわけで,純粋なゲーム会社がアニメやおもちゃにまで派生してうまく回せるというのは稀有な例だと思います。

4Gamer:
 アニメ化が必ずしもプラスになるケースばかりではないのでは。アニメの放映が終わると同時に,ムーブメントが終息してしまうようなパターンを,最近よく見るようになったとも感じるのですが。

日野氏:
 アニメが終わることは,実はあまり意識していません。もちろん,いつかは終わるものですが,永久に続けるつもりでやっているんです。子供向けの作品は,浸透するまでに時間がかかるものですから,1クールで終わるようなことはありえない。アニメや玩具も,最低でも1年続けるプランで製作しています。それで良い結果が出れば2年目,3年目と継続していきますし,アニメを終わらせなければ,関連商品の売り上げが大幅に落ちることもない。

4Gamer:
 なるほど……。

日野氏:
 コンテンツを長く生き延びさせるには,1年目から2年目に移行するときに,新たな玩具やゲームシステムを作れるネタを仕込んでおくのがポイントですね。もちろん作品によって向き不向きがあって,同じ舞台,登場人物で描かれる普遍的な物語だと,新しい商品は生み出しにくいですが。

原田氏:
 テコ入れの余地……というか種を仕込んでおくわけですね。

日野氏:
 ええ。何年も続けるためには,常に商品を意識した変革を,作品に施していく必要があります。そういったライセンシー,つまりライセンサーの許諾を受けて商品展開を行う側の望みを積極的に満たしていくことが大切なんです。実際,原作者がほかにいるコンテンツだと,守るべき世界観があったりして,制約が生まれてしまう可能性は高いと思います。

4Gamer:
 ああ,深夜アニメなどとは,そもそもビジネスモデルが異なるんですね。どちらかというと,昔ながらのアニメや,特撮の戦隊モノなんかに近い。クリスマス商戦に合わせて主役メカが変わったりとか。

原田氏:
 とはいえ,戦隊モノは基本的に1年サイクルでしょう。レベルファイブのコンテンツは,最低でも3年みたいな長いサイクルで回っていて,にもかかわらず,ずっと同じテンションで続けられているのがすごいんですよ。ゲーム開発会社だと,やっぱりゲーム以外へのモチベーションが下がると思うんですけど,そんなことはないのですか?

日野氏:
 原画などを描いているウチの設定班と呼ばれるチームは,今はほとんど映画とアニメの資料ばかり作っていますね。というのも,先に映画を仕込まなければならない都合があって,順番的に映画とアニメに提供した設定を,最後にゲームが取り入れる形になるんです。

4Gamer:
 お話を聞いていると,日野さんはゲームクリエイターというよりも,コンテンツプランナーのような立ち位置に思えてきますね。

日野氏:
 最近はゲームクリエイターを名乗るのがおこがましくなってきています。ゲームのシステムや世界を丁寧に作るのがゲームクリエイターだとすると,今の僕の仕事はそこから離れてしまっている。もちろん,コンテンツプランナーであり総監督のような立ち位置で,自分にしかまとめられないチームで,もの作りができている手応えはあるんです。それはきっと,僕のプランニングを元にしたゲームをきっちり作りあげることができるスタッフが,レベルファイブの中にいてこそなのかなと。
 
原田氏:
 総監督,たしかにそんなイメージですね。

日野氏:
 ゲームクリエイターから外れた立ち位置になってしまったからこそ,家に帰ったらゲームにどっぷり浸りたいのかもしれません。

原田氏:
 日野さんがこなしている総監督の仕事は,レベルファイブでしか,あるいは日野さんにしかできないように思えるんですけど,日野さんは働き過ぎで……やばいじゃないですか。だから,そろそろ後継者の育成も考えなくちゃならないですよね。

日野氏:
 いやいや,早死にするのを前提にしないでください(笑)。ともあれ後継者は育てたいと思っていて,僕の下に何人かのプランナーをつけて,僕と同じような行動をさせています。僕1人では時間も手も足りないので,アシスタントをしてもらいながら何か学んでくれたらなと。将来的に,その中からゲームの現場だけではなくマルチに活躍してくれる次世代のコンテンツプランナーが生まれてくれたらうれしいですね。

原田氏:
 背中を見ている人がいてなによりです。でも,日野さんとしてはまだまだ現役で仕事を続けますよね。

日野氏:
 いや,毎年「今年で最後かな」と思っていますよ(笑)。だけど,2のつぎは3をやりますよねって流れがあって,なかなかタイミングがね。



職人気質のレベルファイブから,その次の世代へ


4Gamer:
 ほかにリリースが予定されているタイトルというと,スマホ向けタイトルの「ファンタジーライフ オンライン」iOS / Android)がありますが,これはいまどういう状況でしょうか。リリース時期が2018年春へと変更されたばかりですが(関連記事)。

日野氏:
 「ファンタジーライフ オンライン」は,いまスタッフが最後の仕上げをしていて,もうすぐ出ますよ。あれももう,5年ぐらい作ってるんですよね。

原田氏:
 これはパブリッシャとしての立場からの質問ではないのですが,最近のレベルファイブはリリースが延期になることが多いように感じます。これには何か理由があるんですか。いや,ウチも人のことは言えませんけど。

日野氏:
 一時期はそんなことはないと思っていたんですけど,最近は僕も感じてます(苦笑)。理由を考えてみると……最後の最後まで作り込みたいという,スタッフの熱意ゆえなのかなと。どのメーカーにも,発売直前にゲームの内容をいじらない期間ってあるじゃないですか。

原田氏:
 あります。ノータッチデバッグ期間ですね。

日野氏:
 昔勤めていたところにもそういったルールがあったんですが,僕はそのルールを破ってしまったんです。このままではクソゲーになってしまうからって。結果的には,それによってゲームの内容は格段に良くなり,生命線が保たれたんですが,良くも悪くもそれが成功体験として体に刻まれてしまって。発売ギリギリになっても,忘れているところはないか気になってしまうんです。

原田氏:
 いや,すごく分かります。

日野氏:
 「妖怪ウォッチ」のディレクターをしている本村 健も,僕のそういうところを引き継いでいるみたいで「もうマズいよ」って僕が言うくらい,ギリギリまで粘るようになっちゃった。とはいえ,彼は納期にはきっちりと間に合わせてくるんですけど。でもそれは,熟練のクリエイターの勘所でギリギリなんとかなっていただけなんですよね。そういうこだわりが,ある種レベルファイブという会社の個性というか,ヒットの秘訣みたいになってしまって。

原田氏:
 旧ナムコもそんな体質でした。ノータッチデバッグなんて名前だけのものと思ってましたし,マスターROMをプレス工場のおばちゃんに直接渡しにいくこともありました。ギリギリまで粘ったことが「このおかげでゲームがよくなった」って,成功体験になってしまう。なんなら,あきらめないことが大切なんだと,美談として語り継がれてしまうという。

日野氏:
 本当は良くない体験なんですよね。会社として,それに耐えうるデバッグ体制ができているわけではないですし,そもそも誰もができるようなことでもない。皆が真似しだしたら,当然スケジュールも破綻するようになる。だからノータッチデバッグ期間をきちんと設ける体制を整えるべきなんですよね。

原田氏:
 ウチも今となっては,「ギリギリまで手を加えてほしい」なんて言ったら,逆に現場から怒られるくらいです。多くの人に,多大な迷惑をかける結果になりますよと。

日野氏:
 忘れている箇所がないか,ギリギリまで潰すこと自体はいいと思うんですよ。でも,それをアテにしてスケジュールを組むようになっちゃダメですね。

原田氏:
 ああ,“本当の締め切り”ってやつですね。

日野氏:
 最近はそれが多くなっていて。昔は忘れ物がないかチェックして,最後に一筆入れる感覚だったんですけどね。

原田氏:
 そういった開発者の追い込みって,生粋のパブリッシャでマーケター育ちだとなかなか理解できないらしいんですよね。みんな口を揃えて「最後の2週間で何が変わるんだ」って言うんです。「いやいや,開発者にとっての最後の2週間は時間の流れ方が違うんだよ」って,「二ノ国II」の延期のとき何度周囲に説明したことか(笑)。

日野氏:
 レベルファイブは,組織としてそこを改善しなければいけませんね。デバッグ体制はできているものの,クリエイティブのデッドラインの引き方とかスケジューリングの見積もり方をどうにかしないと。……一番結果を出しているディレクターが,締め切りぎりぎりをついてくる状況なので,また難しいところなんですよね(苦笑)。

原田氏:
 ああ,それはまずい(笑)。あと最近は,クリエイターの世代によっても,スケジュールの見積もりにズレが生じていると感じます。僕らが初代PlayStationでゲームを作っていたときと比べて,今はやらなければならないことが山ほど増えているじゃないですか。かつてとはまったく比較にならないほどに。
 だからあの時代に現場にいた人がリーダーだと,見積もりがズレるんですよ。就業時間も会社でキチンと管理されるようになったから,「後半3か月,皆で会社に泊まれば大丈夫」みたいな90年代の勘定も通用しないですし。

4Gamer:
 日野さんは,レベルファイブ作品はすべてご自身でチェックされるとお聞きしますが,それによって発売が見送られるケースもあるんでしょうか。

ファンタジーライフ オンライン
二ノ国II レヴァナントキングダム
日野氏:
 そうですね。今出してもダメだと感じたものは,もう一度意味がある形に作り直せと指示するパターンもあります。「ファンタジーライフ オンライン」はこれに近くて,常に世間に出ているものを上回るクオリティにしようと追いかけっこをした結果,長期開発の悪循環にハマってしまったパターンです。今やスマホ向けのMMORPGは珍しくないですし,本来のリリース予定日に出せていれば先進的だったかもしれないものも,あっという間に風化してしまう。

原田氏:
 ファンの人達も「クオリティ重視で焦らずゆっくり作ってほしい」って言ってくれてありがたいのですけど,必ずしもそうとは限らないんですよね。時代によって変化していく価値観の移り変わりというものがありますし,時期を逃したがゆえにヒットしなかったというタイトルだって少なくはない。「隠れた名作」と呼ばれるものの多くは,概ねそういうところでズレが生じたタイトルなんじゃないかと。

4Gamer:
 勝手なイメージなんですが,Blizzard Entertainmentのように,クオリティを最優先で考えてらっしゃるのかな,なんて思っていました。

原田氏:
 Blizzardはよくそういうイメージで語られるけど,実際はもっと近代的で,マーケティングに非常に長けた会社であるという側面があるんです。マーケターとビジョンを共有することで,売れるには何が必要かを逆算してゲームに落とし込んでいるし,売る前から市場を温めることにも余念がない。少なくとも,そういう戦略ができるだけの環境を持っている。あのクオリティと売上げが実現できるのは,そういう計算がしっかりできているからなので,レベルファイブのような職人気質な企業とは,また違う強みを持つ会社なんじゃないかな。

日野氏:
 確かにウチは職人気質かもしれません。中心にいる人物は皆僕と同じ属性で,開発の出身者ばかりですし,僕もいちプランナーという立ち位置なので,どこかでプレイングマネージャーをやめられていないんですよね。

原田氏:
 出てくる言葉が違いますもの。僕はマーケティングも仕事のうちだから,海外も含めていろんなタイトルの開発者と話すけど,レベルファイブから出てくるキーワードは逆に「ああ,懐かしい!」って感じるものばかりです。だからこそレベルファイブの良さが保たれているんじゃないですか。

日野氏:
 これからの組織のありようとしては,変わっていかなければならないところかもしれませんけど。

原田氏:
 そういえば,今年も新卒採用はされているんですよね。

日野氏:
 今年はかなりの人手がほしくて,過去最高に多いんじゃないかな。「二ノ国II」をほぼ100%社内で作って分かったんですけど,作りたいゲームの規模に対して人の数が足らない。外注率が全体の割合の多くを占めるようになって,そろそろクオリティキープが難しくなってきているんです。タイトルの中心スタッフは社内でやる必要がありますし,大きなプロジェクトは100%社内で作ることを考えても,やはり人手が足りません。

原田氏:
 採用基準はどういう感じなんですか。日野さんの中にある,求める人物像とか。

日野氏:
 明確には決めてないですけど,僕が担当する最終面接の基準は,「この人ともう1回話したいかどうか」ですね。あと中途採用なら,スマホ系のスキルを持った人が欲しいなと。

原田氏:
 なるほど。講演会などに出る機会が多いからか,学生さんにゲーム会社の面接でどうアピールすべきか聞かれることが多くて,日野さんならなんて答えるのか気になっていたんです。とくに絵とかプログラミングとかの特定の技能を持っていない,ディレクター/プランナー志望の人からよく聞かれるんですが,会社ごとに求める人材は違うし,なかなかうまく答えられなくて。


日野氏:
 ああ,どうやってゲーム会社に入るかが分からないんでしょうね。そうだな……僕だったらやる気とかメンタル面を重視しますね。採用後はいくつかの研修を通して,芯の強さを見極めることもあります。よく3年目で辞めるっていう話を聞きますけど,結局そうなるんなら3か月で辞めてほしいので。

原田氏:
 ああ,分かります。僕は学生時代はずっと体育会系のヨット部にいて,旧海軍仕込みのものすごい世界で育ちましたが,あそこをくぐり抜けた仲間は,社会人になっても皆,目を見張るような活躍をしています。

日野氏:
 メンタルの強さや,芯の強さは成長につながる大切な要素です。才能を持っていてもこの強さがなければ,何か壁が立ちふさがると途中で諦めてしまう。若手の開発者の「あそこで心が折れなければ……」という場面を,何度も見てきました。ゆるい日常が過ぎていくなかで,自分1人だけが先輩に評価されていないみたいで,もう耐えられませんとか。

原田氏:
 数回提案を蹴られて,挫けてしまったりとか。なんというか,必要なのは決してブラックな環境に耐えられる精神とかじゃなく,これだけは譲れないという気持ちや,好きなことをずっと好きでいられる“芯の強さ”……とでも言えばいいのかな。

日野氏:
 そうですね。才能の面で先を走れているウサギが,後ろを走っていた芯の強い亀に追い抜かれていく瞬間を,僕はたくさん見てきました。だからこそ,そうやって生き残る人材を,どれだけお金がかかっても僕は大事に育てたい。大変なことを任されて文句だけを言う人や,気持ちが腐って辞めたくなってしまう人は,どんな仕事も耐えられないと思うんです。

原田氏:
 腐る人はだめですね。いや,僕も多少腐ることはありますけど,それを仕事に反映させない,周りに影響を与えないように心がけてます。とにかく,前進する方法を考える。

日野氏:
 なんにせよ時間が経ってから「こういう人だったのか……」と,分かることが多かったので,できれば先に見抜きたいなと。スタッフを大事にしたいからこそ,その価値があるのかは最初に問うておきたいなと。

原田氏:
 サイバーコネクトツーの松山 洋みたいなタイプはどうですか。メンタルは強いと思いますよ。ただ明確に,そして完全にイカれてますけど。

日野氏:
 会社に1人くらいは欲しいですね。ああいうムードメーカーは会社にプラスになるから。だけど2人いたらどうなるんだろう(笑)。

4Gamer:
 ちなみに日野さんとしては,「ゲーム好き」であることは新卒採用の条件として重視されますか。

日野氏:
 ゲームが好きなら,その気持ちの大きさをはかります。ただ必須ではないですね。最近はウチがやっているようなコンテンツの作り方に興味があって志望してくる人も多いので。今は面接を受けに来るうちの半分くらいが「イナズマイレブン」をきっかけにレベルファイブを知って,志望してくれているみたいです。

原田氏:
 今就活している世代が,ちょうど「イナズマイレブン」世代なんですね。僕の中ではつい最近のことのように思えるんだけど。

日野氏:
 あと少ししたら,「妖怪ウォッチ」で育った子供達がやってくるでしょうね。

原田氏:
 でも日野さんの生活だと,あと10年くらいしたら死んじゃいますよ。

日野氏:
 せめてハワイでバカンスくらいさせて(笑)。

原田氏:
 でもこれ,タクシーの運転手さんに聞いた話なんですけど,車って僕らみたいにたまにしか乗らないと走行距離10万とか20万kmぐらいで壊れるけど,毎日乗ってちゃんとメンテしてたら60〜80万kmまで走るんですって。毎日走り続けるからこそ長持ちするって,皆さん口を揃えておっしゃるんですけど,いま日野さんの話を聞いていたら,その話を思い出しました。だから「そろそろ引退」とか考えちゃって,こう,走ってた人が急に止まるとですね……。

日野氏:
 ああ,止まらないようにします(笑)。

4Gamer:
 本日はありがとうございました(笑)。


――2018年1月23日収録

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