インタビュー
「MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNE」開発者インタビュー。クラッチクローなど新要素の導入によって変わる「狩り」について聞く
「WORLD」本編のその後を描く「ICEBORNE」では,氷に包まれた極寒の新フィールド「渡りの凍て地」が登場し,「イヴェルカーナ」を始めとした新モンスターや,「ティガレックス」などの過去作から復活したモンスター,ハンターの新アクションなどさまざまな要素が追加される。
6月下旬から7月頭にかけてベータテストも行われ,「早く製品版で遊びたい!」と発売日を心待ちにしているハンターたちも多いことだろう。
今回,4Gamerでは開発チームの辻本良三氏,藤岡 要氏,市原大輔氏にインタビューを実施。「ICEBORNE」制作の経緯や,本作の新要素によってどう「狩り」が変わるのか,モンスターの生態描写のこだわりなどについて聞いた。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
まず「ICEBORNE」の開発がスタートした時期や経緯についてお聞かせください。
辻本良三氏(以下,辻本氏):
「MONSTER HUNTER: WORLD」本編を作っていた段階で,拡張コンテンツを作ることになるのはある程度想定していました。ただ,「ICEBORNE」の開発が本格的に始動したのは,「MONSTER HUNTER: WORLD」が発売してからですね。
4Gamer:
「WORLD」開発の段階ですでに「ICEBORNE」のプランがあったと。
従来の拡張パッケージ,いわゆる「G」のコンセプトは,無印を深く濃く掘り下げて,長くタイトルを遊んでもらうというところにあります。「ICEBORNE」でもそういった「長く遊んでもらえる拡張コンテンツとして何が必要だろうか」ということは常に想定していました。もちろん,「WORLD」が発売してから必要だなと思って入れた要素もたくさんありますが。
4Gamer:
「WORLD」では,今回の「ICEBORNE」のほかにも定期的にコンテンツを追加したり,バランス調整を行ったりというアップデートを行っていました。
辻本氏:
そういったアップデートも「WORLD」を長く遊んでほしいと思い,用意したものです。「ICEBORNE」のような大型の拡張コンテンツは開発に時間がかかってしまうので,定期アップデートのコンテンツを作るチームと,「ICEBORNE」を作るチームが並行して開発を進めていました。
4Gamer:
追加コンテンツの配信は,ニンテンドー3DSなどの携帯機で展開していたころは,発売後に追加の無料DLCを配信するという形でした。それが,「WORLD」になって定期アップデートや期間限定クエストの配信という形になりましたね。
辻本氏:
携帯機に比べて,据え置き機は常にインターネットにつながっている環境が整っているので,そういったことがしやすかったんです。
今までの拡張コンテンツは「G」という形で1つのゲームパッケージとして出していましたが,今回の「ICEBORNE」は,ダウンロードコンテンツとして提供しているので,「WORLD」を購入していただいている方には,「ICEBORNE」のみを購入していただけますし,初めての方は「WORLD」本編と「ICEBORNE」が一緒になった全部入りのマスターエディションを購入していただけます。これもネットワーク周りの環境が整っている据え置き機だから可能になったことですね。
モンスターも生きている。「WORLD」と「ICEBORNE」の生態表現のこだわり
さて,「ICEBORNE」の舞台を寒冷地にした理由を教えてください。
藤岡 要(以下,藤岡氏):
超大型拡張コンテンツを作るとなると,当然新しいモンスターを実装しなければならないわけですが,モンスターハンターのモンスターって自然環境にすごく依存して存在しているので,環境を整えないと出せない子がたくさんいるんですよね。そこで「WORLD」にない環境を考えて,寒冷地が候補に挙がってきました。
4Gamer:
メインモンスターに氷の古龍「イヴェルカーナ」がいるので,先にそちら絡みのストーリーがあって寒冷地が選ばれたのかと思っていました。
藤岡氏:
厳密にどちらが先にあったということはないんです。イヴェルカーナを氷属性にしたのは,今までの古龍を並べたとき,どうしても属性が偏ってしまっていたこともあります。「寒冷地を舞台に氷の古龍を出そう」というのは,かなり早い段階に決まっていました。
4Gamer:
氷の古龍というと,過去のシリーズで雪山に登場したクシャルダオラは氷属性の攻撃をしていました。
藤岡氏:
そうですね。ただクシャルダオラは,本来鋭い「鋼」の身体を持ち,「風」を使って環境を荒らす古龍なんです。氷属性というのは,開発しているとどうしても枯渇しがちな属性でして,過去作ではクシャルダオラを雪山に出して氷属性を当てていたんです。
クシャルダオラは雪山深くで脱皮をするという生態があるので,皆さんには雪山で対峙するイメージを持たれているのかもしれません。
4Gamer:
ブレスで雪だるまにされまくったイメージが強すぎるのかもしれません(笑)。
さて,今回寒冷地の新フィールドとして登場する「渡りの凍て地」ですが,環境表現や生態系など特にこだわった部分はどこでしょうか。
藤岡氏:
一番こだわったのは雪の表現ですね。本作では,ハンターが積もった雪をかき分けて進むと,通ったところに跡が付きます。何気ないポイントですが,雪らしさが一番際立つ表現ですし,今までなかなか取り組めなかった部分でした。デザイナーに「この表現は絶対にやりたい!」と真っ先に言って開発に着手したんですが,かなりの開発終盤までかかってしまいました(笑)。
4Gamer:
それほどこだわった部分だと。
藤岡氏:
そうですね。その甲斐あっていろいろな方から「雪の中をざくざく歩いて跡を付けるだけでも楽しい」と言ってもらえています。そういった声を聞くとやってよかったなと思います。
4Gamer:
環境表現にとどまらず,「WORLD」からモンスターの生態表現にも力を入れて作られている印象を受けます。「ICEBORNE」のベータテストでもティガレックスが壁に噛みついて牙を研いでいたり,ナルガクルガが獲物を仕留めたりする様子が見られましたが,「WORLD」以前にも設定としてここまで細かく用意されていたものなのでしょうか。
藤岡氏:
もちろん設定としては昔からありました。過去のシリーズだと,ゲーム中で表現できない生態を「生態ムービー」として収録し,より深くモンスターを知ってもらおうという試みをやっていました。
ただ,近年はいろいろなことがゲームの中でできるようになってきて,むしろ「生態ムービー」の世界に自分が飛び込んで,リアルタイムでそれを見る方が絶対に楽しいと思ったんです。
4Gamer:
なるほど。一方で,モンスターハンターはモンスターを狩ることがメインの遊びになるので,そういったモンスターの何気ない生態を描くことに対するこだわりは,細かいところまでは気づかれないこともあるのではないかと思います。「WORLD」「ICEBORNE」とそこにこだわっている理由をお聞かせください。
藤岡氏:
もともとモンスターハンターは,まず世界観を提示して,そこからプレイヤー自身が遊びを見つけて,色々なコミュニケーションに発展させていってほしいと思って作っていたゲームなので,設定や世界観には情報量を持たせる必要があるんです。
何気ない仕草がたくさんないと,追いかけても同じ動きをするだけで絵にならないんですよね。なので,モンスターや環境の設定はなるべく細かく作っています。
4Gamer:
ひたすらモンスターの生態を眺めて楽しんでいるプレイヤーもいますよね。
藤岡氏:
モンスターの生態を知っている人が,知らない人に「あのモンスターってこんなことするんだよ。知ってた?」と教えてあげるとコミュニケーションに発展しますし,この部分は大事にしたいなと思っています。
純粋なアクションゲームとして遊んでもらっている人には,気づかれにくいかもしれませんが,生態を知ると思わず自慢したくなるような要素は今回もたくさん入れています。
4Gamer:
古龍も意外に可愛い仕草をするんですよね。ネルギガンテなんか寝転がってゴロゴロしたりして。
藤岡氏:
そうなんですよね(笑)。「ICEBORNE」では,ビューモードが追加されたこともあって,ベータテストでもモンスターの生態を撮影して動画でアップしてくれていた方もいらっしゃって嬉しい限りです。
4Gamer:
「WORLD」は,ストーリーも古龍の生態にフィーチャーしたもので,「モンスターも世界の一部なんだな」というのが濃く描かれていたように思います。ストーリーが本格的に実装された「モンスターハンター4」のシャガルマガラのときも「ああ,こいつはこいつで生きてるんだな……」とちょっとウルッときたこともありましたが。
藤岡氏:
モンスターの生態を知るとちょっと切ない気持ちになりますよね。表面的に見ると,人間が被害に遭っている部分がクローズアップされるんですが,実はモンスター自身も必死に生きているんですよね。そういった命の根幹に触れる部分をストーリーの中で感じ取っていただいて,目の前で動いているモンスターにより興味を持ってもらえると,とても嬉しいです。
マスターランクは「WORLD」のストーリークリア直後の人に向けた,歯ごたえのある難度に
4Gamer:
今回新たに実装されるマスターランクは,「WORLD」本編のゼノ・ジーヴァを討伐した直後から挑めるとのことですが,そのくらいのやりこみ段階からすんなりと入っていける難度なのでしょうか。
藤岡氏:
ゼノ・ジーヴァから続くクエストなので,「WORLD」のストーリークリア後からある程度は進んでいける難度にはなっています。ただ,マスターランクですので,やはりそれ相応の防御力やスキルビルドは求められます。なのでゼノ・ジーヴァをクリアしてすぐに挑戦すると,一気に駆け上がるということは難しいかもしれません。
4Gamer:
歴戦王などの高難度コンテンツをやり尽くしたプレイヤーはどうでしょう。
藤岡氏:
現在もやり込んでいるプレイヤーは,マスターランクの序盤はその装備のままでもある程度は駆け上がれると思います。やり込み度によって人それぞれ壁にぶつかる場面は変わってくると思いますが,そういった壁が見えたときに改めて装備を見直してもらえたらと。
実は,クエストの難度調整は,今回一番苦労した部分なんです。というのもユーザーのやり込み度合いの幅が広すぎて。どういった人をターゲットにするかというのが最初の課題だったんです。
「WORLD」をやり尽した人しか遊べない難度にするのはハードルが高すぎるので,今回は,ゼノ・ジーヴァをクリアして「WORLD」のストーリーを楽しんでもらった人に対して,歯ごたえのあるものにすることにしました。「WORLD」をさらに深くやり込んだ人は,プレイヤースキルや装備のアドバンテージがあるので,マスターランクの序盤はすんなりとクリアできるくらいの難度を想定して調整しています。
藤岡氏:
私たちも「WORLD」でプレイヤーの皆さんがかけた時間を無駄にはしたくないと思っていますし,時間をかけて作っていただいた装備は,しっかりマスターランクに移っても通用するようにはしています。
4Gamer:
「ICEBORNE」では,集会エリアの項目がより細かく設定できるようになっていたり,カメラスピードなどのゲーム設定周りに改修が入っていたりと,利便性が向上しているように思います。特に新拠点のセリエナは,アステラに比べて加工屋や物資補給所などがギュッと凝縮され,アクセスしやすくなっていますが,これらはプレイヤーから要望があったのでしょうか。
市原氏:
プレイヤーの意見を聞きつつ,世界観に合った拠点を作ったという形ですね。極論,拠点を作るうえで利便性だけ上げようと思ったら,一列に商店や工房を並べればいいんですけど。そうしない理由は,やはりモンスターハンターの世界観を作り出すうえで,拠点というのが大切だからです。
藤岡氏:
開発側も「拠点を小さくした方が便利だ」というのは,アステラを作っていたころから認識していました。実際に「WORLD」の開発途中にも,今よりかなり小さくまとめたアステラを作ったことがあるんですが,狭くすればするほど「え,こんな狭いところに数百人規模の調査団が住んでいるなんて嘘でしょ」と描写に説得力がなくなってしまって。なので,まずは世界観をしっかりと感じ取ってもらおうと思い,ああいう広い拠点ができあがったんです。
市原氏:
アステラは広大な拠点でしたが,逆に今回のセリエナは未開拓の土地の前線拠点なので,広すぎると「いつの間にそんな大きい拠点ができたの?」と思われますし。
4Gamer:
まずは世界観が第1だと。
藤岡氏:
はい。ただ,セリエナは狭いだけではなく,裏路地を作るなどウロウロしていて楽しい拠点になるように仕立てています。ほかにも,集会エリアで食事をする際に料理が運ばれていくさまがしっかり見えるようなっていたりと,細かい部分もこだわっています。ぜひいろいろと見つけてほしいですね。
4Gamer:
そういえば,今回集会エリアに温泉がありますね。「モンスターハンターポータブル 3rd」のユクモ村を思い出します。
藤岡氏:
やはりそこを思い出しますよね(笑)。ただ,温泉に関しては「ポータブル 3rd」を意識しているというわけではなく,舞台が寒冷地なので,狩りから帰ってきて温まる場所がほしいなと思って作ったんです。温泉につかりながら皆さんで無駄話をしたり,湯を掛け合ったりして楽しんでもらえたらなと。
4Gamer:
ビューモードで記念撮影をするのも楽しそうですね。
藤岡氏:
今回は,皆さんで集会エリアに集まってプレイしてもらいたいという思いがあるので,集会エリアの利便性を高めつつ,プレイヤーが交流できるエリアを拡張しています。
装備を整えたり,いろんな話をしながらクエストに行ったりということが一通り集会エリアでできるようになっていますので,記念写真を撮ったりして思い思いに楽しんでもらえたらと思います。
4Gamer:
あと,本作では,新たに移動手段として「モンスターライド」も実装されています。“モンスターにライドする”と聞くと「モンスターハンター ストーリーズ」が思い出されますが,「ライダー」と「ハンター」が乗れるモンスターの基準は細かく設定があるのでしょうか。
市原氏:
今回ライドできるのは,オトモアイルーと「オトモダチ」になったモンスターに限られます。ハンターは,原獣人からモンスターの乗り方を教わったオトモアイルーから,「こうやって乗るんだよご主人様」と教えてもらっているんです。なので,まったくコミュニケーションが図れないモンスターには乗れないということになります。
辻本氏:
ライダーは,直接「絆石」を通じて「オトモン」としてモンスターと絆を結ぶので,その辺がまた違うんですよね。
藤岡氏:
生まれながらにしてモンスターとの親和性が高い種族が「ライダー」で,人の生活の中でモンスターと接していくのが「ハンター」という種族なので,そもそもバックボーンが違うんです。今回は原獣人の力を借りてモンスターに乗れるんだよという認識を持ってもらえれば。
クラッチクローや,各武器種の新アクションによって使用率にも動きが……!?
さて,次は「狩り」の新要素についての話題に移りたいと思います。今回大きな目玉要素として,全武器種で抜刀時にスリンガーが使えるようになり,新アクションの「クラッチクロー」が実装されますが,改めてこれらを実装する意図を教えていただけますか。
藤岡氏:
もともと「WORLD」のアクションのコンセプトとして「スリンガーや環境を利用しながらモンスターをコントロールして,有利な展開を作っていく」というのがありました。
「ICEBORNE」では,そこをもっと発展させようということで,スリンガーを抜刀時でも使えるようにし,直接モンスターをコントロールできる手段としてクラッチクローを導入することになりました。
市原氏:
あとは,武器種による役割をもう少し色濃くしたいという思いもあります。
例えば,一発が重い武器は,クラッチクローでしがみついて攻撃することでモンスターの肉質を柔らかくして,ダメージを通りやすくできますし,手数が豊富な武器は,肉質を下げるために何回かしがみついて攻撃を加えなければいけませんが,その代わり武器攻撃時にスリンガーの弾が落ちるんです。
藤岡氏:
モンスターをぶっ飛ばして壁にぶつけたり,武器で攻撃して肉質を柔らかくしたりといったことができるので,いろいろな状況で行動の選択肢が増えればいいかなと。
4Gamer:
今まではスリンガーと言うと補助的に使うイメージでしたよね。今回は,スリンガーの弾を常に装填しておくことで攻撃のバリエーションが増えたなと感じました。「石ころでもいいからとりあえず拾っておこう」と,意識が変わった気がします。
藤岡氏:
どの武器種でも,スリンガーに意識を向けてもらいたいという思いがあったので,「ICEBORNE」では,そういった意識を向けてもらえると嬉しいですね。
市原氏:
一方で,武器の立ち回り自体を変えてしまうと,今まで使ってくれていた方たちが混乱してしまうことにもなります。クラッチクローはそこを担保しながら,もう少し4人で遊んだときの動き方に考える要素を足してゲームを深める狙いがあります。
あと,モンスターハンターには,「各フィールドの特性と配置を覚えて狩猟する」という深い遊びの部分があります。フィールドを覚えている人は「スリンガーの弾があそこにあるから拾っておこう」とできますし,そうでない人もスリンガーの弾を落とせる武器種の人とプレイして「僕がしがみついてスリンガーの弾を落とします」「じゃあ僕は拾って使います」という風に協力することができます。
4Gamer:
そのほか大きく変わった点として,装衣に装飾品が付けられるようになったことが挙げられますが,実装の理由をお聞かせください。
市原氏:
現在は装衣の選択肢がちょっと狭まり過ぎているという印象を受けたからですね。
4Gamer:
確かに,不動の装衣,転身の装衣,回避の装衣などはよく使われている印象を受けますが,あまり使われないものも多いですね。
市原氏:
ほかの装衣もちゃんと使えば強いんですが,やはり転身や不動などはパッと見たときのインパクトも強いので,使用率が偏ってしまうところがありました。
「ICEBORNE」はそのバランスを見直せる機会ですので,ほかの装衣にも目を向けてもらえるよう,装飾品を付けられるようにしています。
4Gamer:
装衣の装飾品の効果は武器防具のものと違い,装衣を着ているときに限り発動しますよね。
市原氏:
はい。武器防具のスキルに加えて,装衣の効果と装飾品の効果が追加で加わることになるので,そのシナジーを考え出すと,選択肢が広がって面白いと思います。
藤岡氏:
各装衣の空きスロットの数も違いますし,装衣の効果時間によっても使い心地が変わってくると思います。転身や不動といった強力な効果のものは,もともとの効果時間が短いので装飾品の恩恵も長くは受けられませんし。
市原氏:
逆に滑空の装衣などは効果時間が長いので,もしかしたら注目されるかもしれませんね。
4Gamer:
「ICEBORNE」ではスキルビルドがどうなるか楽しみです。
そのほかにも「ICEBORNE」では,新たに「2人プレイ時」の難度が追加されました。「WORLD」では,難度が「ソロ時」と「マルチプレイ時」に変わるだけでしたよね。
市原氏:
はい。今までは「マルチプレイ」なら2人でも4人でも難度が変わらなかったので,「2人のときが一番難しい」といういびつな状態になっていました。結果マルチプレイをするときは「4人来るまで待とう」という状況が起きていたので,そこを正したいなと思っています。
せっかく救難信号という新しいシステムで,いつでも誰でもマルチに入っていけるようにしたのですし,「2人だとクエストに出発しにくい」ということは開発の意図していたことではまったくないので。
藤岡氏:
ご夫婦でプレイされたり,お子さんと遊んだりと,親しい人とふたりで進めておられる方も多くいらっしゃったんですよね。そういった方々が一番難度の高い設定でプレイすることになってしまっていたんです。
辻本氏:
あと,何かしらの理由でメンバーがクエストの途中で離脱してしまっても,現在の参加人数に合わせて難度が変わるようにしています。「WORLD」のときは一度マルチプレイになったら離脱が起きても難度は上がりっぱなしだったのですが,今回は参加している人数によってリアルタイムに難度が変わるように調整しました。
4Gamer:
新アクションやもろもろの調整によってプレイフィールに変化がありそうですね。そういえば,「WORLD」では,プレイヤーの武器の使用率が見られましたが,「ICEBORNE」のベータテストで武器の使用率に変化はありましたか。「WORLD」の2019年6月時点の使用率は,1位が太刀,2位が弓,3位が大剣でしたが。
藤岡氏:
太刀が1位なのは変わらないですね。ただ,今までずっと使用率が最下位だった狩猟笛が「ICEBORNE」のベータテストで順位を上げていました。
4Gamer:
なんと。
市原氏:
2回目のベータテストでは,4つも順位を上げてましたね。
4Gamer:
確かに狩猟笛やハンマーは,頭の位置が高いモンスターにも,クラッチクローでしがみついて頭を狙いやすくなっていましたし,狩猟笛をグルグル回す新アクションは使っていてとても楽しかったです。
藤岡氏:
あと細かい部分ですが,ほかにも左右のぶん回し攻撃の速度を上げたりしています。「ICEBORNE」のベータテストでは,皆さんが狩猟笛にいい感触を持ってもらえているのかなと。
4Gamer:
旋律効果の管理と攻撃の両立をしなければならないので,そもそも難しい印象がある武器ですよね。
藤岡氏:
誰か1人パーティにいてくれるとすごく助かるんですけどね。「WORLD」のときはもう一歩踏み出しにくかったかもしれませんが,今回使い心地を上げているので,狩猟笛を使ってもらえているのかなと思っています。
辻本氏:
武器の使用率は国によっても若干違うんですよね。国内だと1位の太刀も順位が若干入れ替わったりする地域もあります。
藤岡氏:
スラッシュアックスが人気の地域もありますね。海外のプレイヤーに聞いたら「変形する武器が楽しいんだよ!」と言っていました。
4Gamer:
発売後に武器の使用率がどうなっていくのか楽しみですね。
アステラ祭開催中。「ICEBORNE」に備えてやり残したことをやっておこう
4Gamer:
さて,「WORLD」では,7月26日から8月30日まで「アステラ祭」が開催され,期間限定で配信されていたイベントクエストがほぼすべて遊べるようになっています。これは「ICEBORNE」直前に新規プレイヤーや復帰プレイヤーに向けた施策ということなのでしょうか。
辻本氏:
そうですね。アステラ祭は,そういったプレイヤーに向けて開催している側面もあります。実際に「ICEBORNE」の発売日が近づくにつれて「WORLD」のアクティブユーザーは増えていますし。ただ,「WORLD」を継続して遊んでいただいているプレイヤーの中にも「『ICEBORNE』発売前にあのコラボクエストやっておきたい!」という人がいらっしゃると思うんですよね。今回のアステラ祭は,そういう人に向けて開催している面もあります。
市原氏:
「『ICEBORNE』の発売前だから『WORLD』をプレイしようかな」と久々に戻ってきたら,やりたいクエストがないって状況は悲しいですよね。しばらくイベントクエストをプレイしながら,カンを取り戻してもらってそのまま「ICEBORNE」に移行してもらえるといいのかなと思っています。
4Gamer:
私の周りにも復帰して早々,ベヒーモスの強さに唖然としてる人がいます(笑)。
藤岡氏:
久々に復帰してみるとエライことになってて驚きますよね(笑)。
辻本氏:
復帰プレイヤーの中には「ベヒーモスなんて実装してたの!?」と驚かれる方もいらっしゃいます。「アステラ祭」を機にもっといろいろな人が戻って来てくれると嬉しいですね。
4Gamer:
「ICEBORNE」に向けてしっかり準備しておきます。
さて,そろそろお時間が迫ってきましたので,最後に「ICEBORNE」の発売を楽しみにしている読者に向けてメッセージをお願いします。
市原氏:
「ICEBORNE」は「マルチプレイを盛り上げたい」という思いで開発を進めています。「WORLD」をクリアして遊んでくださる方,「ICEBORNE」から始められる方,「WORLD」の途中でくじけてしまったけど,もう1回プレイしてみようという方など,いろいろいらっしゃると思います。
そういう方たちが一緒に楽しんでもらえるように「ICEBORNE」には,自分よりハンターランクの低い人を助けると恩恵がある仕組みを入れていたり,痕跡集めの手間も緩和していたりします。開発も力を入れて作っていますので,期待していただければと思います。
藤岡氏:
「WORLD」はおかげさまで多くの方に遊んでいただいていまして,開発一同,本当に嬉しく思っています。「ICEBORNE」では,今までのモンスターハンターが積み上げてきた歴史を皆さんに感じてほしいと思っていて,過去のシリーズで登場した人気の高いモンスターや,タイトルを代表するモンスターをたくさん登場させています。
昔からシリーズを楽しんでる人は懐かしい気持ちで,初めてモンスターハンターを遊ぶ方は過去の歴史を感じつつ,一緒になって遊んでもらえたら,またモンスターハンターの世界が広がっていくかなと思っています。楽しみに待っていてもらえたら幸いです。
辻本氏:
発売までもう1か月となりましたが,まだまだ未発表の情報もあります。これからしっかりと発表していこうと思いますので,ご期待ください。
また,「WORLD」と同様に発売後も何回かアップデートを行おうと思っています。盛り上げていく施策を考えていきますので,お待ちいただければと思います。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「MONSTER HUNTER: WORLD」公式サイト
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