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「バイオミュータント」プレイレポート。荒廃したオープンワールドで大暴れ。世界の命運は一匹のケモノが握っている
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印刷2021/05/25 10:00

プレイレポート

「バイオミュータント」プレイレポート。荒廃したオープンワールドで大暴れ。世界の命運は一匹のケモノが握っている

 THQ Nordicから本日(2021年5月25日)発売された「バイオミュータント」PS4 / Xbox One / ※DL版は23:00,PC版は5月26日配信)は,スウェーデンのインディーズデベロッパ“Experiment 101”が開発したオープンワールドのアクションRPGだ。

画像集#018のサムネイル/「バイオミュータント」プレイレポート。荒廃したオープンワールドで大暴れ。世界の命運は一匹のケモノが握っている

 文明崩壊後の世界を舞台にしたポストアポカリプス的な作品なのだが,その終末世界をたくましく生き抜いていく主人公は,フワフワの毛皮に覆われたケモノ系のミュータント。プレイヤーは,武術“ワン・フー”の使い手である彼を操作し,マーシャルアーツや,武器,特殊能力を駆使して,荒廃した世界での冒険を進めていく。

 キャラクターの見た目故,どうしてもその容姿やモフモフに話題がいきがちな本作。しかし,遺伝子構造の再コーディングやバイオ汚染による自身の進化,そして素材を集めての装備のクラフトなど,多彩な遊びの要素を持っている。
 本稿では,Experiment 101の初作品でもある「バイオミュータント」の魅力を紹介していこう。

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■プレイヤーの主体的な選択によって世界を渡り歩く

 ゲームを始めると,広大なフィールドがプレイヤーを出迎えてくれる。一見,大自然に見えるが,朽ちた町や崩れた道路,工場跡などもあり,そこに茂る緑によって,退廃的な美しさを感じられるだろう。
 ただ,その世界には滅びの未来が迫っている。疫病が蔓延し,世界の真ん中に根差す大樹“生命の樹”が根元から枯れ果てようとしているからだ。

 そんな世界のケモノたちは,“トライブ”という種族ごとに団結したグループを作り暮らしている。6つあるトライブは,終末世界に対する方針や生活についての考えかたが異なっており,互いの信念の違いにより争っている。

 このような世界観を持つ本作だが,人々を助けモラルを重視する“光”と,何にも縛られず自由な生きかたを尊重する“闇”というふたつの概念が存在する。そして,プレイヤーが選択する会話の内容や,どちらに与するか,NPCを助けるかどうかなど,その振る舞いによって,主人公の心は光と闇どちらかの傾向が色濃くなっていくのだ。

画像集#014のサムネイル/「バイオミュータント」プレイレポート。荒廃したオープンワールドで大暴れ。世界の命運は一匹のケモノが握っている
主人公が何かを選択するとき,光と闇の精霊が出てきて会話をすることがある。マスコット的な可愛らしさだ

 これはストーリー進行やエンディングの内容に影響するだけでなく,主人公が開放できる特殊能力の種類などにも関わってくる。ただ,絶対的な善悪の考えかたとは違い,主張や生きかたについて重視するものなので,闇を選んだからといって悪い結果に向かうとは限らない。

画像集#003のサムネイル/「バイオミュータント」プレイレポート。荒廃したオープンワールドで大暴れ。世界の命運は一匹のケモノが握っている
先に起こることが予想しづらい選択肢もあるが,それこそを楽しむべきだろう

 プレイヤーの選択によって結果が変わるというシステムになっており,キャラメイクにおいてもそれは色濃く反映される。本作のキャラメイクは,“プライマル”“ダムドン”“レックス”“ハイラ”“フィップ”“マーゲル”の6種族から選び,さらに遺伝子構造を操作する“ミューテーション”で基本パラメータの配分を設定する。
 知性の初期値を高く設定したキャラクターの頭部は大きく体は細くなる,筋力を高くすると頭部が小さくしっかりした体つきになるので,能力を取るか自分好みの外見を取るかで悩むことも。

 しかし,素体が動物なので,能力設定により見た目が極端なバランスになっても可愛らしく,動かしているうちに愛着が持てるはず。
 また,それぞれの種族は得意分野が多少異なるものの,その違いは初期値が後々までプレイに影響するとは言えない程度。さらにミューテーションによって補正できるので,厳密なパラメータの管理をしたいということでもなければ,ルックスの好みだけを追求しても問題ないだろう。

画像集#005のサムネイル/「バイオミュータント」プレイレポート。荒廃したオープンワールドで大暴れ。世界の命運は一匹のケモノが握っている
フィールドでも様々な種族に出会う。それぞれに奇妙で可愛らしい姿をしている

 ほかにも,“焦熱”“寒冷”“放射能”“バイオハザード”という環境への耐性や,クラスとなる“デッドアイ”“コマンドー”“サイフリーク”“サボター”“センチネル”が選択できる。
 こちらはプレイスタイルに大きく影響するが,耐性は右腕,クラスは初期装備デザインが変わってくるので,基本能力以上に悩むこと間違いなし。なお,毛皮の色だけは能力への影響がないので,好きに変更して大丈夫だ。

画像集#001のサムネイル/「バイオミュータント」プレイレポート。荒廃したオープンワールドで大暴れ。世界の命運は一匹のケモノが握っている
筆者は,装備が一番好みだったからというだけの理由でデッドアイを選択。眼帯はロマンなのだ!

■戦いは装備のクラフトから。さまざまな素材を集めて自分だけの武器を作ろう

 フィールドにうろついている危険な生物たちや敵対する勢力とのバトルでは,近接武器と遠隔武器を使い分けて戦う。アクションの難度はやや高めだが,難しいと感じたら設定のメニューから下げられる。難度変更はプレイ中も行えるので,もう少し歯ごたえがある戦いをしたいと思ったときは,上げてみるのもいいだろう。

 武術“ワン・フー”を操り,素手での攻撃に長けている主人公だが,剣やナックル,ハンマーなどの近接武器も使いこなせる。さらに,ハンドガンやライフル,ブーメランといった遠隔武器も使用でき,これらを組み合わせて戦いの流れを作っていくことが戦闘の大きな楽しさにもつながっていく。

 また,ミュータントである主人公は,特有の能力を使用できる。“ミューテーション”と呼ばれるこの能力は,バイオジェネティクスとサイ能力のふたつがあり,フィールド探索によって手に入る専用アイテムと引き換えに開放が可能だ。

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個人的に気に入っているのが,一定範囲に氷を出現させる“フリーズ”。敵に冷気ダメージを与えるだけでなく,氷上の敵がツルツル滑るという面白いサイ能力だ

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敵を追尾する放射線を発射! 一発のダメージは小さいが,攻撃の合間に仕込めば侮れない働きをする。近寄りづらい敵と距離をとって戦うときにも有効

 プレイヤーキャラクターは,戦闘などで経験値を溜めることでレベルアップし,任意のパラメータにポイントを振り分けて強化が行える。また,装備品の変更も可能で,これらはショップでの購入や敵からのドロップなどのほか,素材を集めて自分でクラフトができる。
 近接武器であれば,刃やハンマーなどの素体,廃材を利用した柄,そしてハサミや注射器など,攻撃効果を追加できるアドオンを組み合わせて作り出せる。
 ゲーム中で入手できる素材の種類は多く,性能や見た目にこだわった自分だけの一品を作ることもできるので,ときにはストーリー進行を中断し,収集作業に勤しむのもよさそうだ。

画像集#012のサムネイル/「バイオミュータント」プレイレポート。荒廃したオープンワールドで大暴れ。世界の命運は一匹のケモノが握っている
画像集#013のサムネイル/「バイオミュータント」プレイレポート。荒廃したオープンワールドで大暴れ。世界の命運は一匹のケモノが握っている
柄と刀やハンマーなどの武器タイプ,アドオンを選択する。アドオンを追加できる数はパーツによって違う

 防具も同様にクラフトでき,作り出した装備は,フィールドに点在するギアアップグレードベンチで改造を加え,パワーアップすることも可能だ。ただ,これには多くの素材が必要になるため,地道なフィールド探索が必要になるだろう。

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画像集#010のサムネイル/「バイオミュータント」プレイレポート。荒廃したオープンワールドで大暴れ。世界の命運は一匹のケモノが握っている
肩のアーマーなども,アドオン部品を組み合わせてクラフトできる。廃材を組み合わせたようなゴツい見た目がクールだ

■世界を破滅から守るもヨシ! 自由気ままに冒険するもヨシ!

 本作には,メインシナリオのほか,豊富なサイドクエストも用意されている。クリアが必ずしも必要なわけではないが,世界観をより深く理解したり,キャラクターをレベルアップさせるいい機会になるだろう。また,プレイを有利に進められるアイテムが手に入れられるようなものもあるので,できれば積極的に挑戦したい。受けたクエストはマップに場所が表示されるので,進行や報告を忘れることがなく安心だ。

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世界に点在するベンチプレスの器具を見つけていくという変わったクエストも……。ケモノが必死にトレーニングする姿は非常にシュール

 なお,探索中には,さまざまなギミックと出会う。特に,金庫や水道管のバルブ,電子レンジなどのノードをやケーブルを正しくつなげて開錠するというパズルにはよく遭遇するはずだ。総じてコツを覚えれば何分も悩むことはないくらいの難度で,仕掛けをサクサクとクリアしていける小気味よさがある。

画像集#008のサムネイル/「バイオミュータント」プレイレポート。荒廃したオープンワールドで大暴れ。世界の命運は一匹のケモノが握っている
画像集#009のサムネイル/「バイオミュータント」プレイレポート。荒廃したオープンワールドで大暴れ。世界の命運は一匹のケモノが握っている
同じ色のランプを合わせる回転パズルの難度はさほど高くはないが,ケーブルをつなげてX・Y・Zの数を合わせるケーブルパズルは,慣れるまで難しいかも

■ロボットや動物などを乗りこなせ。冒険を彩る要素の数々

 広大なフィールドを自由に探索できる本作。しかし,生身のままでは限界もある。例えば,プレイヤーキャラクターは,一定以上の深さがある水の中に入ってしまうと,気エネルギーを消費していき,これが尽きると死んでしまう。
 だが,水上オートバイの“グーグライド”を手に入れれば,深い水場の向こうであっても,足を延ばすことができるのだ。また,移動に便利なビークルやマウント(乗りまわすことのできる動物)のほか,ビームなどの強力な攻撃を繰り出せるロボットなども用意されている。

画像集#006のサムネイル/「バイオミュータント」プレイレポート。荒廃したオープンワールドで大暴れ。世界の命運は一匹のケモノが握っている
この世界に住む動物はどこか変わったフォルムをしている。マウントに乗りながらでないと突破できない場所もあるので,いろいろな動物を乗りこなしてみよう

画像集#011のサムネイル/「バイオミュータント」プレイレポート。荒廃したオープンワールドで大暴れ。世界の命運は一匹のケモノが握っている
胸部に乗り込んで操作する巨大ロボ“メクトン”。クエストで得た専用アイテムによって,外観をカスタマイズできるのが嬉しい

 冒険や戦闘,クラフトなど多彩な楽しみ方ができる本作だが,残念なことに,ローカライズの精度はあまり高くない。ゲームプレイの流れに重大な支障をきたすほどではないが,会話によってはまったく内容が掴めず,その後表示される選択肢を選ぶのに苦労したことも。
 だが,独特のセリフまわしには病みつきになるのも確かなので,このクセの強さも込みで本作の魅力としておおらかに楽しむのが正解かもしれない。

 プレイ中のムービーシーンは短く,BGMも決して派手ではない。国産のゲームに多い,濃密なムービーや情緒たっぷりに盛り上げるシーン,音楽がないだけに,あっさりしたプレイ感だと感じることもあるが,徹頭徹尾「プレイヤー主体で物語を進めている」という感覚は貫かれている。おそらくここは,制作陣がこだわった点ではないだろうか。

画像集#015のサムネイル/「バイオミュータント」プレイレポート。荒廃したオープンワールドで大暴れ。世界の命運は一匹のケモノが握っている
特に名前のないNPCも「そこに暮らしている」感が出ていて味わい深い

 荒廃したファンタジー世界のなかで,地に足の着いた大冒険ができる本作。1回の遊びごたえも十分なのだが,プレイヤーの振る舞いによって変わるエンディングを持つため,繰り返してのプレイもしたくなる。
 滅びの未来に向かう世界の行方を追うことが目的だが,エキサイティングなアクションを楽しむ,自分の信念を貫く,ただこの終末世界を自由気ままに旅してみる……など,遊び方は自由なので,本稿を読んで気になった人は,「バイオミュータント」をぜひプレイしてみてほしい。

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