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[E3 2018]「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」を支える3本の柱。娯楽過多の時代にゲームが勝ち残るための秘策とは? Eidos MontrealヘッドのDavid Anfossi氏インタビュー
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印刷2018/06/13 04:00

インタビュー

[E3 2018]「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」を支える3本の柱。娯楽過多の時代にゲームが勝ち残るための秘策とは? Eidos MontrealヘッドのDavid Anfossi氏インタビュー

画像集 No.012のサムネイル画像 / [E3 2018]「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」を支える3本の柱。娯楽過多の時代にゲームが勝ち残るための秘策とは? Eidos MontrealヘッドのDavid Anfossi氏インタビュー
 「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」PC / PS4 / Xbox One)は,新生ララ・クロフトのトリロジー(3部作)の締めくくりとなる作品だ。父の仇を討ちたいあまり,大きな過ちを犯したララが,自分の中にあるシャドウ(影)と向き合いながら,真のトゥームレイダーとして成長していく。

 2013年からスタートしたリブート版「トゥームレイダー」は,未熟なララを描く物語となっていた。大学を卒業したての新米考古学者であるララは,極限状態に追い込まれ,冒険者として成長する。そして,謎の組織「トリニティ」が父の死に関わっていたことを知り,仇を討つためにさらなる冒険に身を投じていく。そんなトリロジーも,9月14日に発売される「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」で一区切りとなる。

 Eidos MontrealのヘッドであるDavid Anfossi氏に話を聞く機会を得たので,お届けしよう。

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リブート最終作は,「コンバット」「探索」「プラットフォーミング」という3つの柱を強化


4Gamer:
 よろしくお願いします。まずは,「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」の見どころについて教えていただけますか?

Eidos MontrealのスタジオヘッドDavid Anfossi氏
画像集 No.005のサムネイル画像 / [E3 2018]「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」を支える3本の柱。娯楽過多の時代にゲームが勝ち残るための秘策とは? Eidos MontrealヘッドのDavid Anfossi氏インタビュー
David Anfossi氏(以下,Anfossi氏):
 「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」は,2013年からスタートした「トゥームレイダー」リブートプロジェクトの最後を飾る作品です。これまではCrystal DynamicsがメインでEidos Montrealがサポートする立場だったのですが,今作では我々がメインとなって開発しています。
 開発に当たっては「続編の続編」にならないよう注意しました。今までの良いところを継承しつつ,我々の持ち味も活かして,ゲームを支える3つの柱である「コンバット(戦闘)」「探索」「プラットフォーミング(障害物を飛び移るアクション)」をさらに強化していったんです。

4Gamer:
 それぞれの柱はどのように強化されたのでしょうか。

Anfossi氏:
 まずコンバットについてですが,これにはEidos Montrealが開発した「デウスエクス マンカインド・ディバイデッド」PC / PS4 / Xbox One)や「Thief」PC / PS4 / PS3 / Xbox One / Xbox 360)のフィードバックを活かしています。「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」では,スニークアクションゲームのように,敵に忍び寄ってステルスキルをしたり,堂々と真正面から敵に突っ込んで激しい銃撃戦をしたりと,プレイヤーが戦い方を自由に選ぶことができます。
 例えばステルスで戦う場合,顔に泥を塗れば,敵から気づかれにくくなります。そうして敵へ密かに近づき,ナイフで一撃するわけです。
 真正面から突っ込む場合も,周囲の環境を利用できます。採集した素材で毒を作り,これを矢に塗れば,射られた敵が幻覚を見て同士討ちを始めます。また,周りに動物がたくさんいる場合,わざと脅かして暴れさせ,敵を混乱させることもできます。

4Gamer:
 周囲の環境をうまく使って戦えるわけですね。

Anfossi氏:
 その通りです。我々が掲げているテーマは「One with the Jungle(ジャングルを味方にする者)」ですから。

4Gamer:
 では,探索についてはどうでしょうか。

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Anfossi氏:
 今作で一番変わったのは水の表現です。これまでも水中の探索はあったのですが,今回は水中の怖さを表現しています。
 ユカタン半島にはセノーテという泉があるのですが,その下には大規模な鍾乳洞,つまり水中洞くつがあるんです。恐怖の表現にはそのエッセンスを取り入れました。普通の湖や泉なら,息が苦しくなっても水面に上がることで呼吸できますが,地下洞くつではそうはいきませんよね? 天井まで水につかっているかもしれないし,次にどこで呼吸できるか分からない。水中には何か潜んでいるかもしれないですしね。

4Gamer:
 なるほど。デモ版でもララが水中で息が詰まりそうになり,必死で泳ぐシーンがありましたね。プレイしているこちらも息苦しくなってきました。それでは,プラットフォーミングについて教えてください。

Anfossi氏:
 ロープで降下する「ラペリング」が新要素ですね。垂直降下はもちろん,振り子の要領で勢いをつけてジャンプしたり,壁を走ったりなどのアクションが追加されています。

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4Gamer:
 デモ版では,行き止まりかと思ったら眼下に空間が広がっていたりして,探索が立体的になった印象でした。

Anfossi氏:
 他にもたくさんの追加要素があるんですが,代表的なのはこの3つですね。また,シリーズ名物の「チャレンジトゥーム」も,これまで以上に難しいものをご用意していますよ。

4Gamer:
 それは楽しみですね。


過ちを知り,辛い状況を乗り越えてこそ,真の成長がある


4Gamer:
 ゲームの冒頭で,ララが探検の末にとある過ちを犯してしまい,それでも先へ進んでいく姿が印象的で,あまり見たことない展開だったのでとても驚きました。「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」をこうした展開にしようと思ったきっかけは何でしょう?

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Anfossi氏:
 とても良い質問ですね。今回のリブートではララが成長していく姿を描いてきましたが,我々は彼女が極限の状況を乗り越えてこそ,本当の道を見いだせるのではないかと考えています。間違いを犯して初めて理解できることがあるし,悪い経験をしなければ何が本当は良かったのかも解らない。こうした二面性のバランスもテーマになっているんです。

4Gamer:
 ヒロインであるララが過ちを犯すというシナリオについて,スタッフから反対意見は出ませんでしたか?

Anfossi氏:
 特に反対意見はありませんでしたね。彼女が過ちとどう向き合うかも作品のテーマですし。

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4Gamer:
 なるほど。過ちといえば,プレイヤーがミスをすると,ララは結構ひどい死に方をします。リブート作になってグラフィックスが向上し,さらに生々しさが増した感がありますが,こちらはスタッフからクレームが付いたりしませんでしたか?

Anfossi氏:
 特にそういうこともありませんでしたね。ララがひどい死に方をするのは,「もっとララを大事に扱ってプレイして欲しい」という,ゲーマーに対してのメッセージでもあります。

4Gamer:
 ひどい死に方であるからこそ,避けようとする気持ちが強くなるわけですね。
 デモ版では街のような場所も出てきましたが,どういった役割を持つのでしょう?

Anfossi氏:
 サイドミッションを受けたり,人々とコミュニケーションを取ったりできます。「デウスエクス」の開発で得られた技術を活かしたもので,「トゥームレイダー」シリーズで,最も広大なオープンスペースとなるんですよ。

4Gamer:
 RPGにおける街のようなイメージなんですが,合ってます?

Anfossi氏:
 そうです。商人からものを買ったり,アイテムをクラフトしたりできます。

4Gamer:
 サイドミッションはどういったものになっていくんでしょう?

Anfossi氏:
 現時点ではあまり多くを語れませんが,非常に変化に富んだミッションを用意していますよ。

4Gamer:
 なるほど。それは楽しみですね。


娯楽が余暇を奪い合う時代,ゲームが勝ち残るのに必要なのはクオリティ


4Gamer:
 少し前に公開されたgamesindustry.bizのインタビューでは,「シングルプレイのゲームについてもっと考えていかなければならない」という意味のことを述べられていましたが,具体的にはどのように変わっていくべきだと考えていますか?

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Anfossi氏:
 シングルプレイのナラティブなゲームはEidos Montrealが得意としているジャンルではありますが,これをさらに良いものにしていかなければならない,ということです。常にいいモノを作るために,進化あるいは変化を続けるのが我々の役目です。

 私は昔からのゲーマーで,遊びたいゲームはたくさんあるのですが,すべてを遊んでクリアすることは不可能です。ちょっとだけ遊んで,ストーリーが気になりつつも,忙しくてクリアしていないタイトルもあります。
 クリアできていないタイトルばかりが増えていくと,どんどんナラティブなゲームから離れていくかもしれない。ストーリーを最後まで楽しめてないわけですから。

 例えばですが,ナラティブなゲームでストーリーだけを楽しめるモードがあっても良いかもしれない。いま思いついたアイデアですけどね。常に良いモノを作っていくためには柔軟なアプローチをする必要がある,ということです。

4Gamer:
 なるほど,そういうアプローチの仕方もありなのかもしれません。
 今の時代はゲームだけでなく,いろんな娯楽が世の中に溢れていて,余暇を奪い合っている状況なのですが,その中でゲームが勝ち残り,人々に選ばれるためにはどうすれば良いと考えていますか?

Anfossi氏:
 良い質問ですね。答えはとても簡単で「クオリティ」の一言に尽きます。クオリティの代わりになるものはありませんし,これだけが評価を受ける際の決定的な基準です。どんなサービスが存在しても,最終的に残るのはクオリティの高いものなのです。

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4Gamer:
 では,Eidos Montrealにおける,「クオリティが高いもの」とはどういったものなのでしょう。

Anfossi氏:
 我々が過去に作ったゲームを振り返ると,それは高い没入感のあるものではないかと思います。例えば今回の「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」におけるテーマの1つは「恐怖」ですが,開発スタッフに「自分にとって恐怖とは何か」のテーマでアイデアを出してもらい,意見を集約し,より没入感の高い恐怖を描いています。
 これは作り方の話ですが,Eidos Montrealでは高い没入感を実現するために,ゲームを開発するとき,なるべく早くプレイアブルなモノを作ります。「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」も,早い段階でプレイアブルな状態にしました。もちろん,最初にできあがってくるものはラフではあるんですが,プレイテストを繰り返すことで,ゲーム全体のペース配分やストーリーの進み具合,そして「コンバット」「探索」「プラットフォーミング」という柱のバランスなどを細かく調整していきました。

4Gamer:
 ゲーム全体としてのバランスを取ることで没入感のクオリティを高めて行くわけですね。


ララ・クロフトの物語はこれからも続く


4Gamer:
 「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」はトリロジーの最終作となりますが,これまでの作品をプレイしていない人がいきなり遊んでも大丈夫でしょうか?

Anfossi氏:
 もちろんです。初めてプレイする人も十分に楽しめる作りになっていますよ。前作より遺跡の数が増え,さらに広くなっています。前作をプレイしている人も,シリーズ初体験の人も楽しんでもらえると思います。

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4Gamer:
 本作でララの物語は一度幕を閉じるわけですが,今後も彼女の冒険は続いていきますか?

Anfossi氏:
 もちろんです。スクウェア・エニックスにとっても大事なIPですからね。ただ,開発スタッフたちは「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」をブラッシュアップすることに全力を傾けています。今後のことについて考えるのは,プロジェクトのすべてが終わってからになるでしょうね。

4Gamer:
 ファンは嬉しいところですね。では,最後に日本のファンに向けてメッセージをお願いします。

Anfossi氏:
 9月14日の発売まではまだ少し時間もありますが,開発スタッフはゲームのクオリティをアップするために頑張っていますので,どうか注目していてください。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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