「ととモノ。」シリーズ10周年。Nintendo Switch用ソフト「剣と魔法と学園モノ。Anniversary Edition」の魅力を紹介

　アクワイアは2018年4月26日，3DダンジョンRPG「剣と魔法と学園モノ。Anniversary Edition」（以下，Anniversary Edition）をニンテンドーeショップにてリリースした。2008年6月に発売されたPlayStation Portable用ソフト「剣と魔法と学園モノ。」をNintendo Switch向けに移植したもので，同シリーズの10周年を記念したタイトルだ。Anniversary Editionの発売を祝して，その魅力を紹介してみよう。

ニンテンドーeショップの「剣と魔法と学園モノ。Anniversary Edition」ページ

「剣と魔法と学園モノ。Anniversary Edition」公式サイト

　「ととモノ。」の愛称で知られる「剣と魔法と学園モノ。」シリーズは，これまでに3DダンジョンRPGが4タイトル，フィールドRPGが1タイトル発売されている（Anniversary Editionを除く）。ただ，筆者にとって「ととモノ。」と言えば，やはり前者だ。可愛いキャラクター達が学園を舞台に繰り広げる，やり込み要素のある3DダンジョンRPGという印象が強い。

拠点となる学園では，主に先生達が情報やアドバイスをくれる

　タイトルのとおり，本作は“学園モノ”。プレイヤーは「パルタクス学園」に入学した冒険者のタマゴである生徒達を地下迷宮へと派遣し，探索やクエストを通じて彼らの成長を見守り，そして新しい迷宮へと挑むという流れだ。
　世界設定は学園モノらしく，冒険者は「生徒」，拠点は「学園」，施設は「教室」，職業は「学科」，転職は「転科」といった独特な用語になっている。

RPGにおける医院や教会は「保健室」，商店は「購買部」といった名称に

ゲームの基本はチュートリアルで理解できる

　その一方，3DダンジョンRPGの礎と言える「ウィザードリィ」シリーズの文法を踏襲しているため，見た目の印象とはうらはらに本格志向のゲームシステムも特徴だ。前衛と後衛に分かれる最大6人のパーティ，学科ごとに修得する魔法やMPの概念，キャラクターの性格（善/悪/中立）とそれに紐づく学科，盗賊が宝箱の罠を解除する，入手したアイテムは鑑定が必要といった要素から，懐かしさを覚えるベテランゲーマーは多いだろう。
　入学時（キャラクターメイク）にはキャラクターの能力値に割り振るボーナスポイントが多く出るまで粘り，序盤はあまり遠出をせず，ダンジョンの入り口付近でちまちまとレベルを上げることが鉄則だ。HPが減ったからって，学生寮に「泊まる」なんてトンデモナイ！　僧侶や司祭の魔法で回復してから，無料の「休む」（MPのみ回復する）を活用して所持金を節約しよう。

入学時のボーナスポイントは，最低でも2ケタは欲しいところ

特定の場所に現れる敵は宝箱を持っている。罠を解除するのは盗賊の仕事だ

学生寮での休息では，HPを回復するには資金が必要。MPの回復は無料だ

　もちろん，「ととモノ。」ならではの魅力も大きい。イラストレーターのうし氏と病氏が手がけた可愛いキャラクター（イラストは男女合わせて40種類）をはじめ，10の種族と15の学科によるパーティ編成の豊富なバリエーション，所持金を経験値に変換（保健室で募金する）できるといった独自の要素も見逃せないポイントだ。
　また，種族や性格には「相性」が設定されており，学園モノらしさを演出する。相性の良いキャラクター同士はパラメータが上がり，逆はパラメータが下がってしまうため，パーティ編成が奥深いものになっているのだ。

ヒューマン

エルフ

ドワーフ

ノーム

クラッズ

フェアリー

フェルハー

バハムーン

ディアボロス

セレスティア

【15の学科】
戦士，僧侶，魔術士，盗賊，司祭，召喚士，錬金術士，超術士，君主，修道士，狩人，侍，神女，忍者，くノ一

仲間と共に繰り出す「合体技」。キャラクターの相性が上がる効果もある

　世界の地下に突如出現した地下迷宮が，生徒達の実習の場だ。ただ潜るだけでも経験値を獲得して成長できるが，図書室でクエストを請け負ってからクリアすればストーリーが進行する。それに伴い，新しいクエストや迷宮が追加されていく。
　キャラクターのレベルが上がると，学科によって異なる魔法やスキルを修得できるが，その後に転科をすれば，一部の魔法を引き継げる。キャラクター育成の幅はかなり広く，嬉しい悩みに頭を抱えることだろう。
　なお，性能が高い装備品は迷宮を探索して手に入れるのが基本。つまり，ハック＆スラッシュの楽しさも持ち合わせているのだ。

ダンジョンは壁で仕切られた形状だけでなく，足場が迷路状になっている場合も存在する

画面左側の3人が前衛，右側の3人が後衛。魔法や遠距離武器を使えば，後衛のキャラクターも敵を攻撃できる

戦闘では「Lスティックの下＋［A］ボタン」でオートバトルになる

迷宮で集めた素材を使って，錬金術でアイテムを作り出せる。錬金術士がいれば，ダンジョン内でも錬金が可能だ

　Anniversary EditionはオリジナルのPSP版を移植したタイトルだが，Nintendo Switchに合わせたUIの調整が行われており，グッと手触りが良くなった。10年前の作品なので，少々不親切で分かりにくい部分も残っているが，幸いにもゲームの情報はWeb上を探れば簡単に見つかる。さらにゲーム中でも難度を変更できるので，よほどのことがなければ，お手上げになることはないはずだ。

ゲームの難度はいつでも変更できる

　しかも，Anniversary Editionには追加要素として，シリーズ作品の広告や特典などで使われたビジュアルを150点以上収録した「美術鑑賞」モードと，第1作から「剣と魔法と学園モノ。3」までのBGM（90曲）を収録した「音楽鑑賞」モードが搭載されている。いずれも最初から開放されているモードで，ファンにはたまらないコレクションと言えるだろう。

美術鑑賞モード。イラストだけでなく，コミックスも収録されている。もちろんズーム可能だ

音楽鑑賞モードはシリーズ作品から90曲を網羅。ちなみにサウンドは田崎寿子氏が担当している

環境設定によって，各シーンのBGMを任意のものに変更することが可能

　3DダンジョンRPGと言えば，それなりに人を選ぶジャンルだと思う。その点，「ととモノ。」シリーズはキャラクターデザインや世界設定，雰囲気によって，その間口を広げている。手触りの良さもNintendo Switchというプラットフォームにマッチしているので，ぜひこの機会にプレイしてほしい。

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