プレイレポート
「ライフ イズ ストレンジ 2」プレイレポート。心に突き刺さるハードな展開と,美しい情景描写に注目
本稿ではそのプレイレポートをお届けしていきたい。アドベンチャーゲームなので,公式サイトで触れられていること以外のネタバレは極力控えるが,触れなければならない点もあるので,そこはご了承いただきたい。
本作は2018年9月より欧米にて5つのエピソードを順番に配信したタイトルで,今回はそれが日本語ローカライズされ,全エピソードをまとめた形でのリリースとなる。
前作とは世界観を共有しており,アルカディア・ベイでのできごとから3年が経過した2016年から物語は始まる。人物や物語に直接つながりはないので,前作を知らなくてもプレイは可能だが,劇中には前作を匂わせる細かな演出が散りばめられ,プレイ済みの人にはグッとくるポイントもある。
本作の主人公は16歳の少年,ショーン・ディアス。メキシコ系アメリカ人の二世で,父親のエステバンと弟のダニエルとともに,シアトルで平凡な暮らしをしていた。ハロウィンが近づくある日,自宅のそばで発生した悲劇的な事件によって,ショーンとダニエルの運命は大きく変わっていくこととなる。
弟のダニエル。生意気盛りで反抗的なところもあるが,兄弟仲はそれほど悪くないようだ |
父親のエステバン。メキシコからの移民で,自動車技師として2人の子供を育てている |
ストーリーの主軸で描かれているのは,若き兄弟のメキシコまでの逃避行だ。ゆえにその舞台はシアトルに限らないため,美しい情景の描写が前作以上に引き立つ内容となっている。
主人公はティーンエイジャーの少年であり,前作のマックスとはまた違った観点での物語が描かれる。逃避行をしているということは,そこへ至るまでの原因があるわけで,その境遇にいるショーンを通してプレイヤーが体験するできごとは,全編通してかなりハードだ。アメリカの青少年を取り巻く犯罪や差別なども包み隠さず描かれているため,そこで起こることはプレイヤーの心に深く突き刺さるだろう。
さらに幼い弟と行動をともにしていることで,兄としてのみならず,父親のような立場でも選択を強いられることがあり,特に初回プレイは悩む選択が多いのではなかろうか。
プレイヤーの選択によって物語の流れが大きく変わってくるというゲームシステムは健在で,場合によってはかなり衝撃的な展開になることもあるが,原則的にゲームオーバーになるようなことはなく,そのまま物語は進行していく。結果や結末に違いがもたらされるものの,どれが正解というわけではないので,とくに初回のプレイ時は,ドラマや映画を観ているときの「私ならこうする」「こうなるといいなあ」みたいなイメージで,自分が思ったとおりの選択をしていくのがいいかと思う。もちろんそれが理想的な展開につながるかは別の話となるが……。
なお各章の終了時には,自分がどの選択肢を選んでどの展開を見たのかがリスト化される。2周目のプレイ以降はこれを参考に進めていくことになるだろう。
ゲームは特定のイベントシーン以外,3人称視点で自由にショーンを操作できる。調べられる場所や,会話ができる人物にはアイコンが現れ,所定のボタンを押すことで行動できる仕組みだ。もちろんすべてを見る必要はないが,多くを見ておくことで物語に深みを感じられることは間違いない。
見つけたものはボタンによってどの行動を選ぶか決められる |
タッチパッドで開くメニューでは,現在の目標と所持品を確認できる |
またベンチなどのショーンが一息つける場所が,そのシチュエーションをBGMとともにゆったり楽しむポイントになっているのも本作らしい演出である。前述のとおりストーリー的にはかなりハードな展開があり,それに対する清涼剤的な意味合いも大きくなった。
「ライフ イズ ストレンジ」といえば,主人公に常人にはない特別な能力が備わり,それがゲームシステムとして組み込まれ,ストーリーに影響するというゲームデザインとなっていた。本作にも特別な能力を持つ人物が登場するが,それが主人公本人ではなく,旅に同行する弟のダニエルだというのが大きな特徴だ。
劇中のあるできごとによって,危険な超能力(テレキネシス=念動力)を身に付けてしまうダニエルは,旅の中でその力を少しずつ開花させ,必要なところで自らの意思や兄からの指示によりそれを使うことになる。しかし,母親のいない家庭で育ち,さらに事件によって心に傷を負った9歳の少年は精神的にも不安定で,素直に兄の言うことを聞かないことも。ストーリーを体験した限りでは,プレイヤーの選択によって,ダニエルの性格や兄弟の相性も変化していると思われ,それが彼の能力にどう作用するのかも見どころとなるだろう。
ちなみにショーンを操作している間,ダニエルはその周りをうろうろと歩き回っている。落ち着かない様子は,彼の性格を表しているようだ。
一方のショーンも,何も取り柄がないわけではなく,絵を描くのがプロ並みにうまいということが挙げられる。各エピソードの移動可能なシーンには時に,スケッチできるポイントが用意されており,ちょっとした操作を経て,その様子を描くことができるのだ。描いた絵はメニュー画面の日記に追加されていくという収集要素の一つであり,見つけなくてもストーリーは進められるが,グッとくる演出なので一度は試してみることをオススメする。
また本作は,分割された5つのエピソード間の時間軸がかなり空いているということがプレイしてみてわかった。この間に一体どんなことが起きているのかは,メニュー画面から見られるショーンの「日記」で,彼のイラストとともに確認することができる。新たなエピソードに入ったら必ず確認しておきたい。
事前に無料配信された,本作の体験版的な位置づけの「オーサム・アドベンチャーズ・オブ・キャプテン・スピリット」と本作の関係についても触れておこう。
「オーサム・アドベンチャーズ・オブ・キャプテン・スピリット」にはショーンとダニエルの2人も登場し,そのシーンは本編とつながっていて,自作のヒーロー「キャプテン・スピリット」に扮するクリスとその父チャールズも,兄弟の旅の間に出会う人物として登場する。彼らは兄弟と接点のある人物とも関わりがあり,該当のエピソードに限っては,両家族の視点からストーリーを楽しめるというわけである。
「オーサム・アドベンチャーズ・オブ・キャプテン・スピリット」の登場人物はダニエルのような力こそ使えないものの,ゲームシステムは共通している。単にストーリーを切り取ったタイプの体験版とはひと味もふた味も違い,開発陣の粋なはからいを感じられた。本稿を読んでいる人はおそらくプレイ済みだとは思うが,もし未プレイということなら,本編の前にぜひ遊んでおくことをオススメする。
本編はもちろんフルボイスで,すべて日本語ローカライズ済み。字幕もセリフとショーンの心の声でフォントを変えるなど,前作同様の小粋な仕様も嬉しいところだ。ただし隣の部屋から聞こえてくるささやき声などは字幕に表示されないので,クオリティの高いBGMと併せて楽しむためにも,ヘッドフォンでのプレイを勧めたい。
物語はエピソードを重ねるごとに予想外の展開を見せていき,プレイヤーを飽きさせることがない。とくに旅先で出会う人物との関わりは,互いの境遇や考え方の違いなどから非常に濃厚なドラマとして描かれ,前作では味わえなかったものだ。ぜひ密度の濃いストーリーをたっぷりと体感してみてほしい。
蛇足だが,目的地しか提示されていない行き当たりばったりの旅の緊張感や,人々とのふれあいを経て旅人が成長していくというシチュエーションは,筆者の世代だと,その昔大陸横断ヒッチハイクをしていたバラエティ番組の企画を思い出してしまうのだが,分かるだろうか?
「ライフ イズ ストレンジ 2」公式サイト
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