イベント
「ルルアのアトリエ」発売を記念した,岸田メル氏のサイン会が開催。開発秘話なども明かされたトークコーナーの模様をレポート
このイベントは2部構成となっており,第1部では,「ルルアのアトリエ」のキャラクターデザインを手がけた岸田メル氏と総合プロデューサーの細井順三氏が,本作にまつわるトークを披露した。本稿では,そのトークを中心に会場の模様をお伝えしよう。
岸田メル氏 |
細井順三氏 |
トークの最初のテーマは,「2人の出会い&第一印象」。岸田氏と細井氏が初めて顔を合わせたのは,「アーランド」シリーズの1作めである「ロロナのアトリエ 〜アーランドの錬金術士〜」の開発が始まる前のことで,当時の細井氏はガストの広報担当だったという。
岸田氏は,もともと初期の「アトリエ」シリーズを遊んでいた経験があったことから,ガストからオファーを受けたときには非常に印象がよかったそうだ。
一方,細井氏は初めて岸田氏に会って話をしたとき,非常に真面目な青年という印象を受けたとのこと。
そののち,「トトリのアトリエ 〜アーランドの錬金術士2〜」のPRでネット配信に出演して以来,岸田氏は真面目にやることを止めてしまったのだとか。そのフリーダムさは,岸田氏のTwitterなどで確認できるが,細井氏は「こんなにパーソナリティに溢れる人物だとは思っていなかった」とコメントしていた。
2つめのテーマは「当時のアーランド」。「ロロナのアトリエ」のキャラクターデザインは,提示された設定を元に岸田氏が何パターンかキャラクターのラフデザインを描き,その中からディレクターが一番イメージに近いものを選ぶという手順を踏んでいたとのこと。ディレクターにも明確なビジュアルイメージがなかったため,非常に時間がかかったという。
また細井氏によると,「ロロナのアトリエ」では,PS3向けのゲーム開発と3Dグラフィックスという初めてのチャレンジが重なったため,開発チームの熱量が高く,岸田氏にも無理を強いてしまった側面があるそうだ。
そうした熱量の高さのおかげか,「アーランド」シリーズのイメージは,のちの「アトリエ」シリーズにも影響を与えている。細井氏は「『アーランド』の前と後では,明らかに違いがある」とし,岸田氏も「何となくやってみたことが,僕の手がけていないタイトルにも受け継がれている」と話していた。
話題は,岸田氏の手がけた歴代ヒロインのデザインにもおよんだ。岸田氏によると,ロロナの衣装はもともと青だったが,当時のプロデューサーが赤にこだわったという。その背景を細井氏は,人気の高い「マリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士〜」が赤いパッケージだったから,と説明した。
続くトトリは,岸田氏のアイデアがほぼそのまま通ったそうだ。ゲームの舞台が海辺なので,魚のヒレなど海を感じさせるものをイメージして衣装をデザインしていったという。
そしてメルルは,岸田氏いわく「どう受け止められるか予想できなかった」そうだが,実際に世に出してみたら評判がよかったとのこと。またデザインが完成に至るまでに何度も顔を描き直したとのことで,広報担当だった細井氏も差し替えに苦労したという。
そのほか「アーランド」シリーズでは,同じキャラクターの立ち絵でも複数のポーズのものがあるが,それらすべてを岸田氏自身が描いたことも明かされた。
3つめのテーマは,発売されたばかりの「ルルアのアトリエ」について。「アトリエ」シリーズは,「ザールブルグ」シリーズのような3部作,もしくは「グラムナート」シリーズのような2部作で展開してきており,4作めを出すのは今回の「アーランド」シリーズが初めてである。
細井氏は,その理由を「『アーランド』シリーズの続編や,岸田メルの『アトリエ』を望むファンが多かったからこそ」と説明。また岸田氏も,「続編が出るかどうかにかかわらず,ずっと好きでいてくださる方が多かった」と同意した。
また岸田氏は,自身がキャラクターデザインと監修で開発に参加した「BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣」の存在が,「ルルアのアトリエ」に影響を与えたと語った。例えば「BLUE REFLECTION」では,岸田氏のこだわりがモデリングやライティングに反映されたのだが,そのノウハウが「ルルアのアトリエ」にも活用されているそうだ。結果として,岸田氏と開発チームとの悪い意味での行き違いは発生しなかったという。
岸田氏は,これまでの「アーランド」シリーズと「ルルアのアトリエ」では,開発環境が異なることにも言及。そのため「ルルアのアトリエ」では,画的に映えても物理的に正しくない表現がやりにくくなったとのこと。
例えばルルアは,ライダースジャケットの肩をはだけているが,岸田氏の「違和感があってもいいから」というこだわりを実現するため,ゲーム内では特殊な処理を施して再現しているという。
そのほか元海賊のニコは,設定だともっといかつい感じだったが,岸田氏の「イケメンを描きたい」という欲求のもと,今のようなデザインになったことや,過去作に出たキャラクターの年齢と外見のバランスをどうするか,開発チームで検討したことなどが明かされた。
4つめのテーマは,「『ルルア』のココを楽しんでほしい!」。細井氏によると,今回は「すべてにおいてクオリティを高くする」「初めての4作めにふさわしいものにする」との目標を掲げて開発に取り組んだとのことで,「全部が推しどころ」だという。イベント1つ取っても,これまでとは違って見える演出が施されているなど,これまでにないチャレンジが随所に盛り込まれており,開発チームには「すべてを“いいもの”にした」という自負があるそうだ。
また今回は明快な目標が存在したために,開発スタッフ全員がイメージを完全に共有できたことから,開発は極めて順調に進んだとのこと。ここまで順調なことはガスト史上初めてだったそうで,細井氏は「逆に不安になった」と話していた。
最後のテーマは「2人の今後に関して」。岸田氏は,「これからもガストさんと一緒に,いろいろやっていきたい」とコメント。また細井氏は「2019年末,または2020年には何かしら発表できると思います」「『アーランド』の5作め,6作めを望む方は,ぜひSNSなどで声を挙げてください」と話していた。
トークの最後では,岸田氏が「皆さんのおかげで『アーランド』シリーズの4作めを作れたといっても過言ではないので,ぜひ楽しんでください。また僕自身も『アトリエ』シリーズあっての岸田メルだと自覚しています。ぜひ今後ともよろしくお願いします」とコメント。
そして細井氏が「繰り返しですが,ファンの皆さんのおかげで『アトリエ』シリーズを続けて来られましたし,『アーランド』シリーズの4作めも実現できました。ガストブランドでは,これからもさまざまなタイトルをリリースしていきますので,楽しみにしていてください」と述べて,トークを締めくくった。
「ルルアのアトリエ 〜アーランドの錬金術士4〜」公式サイト
- 関連タイトル:
ルルアのアトリエ 〜アーランドの錬金術士4〜
- 関連タイトル:
ルルアのアトリエ 〜アーランドの錬金術士4〜
- この記事のURL:
キーワード
©2019 コーエーテクモゲームス All rights reserved.
- 【2019年発売予定】 ルルアのアトリエ ~アーランドの錬金術士4~ (初回封入特典(ルルアコスチューム) 同梱) - PS4
- ビデオゲーム
- 発売日:2019/03/20
- 価格:¥5,980円(Amazon) / 6339円(Yahoo)