業界動向
ネクソンの2020年12月第2四半期決算は,韓国が好調で過去最高の売上収益に。日本では「TRAHA」が想定以上の収益
売上収益は会計基準ベースで約645億円。前年同期比で20%プラスとなっており,業績予想を上回っている。「KartRider Rush+」(iOS/Android)「メイプルストーリー」「アラド戦記」といったタイトルが好調な韓国が牽引する一方,中国の業績は予想を下回ったとしている。
営業利益は約267億円で,前年同期比で106%プラス。こちらも売上収益と同様に業績予想を上回った。広告宣伝費は予想を下回ったうえ,支払手数料とロイヤリティについては,「KartRider Rush+」と日本版「TRAHA」(iOS/Android)の収益が想定以上だったことから,予想を上回る数値になったという。
地域別の売上構成比は,韓国51%,中国30%,北米および欧州が8%,日本4%,その他の地域(アジア諸国及び中南米諸国)7%となっている。プラットフォーム別で見ると,PCが70%,モバイルが30%。PCは予想圏内に着地し,モバイルは予想を上回ったとのこと。
第2四半期累計で見ると,売上収益の合計は会計基準ベースで約1472億円と,前年同期比の1469億円とほぼ同じ数値。地域別でみると,中国が前年同期比−33%,韓国が+74%,日本は−48%,北米および欧州が−14%,その他地域が+16%。プラットフォーム別ではPCが−4%,モバイルが+17%となっている。
韓国は,植村氏によると「過去最高の第2四半期売上収益」を記録したという。売上収益を前年同期比でみると,「メイプルストーリー」が+151%,「アラド戦記」が+49%,「サドンアタック」が+103%で,いずれも予想を上回る数値だ。
「メイプルストーリー」では17周年イベントやプロモーションが好評。「アラド戦記」は第1四半期で実装したレベルキャップ開放や「3次覚醒」などの大型アップデートの評価が高かった。そして,「サドンアタック」はイベントや新キャラクター,新シーズンパスが好評だったことが成長につながったのだという。
5月にスタートしたモバイルゲーム「KartRider Rush+」は,予想を大きく上回る好調な滑り出しで,PC用「KartRider」とは重複しない新規ユーザーの加入が見られるとのこと。また,6月から始まったモバイルゲーム「EA SPORTS FIFA MOBILE」(iOS/Android)も予想以上のユーザー数を獲得しているそうだ。
一方,「EA SPORTS FIFA Online 4」は選手のレーティングにおけるバランスなどが評価されず,売上収益自体は前年同期比で上回ったものの,予想は下回る結果に。その後,バランスの調整を行い,経過は良好であると見ているという。
中国の売上収益は予想を下回るものになったが,これは「アラド戦記」のアクティブユーザー数と課金ユーザー数が想定以下だったことに起因する。4月の労働節アップデート,6月の12周年アップデートは,既存ユーザーに好評だったものの,離脱ユーザーの再獲得には至らなかった。
日本は前述のとおり4月からサービスを開始した「TRAHA」が好調だ。「メイプルストーリーM」が前年同期比で減少し,2月にgloopsを売却したことは減収の要因になっているという。
北米および欧州は,「メイプルストーリー」と「Choices: Stories You Play」(iOS/Android)が好調。特に「メイプルストーリー」は,一定為替レートで前年同期比173%の成長を見せているという。一方「メイプルストーリー2」「OVERHIT」(iOS/Android)「AxE」(iOS/Android)「Darkness Rises」(iOS/Android)は減収となり,明暗分かれた形だ。
その他の地域では,「メイプルストーリー」が一定為替レートで前年同期比217%成長し,「KartRider Rush+」や,台湾およびマカオ版「V4」も好調。「OVERHIT」「天涯名月刀」「AxE」はこちらでも売上収益は減少傾向にあるという。
2020年第3四半期の業績見通しは,売上収益で約773〜854億円(前年同期比48〜63%増)で,日本以外の地域での増収を見込んでいるという。営業利益は約305〜374億円(前年同期比25〜53%増)の予想。四半期利益は約255〜310億円(前年同期比36〜22%減)を予想しているというが,これは,2019年第3四半期に,為替差益154億円が発生しているために前年同期比がマイナスになっているとのこと(関連記事)。
中国では8月12日に始まる「アラド戦記モバイル」の寄与も期待されており,6000万人という事前登録者がどのような動きを見せるかが気に掛かるところだ。マホニー氏はPC版との食い合いではなく,「メイプルストーリー」と「メイプルストーリーM」で起こったようなシナジーを期待しており,PC版「アラド戦記」と「アラド戦記モバイル」の双方にポジティブな効果があるのではないかと予想しているという。
韓国では老舗オンラインゲーム「風の王国」のモバイル版「風の王国:Yeon」,日本では「TRAHA」が増収に寄与すると見込まれている。また,「メイプルストーリー」については,北米および欧州では前年同期比で3桁,そのほかの地域では2桁台の成長をすると予想されている。
マホニー氏は今回の結果について,タイトル数を絞って規模の大きなゲームに注力,モバイルを含むあらゆるデバイスでディープなオンラインゲーム体験をどこでも楽しめるようにするという戦略がもたらしたものであり,現段階では大変満足しているとコメントした。
そして氏は,新型コロナウイルス情勢下でのゲーム産業についても語っている。新型コロナウイルスの蔓延からゲーム人口が急増した。これを一時的な現象であると見る向きもあるが,自分はそう思わないとマホニー氏。娯楽が一方向的なものから双方向的なものへと変化していく流れが,現在の情勢で加速されたものであると自説を述べた。
(C)2020 NEXON Korea Corporation & MOAI GAMES All Rights Reserved.
(C)2020 NEXON Korea Corporation & MOAI GAMES All Rights Reserved.