プレイレポート
「ヴィクター・ヴラン オーバーキル エディション」プレイレポート。トレハンで手に入れた武器と華麗なアクションでモンスターを叩きのめせ!
「ヴィクター・ヴラン」全部入りのお得なパッケージ
「ヴィクター・ヴラン」はもともとPC向けのアクションRPGで,独裁者となって南国を治める「トロピコ5」や,火星を開拓する「Surviving Mars」といったゲームを手がけたブルガリアのデベロッパ,HAEMIMONT GAMESが2015年に発売したタイトルだ。インディーズ方面にアンテナを張っているなら「名前は聞いたことがある」という人も多いのではないだろうか。
実はこのヴィクター・ヴラン,2017年には「砕けた世界(Victor Vran: Fractured Worlds)」「モーターヘッド(Victor Vran: Mötorhead Through The Ages)」という2つの有料DLCが配信されている。これらをひとまとめにし,コンシューマ機向けに移植したのが,今回発売される「ヴィクター・ヴラン オーバーキル エディション」だ。いわゆる“全部入り”なので,これから始めようと思うのであればこの1本を買えばいい。
「砕けた世界」は高難度ダンジョン,「モーターヘッド」は新武器2つ+新シナリオという内容なので,PC版を遊んでいた人がこの機会にプレイし直すのもアリだろう。
激しいアクションでモンスターを叩きのめせ!
本作は,タフでクールなデーモンハンター,ヴィクター・ヴランを操作し,2つの武器と「デーモンパワー」を使い,群れなすモンスターどもを打ち倒していく。
物語は陰鬱だが,どこからか響く“謎の声”がヴィクターの行動にツッコミを入れたり,「膝に矢を受けて……」とパロディ要素のあるジョークを言ったりと,コミカルな演出があるのも面白い。オタクな友達をゲームマスターにテーブルトークRPGを遊んでいるような感じもちょっぴりあって,このあたりはブルガリアのユーモアセンスといったところだろうか。
本作を端的に表すなら“見下ろし視点のハック&スラッシュ系アクションRPG”だ。インディーズゲームを遊ぶ人や,2000年代に「ディアブロII」の洗礼を受けた人なら親しみ深いジャンルである。しかし,本作はアクション性が強く,空中に跳躍する「ジャンプ」やローリングによる回り込み「回避」をタイミング良く行い,敵の攻撃に対処しなければならない。
また,本作に登場する敵はかなり手ごわい。というのも,数がそれなりにいるうえ,「こちら目がけてホーミング弾を大量に放つ」「移動速度を遅くする魔法陣を張り巡らせる」「突進技でヒットアンドアウェイを仕掛けてくる」といったように,あの手この手でヴィクターに襲い掛かってくるからだ。
敵の攻撃が激しいうえ,本作は回復ポーションを連続で使えないため,攻撃を受けて耐えながら反撃をするような戦いはほぼ不可能だ。ジャンプや回避をフル活用しつつ,装備の組み合わせで殲滅力を上げることが重要となる。
特にボス戦はスリリングで,「正面以外からの攻撃は受け付けず,時間経過とともに耐久力が自然回復する」「ヴィクターの体力を吸い取って自分のHPを回復するトーテムを置く」といった厄介な敵もおり,真正面から戦ったのではなかなか勝てない。うまく攻撃を避け,ダメージを減らすように立ち回り,ギリギリで勝利できたときはなかなかに爽快だ。
アクションRPGでは装備品やスキルの強さが重視されることが多いが,本作では,敵が放つ衝撃波をジャンプでかわして懐に飛び込み,攻撃を避けつつ回り込んで無防備な背中に連打を加える……というようなアクションのテクニックもそれなりに求められる。たとえボスに負けたとしても,そのときの経験を活かしてしっかりと立ち回れば,装備を更新せずとも勝てることがあるのも面白い。
「トレハン」した武器やデスティニーカードを組み合わせて殲滅力を上げよう
本作はハック&スラッシュ系のアクション“RPG”なので,キャラクターの育成や装備品の収集といった楽しさも存分に味わえる。ヴィクターの強さは,装備している武器と,魔法のような大技「デーモンパワー」,パッシブ効果を与える「デスティニーカード」の3つで決定されるが,本作の特徴は,これらがすべて敵からドロップするということだ。
同じものでも強さに差があり,武器とデスティニーカードにはランダムでオプションが付与されるため,モンスターを倒してこれらを集め,シナジーを生むような組み合わせを考えていくのが面白い。
武器は近接武器4種+遠距離武器6種が用意されており,特性やスキルがそれぞれ異なる。プレイヤーはここから2つを選び装備して戦う。武器の種類は以下のとおりだ。
■近接武器
・「ソード」
・「ハンマー」
・「レイピア」
・「サイズ」
■遠距離武器
・「ショットガン」
・「ライトニングガン」
・「トーム」
・「ハンドモルタル」
・「リボルバー」
・「ギター」
武器は戦闘中に自由に切り替えられるため,バトルのバリエーションは多彩だ。使えるスキルは各武器に3種類(通常攻撃1種と特殊技2種)と固定されているが,風変わりなものが多く,性質を理解すればバトルがより面白くなる。
例えばハンマーの場合,火力は高いが攻撃の速度が遅いため,闇雲に戦うとダメージを食らいがちだ。しかし,“使用後しばらくの間,攻撃にヘルス吸収効果を付与する”性質を持つ「スマッシュ」をこまめに使うようにすれば,敵から体力を吸い取りつつ攻撃できる。
また,ライトニングガンの「ボール・ライトニング」は“感電状態の敵を攻撃する雷の球”を呼び出す技だが,そのまま使っても雷の球はそこらをフラフラするばかりだ。しかし,“電撃を照射して感電状態にする”「ショック」を使うと,複数の敵を感電状態にして雷の球をピンボールのように行き来させるなど,効果的な攻撃が可能となる。単にスキルのクールタイムに合わせてボタンを連打するのではなく,スキルの性質を理解すれば遠近自在に戦えるようになるのだ。
武器で攻撃して「オーバードライブ」ゲージを溜めるとデーモンパワーが使えるようになり,一気に敵を殲滅できる。スチームパンクな世界観の本作では,巨大な鉄拳で相手を殴りつける「アイアンフィスト」や,コンサートで敵の動きを止めて釘付けにする「パラライズド」といったユーモラスなものもあり,決めると爽快だ。武器と同様,同じものでも効果時間や威力がランダムとなるため,たくさん集めて厳選しよう。
デスティニーカードはタロットのようなアイテムで,ヴィクターにパッシブ効果を与える。体力やダメージを底上げするもの,自身の体力低下やクリティカルヒットなど特殊な条件下で効果を発動するものなど,その効果はさまざま。「回避距離が長くなる」「特定スキルのクールダウンが短くなる」「特定スキルを範囲攻撃化する」といった強力なオプションも存在するため重要だ。
各武器の個性的なアクションとランダムで付与されるオプション,これにデスティニーカードのオプションを組み合わせると,さらにパワフルな戦いができる。
例えば“クリティカルヒットとすると,敵からヘルスを吸収できる”オプションを持つハンマーがあったとしよう。そこに“3段目を当てると,次の攻撃が必ずクリティカルヒットになる”というソードのスキル「ソードハック」を組み合わせると,確実にヘルスを吸収できる。
さらに“クリティカルヒットすると爆発を起こす”,“クリティカルヒットすると敵の移動速度が遅くなる”という2枚のデスティニーカードを組み合わせると,クリティカルヒットの瞬間に爆発が起こり,巻き込まれた敵のヘルスも吸収できるうえ,敵の移動も遅くなるという効果的な攻撃が繰り出せる。
このように,武器とデスティニーカードをうまく組み合わせると,2重3重のシナジーを生み出せる。慣れて即興で組み合わせを考えられるようになるとさらに楽しくなるので, いろいろ試すためにも普段からのトレハンを心がけよう。
イカしたロックバトルと高難度ダンジョンもてんこ盛りに
さて,ここからは本作のDLC「モーターヘッド」と「砕けた世界」について紹介していこう。
まず「モーターヘッド」はイギリスの同名ロックバンドの世界観をベースにしたコンテンツで,巨大メカやモンスターが暴れ回るバトルを楽しめる。
武器の中でも異彩を放つギターはもともとこのDLCで初登場したもので,演奏することで敵を攻撃する面白装備だ。
スキル「パワーコード」は,功撃のクールダウン終了の瞬間にタイミング良く次の攻撃を繰り出すと,クリティカルヒットが発生する目押し技だ。
次々とクリティカルを出せるが,その性質上,最初に繰り出す一撃はクリティカル確定ではない。敵の攻撃が迫っているときなどは,その場に踏みとどまって被弾覚悟で演奏を続けてクリティカルを出すか,はたまた尻尾を巻いて逃げ出すか……というロックな2択を迫られるというわけだ。どこかのゾンビアイドルのようにコンサートしつつ一撃を食らって伝説を作るのもいいが,ヴィクターは死んだらそれまでなので,やりすぎには気をつけよう。
「ウィックド・ソロ」は膝で滑走しつつ演奏するスキルだが,食らった敵はノリノリで頭を振り続ける「ヘドバン」の状態異常になる。ガイコツやサキュバスといったモンスターがヘドバンを続ける様子は,正にハードロックやヘビメタのジャケットだ。
もともとヴィクターがワイルドな雰囲気を持っていることもあり,「モーターヘッド」の世界観は「こちらが本編だ」と言われても気づかないくらいのハマリっぷりだ。BGMがモーターヘッドの楽曲になるのはもちろん,ゲーム制作中に逝去したモーターヘッドのメンバー,レミー・キルミスターも登場するなど,リスペクトぶりも凄い。次回作があるなら,こちらの世界観の物語ももっと見てみたいと感じさせる出来だ。
2つ目の「砕けた世界」はいわゆるエンドコンテンツだ。ダンジョンのうち4つは構造が毎日変化するので,思う存分にトレハンを楽しめる。どのダンジョンも難度は高く,ほかのモードで充分鍛えてから挑戦したいところだ。
危険なだけあってリターンも大きく,中でも注目しておきたいのがデーモンパワーと並ぶ2つ目の大技「タリスマン」のレシピだ。使うためにはエネルギーが必要で,溜める手段が「敵の攻撃をかわす」「クリティカルヒットを出す」など,タリスマンごとに異なっているのが特徴だ。倒した敵をカボチャ爆弾にしたり,周囲の敵を感電状態にするなど,うまく決めればかなり強力。立ち回りや装備の構成も変わってくるので,よりゲームに深みを与えてくれるのだ。
Nintendo Switch版は,携帯モードを使えば,仕事の休憩時や寝る前など,ちょっとした時間でプレイできるのがありがたいところだ。アクションがやや激しめではあるが,ゴロゴロしながらのトレハンは楽しい。回復ポーションを使うには方向ボタンを押さなければならないのが,寝転んでのプレイ時にちょっと不便に感じられたくらいだろうか。ノーハクスラ・ノーライフな人はぜひ試して欲しい。
Nintendo Switchのタイトルとして「ディアブロ III エターナルコレクション」「Titan Quest」「スナックワールド トレジャラーズ ゴールド」など,多くのハクスラ系ゲームが出ているが,本作はアクション要素の強さで明確な差別化が図れているように感じられた。トレハンに加え,「モンスターの攻撃力が上がる」「ヴィクターの体力が減り続ける」といった不利な条件を課す「ヘックス」を使えば,お馴染みのマップも攻略難度を上げられるため,遊びごたえは充分だ。
ただ,こちらの移動速度を遅くするなどのデバフをモンスターが多用する場合があったり,マップごとのミッションに回復を制限するものが散見されたりする部分は,人によって好みが分かれるところかもしれない(ささいな点ではあるが,インベントリの操作も先行作品と比べるとこなれていない感じだが,こちらは慣れの問題だろう)。ひと味違ったゲームを求めているハクスラ好きなら,楽しく遊べるゲームと言えるだろう。
「ヴィクター・ヴラン オーバーキル エディション」(PlayStation Store)
「ヴィクター・ヴラン オーバーキル エディション」(ニンテンドーeショップ)
「ヴィクター・ヴラン オーバーキル エディション」公式サイト
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ヴィクター・ヴラン オーバーキル エディション
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ヴィクター・ヴラン オーバーキル エディション
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Victor Vran (C)2018 Haemimont Games AD. (C) 2018 Motörhead under license to Global Merchandising Services Ltd. Developed by Haemimont Games AD. Co-published by Wired Productions. Published and distributed by 3goo K.K. in Japan.
Victor Vran (C)2018 Haemimont Games AD. (C) 2018 Motörhead under license to Global Merchandising Services Ltd. Developed by Haemimont Games AD. Co-published by Wired Productions. Published and distributed by 3goo K.K. in Japan.