インタビュー
「ケイデンス・オブ・ハイラル」の開発者にミニインタビュー。「ゼルダ」とのコラボのきっかけや,気になるゲームシステムについて聞いた
本作は,Brace Yourself Gamesが2015年4月にPC向けに発売したローグライクリズムアクション「クリプト・オブ・ネクロダンサー」(以下,ネクロダンサー)と,任天堂の「ゼルダの伝説」シリーズのコラボによって生まれたタイトルだ。
人気インディーズゲームとあの「ゼルダの伝説」がコラボするということで,2019年3月に発表されたときには驚きをもって迎えられた本作だが,5月31日に公開された最新のPVでは,6月中に発売となることが明らかになった。
今回4Gamerでは,6月1日と6月2日かけて京都・みやこめっせで開催されたインディーズゲームの祭典「BitSummit 7 Spirits」の会場で,本作の開発元であるBrace Yourself GamesのCEO・Ryan Clark氏と,リードデザイナー兼プログラマーのOliver Trujillo氏,スパイク・チュンソフトの二階堂利久氏にインタビューを実施。コラボの経緯や,本作のゲームシステムなどについて,短い時間ながら話を聞くことができた。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。早速ですが,「ケイデンス・オブ・ハイラル」を作ることになったきっかけをお聞かせください。
もともと企画の立ち上げ当初は「ネクロダンサー」のダウンロードコンテンツとして「ゼルダの伝説」とコラボできないだろうかという話でした。その企画を任天堂さんに持って行って話したところ,どんどん話が大きく盛り上がっていき,最終的には「これなら独立した1つのゲームとして成立するのでは?」ということになったんです。
4Gamer:
話が膨らんでいき,「ケイデンス・オブ・ハイラル」を作ることが決まったとき,どういう気持ちでしたか。
Oliver Trujillo氏(以下,Trujillo氏):
もちろんとても興奮しましたよ! 子供のころからプレイし続けてきた「ゼルダの伝説」シリーズとコラボが実現できるなんてとても素晴らしいことだと思いました。
ただ,その一方で多くのファンを抱える30年以上続く歴史あるシリーズとのコラボなので,不安もありました。「ネクロダンサー」ファンと「ゼルダの伝説」両方のファンの期待に応えられるようにベストを尽くしていいものを作り上げています。
4Gamer:
コラボタイトルを作るうえで任天堂さんから何か特別な要望などはありましたか。
Trujillo氏:
「トライフォース」の表現と設定は,かなり入念に監修してもらいました。今までのシリーズ通りの設定や神秘的な部分を,ちゃんと本作でも守ってほしいということは強く言われていました。
「クリプト オブ ネクロダンサー」の設定については引き続き私達が中心になって作っています。
4Gamer:
「クリプト オブ ネクロダンサー」の設定といいますと,主人公のケイデンスは心臓に呪いがかけられたため,ビートに合わせて行動しなければいけませんでしたが,リンクとゼルダにもビートに乗って移動しなければならない理由があるのでしょうか。
二階堂氏:
申し訳ありません。ストーリーについては続報をお待ちいただければと思います。
4Gamer:
グラフィックスも前作から一新され,ケイデンスのビジュアルも新しいものになっていますね。
Trujillo氏:
はい。アート班もものすごく頑張ってくれていて,かなり時間をかけて制作しました。今回のドット絵はきれいなことはもちろん,キャラクターと背景のタイルをしっかり見分けられるように作っていて,ゲームプレイにおいても良い効果をもたらすようなものに仕上がっています。
Ryan Clark氏(以下,Clark氏):
「ネクロダンサー」では,グラフィッカーが1人だけでしたが,今回は4人で制作しています。前作はキャラクターのドット絵も正面を向いている1枚だけでしたが,本作は4方向のパターンを用意しています。ドット絵自体のクオリティはもちろんですが,このように絵の枚数も増えているんです。
4Gamer:
ネクロダンサーと言えば,音楽も非常に大きな魅力の1つですが,「ゼルダの伝説」シリーズからいくつくらいの楽曲がアレンジされて登場するのでしょうか。
Trujillo氏:
具体的な数は挙げられないのですが,とにかくたくさんの楽曲を用意していますとはお伝えできます。「神々のトライフォース」のものを中心に,シリーズ全体からさまざまな楽曲が登場しますよ。
4Gamer:
「ゼルダの伝説」は音楽も魅力的なので,アレンジにもさぞかし気合が入ったのではないでしょうか。
Trujillo氏:
はい。コンポーザーも大のゼルダファンで,どの楽曲もとても力を入れてアレンジしてくれています。また,本作にはダンジョンだけでなくフィールドも存在しますが,その各所にシリーズのさまざまな楽曲をネクロダンサー風にアレンジしたものを採用しています。
4Gamer:
ちなみにおふたりは「ゼルダの伝説」シリーズの中ではどのタイトルが一番好きですか。
Trujillo氏:
私は「神々のトライフォース」が一番好きです。初めてプレイしたのはNES(ファミコン)版の初代「ゼルダの伝説」なのですが,「神々のトライフォース」は世界が初代よりとても広くなっていました。さらに「闇の世界」に初めて入ったときは「この世界はまだまだ広いのか!」とびっくりしつつ,興奮しながら楽しくプレイできたタイトルでした。
Clark氏:
私は2つありまして,昔のタイトルだと「リンクの冒険」が好きです。下突きをはじめとしたアクションがものすごく好きでした。近年のタイトルだと「ブレス オブ ザ ワイルド」が大好きです。探索できる範囲があまりにも広くてすごく楽しくプレイできました。
4Gamer:
チームの皆さんが「ゼルダの伝説」を好きなことがとても伝わってきます。
さて,先ほど本作はダンジョンだけでなくフィールドを探索するという要素があるというお話がありましたが,それ以外にゲームシステムで「ネクロダンサー」から変わっているところを教えてください。
Clark氏:
リズムに合わせて動くというゲームシステムの根幹は前作と変わりませんが,ゲームのプレイフィールはかなり変わると思いますよ。例えば,本作では地形に高低差の概念を導入しており,それを利用して戦うことができます。
Trujillo氏:
あと,「ゼルダの伝説」といえば随所にちりばめられた「謎解き」が特徴の1つですが,本作でも謎解き要素やパズル要素を導入しています。手持ちの武器,アイテム,周囲の環境を見ながら「あの地点に行くためにどうすればいいのか」といったことを楽しめる設計になっています。
4Gamer:
「ゼルダの伝説」と言えば謎解きが1つの大きな魅力なのでそれは楽しみですね。
公式サイトで公開されているPVには,リンクが回転斬りを放つシーンや,ゼルダが「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズのように「ネールの愛」や「ディンの炎」を使っているカットがありました。ふたりのアクションは,シリーズ全体や関連作品を参考に作られているということなのでしょうか。
Trujillo氏:
そうですね。各キャラクターアクションはシリーズ全体はもちろん,関連タイトルなども参考にして作っています。ゼルダはシリーズでプレイアブルキャラクターになることがあまりなかったので,大乱闘スマッシュブラザーズなどのアクションを参考にしています。
Clark氏:
アクションについては,「ネクロダンサー」のビートに合わせて動くという遊びで面白く見せられそうなものを選んで入れています。各アクションはネクロダンサーのシステムにうまく乗った形で登場させられたなと思っているので,どのような形で登場するのか楽しみにしていただければと思います。
4Gamer:
なるほど。もう1つPVを見て気になったのが,日本向けのPVでケイデンスの声と思しきナレーションが日本語で入っていたことです。前作では,日本語のボイスはなかったと思うのですが,本作には日本語ボイスが入る予定があるのでしょうか。
二階堂氏:
今回は日本語版にも力を入れて作っています。ぜひ続報をお持ちいただければと思います。
4Gamer:
楽しみにしておきます。
お時間も迫ってまいりましたので,最後にファンに向けてメッセージをお願いします。
Trujillo氏:
私達はずっと皆さんにこのゲームを見せたくて,プレイしてほしくてたまらなかったので,ようやくリリースできることをうれしく思っています。本作は,ネクロダンサーファンが好きな歯ごたえのあるゲームシステムと,ゼルダファンの好きな探索要素をうまくミックスしています。どちらのファンにもきっと楽しんでいただけると思いますので,楽しみにしていてください。
Clark氏:
ゼルダの伝説とコラボしてこの作品を作れたことを非常に光栄に思っています。私たちがゲームを作っているときに感じた楽しさをゲームプレイを通じて感じてもらえれば最高にうれしいです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「ケイデンス・オブ・ハイラル:クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説」公式サイト
- 関連タイトル:
ケイデンス・オブ・ハイラル:クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説
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