プレイレポート
「ディヴィニティ:オリジナル・シン 2 ディフィニティブエディション」プレイレポート。自由度の高いクエストや戦術的なバトルが魅力
ファンタジー世界を舞台に展開する壮大な物語や自由度の高いキャラクターメイクとクエスト,周囲の環境を利用した戦術的なターン制バトルなどが魅力の本作のプレイレポートをお届けしよう。
「ディヴィニティ:オリジナル・シン 2 ディフィニティブエディション」公式サイト
物語への没入感を生む
自由度の高いキャラメイクとクエスト
タイトル名に「2」とあるとおり,本作は2016年4月にPS4向け日本語版が発売された「ディヴィニティ:オリジナル・シン エンハンスド・エディション」(オリジナル版は2014年発売の「Divinity: Original Sin」)の続編となる作品だ。
本作の主人公は,未知のエネルギー「ソース」を操る「ソース使い」。敵対勢力である「神聖騎士団」に捕らえられ,ソースの力を封じられたうえで孤島にある「フォートジョイ」という収容所に送られるという絶体絶命の状況で物語は幕を開ける。
前作では,ソースを悪用するソース使いの追跡と排除を目的とする冒険者集団「ソースハンター」の物語が描かれた。つまり本作では,追われる側だっただった「ソース使い」の視点で物語が進むのだ。とはいえ前作から1000年以上が経過した時代なので,前作未プレイでも世界観や物語に付いていけなくなることはないだろう。
プレイヤーの分身となる主人公は,プレイヤー好みに設定できる「カスタムヒーロー」か,固有のバックグラウンドが用意された6人の「オリジンキャラクター」のどちらかから選択できる。
カスタムヒーローは,名前や種族,外見といった基本設定のほか,アビリティ,スキル,才能といったプレイスタイルに影響を与える能力を自由に組み合わせることが可能だ。
固有の物語や会話選択が楽しめるオリジンキャラクターは,失墜した自身の名誉を取り戻すため旅するリザードマンのレッドプリンス,自分を奴隷として扱った者へ復讐心に燃えるエルフのセヴィル,頭の中で響く邪悪な声の正体を探る人間の女性のローゼなどどれも個性的。容姿やスキルなどの一部を変更できるので,キャラクターメイクで悩むという人はオリジンキャラクターから選ぶといいだろう。
種族は人間,ドワーフ,エルフ,リザードの4種で,それぞれアンデッドにもできる。ドワーフは小さな身体でほかの種族が入れないような隙間も通れる,リザードは鋭い爪で地面を掘ってアイテムを入手できるなど,種族によって特徴もさまざま | |
オリジンキャラクターは固有の会話があるので感情移入しやすいだろう。仲間にすればクエストなどで彼らとの物語が楽しめるので,カスタムヒーローで始めても問題ない |
本作の特徴の1つとなっているのが,さまざまな攻略パターンが用意された自由度の高いクエストだ。例えば,物語の始まりとなるフォートジョイの脱出。脱出に使えそうなアイテムや抜け道を探しながら自力で抜け出すか,それとも力を貸してくれそうなキャラクターと協力し合って脱出するかの選択はプレイヤー次第。もちろん腕に覚えがあれば,まっすぐ神聖騎士団に戦いを挑んで勝利し,堂々と正門から出ていくことも可能だ。
会話のパターンも多彩で,こちらも選択次第で物語の展開が変わっていく。ある選択ではバトルになるが,別の選択では争いを起こさずに切り抜けられるということも珍しくなく,選択肢自体,プレイヤーの心を揺さぶってくるものも多い。
ある敵を倒すために粛正の勺杖というアイテムを手に入れ,敵の待つ場所に向かう主人公一行は,その途中で囚われの身のドラゴンに出会う。話を聞くと,粛正の勺杖を使えばドラゴンを助け出せるという。
しかし,粛正の勺杖を使えるのは1度きり。ドラゴンを救うため使うか。本来の目的に使用するため見捨てて先に進むか,それとも,このジレンマを生むドラゴンを殺してしまうか……。最後の選択肢はなかなか残酷だが,なにを選ぶかは自由であり“正解”はプレイヤーの中に存在する。主人公キャラクターになりきり,心のままに選択するといいだろう。
道ばたには怯えるドワーフの女性が。こちらをマギステルと勘違いしているようだが,誤解は解けるのか |
炎上するスライムがのしかかってきた。会話を試みるか,それとも敵と判断して戦うか。決断を迫られる |
自身の能力や周囲の環境を活かして戦うターン制バトル
もう1つの大きな特徴が,ターン制のタクティカルバトルだ。マップがそのまま戦場となるシームレス方式で,ロードが発生せずスムーズに戦闘が始まるのが嬉しいところ。ノーマル難度となる「クラシック」でも敵はなかなか手強く,初期状態ではロクな装備がないため,序盤は苦労するかもしれない。会話からいきなりバトルが始まることも珍しくないので,そのあたりも要注意だ。難度はいつでも変更できるため,辛いと思ったらいったん下げて,バトルのコツをつかんでから戻してみるのもいいだろう。
バトルは,各種能力値や補正などで決まる行動順で,敵味方入り乱れるように進行する。勝利するには,AP(アクションポイント)とスキルのシステムを理解することが重要だ。
APはキャラクターの行動力を示す値で,移動や攻撃といった行動をとると減っていく。無理に突っ込んだため移動分でAPを消費してしまい,敵陣ど真ん中でなにもできぬまま敵のターンを迎えた……みたいなことがないよう,AP消費には常に気をかけておこう。
炎で敵を攻撃する「火術」,ダガーで敵を葬る「隠密術」,仲間を回復できる「水術」など,大きく分けて12系列あるスキルの発動にもAPは必要だ。また,使用後にクールタイムが発生するので,敵との位置関係を気にしつつ,ここぞというときに決めていきたい。
防御は本作特有のシステムとなっている。物理と魔法で別々に防御値という数値があり,それぞれゼロにしないとダメージや状態異常を与えられない。バラバラに攻撃していたのでは効率が悪いため,攻撃する際は敵のステータスを確認し,物理と魔法のどちらかに集中するといい。もちろん味方も同じなので,どちらかが弱点にならないよう両方の防御力をまんべんなくなく上げておこう。
周囲の環境を見極めて行動すると,より有利にバトルを進められる。
例えば,周囲に丘やベランダといった高所があるなら,飛び道具を持った者を配置するといい。高所からの射撃は威力がアップするのに加え,場所によっては遮蔽物で射線が遮られることもなくなり,しっかりと攻撃を当てられるからだ。ときには「遅延」のコマンドであえて行動を遅らせ,敵を自陣におびき寄せるといった戦術も取れる。
フィールドにある火や水,氷などもバトルに活かせる。仲間が燃やされたときは水場で消火し,地面が凍っている場合は炎で溶かすといったように,うまく利用することで戦況が変わるのだ。
街や施設でのバトルの際,近くに「油の樽」が置かれていたらチャンス。攻撃すると周囲に火が燃え広がり,踏み込む者にダメージを与える。うまく位置を確保し敵を誘導できれば,複数の敵を一掃できるだろう。あらかじめ「泥岩撃」や「オイルフラスコ」で地面にオイルを撒いておき,「火花」や「ファイアストームグレネード」といった炎系のスキルで着火して爆破するといったように,スキルで連鎖させることも可能だ。
敵の足元にある水たまりや血だまりを「汚染」のスキルで毒に変える。地面を叩いて特殊なフィールドを発生させる錫杖を使い,敵が来そうな場所に毒や氷を張って待ち構えるといったように,観察力があればスキルを有効活用でき,この策略がうまく決まったときはかなりの達成感が得られるのだ。
敵もこちらと同様,油樽を攻撃して周囲を爆破したり,水たまりと「放電」スキルの組み合わせで広範囲を感電させたりと,周囲の環境やオブジェクトなどを使った攻撃を使ってくる。苦戦させられることもあるが,バトルの参考にもなるので注視しておくといいだろう。
スキルで注目したいのがテレポート系だ。味方や敵を任意の位置に移動させる「テレポート」は,遠くでコソコソ弓を撃つ敵を自陣に連れてきてフルボッコにしたり,毒をまいた地面に落として毒状態にしたり,厄介な敵のところに味方を送り込んで先に倒したりと,工夫次第でさまざまな戦法が生み出せる。
これに「バックラッシュ」や「フェニックスダイブ」といった,自身が瞬間移動するスキルを加えれば,戦い方はさらに広がるだろう。このように,力と力のぶつかり合いだけでなく,観察能力や知識を活かせる戦略性の高さが本作のバトルの楽しいところだ。
キャラクター育成も自由度が高い。一部のスキルなどを除いて取得制限はないので,壁役や回復役,攻撃役といった一方向に絞るだけではなく,マルチに活躍できるキャラクターに育てられる。
とくに面白い能力が「才能」だ。パーティが2人以下だと能力がアップする「一匹狼」,血だまりに立っているだけで回復できる「吸血」,好感度が下がるが近接攻撃を受けにくくなる「悪臭」,自ターンを迎えるたびにAPが完全回復するが状態異常にめっぽう弱い「ガラスの砲台」,死亡時に爆発して周囲を巻き込む「血煙自爆」など,ユニークなものがたくさん用意されている。自キャラクターの“キャラ付け”にもなるので,いろいろ試してみるといいだろう。
また,ストーリーが進むとソースの力が開放され,さまざまな特殊スキルを使えるようになる。ソースを回復させるには「パージ」などのスキルでNPCや死体から吸収するか,特定のアイテムを使うしかないのだが,入手条件が限られている分,覚えるスキルは強力なものばかりだ。
なお,本作には,PC版の大型アップデートにて配信された「Gift Bag 2」が,「開発者の変更ツール」という名称で収録されている。移動速度がアップする「スプリントモード」,すべての動物と会話が可能になる「動物への共感」といった便利なツールが使用できるようになるので,こういったゲームに不慣れな人も安心してプレイできるだろう。ただし,開発者の変更ツールを使うとトロフィーを取得できなくなるので,その点は注意してほしい。
発売前のためオンラインでのマルチプレイを体験できなかったが,自身が育て上げたキャラクターを使用して楽しむ友人との協力プレイは盛り上がりそうだ。本作のなによりの魅力は,キャラクターメイク,クエストと会話,ターン制バトルと,どれも自由度が高くプレイヤーそれぞれの楽しみ方ができるところ。自分だけのキャラクターを作り,Divinityの世界に身を投じてみよう。
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(C)2019-2020 Larian Studios. All rights reserved. Larian Studios, Divinity and Divinity Original Sin are registered trademarks of the Larian Studios group entities.
(C)2019 2020 Larian Studios. All rights reserved. Larian Studios, Divinity and Divinity Original Sin are registered trademarks of the Larian Studios group entities. Published and distributed in Japan by Spike Chunsoft Co., Ltd.