プレイレポート
20年ぶりに蘇ったファンタジー国取りシム「ブリガンダイン ルーナジア戦記」体験版プレイレポート
本作は,1998年に初代PlayStationで登場した「ブリガンダイン 幻想大陸戦記」から20年ぶりとなる最新作だ。個性豊かなモンスターや魔法といったファンタジー要素を組み込んだ国取りシムとして,本作を記憶している人も多いことだろう。
20年ぶりに蘇ったブリガンダインは,どんな姿へと進化したのだろうか。本稿においては,ストーリーやゲームの基本的な内容を紹介すると共に,体験版を実際に遊んでみてのプレイフィールをお伝えしていく。
「ブリガンダイン ルーナジア戦記」公式サイト
大陸の覇権を狙う6つの国家・部族と5つブリガンダインが紡ぐ物語
体験版のメインコンテンツはゲームの序盤を体験できる「トライアルモード」だ。いきなりトライアルモードを進めても構わないが,チュートリアルモード「指南の書」をプレイしてゲームの基本を覚えておくとスムーズに遊べるので,本稿ではチュートリアルモードで紹介されるゲームシステムに触れつつ,トライアルモードを進めていく。
始めに本作の世界観について簡単に触れておこう。物語の舞台となるのは,大いなる力の根源“マナ”に満ちた大地「ルーナジア大陸」だ。マナの恩恵を受けた者は,人智を超えた魔法や武技,モンスターを意のままに操る力を得る。彼らは「ルーンの騎士」と呼ばれ,大陸の歴史を紡いできた。
長い歴史の中でルーンの騎士と共にあったのが,その身に秘められた力で太古の人々を守ったとされる5つの「マナ・ストーン」だ。マナ・ストーンを組み込んだ鎧や装身具は「ブリガンダイン」と呼ばれ,その時代の力あるルーンの騎士の元で力を発揮した。いつしかブリガンダインは国家や思想の象徴として君臨し,その性質により正義,高潔,自由,誇り,自我の名で呼ばれるようになる。
そしてルーナジア歴781年。6つの国家がひしめくルーナジア大陸に幾度目かの戦乱が訪れる……。というのが,本作のあらすじだ。
製品版では6つの国家の君主から1人を選んで戦うことになるのだが,今回のトライアルモードでは,正義のブリガンダインをその身にまとうノーザリオ帝国の君主・ルビーノ四世がプレイヤーの分身となる。
プレイできる期間は10節(ターン)が経過するか,もしくは自軍拠点が7つになるまで。ノーザリオ帝国は初期段階で5つの拠点を保持しているので,拠点を防衛しながら2つの拠点を攻め落とせばゲームクリアだ。
使用する国家を選択するとアドベンチャーパートが開始され,君主が大陸制覇に乗り出すまでの流れを見ることができる。
導入部分とはいえ会話はフルボイスでボリュームも十分。さらに勢力固有のムービーまで用意されているなど,その仕様は非常に豪華だ。プレイヤーの分身になる君主と,これからともに戦うルーンの騎士たちの人となりを理解したうえでゲームを開始できるのは嬉しいポイントだ。
ルーンの騎士とモンスターのバランスがキモ。戦いに備えて力を蓄える「準備フェイズ」
各国の状況と世界観が理解できたところで,実際にゲームを進めていこう。ゲームの勝利条件は,大陸内にある拠点を制圧して大陸制覇を実現すること。逆に,自国の拠点をすべて失うとゲームオーバーだ。ほかの国も自分と同じように覇権を狙っているため,各国の戦況を把握しつつ行動を決める必要がある。
ゲームの時間は“節”によって管理され「編成フェイズ」と「攻撃フェイズ」を経ることで1節が経過する仕組みになっている。以下にゲームの流れと各フェイズの役割を簡単に纏めておいたので確認してほしい。
1節 | 準備フェイズ |
モンスターの召喚や部隊編成,部隊の拠点配置,クエストの実行,移動などを行うフェイズ。拠点には駐留しているユニットの戦闘力の合計値が表示されるので,敵拠点に隣接している拠点には相応の戦力を揃えておこう。 | |
攻撃フェイズ | |
部隊が配置されている拠点から,敵拠点に向けて攻撃を指示できるフェイズ。ここで敵軍との戦闘に勝利すると,戦闘が発生した拠点を支配できる。侵攻した先の敵拠点に敵がいなければ無血開城も可能なので,全体を見渡して手薄な箇所を狙うのがセオリーだ。ただし,同じ節の中で(直前の準備フェイズで)敵の拠点内へ移動指示を出したばかりの部隊は攻撃に参加できない。 |
準備フェイズでは,ルーンの騎士(以下,騎士)を筆頭にした“部隊”をひとつの単位としてアクションを実行する。部隊はリーダーの騎士と,その配下のモンスターで構成され,騎士が存在しなければ部隊が成立しない。どれだけモンスターがいても,同時に運用できる部隊数は騎士の数に等しいというわけだ。
ただし,騎士には統魔力が設定されており,モンスターごとに設定された統魔コストの合計が統魔力を超えないように編成しなければならない。統魔力は騎士のレベルが上がると増加していくので,戦闘を重ねて騎士を育成するのも重要だ。
戦力を増強するにあたって,もっとも手っ取り早い手段はモンスターを召喚することだが,召喚時には必ずマナを消費する必要がある。また,すでに召喚中のモンスターも一定の「維持マナ」を1節毎に消費するので,無闇やたらに増やすことはできない。
また,拠点を制圧するだけでなく,提示されるクエストをこなすことでも,さまざまな報酬を得られる。クエストの種類は大きく分けて,各種アイテムやモンスターを獲得できる「探索クエスト」と,戦闘を介さずに必ず経験値を得られる「修練場クエスト」の2種類。時間は限られているので,現在必要なものを考えて実行するクエストを選択しよう。
良いことずくめのようにも見えるが,準備フェイズでクエストに送り出した部隊は不在状態となり,同じ節で発生する戦闘には参加できない。クエストに出払った状態で拠点を攻められたら目もあてられないので,周囲の敵勢力の動向を確認しつつ実行せねばならない。
そして,本作の成長システムにおけるもっとも注目すべき点がクラスチェンジだ。ユニットは必ず何らかのクラスに属しており,特定の条件を満たすことで別のクラスへとクラスチェンジできる。
各クラスには“熟練度”が設定されており,熟練度が5に達したクラスは一部の魔法やパッシブスキルを別のクラスでも引き継いで使用可能になる。例えばメイジ系のクラスを極めた後にプリースト系へクラスチェンジを行い,攻撃と回復の両方をバランスよく行えるユニットを育成することも可能だ。
体験版ではレベルを上げる機会が少なかったものの,触れられる範囲内でもその自由度の高さは十分に感じ取ることができた。習得できる技能も見えてくるので,今のうちに最強の組み合わせを考えてみるのも面白いかも。
部隊構成や地形が明暗を分ける鍵となる。拠点を奪い合う「攻撃フェイズ」
攻撃フェイズで隣接する拠点に向けて侵攻を開始したら,いざ戦闘開始だ。一度に戦闘に参加できる部隊は最大で3部隊までなので,4部隊以上で侵攻を行っても参加できない。侵攻するときは3部隊セットでの運用を前提に戦略を考えよう。
戦闘はターン制で進行し,各部隊を指揮する騎士のレベルが高い順に行動する形式が採用されている。順番が回ってきたら部隊に加わっている騎士とモンスターをまとめて動かせるので,順番が近い部隊と連携して運用するのが基本だ。
勝利条件は大きく分けて2つ。1つは敵部隊をすべて退却させること,もう1つは君主を撃破することだ。君主が参戦していない戦闘では後者の条件を満たせないので,必然的に多くの戦闘では前者の勝利条件を目指すことになる。
また,部隊を指揮する騎士には“統魔範囲”が設定されており,部隊内のモンスターは統魔範囲から出ると能力が低下してしまう。モンスターの力を十全に発揮するためにも,統魔範囲を意識して陣形を組もう。
敵ユニットと接敵したらいよいよ攻撃が可能になるが,攻撃前に地形をよく確認しておこう。各ユニットには“得意地形”が設定されていて,これが移動力や命中率・回避率に補正を与える。得意地形がバラバラだと地形を有効利用するのが難しいので,部隊に加えるモンスターの得意な地形はある程度揃えておくと便利だ。
騎士は撃破しても退却するだけだが,モンスターはHPが底をついた段階で消滅する。また,騎士を撃破すると配下のモンスターも一緒に退却するので,戦場での戦いを有利に進めたい場合は騎士を集中して狙うのがセオリーとなる。
ただし,退却したモンスターはふたたび部隊編成に組み込まれる。こちらの戦力に余裕があるのならば,敵国の戦力を削ぐためにモンスターを優先して撃破していくのもひとつの手だ。
攻撃の手段は大きく分けて,範囲内の敵ユニットに直接攻撃を叩き込む「技」と,MPを消費して放つ「魔法」の2種類。いずれも一長一短だが,MPを回復する手段は少ないので,強敵と相対する前に使い切らないように気をつけよう。
また,技や魔法はそれぞれ有効な場面が異なる。例えば「属性」は相性によって威力が変化し,「対地/対空」が設定されている場合は相手の移動タイプによって命中率が変わる。これらをうまく組み合わせて,相手を効果的に殲滅する手段を考えるのだ。
相手が反撃可能な攻撃を使用して,攻撃後に敵が生き残っていた場合は反撃を受けてしまう。攻撃力の高い相手に攻撃するときは,こちらの残りHPも確認しておきたい。こちらの攻撃は外れ,相手の攻撃で大打撃を受ける,といった事態は可能な限り避けたいところだ。
攻撃を有効に叩き込むためにはユニットの配置が重要になるのだが,すべてのユニットの周辺にはZOC(ゾーン・オブ・コントロール)が発生しており,敵性ユニットがZOCの範囲内に侵入すると,それ以上の移動ができなくなる。ZOCが存在する以上は簡単に敵を取り囲むことができないのだが,これをうまく活用すれば少ないユニットで敵の進軍を阻むことも可能だ。
さらに,自軍ユニットのZOCで敵ユニットの周囲を完全に囲むと“包囲”が発生し,敵ユニットに対する命中率やクリティカル率が大幅に上昇する。低命中率&高威力の攻撃であっても,こういったシステムを応用することで,確実に叩き込めるというわけだ。いかに相手のZOCを避けて包囲し,相手をZOCで足止めするかを考えるのがユニット操作の基本となる。
そんなこんなで2つの拠点を制圧し,1時間ほどで体験版は終了。戦略シミュレーションとして王道のゲームシステムを採用しつつ,強烈な技や魔法といったド派手な攻撃が飛び交う「ブリガンダイン」の魅力は,20年経ってもしっかりと継承されているように感じられた。
ユニットの複数選択や戦闘における演出の倍速処理などなど,長時間プレイする作品に必要な機能もひと通り揃っており,プレイフィールも快適。他国に所属する騎士たちと,製品版で出会うのが今から楽しみだ。
ちなみに,拠点さえ7つに達しなければ体験版でも10節まで進められるので,頑張ればもっと大陸の奥地まで進むことができるかもしれない。これから体験版をダウンロードして遊んでみるという人は,挑戦してみるのも面白いかも。
「ブリガンダイン ルーナジア戦記」公式サイト
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