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「The Wonderful 101: Remastered」プレイレポート。100人のヒーロー達が合体して戦う「ユナイト・アクション」が復活
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印刷2020/05/27 12:00

プレイレポート

「The Wonderful 101: Remastered」プレイレポート。100人のヒーロー達が合体して戦う「ユナイト・アクション」が復活

 プラチナゲームズが開発し,任天堂が2013年にリリースしたWii U向けアクションゲーム「The Wonderful 101」が,クラウドファンディングの成功によってリマスター化され,2020年6月11日に「The Wonderful 101: Remastered」PC / PS4 / Nintendo Switch)として発売されることが決定した。

画像集#001のサムネイル/「The Wonderful 101: Remastered」プレイレポート。100人のヒーロー達が合体して戦う「ユナイト・アクション」が復活

 Kickstarterのプロジェクト内容は,プラチナゲームズが自社パブリッシングによって本作を復活させるというもので,2020年2月4日よりバッカーを募集。公開から約24分で目標金額に達成し(関連記事),最終的に3万3199人のバッカーから,合計2億3532万528円の出資を集めることに成功している。筆者もそんなバッカーの1人であり,国内での正式発売より一足早くNintendo Switchのダウンロード版のコードが到着した。本レビューはそれを使ってのものとなるので,操作方法の表記についてもSwitch版に準拠している。

ヒーロー達のコスチュームなど,ギラギラとしたグラフィックスも本作の魅力の一つだ
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 今年2月に公開されたプラチナゲームズのティザーサイト「Platinum 4」にて,同社の新プロジェクトの第1弾として公開された,この「The Wonderful 101: Remastered」(以下,TW101R)。最初の目標金額はSwitch版をリリースするためのもので,続くストレッチゴールによってSteam(PC),そしてPlayStation 4でのリリースも決定した。任天堂から発売されたタイトルが,ほかのプラットフォームでもリリースされるという展開は,ゲーム業界にとってちょっとしたサプライズでもあった。

ゲームの根本となる部分は,オリジナルのWii U版と基本的に変わりはない
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 過去に4Gamerで行ったインタビューで,プラチナゲームズの稲葉敦志氏は「The Wonderful 101」はビジネス的には成功したタイトルではない旨を話し,ディレクターの神谷英樹氏は冗談めかして「地球で13人しか遊んだことがないゲーム」とまで話している。残念ながら筆者もその13人の中には入っておらず,Wii Uでは体験版をプレイしたのみにとどまっていたわけだが,この機会に遊んでみたいと思ったことに加えて,インタビューで稲葉氏が目標達成からリリースまであまり待たせないということを述べていたことが,バックに踏み切る決め手となった。

 その言葉の通り,というか筆者の予想よりもずっと早い,バックから約3か月で本作をプレイできたのは嬉しい誤算だった。ちなみに北米では,2020年5月19日にダウンロード版がリリース済みで,国内正式版は前述のとおり6月11日のリリースが決定している。


 ここからは改めて本作のゲーム内容について触れていこう。

 銀河の果てから襲来したゲスジャーク星団連合無敵艦隊なる侵略軍に対抗するために設立された,地球連合秘密防衛機構「センチネルズ」の支部100か所より招集されたヒーロー「ワンダフル・ワン」たちの活躍を描く本作。ゲームはその1人であるウィル・ウェッジウッドが「ワンダ・レッド」になるところから始まり,彼と同じように招集された者たちが,ヒーローチーム「ワンダフル・ワンダブルオー」を結成する。

オープニングではヒーローの1人,ワンダ・レッドとなるウィル・ウェッジウッドの活躍が描かれる
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 “1人の力は弱くても,団結すれば巨大な敵にも対抗できる”という理念のもと,プレイヤーが操作するのは複数のヒーローの集団であり,リーダーとなるヒーローを動かすと,数十人にも及ぶ仲間がぞろぞろと後ろをついてくる。ぱっと見はRTSのようでもあるが,本作は7年前にプラチナゲームズが提案した「ユナイト(=団結)・アクション」なのである。

 プレイヤーキャラクターがひとかたまりの集団ということで,その攻防もかなり変わっている。通常は敵に対して仲間達が次々と突撃していく「チームアタック」([X]ボタン)と、彼らが敵によじ登ってダメージを与える「クライムアタック」(チームアタックが成功すると発生)によって攻撃を行うが,このときに[A]ボタンで繰り出せる必殺の「ユナイト・モーフ」が攻略の大きなポイントであり,本作の面白さの真骨頂でもある。

チームアタックは移動しながらでも行える。連続で行うことでヒーロー達が敵に飛びつくクライムアタックとなる
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 ユナイト・モーフはヒーローたちの中でも物語の中心となる7人が加入するにつれて新しい形態が使用可能となる合体アクションで,Rスティックを入力することで集団が隊列を形成する「ワンダ・ライナー」によって特定の図形を描くと,集団の一部が拳や大剣などの巨大な武器に合体変形し,それにより個性的な攻撃を繰り出せるのだ。

 例えばワンダ・ライナーで円を描くと,巨大な拳「ユナイト・ハンド」が出現。これで敵を殴りつける。まっすぐの線を描けば「ユナイト・ソード」となり,大剣でなぎ払う。L字を描くと巨大な銃が現れ,遠距離の敵を攻撃できる「ユナイト・ガン」になる,といった具合だ。
 それぞれでモーションや範囲が異なり,さらに図形を大きく描けば武器が大きくなり,威力も上がる。さらにヒーローが新たに加入すればユナイト・モーフの種類も増えていくので,それらの使い分けも戦略の一つとなっている。

ワンダ・レッドのユナイト・ハンド。パンチによって打撃攻撃を行う
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ワンダ・ブルーのユナイト・ソードは,大剣を振り回すので攻撃範囲が広い
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 ユナイト・モーフによる攻撃は強力な反面,発動中は移動速度が遅くなり,モーションも大きいため,敵の攻撃を食らいやすくなるリスクがある。前述のチームアタックとクライムアタックは,大きなダメージは与えられないものの,隙が少ないうえにダッシュによって素早く動け,さらにチームアタックで多くのヒーローをよじ登らせれば敵の動きを一時的に封じられるという特性があるので,先にこれらで敵を足止めしてからユナイト・モーフを決めるのが基本戦略だ。

遠距離攻撃が可能なユナイト・ガンは,なんと仲間を弾丸として撃ち出す
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ユナイト・モーフは攻撃以外の使い方もできる。ユナイト・ハンドは特定のハンドルを回せる
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 もちろん,その繰り返しで進められるような単純なアクションゲームをプラチナゲームズが提供するはずもない。攻撃をするだけでなく,ときにはダッシュなどを効果的に使って敵の動きや攻撃方法を見極め,効果の高いユナイト・モーフを模索していく。
 ユナイト・モーフにはワンダフルマート(ショップ)で購入できる補助的なアクションもあり,それを導入すると戦闘時の選択肢も増えていく。場合によっては,ちょっと頭を使った戦略がうまくはまることで,爽快に敵を倒せるようになるのだ。

ワンダフルマートで買える「ユナイト・ガッツ」は,[ZL]ボタンで発動。弾力のあるプリンとなって,敵の攻撃を跳ね返せる
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特定の場所ではユナイト・モーフによって仲間達がハシゴや橋となり,移動が可能となる
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 集団で活躍するワンダフル・ワンダブルオーだが,正規のメンバーはストーリー展開や道中で加わっていくため,初めから全員が揃っているわけではない。各ステージでは,助けを求めている一般市民をワンダ・ライナーによって囲うことで彼らを「臨時入隊」させ,一時的にヒーロー化させることで戦力に加えられるのである。人数が増えればより大きくて強いユナイト・モーフを繰り出すことができるが,大きくなった集団は敵の攻撃を受けやすいというデメリットもある。

市民をワンダ・ライナーで囲うと仲間に加わる。人数が多いほどワンダ・ライナーも長く伸ばせる
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集団の人数を増やして大きな図形を作ると,ユナイト・モーフも大きくなる。ただし描くには時間がかかる
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ステージにはワンダフル・ワンも存在。見つけて仲間にしていこう。コンプリートを目指したい
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 体力は集団全員で共有していて,リーダーが攻撃を受けない限り減ることはない。ただし仲間が攻撃を受けると吹っ飛ばされて気絶してしまい,リーダーが近づくか一定時間経過しないと復帰せず,人数が少なければユナイト・モーフどころか攻撃さえままならなくなってしまうので,プレイヤーは気絶した仲間の回収に奔走することとなる。単純にダメージを受けたときとはまた違うペナルティを設けているのは面白いと思えた。

気絶した仲間には黄色い星が回り,一定時間動かなくなってしまう。接近すればすぐに復活する
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 ここまで挙げたように,操作するキャラクターが集団という設定のもと,斬新なプレイフィールを構築しつつ,戦略がうまくはまったときの爽快さも併せ持つゲームデザインは,発売から7年が経過したタイトルとは思わせない新鮮さがある。
 ステージのシチュエーションも豊富で,キャラクターのサイズ感から全体が箱庭のような作りであり,どのステージも楽しさに満ちあふれている。時折そこにケレン味たっぷりの演出が盛りこまれ,プレイしていて飽きることがない。「よくこんなシチュエーションを思いつくな!?」と驚かされるシーンも多く,それをうまくアクションゲームに昇華しているところも高く評価したいポイントだ。このあたりは,近年のカートゥーンアニメやアメコミが好きな人にも刺さるのではないだろうか

ムービーシーンのケレン味たっぷりな演出やカメラワークは必見
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戦いの舞台は地上のみならず,巨大なロボットの上や走る列車など,予想もつかない場所で展開することも
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3Dシューティングのシーンもある。単純に撃つだけでなく,アクションシーンにシームレスでつながっている
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QTEのシーンでは,ボタンやユナイト・モーフのコマンドを正しく入力しよう
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ストーリーにおけるヒーロー達のやりとりも熱い。彼らの関係性も楽しめる
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要所にちりばめられた遊び心のある小ネタも見逃せない。ユナイト・バズーカのこの形は……!
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 また今回のリマスターにより,Wii U GamePadに表示されていたサブ画面は[-]ボタンで開く半透明のメニュー画面に統合。また設定により左右2画面の「デュアルモード」で,大きさを調整可能な形で表示できるようになった。
 またWii U版でユナイト・モーフは,タッチスクリーンに指で直接図形を描くことでも発動できたが、このTW101RでもNintendo Switch版はタッチスクリーン,PS4版はタッチパッドでの操作に,そしてSteam版はマウスでの入力に対応している。ただしディレクターの神谷氏はこの操作に関して,同氏の作品である「大神」の「筆しらべ」のようにスティックで行う操作が先にあったことを自身のTwitterで述べていて,実際にRスティックのみでも不自由なくプレイできた。
 ゲームの難度やインタフェースに関しても,リマスター化にあたり調整されているそうで,Wii U版を遊び尽くした人や,逆にくじけてしまった人が改めて触ってみるのもいいかもしれない。

サブ画面は[L]/[R]ボタンと方向ボタンで内容の選択が可能。携帯モードなら指でサイズ変更が可能だ
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こちらはデュアルモード。大画面のディスプレイがあるなら,この画面で遊ぶのもいいかもしれない
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 実際にプレイして気になったのは,斬新なアクションが盛りだくさんなのにもかかわらず,それに対する説明が最低限に抑えられていた点だ。何度もプレイを重ねて覚えていくという感覚なのかもしれないが,ここまで述べてきた独自のルールを理解するには,筆者には少し時間がかかり,理解できるまで「なんでそうなるの!?」と思うことが何度かあった。

 幸いオリジナル版が7年前に発売されたゲームなので,情報不足と感じたらWii U版の公式サイトにある「入隊心得」や,攻略記事を見るなどしてカバーは可能だが,ロード画面で行えるアクションの練習が制限なくできるモードがあれば良かったなとも思えた。

 そんな本作はリマスター版ではあるものの,冒頭でも触れたとおりオリジナルを体験していない人は多いと思われる。そんな人はぜひ,7年前にプラチナゲームズが提案した新スタイルのアクションゲームをこの機会に体験してみてほしい。筆者としては,ストレッチゴールにより実装が決定したスピンオフのゲームモードの「Luka’s First Mission」「Luka’s Second Mission」がどのような形で提供されるのかも,今から楽しみである。

ルカはストーリーにおける重要人物の1人。スピンオフモードは横スクロールタイプのアクションとなるようだが……!?
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