プレイレポート
「マフィアII コンプリート・エディション」プレイレポート。あのマフィアシリーズが“高解像度&全部入り”になって蘇る
■マフィア トリロジーパック収録タイトル
・「マフィア コンプリート・エディション」(PC / PS4 / Xbox One):2002年(日本語版は2003年)に発売された「マフィア」のリメイク版。新たなゲームエンジンが採用され,ゲームプレイも今風に再構築,楽曲も再レコーディングされるなど1から作り直された。本作のみ,単体販売は8月28日予定となっており,トリロジーパックを購入した場合でもプレイできるのは同日以降となる。
・「マフィアII コンプリート・エディション」(PC / PS4 / Xbox One):2010年に発売されたシリーズ2作目「マフィアII」のリマスター版。グラフィックスが4K相当のHD解像度にアップグレードされ,全DLCも収録している。単体販売も行われるが,Steamで通常版の「マフィアII」を所持している場合は無料でコンプリート・エディションにアップグレードされる。
・「マフィアIII コンプリート・エディション」(PC / PS4 / Xbox One):2016年に発売されたシリーズ3作目「マフィアIII」に追加コンテンツをすべて収録した完全版。PC/PS4/Xbox One版の「マフィアIII」を所持している場合は無料でコンプリート・エディションにアップグレードされる。
今回はトリロジーパックの収録タイトルであり,単体でも購入できるシリーズ2作目「マフィアII コンプリート・エディション」(PC / PS4 / Xbox One)のプレビューコード提供を2Kから受け,発売に先んじてプレイする機会を得たので,そのレポートをお届けしよう。
本作の舞台は,アメリカ合衆国ニューヨーク州の架空の都市「エンパイアベイ」。イタリアからの移民の子としてこの地で育った主人公ヴィト・スカレッタは,幼馴染みで悪友のジョー・バルバロと共に,その貧しさから盗みなどの悪事を繰り返すギャングのような存在となっていた。
だが,時代は1940年代の第二次世界大戦まっただ中。盗みに失敗して逮捕されたヴィトは“イタリア語がわかる”という理由でイタリア戦線に送られ,ひょんなことから勲章を授与されるような“英雄”となり,一時アメリカに帰還することになる。
無事に故郷の地を踏むことができたヴィトだったが,実家は変わらず貧しいままで借金に苦しんでいた。その一方で,友人のジョーが裏社会で成功し,マンションや高級車を思うがままに所有する姿を目の当たりにする。非合法の仕事が恐ろしいほど“効率的”であること,そして同時に真面目な労働がひたすらに搾取されることをあらためて実感したヴィトは,更正を望む母と姉に背を向け,ジョーと共に裏社会の道を歩んでいくことを決意する。
だが,ヴィトはまだその選択がどれだけのリスクをはらみ,人生を大きく変えることになるのかを知るよしもなかった……といった流れが序盤のストーリーとなる。
本作の基本システムは,オープンワールドの街を舞台にした三人称視点のアクションゲームだ。リアルに再現された1940〜50年代のアメリカの大都市を自由に移動しながら,様々なミッション……要するに非合法な悪事に手を染めていくことになる。クライムアクションなので銃撃戦やカーチェイスはもちろん,相手を殴り倒す肉弾戦や暗殺など次々と危険な仕事が飛び込んでくるが,成功の暁には少なくない報酬が入手できる。
お金があれば各地にあるバーで酒を飲んだり,仕立屋でスーツを購入したり,武器屋で銃や弾丸を入手したりできるが,一番お世話になるのは自動車の修理工場だろう。修理工場ではぶつけて壊した車体を新品同様に直すのはもちろんのこと,色やナンバープレートを変更して警察の手配を消したり,エンジンやタイヤの変更などのカスタマイズを行ったりもできる。パーツの種類は多くなく,そこまで車体に大きな変更はできないものの,広大なエンパイアベイでは自動車は重要な足となるので,お世話になる機会は自ずと多くなるはずだ。
オープンワールドの街はどこへでも自由に行けるが,ストーリーはGTAシリーズのようなミッションベースではなく章立てで進み,ゲーム内での時間もそれに応じて流れるようになっている。章ごとに大きい仕事や事件が用意され,それをクリアすると時間の経過と共に次の章へと進む……という形だが,ミッション中などを除けば行動の制限はあまりなく,自由に活動することができる。
ただし,一度仕事を引き受けると強制的に時間が経過したり,戦闘が起こったりするので,各章の開始直後や終了間際といった,区切りがいいタイミングで自由行動を行おう。
本作の大きな魅力の一つは,“リアルに再現された1940〜50年代のアメリカの空気感”だ。街には時代を感じるファッションを身につけた人々が歩き,店や室内には古めかしいオブジェやポスターが数多く並び,クラシックカーに乗ればラジオからオールディーズが流れたり,世界大戦のニュースが飛び込んできたりと,雰囲気は抜群だ。
元々,オリジナル版の発売当時からグラフィックスのクオリティは高く,今回さらにディテールがアップしたことで,現在でも十分に通用する出来となっている。もはや資料でしか見ることができない,半世紀以上前のアメリカの街並みが美しく再現され,そこを自由に散策できるのは楽しい。
ストーリーに目を向けると,“マフィア”というタイトルではあるものの,本作はマフィアそのものの繁栄を描くのではなく,むしろその暗部を外側から観察するような視点で描かれている。ヴィトとジョーは“本物の”マフィアになることを目指すが,それはあくまで金や成功のためであるし,組織側も優秀な若手を欲しがってはいるが,あくまで利用価値があるというだけで,必ずしも守ってくれるわけでもない。
“ファミリー”という言葉はマフィアを象徴するものであるが,実態は反社会的勢力であり,多くは金や利権で動き,打算が外れれば平気で裏切る……なんてこともザラだ。それでも真面目に働くより明らかに夢は大きく,成功すれば誰も口が出せなくなる,そういった魅力もまた同時に上手く描かれていると思う。“映画のような”という言葉はすでに使い古されている感もあるが,本作のストーリーとその演出は,まさに1本の映画を見ているような感覚を抱かせる。
冒頭でも少し触れたが,本作にはこれまでにリリースされたマフィアIIの全DLCが収録されており,服装や車両が追加されている。また,ジミーというヒットマン(傭兵)を主人公にしたキャンペーン「ジミーの背信」「ジミーの復讐」,そしてヴィトの相棒ジョーを操作し,本編の空白の期間を体験する「ジョーの生き様」という追加コンテンツもプレイ可能だ。これらはどれも,ミッションを選んでクリアするタイプのコンテンツになっており,エンパイアベイを舞台としているものの,ストーリーメインの本編とは違った達成感が得られる。
元々が10年前の作品ということもあり,モデリングやモーション,システムまわりに時代を感じるものの,ゲームを進めていくとあまり気にならなくなった。筆者は以前,オリジナル版をクリアしたことがあるのだが,細かい展開はすっかり忘れていたため,新鮮な気持ちで楽しむことができた。とくに未プレイの人ならば,ヴィトとジョーの運命がどうなるのか,ストーリーに引き込まれていくだろう。
マフィアシリーズはそれぞれ主人公が異なり,ストーリーが直接つながっているわけでもないので,どの作品から始めても十分に楽しめる。だが,一部のキャラクターは複数の作品に登場しているので,シリーズを通してプレイしていると,より楽しめるのも確かだ。「マフィア トリロジーパック」のリリースを機に,ぜひ“若かりし頃のヴィト”やマフィア達の生き様を体験してみてほしい。
なお,日本語に非対応だったSteam版の「Mafia II」(かつてイーフロンティアから発売されていた日本語版とは別)を所有している場合,5月20日以降に「コンプリート・エディション」へとアップグレードされ,日本語が追加となる。すでに購入済みの人も,この機会にあらためてプレイしてみてはいかがだろうか。
「マフィア」シリーズ公式サイト
- 関連タイトル:
マフィアII コンプリート・エディション
- 関連タイトル:
マフィアII コンプリート・エディション
- 関連タイトル:
マフィアII コンプリート・エディション
- この記事のURL:
キーワード
(C)2020 TAKE-TWO INTERACTIVE SOFTWARE, INC. DEVELOPED BY HANGAR 13. MAFIA, TAKE-TWO INTERACTIVE SOFTWARE, 2K, HANGAR 13, AND THEIR RESPECTIVE LOGOS ARE ALL TRADEMARKS AND/OR REGISTERED TRADEMARKS OF TAKE-TWO INTERACTIVE SOFTWARE, INC.
(C)2020 TAKE-TWO INTERACTIVE SOFTWARE, INC. DEVELOPED BY HANGAR 13. MAFIA, TAKE-TWO INTERACTIVE SOFTWARE, 2K, HANGAR 13, AND THEIR RESPECTIVE LOGOS ARE ALL TRADEMARKS AND/OR REGISTERED TRADEMARKS OF TAKE-TWO INTERACTIVE SOFTWARE, INC.
(C)2020 TAKE-TWO INTERACTIVE SOFTWARE, INC. DEVELOPED BY HANGAR 13. MAFIA, TAKE-TWO INTERACTIVE SOFTWARE, 2K, HANGAR 13, AND THEIR RESPECTIVE LOGOS ARE ALL TRADEMARKS AND/OR REGISTERED TRADEMARKS OF TAKE-TWO INTERACTIVE SOFTWARE, INC.