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ステルスアクション「DEATHLOOP」の最新情報が公開。繰り返される一日を終わらせるために8人のターゲットを始末せよ
過去20年以上にわたって活動してきたArkane Studiosは,これまでも「アークス・ファタリス」から「Dark Messiah of Might and Magic」,さらにBethesda Softworksの傘下スタジオとなって以降の「Dishonored」シリーズや「Prey」など,コアゲーマー受けする独創的な作品を多く輩出してきた開発チームだ。
その最新作となる「DEATHLOOP」も,彼ららしい自由度の高いゲームシステムになっており,“タイムループ”をコンセプトに練り上げた一人称視点のアクションゲームとなっている。
ゲームの舞台となる “ブラックリーフ島”では,1960年代風のサイケデリックな雰囲気の中,何百人ものNPCたちが仮面を被り,どこか刹那的にパーティをして暮らしている。主人公のコルト・ヴァーン(Colt Vahn)も,この島にやってきたうちの1人だが,彼は24時間が経過すると死を迎え,24時間前に戻って目が覚めてしまうタイムループに縛られてしまう。
この無限ループから脱するには,島に集まっている世界で最も力のあるという8人のターゲット“ヴィジョナリー”を,その日がリセットされる前に始末しなければならない。さまざまな手法を使って,科学者,アーティスト,殺人者たちからなるヴィジョナリーたちを一人ひとりを倒していき,自分に課せられた呪縛を解き放つことになるわけだ。
ヴィジョナリーたちは,4つの地区に分かれたブラックリーフ島でそれぞれの活動をしている。午前,正午,午後,夜間に合わせて自分のスケジュールをこなしたり,別の場所に移動したりする。誰に,いつ,どこで攻撃を仕掛けるかはプレイヤー次第だ。
プレイヤーは,何日もかけて一人ひとりの行動をチェックし,24時間以内に8人を暗殺する方法を見出していく。それぞれの場所には警備兵がいるし,タレットや警報装置なども存在するので,力ずくで正面突破するのは難しい。いかに騒ぎを起こさずに仕留めるかを試行錯誤する点で,本作は一種のパズルアクションといえるかもしれない。
特定の区域内外を,プレイヤーが自在に行き来する様子は「Dishonored」を彷彿とさせるが,実際にコルトは特殊能力も持っている。ゲームディレクターのディンガ・バカバ(Dinga Bakaba)氏が以前から公言しているように,「Dishonoredから幾つか特殊能力を持ち込んでいる」とのことで,コルトは「Dishonored」の“ブリンク”に似たテレポート能力「シフト」(Shift)も扱えるのだ。
このように,コルトに超自然的な力を与える希少なアーティファクトを“スラブ”と呼ぶ。その1つである「ネクサス」は,複数のキャラクターの運命をリンクさせるもので,リンクした1人を崖から突き落とせば,周囲にいる兵士たちも吹っ飛んでいく。体を硬化させて相手に突進する「ハヴォック」や,半透明になる「エーテル」という能力もある。
これらスラブは,ゲーム序盤に入手できるリストバンドのようなガジェット「スラブ・インヒビター」で発動できる。また,アップグレードして能力の強化も可能だ。例えばシフトは,瞬間移動だけでなく空中でホバリングも可能になり,相手の頭上から容易に攻撃を仕掛けられる。
ブラックリーフ島のミステリーの鍵となるAEON計画とは
ブラックリーフ島は謎に満ち溢れている。この地域は,何世紀にもわたって都市伝説の象徴とされているのだ。2〜30年前には,この島で起きる怪奇現象を実証し,軍事利用するための政府施設もあったが,いつしか政府や軍部が撤退。そうして年月が経過し,現実でいう1960年代くらいに到達したところで,疑似科学者の“イゴール・サーリング”という人物が,この島の秘密の鍵をこじ開けることに成功した。
サーリングと彼の科学者集団は,さらなる実験を行うために,資産家から資金援助を受けて研究を続け,この島特有の物理現象を利用した,“トリンケット”というガジェットを制作したのだ。
トリンケットは,「Dishonored」で言うところの“ボーンチャーム”にあたり,「高くジャンプできる」というような物理的な作用をもたらす。一方でスラブは,島のミステリアスなエネルギーを利用し,それを増幅させるという“ルーン魔術”に近いものだと考えられるだろう。
トリンケットについては後述するが,サーリング達は研究の中で時間そのものに作用する力を発見し,同じ時間を繰り返すことによって,理論的には“永遠の命”を保有するという「AEON計画」を実施する。
しかし,このタイムループは思うように実現しなかった。ブラックリーフ島を訪れた人は前の日の記憶を消失し,毎日がこの島にやってきた最初の日であると信じて過ごしているわけだ。しかし主人公のコルトは,どういう訳か記憶を留めることができた。
やがてコルトは,このAEON計画の創設者である8人のヴィジョナリーを始末することでのみタイムループから解放されることを知り,そのために毎日を繰り返しながら,24時間のうちにすべてのヴィジョナリーを暗殺する方法を編み出すことになる。
こうしたストーリーの構成に関して詳しい解説がなされていないのは,捕鯨文化や政治システム,“アウトサイダー”と呼ばれる時空を超えた存在までが描き切られていた「Dishonored」シリーズとは,大きく姿勢が異なっていることを感じさせる。ゲームをプレイすることでこの島の謎が解き明かされたり,あるいはコミュニティでさまざまな考察が飛び交ったりすることに期待しているためだろう。
「スラブ」とともに活用できる「トリンケット」
「DEATHLOOP」のスタート地点から見るに,おそらく最初に対峙することになると思われるのが,“フランク・スパイサー”というロックスターだ。彼が観光客を呼び込むために所有しているダンスクラブは,島の入り口でもある港「フリスタッドロック」というエリアにある。そのため警護も厳重で,フランク・スパイサーは防弾ガラスで覆われたレコーディングスタジオに籠って,ほとんどの時間を中で過ごしている。
ここは,彼が出てくるのを待つのではなく,どうにかしてスタジオの内部に潜入するのが基本となりそうだ。
もちろん,どのようにスパイサーに近づくかはプレイヤー次第。ドアのセキュリティを解除するコードを探しておくのもいいし,通風孔のような潜入できそうな場所を探し回るのも面白いだろう。Arkane Studios作品の醍醐味でもある自由度の高さは本作にもあるので,与えられた“一日”の中でも,いろいろと試行錯誤を楽しめるはずだ。
コルトが使用できる武器も多種多彩だ。近接武器のマチェットや,遠距離武器のハンドガン,サブマシンガン,ライフル,ショットガンなどに加え,サイレンサー付きのネイルガン「PT-6 スパイカー」,トリップマインとしても利用できる「サッパーチャージ」,さらにタレットのような設置式の武器もある。
また,ロックされたドアの開錠や,敵のタレットをハッキングできる「ハッカマジグ」も,利用頻度の高そうな多機能ツールである。
先述した“トリンケット”の効果は,レアリティが高くなるほど上昇していく。プレイヤーキャラクターの能力を直接強化する“キャラクター・トリンケット”と,武器の能力を向上させる“武器トリンケット”の2種類が存在し,プレイヤーが設定したロードアウトのカスタマイズに使用できる。
キャラクター・トリンケットは,「ダブルジャンプ」のほかに,落下ダメージを軽減する「猫の着地」,移動中の音を小さくする「忍び寄る死」,パワーの最大値を増加させる「ビルドアップ」が用意されている。ほかにも以下のようなものが存在する。
・射撃の名手:エイム速度が早くなる
・ショック・アブソーバー:銃のリコイルが減少する
・ヒップスター:腰だめで銃を撃った時の精度が上がる
・落雷:武器が最大ダメージを与える距離が延びる
・魂食い:敵に攻撃を与えると,ライフだけでなくパワーも減らす
・ビッグボックス:武器の装弾数が増える
・貫通弾:弾丸が高確率で敵を貫通する
またブラックリース島には,タイムループの力を利用するリソース“レジドゥム”というものが存在し,それを注入した武器,トリンケット,パワーに限り,次の一日に継承することも可能だ。
8人のヴィジョナリーの中で異彩を放す“ジュリアナ・ブレイク”
スパイサーに次いで,今回新しく発表された“アレクシス・ドーシー”は,もともと医療薬品メーカーのオーナーとして財を成し,AEON計画のメジャーなスポンサーとして,ブラックリーフ島にやってきたヴィジョナリーだ。自分を“アルファドッグ”(群れのリーダー)とし,自分だけでなく,配下の者たちにもオオカミの仮面を装着させてパーティに興じている。死んでもどうせ蘇ることを知っているからなのか,部下を崖から突き落として余興にしたり,コルトの攻撃に対して部下を肉の盾にしたりと冷酷な人物である。
ほかにも,“チャーリー・モンタギュー”“ウェンジエ・エヴァンス”“フィア・ズブロウスカ”,そして“ハリエット・モース”というヴィジョナリーが存在するが,詳細は現時点で明らかにされていない。
興味深いのは,それぞれのヴィジョナリーを倒すごとに,新しい武器やトリンケットが1つずつドロップされ,プレイヤーがキープ可能なアイテムとして追加されていくことだ。前述のフランク・スパイサーならサブマシンガンを入手でき,ドーシーであれば,カーネシスのパワーがチャージされたトリンケットを利用できるようになる。
サーリングとともに,ボス中のボスと言えるヴィジョナリーが“ジュリアナ・ブレイク”だ。コルト同様に,このブラックリーフ島のタイムループに囚われてしまった暗殺者だが,コルトと異なるのは,自分はこのタイムループの守護者であるとし,コルトを探し求めて島中を暗躍している点だ。
自動小銃やスナイパーライフルを使用するほか,特有のスラブである“マスカレード”を利用してパーティ参加者に扮装して,プレイヤーに近付いてくる厄介な敵だ。
「DEATHLOOP」の最大の特徴は,ほかのプレイヤーがジュリアナに成り代わるドロップイン&アウト型の対戦プレイが可能なところだ。実は,Arkane StudiosがBethesda Softworksに買収される以前に,「The Crossing」というFPSをアナウンスしていたことがあるが(関連記事),これはそのゲームでフィーチャーされる予定だったオンライン機能を活用したものであるという。
このオンライン機能のオン/オフはメニュー画面で設定できるので,対人プレイが苦手な人は安心してほしい。
「DEATHLOOP」は,開発チームのこれまでのゲーム開発のノウハウに加え,タイムループを柱にした分かりやすいゲームシステムとおしゃれなアートワーク,そして対戦モードまで,さまざまな要素を詰め込んだ作品として,PCおよびPlayStation 5向けに9月14日のリリースが予定されている。未発表の情報もまだありそうなので,続報にも注目しておきたい。