プレイレポート
「蒼き雷霆 ガンヴォルト鎖環」プレイレポート。2人の主人公が織りなす2Dアクションは,ビギナーも上級者も満足させる仕上がりに
本作は,ゲームクリエイター稲船敬二氏(LEVEL5 comcept)とインティ・クリエイツのタッグにより,2014年から展開されている「蒼き雷霆 ガンヴォルト」シリーズの最新作だ。第七波動(セブンス)を封印する「鎖環(ギブス)」の力を持つ戦巫女「きりん」を新たな主人公に据え,もう1人の主人公「ガンヴォルト」とのキャラクターチェンジにより,多彩なアクションが楽しめる内容となっている。
投げた護符で敵を弱体化させ,抜刀術で敵を切り刻むきりん |
ゲージが続く間だけ活動できるガンヴォルト。その力は強大だ |
本稿では本作の製品版をプレイし,アクションゲームとしてのプレイフィールや演出などを紹介していこう。
新主人公「きりん」が登場。ガンヴォルトは専用ゲージを要するパワーアップキャラに
ガンヴォルトシリーズはこれまで2作品が発売され,その派生タイトルとして「白き鋼鉄のX」や「マイティガンヴォルト」シリーズなども展開し,どれもファンから高い評価を得ている。この「蒼き雷霆 ガンヴォルト鎖環」は「蒼き雷霆 ガンヴォルト爪」の続編となるシリーズ第3弾でこれまでのシリーズの爽快なアクションや,プレイ中に会話が進行する「ライブノベル」のシステムを継承しつつ,新主人公「きりん」の参戦による新たなプレイフィールが味わえる内容となっている。
戦闘中でも表示される字幕とキャラクターのグラフィックス。設定で変更できるが,初めてのプレイではあえてこのまま進めたいところだ |
序盤のミッションは,アクションのチュートリアルを交えたものとなる |
「第七波動(セブンス)」なる特殊な力に目覚めた「第七波動能力者」が存在する近未来の世界。前作で多国籍能力者連合「エデン」との抗争を終結させたガンヴォルトだが,なおも戦いに身を起き続けた結果,彼の体は第七波動を超える次の段階へと覚醒してしまう。
この事態に気づいた影の組織「裏八雲」は,封印の力「鎖環(ギブス)」の巫女きりんを派遣し,「暴龍」へと覚醒したガンヴォルトを封じるところから物語は始まっている。巨大な龍の姿へと覚醒したガンヴォルトは,きりんが最初に出会う強敵である。その戦いは激しく,そしてドラマチックだ。
きりんによって暴走を止められたガンヴォルトは,彼女に力を貸す形で仲間となるが,鎖環の影響により犬のような姿となってしまう。以降,この姿できりんと行動を共にし,ゲームをプレイすると溜まっていく「鎖環ゲージ」が100%を超えたときの「雷霆開放(ライテイカイホウ)」により,元の姿となってその力を発揮できるようになるのだ。
抜刀術によるスラッシュ攻撃と,マーキング後の瞬間移動攻撃「雷霆煉鎖」が爽快!
気になるアクションだが,メインキャラとなるきりんの攻撃手段は,手に持つ仕込み錫杖を使った,抜刀術によるスラッシュ攻撃だ。近接攻撃ながら比較的広い範囲を攻撃でき,連打により3連続(空中では2連続)のコンビネーションに発展する。攻撃時の踏み込みはないが,ダッシュを伴わない通常移動時は斬りつけながら移動することも可能だ。
仕込み錫杖による斬りつけ。範囲は意外に広く,使いやすい |
キッククライミングによる壁登りもできる |
一方,ショット攻撃は「護符撃封ち(デバフウチ)」という護符を前方へと飛ばすもので,攻撃力はなく,一度に使える数も決まっているが,ヒットさせた対象に「呪印(マーキング)」する力を持っている。護符でマーキングされた敵は弱体化するので,スラッシュ攻撃をヒットさせれば普段より大きなダメージを与えられる。
マーキングで弱体化させた敵は,少ない攻撃数で倒せるようになる。 |
護符は一度に投げられる数が決まっていて(画面左下に表示),時間経過かマーキング対象を倒す,または↓を素早く2回押して構えると回収できる |
護符によるマーキングは,きりんの重要なアクション「雷霆煉鎖(ライテイレンサ)」という攻撃にも関連している。マーキングした敵や物質に対し,スラッシュ+ダッシュまたは雷霆煉鎖のボタンを押すと,対象の目の前に瞬間的にワープし,スラッシュでダメージを与えられるのだ。
複数の護符を同じ敵に重ねてマーキングすればダメージがさらに増える「衝重(ツイガサネ)」に,複数の敵にマーキングをすると対象をまとめて撃破する「乱舞(ミダレマイ)」へと発展し,ハイスコアも狙える重要なテクニックとなる。
攻撃のみならず,瞬間的に移動する手段としても使え,これを使いこなさないと対応が面倒なトラップなども存在している。繰り出したあとは足場に落下するまでの速度が遅くなり,一度だけ空中ジャンプを行えるなど,移動時の応用も利くので,確実に身に着けておくべきアクションだ。
残像を残して敵を瞬間的に斬りつける雷霆煉鎖。繰り出すときに方向ボタンの左右いずれかを入力すると,移動位置を選べる |
特定の背景の物体にマーキングをして雷霆煉鎖を行うと,それを使って移動できる。空中移動の重要なアクションだ |
画内すべての敵にダメージを与えるきりんのSPスキル「裏九十二式・雷霆夜叉砕き」。ボスなどにも有効な必殺技 |
そして,もう1の主人公であるガンヴォルトは,第七波動を超越した強力な力を持つが,きりんと交替して戦うには先にも書いたように100%以上の「鎖環(ギブス)ゲージ」が必要となる。ゲージが溜まった状態で雷霆開放のボタンを押すと,落雷とともにガンヴォルトが登場。使用に鎖環ゲージを消費するぶん,これまでのガンヴォルト以上の能力を持っており,例えば彼の周囲にバリアを張って敵の弾を防ぐ「雷撃鱗(ライゲキリン)」は,何もしていないときに自動で張られるようになった。
画面右上「%」の表記があるのが鎖環ゲージ。ガンヴォルト出現時の落雷は,画面の敵にダメージを与える |
特別なアクションを起こしていないときは,周囲にバリアが張られている。空中をジャンプするホバリングも可能だ |
ショット攻撃で,対象に“ダート(針)”を撃つダートリーダーは弱いながらも攻撃力を持ち,きりんの護符と同様にロックオンの効果を備えている。対象をロックオンしたときに雷撃鱗ボタンを押すと,バリアが電撃となって対象にホーミングして攻撃しダメージを与えられる。
ロックオン状態の敵にダッシュでぶつかると,敵をすり抜けながら雷撃を浴びせる「スパークダッシュ」が発動。ダートを3発当ててダッシュすると周囲の敵を巻き込んで地面に叩き付ける「ヴォルテックバスター」や,きりんの雷霆煉鎖と同様の「ライトニングアサルト」といった豊富な攻撃手段へと展開する。
さらに連続ジャンプで空中を移動できるホバリングの能力を持つなど,きりんを大幅に上回る攻守移動すべてに優れたアクションを行えるが,一方で行動の多くは鎖環ゲージが必要になるという特徴を持っている。
ロックオンした敵に向かっていく雷撃鱗。当てるには必ずダートによるロックオンが必要だ |
ダートを3発当てた敵に繰り出すヴォルテックバスター。使い分けができると実に楽しい |
またガンヴォルトは,きりんのHPが0になったときにランダムで発動する「ソングオブディーヴァ」によって,暴走した状態の彼を操作できるようになる。空中を浮遊し,ダートは画面全体の敵をロックオンする「フラッシュダート」へと変化。放電も強力になるが,力を使いすぎたり多くのダメージを受けたりすると,暴走の代償として何らかのデメリットが発生するようだ。
以上のように本作では主人公にきりんを据え,単純なキャラクター切り替えではなく,ゲージを伴ったパワーアップキャラクターとしてガンヴォルトを登場させることで,これまでのプレイフィールを継承しつつ,新しい感触を提供することに成功している。きりんとガンヴォルトの操作感覚は似ているようで違っていて,シリーズ新作のアクションとしても上々の設計だと感じられた。
「イマージュパルス」で好みのプレイスタイルを構築できる
本作のもう1つの大きな要素に「イマージュパルス」がある。これはミッション内に隠された「イマージュジップ」なるアイテムを取ることで,ミッションクリア後にガチャのような仕組みで入手できる装備アイテムだ。
その見た目は,ガンヴォルトがこれまでの戦いで出会った能力者のイメージを具現化していて,「スキル型」のイマージュパルスなら,装備して使うことでその能力者が画面に現れて効果を得られるという,見た目にも楽しめる要素となっている。過去シリーズを知らなくても十分楽しめる本作だが,イマージュパルスには過去シリーズのキャラクターも登場し,シリーズを遊んできたファンへのご褒美的な要素でもある。
イマージュジップを手に入れてミッションクリアすると,抽選のような形でイマージュパルスが手に入る |
ミッションによって入手できるイマージュパルスは決まっているようだ |
入手したイマージュパルスはゲーム中で入手できる「クレジット」によって強化も可能で,これによりプレイヤーのスキルやプレイスタイルに合わせたカスタマイズを行えるのである。
スキル型のイマージュパルスはゲーム中にRスティックを倒す方向で設定した能力者を呼び出せる |
装備しているだけで能力を発揮する「パッシブ型」のイマージュパルス |
ガンヴォルトシリーズのセールスポイントであるライブノベルも健在だ。重要なシーンのカットインだけでなく,ミッションの進行中もきりんとガンヴォルトが会話するなど,ストーリー面の演出が充実している。
その一方で,本作のマニュアルでは「ライブノベルは賑やかしのフレーバーテキストです。読まずともストーリーの理解に支障はありません」と公言していて,アクションに集中したいなら,表示の濃淡を調整したり,非表示にしたりすることもできるのでご安心を。
デフォルト設定では,ボス戦時などに会話するキャラクターが大きめに表示されるのは結構見づらかったりするのだが,会話自体は全体的に面白く,きりんやガンヴォルトらの意外な面がセリフから読み取れることもあるのでスルーしてしまうのは惜しい。遊びやすい形に設定して楽しんでみてほしい。
ゲームはミッションごとに進めていくスタイルで,2人のアクションを駆使して挑むレベルデザインが施されたステージが展開。ストーリーに合わせたシチュエーションも多彩で,敵やトラップも絶妙に配置されていて,毎回どんな展開になるのか楽しみになるほどだ。ミッション中に隠されたイマージュジップを見つける探索の要素もあり,クリア後も楽しめる仕様となっている。
ミッションのラストにはボスが登場。彼らは暴龍化したガンヴォルトから発せられた電気によって第七波動が発動した人物であり,前半に登場する彼らを倒すと,ストーリー上の仲間になるという展開もある。
ビギナーから上級者まで幅広いプレイヤーが楽しめるゲームデザイン
序盤からゴリゴリのアクションが展開するが,きりんとガンヴォルトのアクションが多彩なうえ,イマージュパルスなどもあって攻略の選択肢が多く,極端に難しいという印象はない。さらに救済処置として,前述の「ソングオブディーヴァ」による暴走ガンヴォルトの登場や,護符を消費してダメージを自動回避するイマージュパルス「電磁結界(カゲロウ)」などもあるので,アクションゲームがそれほど得意でない人でも楽しみながら進むことができるはずだ。
一方,敵に対してダメージを与えると溜まっていくコンボ値「クードス」の存在により,より高いところを狙う上級者向けのプレイも可能で,このあたりの的確な作りは“さすが”といったところである。
世界観設定やキャラクターデザイン,ゲーム全体の演出,きりんやガンヴォルトの技名など,いわゆる“中二”的な作りがふんだんに盛り込まれているのは,このシリーズの象徴とも言える。苦手な人もいるかと思うが,それを理由に回避してしまうのは惜しい完成度だ。
また過去のシリーズをあまり知らなくても,アクションゲームとして十二分に楽しめる内容なので,この機会にぜひプレイしてみてほしい。
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