プレイレポート
[プレイレポ]シリーズ最新作「Test Drive Unlimited Solar Crown」が登場。ドライブゲームの魅力を引き継ぎつつ,シビアなレースも楽しめる
本稿では,9月5日に開始された先行プレイでPC版を60時間ほどプレイしてのプレイレポートをお届けする。およそ13年ぶりのシリーズ新作をじっくりチェックしていこう。
「TDUシリーズ」について
初代「Test Drive Unlimited」(以下,TDU)は,「オープンワールドでオアフ島を再現し,そこをオンラインで自由に走り回れるレースゲーム」というコンセプトで2006年に登場した。再現度はともかく,現実にある島をまるごと実装したことは,2006年当時としては衝撃的な出来事だった。
続編となる「Test Drive Unlimited 2」(以下,TDU2)では「ウインカー」を利用できるようになったが,これによってドライブ中にウインカーを出せるような,ゆったりとしたドライブも楽しめるゲームだというシリーズの方向性が示されたと言える。実際に,「好きな車を入手するまでは頑張って,あとは観光ドライブゲームとしてプレイする」というライト層も多くいた。
それから13年が経ち,最新作「Test Drive Unlimited: Solar Crown」(以下,TDUSC)が登場したというわけだ。TDU1および2の開発元はEden Gamesだったが,TDUSCはラリーシム「WRC」シリーズを手掛けてきたNaconとKT Racingによる作品となる。
TDUSCのストーリーは,Radiantという企業がレース「Solar Crown」の参加者を確認するところから始まる。その予選に招待され勝ち残ったプレイヤーは,香港島でいくつかのレースに出場したあと,エリートで伝統を重んじる「SHARP」か,アンダーグラウンドな雰囲気の「STREET」のどちらかのクランに所属して,ストリートレースの世界に本格的に足を踏み入れていく。
プレイヤーがクラン同士のPvPを意識することになる点は,TDUシリーズとしては新しい試みだ。本作は完全なオンライン専用タイトルにシフトしたため,長くプレイを続けてもらうための仕組みとして,PvPの側面を強調しているのだろう。とはいえ,レースを頑張って好きな車を手に入れたあとは,島内をフリーで流してゆったりドライブを楽しめるのは前作と変わらない。
多様な風景を見せてくれる香港島
ステージとなる香港島は左車線走行で,日本のプレイヤーにとっても走りやすいロケーションだ。現実の島の広さは約81平方km。前作でのオアフ島の約1600平方kmと比べると狭いが,マップの情報量はかなり多く,ドライバーを飽きさせない。
車好きにはたまらないメカ周りのシステム
TDUで個人的に好きなポイントが,車のメカニクスに愛情を込めて作られている点だ。これらは前作までに評価されていた点が引き継がれている。
自動車ディーラーでマシンを吟味
TDUシリーズでは,ディーラーに足を運んで車を購入する。登場車種はフェラーリやランボルギーニ,ポルシェなどの欧米のスーパーカーが中心だが,日本車として日産の370ZとR35 GT-Rが登場している。
ディーラーには車両が置いてあり,近くでじっくりと見られるほか,ドアを開けて乗り込むこともできる。ウインドウの開閉や,ルーフの開け閉め,エンジン始動や空ぶかしも可能だ。TDUSCの車両価格はそこまで安くないので,新たに一台買うか,それとも今のマシンで頑張るかは悩ましいところだが,それが「高級車を買っている」というリアリティを与えてくれてもいる。ディーラーでは約2分の制限付きで「テストドライブ」もできるので,乗り味を試したり,フォトモードで写真を撮ってみたりして,財布と相談しつつ購入することもTDUのコンテンツなのだ。
また,ディーラーはオンライン空間で,ほかのプレイヤーと遭遇することもある。どんな車を見ているかなど,端から見ていると面白い。
名声,コイン,クラン影響力を稼ぐ
TDUSCにはレベルやお金稼ぎの要素があるので,ざっくりとそれらの要素をまとめてみよう。
・名声(RP):キャラクターのレベル。名声が上がると車種やパーツ,レースなど,様々なコンテンツが開放される。
・Solarコイン:お金。新しいマシンやパーツ,コスメティックを購入するために使う。
・クラン影響力:クラン内での地位を示すレベル。クランのチャレンジャーたちに挑戦して勝利すると上限が開放される。
メニューから「名声」の項目を開くと,名声で開放されるコンテンツがひと目で分かる。フェラーリの以外にもたくさんのコンテンツが名声で開放されていくことが分かるだろう。
例えば,キャラクターの服を購入するには,名声レベル5が必要になる。マシンパーツを追加するにはレベル10,「クラン」に所属するにはレベル12,そしてスーパーカーはレベル30から買えるようになる。当然,高級車になるほどたくさんのSolarコインが必要だ。
車の挙動が楽しくなり,より本格的になったレース
名声,コイン,クラン影響力のすべてを稼げるのがレースだ。本作はWRCのラリーゲームでおなじみのメーカーが作っているだけあって,車の挙動はTDU2より進化したように感じられる。
マシンはクラスごとに分かれており,レースが指定するクラスや車種でなければ出られない。また,「PR値」という概念がある。PR値はマシンの「強さ」のようなものだ。PR値は改造パーツを取り付けると上がり,外すことで下げられる。
ただし,レースごとにPR値上限が決められていることが多く,最低PR値が指定される場合もある。「マシンをひたすら強くすることで勝つ」といった,RPG的なことはできない仕様になっており,もともとのマシン性能と己の腕前で勝負しなければならない。
また,タイヤは天候や路面に合わせて都度適切なものに変えないと,マシンのポテンシャルを発揮しきれない。
見逃されがちな要素として,マシンのセットアップ画面がある。各マシンにはトップスピード,加速,ブレーキ,ハンドリングのスコアが目安としてあるが,タブを切り替えるとパワーやトルク,車重,加速,トップスピード,ブレーキング情報などを確認できる。
その横で「ドライビングモード」が選べるようになっているが,ここで「新規ドライビングモードを作成」すると,細かなギアレシオのセッティングや,ダウンフォース設定,サスペンション,デフ,ブレーキバランスなどの設定が可能だ。
加速重視のマシンや,路面に吸い付くように走る高ダウンフォースマシンなど,自分の好みのバランスにセットアップできる。また,タイヤの交換もセットアップ画面から行える。
腕に自身がある人はドライビングアシストの変更もできる。アシストには「レースライン」「ギアボックス」「ABS」「TCS」の4種類がある。レースラインは,走行ラインのアシスト表示機能,ギアはオートマかマニュアルかの選択だ。ABSをオフにすればよりハードなブレーキングができる分,タイヤがロックしやすくなる。TCSをオフにすると,パワーを限界まで使えるが,コーナリング中のアクセルオンで簡単にスピンしやすくなる。これらをマニュアルや無効に近づけるほどボーナス報酬が高まり,最大+35%の報酬を受け取れる。
レースをしなくてもお金を稼げる「FRIM」や「スピードトラップ」はオフにもできる
FRIM(Free Ride Instant Money)は,TDU2から採用された自由走行をしながらお金を稼げるシステムだ。ハイスピードで走ったり,ドリフトしたり,ほかの車とニアミスしたり,ジャンプしたり……といった曲芸的な走行に応じてポイントがもらえ,換金できる。ただし,1日10回までしか換金できず,クラッシュすればカウントがリセットされてしまう。
スピードトラップは,コース各所に設置されたバーチャルゲートで,そこを通過する瞬間のトップスピードを3段階で評価。速いほど高額な賞金がもらえるという仕組みだ。
これらの機能は,どちらも表示をオフにできる点を強調しておきたい。レースを意識せずにドライブもできるよう配慮されているわけだ。
Radiantプライズを探しつつ観光ドライブ
レース要素以外についても紹介しよう。ドライブ中にミニマップを見ると,小さな四角いアイコンが見えることがある。これがRadiantプライズだ。Radiantプライズのアイコンの場所には,名声,Solarコイン,クラン影響力のポイントのいずれかが設置されており,車で触れると獲得できる。Radiantプライズは街をただ走っているだけでは見つからず,ちょっとした隠れた場所にあるのでこれを探すのがなかなか面白い。
Radiantプライズの周辺は,公園,ビーチ,邸宅,工事現場,港など,さまざまな風景やランドマークがあり,観光や一息入れるポイントとしてもおすすめだ。入口が非常に狭かったりするので,必然的にゆっくり走ることになるが,そのゆったりした時間こそがTDUSCが与えてくれる穏やかなドライブ体験だと言える。多くのレースゲームでは,スーパーカーに乗って時速20kmで慎重に走るようなことは,あまりないだろう。
また,新たな道路を走って見つける「道埋め」作業でも名声が稼げるので,「好きな車でひたすら走る」ということも無駄にはならない。というより,フェラーリ狙いなどの終盤は,これがかなり重要になる。スポーツ施設など,ランドマーク的な建造物が見つかることもあるので,ウェブのマップなどと見比べながら走ってみるのも面白い。
「ガソリンスタンドめぐり」が捗る
TDUと言えばガソリンスタンドだ。かつてのシリーズでは所どころにガソリンスタンドがあり,ちょっとしたランドマーク的な存在だった。プレイヤー同士でツーリングなどをしたときには,休憩や撮影用スポットとして活躍したものだ。
本作のガソリンスタンドは,車の破損や汚れをきれいにしたり,ファストトラベルのための拠点となっているので,ここでもプレイヤーの集いや憩いの場になるかもしれない。汚れと破損の機能を面倒に感じる人もいるかもしれないが,これによって「美しく丁寧に走らせよう」という気持ちにさせてくれる心理効果もあると感じた。
セレブ生活的な要素は今後に期待
TDUSCでは,プレイヤーたちが香港島のSolarホテルのスイートルームに滞在しながらレースに明け暮れることになる。長期的には不動産のシステムが用意されるとのことだが,実装時期は未定となる。TDU2まではお金を貯めて島内各地の豪邸を買う「成り上がり」を楽しめたので,これも楽しみなところだ。
プレイヤーの分身となるキャラクターについては,ゲーム内マネーで衣装などを購入し,着用できる。これも,「お金を稼いで高価な服を着る」といった成り上がりモチベーションになるだろう。また,ホテルのロビーではほかのプレイヤーの姿を見ることもできる。ただ,先行プレイ中はみんなレースに忙しかったのか,稀にしか遭遇できなかった。
なお,レベル55まで進めた時点では,お金稼ぎがややシビアな印象だ。マシンの購入は各クラスで最低限に,計画的に行わないと乗り換えで詰まりやすい。
ローンチ時点では問題点も
先行リリース初日はログイン不可問題が発生し,公式発表ではリリース後3時間では45%のプレイヤーしかログインできなかったそうだが,8時間後には96%に回復したという。筆者の環境でもプレイできない問題が当初発生していたが,正式ローンチに向けてサーバー増強が行われたとのことで,2024年9月10日時点ではサーバー接続に問題はなくなったようだ。
一方,すでに開拓された拠点が未発見状態に戻ってしまうバグなども散見されており,TDUシリーズ最新作は厳しいスタートになっていると言わざるを得ない。今後はTDU2にも登場した「イビザ島」も実装されるとのことだが,まずは安定したプレイ環境を期待したいところだ。
「Test Drive Unlimited: Solar Crown」公式サイト
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