インタビュー
「コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー」のゾンビモードについて開発者に聞いてきた。“ダーク・エーテル”の新たなサーガが描かれる
コール オブ デューティと言えば,2003年に第1作がリリースされて以降,これまでに総計3億本を超えるヒットを飛ばしている人気シリーズだ。通例では「シングルプレイキャンペーン」,「マルチプレイモード」,そして最大4人のCo-opを基本にする「ゾンビモード」という異なるゲームモードが三位一体となるボリューム満点なコンテンツ量を誇り,それぞれに熱狂的なファンベースを誇っている。
「コールドウォー」におけるゾンビモードは,これまでのシリーズで作り上げられてきたレガシーをベースに,新たなサーガの始まりとなるダーク・エーテル(Dark Aether)というストーリーラインに基づく。
ご存じのように,2019年の「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア」(PC / PS4 / Xbox One)向けにはゾンビモードがリリースされておらず,ゾンビモードは2018年の「コール オブ デューティ ブラックオプス 4」に続くものとなる。主人公たちが自らを犠牲にし,マルチバースを遮断して邪悪な敵をダーク・エーテルに封じることに成功。しかし,その一方で第2次世界大戦期に行われていた秘密計画「プロイェクト・エントシュタツィオン」の存在が明らかになり,闇の力を制御する兵器を求めて,超大国の野望や陰謀が渦巻く軍事拡張が行われ,そして冷戦時代に突入していったと言う設定だ。
そのゾンビモードの第1チャプターとなる「ディー・マシーネ」(Die Maschine)は製品版に付属する形でローンチされる。それ以降のチャプターは,これまでのようにマルチプレイヤーマップのDLCに付属するのではなく,無料の独立したエピソディックアップデートになることがアナウンスされており,より多くのゲーマーが楽しめるものになるだろう。
面白いことに,キャンペーンモードやマルチプレイモードとゲームシステムやストーリー面で交差しており,プレイヤーはこれまでのような4人の主人公に固定されるのではなく,マルチプレイヤーモードで利用するオペレーターや,フランク・ウッズなどキャンペーンのキャラクターでプレイできる。
プレイヤーキャラクターはCIAの傘下にある国際組織レクイエム(Requiem)の工作員という設定で,ブラックオプスシリーズではお馴染みであるロシア系アメリカ人のグレゴリ・ウィーバーがリーダーとなっている。とある地下施設で発生した異常事態を調査するために工作員たちが送り込まれるが,そこでソビエト連邦の組織であるオメガ・グループ(Omega Group)に遭遇し,これまで以上に複雑な国際関係の渦に巻き込まれながらも,大量発生したゾンビたちと戦っていくことになるのだ。
新たに改良が進められたゲームシステム
パーク
「ディー・マシーネ」のローンチ時には,6つのゾンビモード用パークスがアンロックされる。ヘルスを50ポイント回復する「Jugger-Nog」,自分や仲間のヘルスの回復スピードを50%向上させる「Quick Revive」,リロードのスピードを15%向上する「Speed Cola」,ランやスプリントのスピードを向上させる「Stamin-Up」,敵の急所をピンポイントで攻撃する「Deadshot Daiquiri」,そして本作で新しいパークとして追加される「Elemental Pop」だ。使用中の銃弾に,ランダムに特定の銃弾MOD効果を与え,少しでもゾンビの大群を早く削いでいきたいという緊急時に大きく役立つことになるだろう。
さらに,コールドウォーで加わるパークスの新しい要素が「Skill Tiers」だ。倒したゾンビたちから回収していく思われる,「エセリウム・クリスタル」(Aetherium Crystals)というアイテムを投資していくことにより,フィールドアップグレードや銃弾MOD,武器クラスなどに関連するスキルアップグレードを行い,永久的に効果を得られるという。
Elemental Popの場合,Tier IIでは銃弾MODのクールダウン時間が20%短縮され,Tier IIIではベース効果ではなく,それぞれのスキルのTierに合わせたMOD効果を利用できるようになる。
こうしたパークスやSkill Tiersは,シーズンを進めていくにつれて新しいものが追加されるようだ。
武器のレアリティ
過去のゾンビモードでは,それぞれのシチュエーションでどの武器が最も効果的なのか,ウォールバイやミステリーボックスで得られるものの使いやすさはどうなのか,といったことでゲーマーが困惑することが多かったという。そこで,今回は武器に「レアリティ」というコンセプトが追加され,「コモン(ロードアウト)」「アンコモン」「レア」「エピック」,そして「レジェンダリー」という5段階が用意される。「アンコモン」は「コモン」よりも50%高いダメージ効果が期待でき,「レジェンダリー」レベルになると,300%高いダメージ効果に加えて最大8つのアタッチメントが付属するというモンスターウェポンになる。
また,ゾンビモードのプログレッションは,キャンペーンやマルチプレイモードとも同期している。マルチプレイモードで利用するカスタムロードアウトでプレイ開始することができるため,本作ではピストルでゲームをプレイし始めることさえなくなっているのだ。
となると,ウォールバイやミステリーボックスに投資する意欲もなくなってしまいそうだが,これらから得られる武器にはランダムなアタッチメントが加えられ,ラウンドごとに高レアリティを入手するチャンスも上がるようだ。また,ミステリーボックスからは「セントリー・タレット」や「ウォー・マシーン」のようなサポート武器も得られるという。
フィールドアップグレード
コールドウォーのゾンビモードにおけるフィールドアップグレードは通常のマルチプレイと異なる。ダーク・エーテルのストーリーに合わせたものが用意され,よりファンタジー色の強い味付けとなっている。
ローンチ時には5種類のフィールドアップグレードが用意され,複数の相手を凍らせてから爆発させる「Frost Blast」,直線的なレーザービームで自分と他のプレイヤーのヘルスを回復させる「Healing Aura」,一定のエリアを爆破させる「Energy Mine」,15秒にわたってプレイヤーと周囲にいる仲間の攻撃力を増幅させる「Ring of Fire」,そして5秒間にわたって別次元に移動しステルス化できる「Aether Shroud」だ。
これらは,ゾンビを一定数倒すことによってチャージされるが,Energy Mineのようなオフェンス系は,Healing Auraのようなサポート系よりも2倍の時間がかかるように調整されている。
スコアストリーク
コール オブ デューティのマルチプレイモードではお馴染みの「スコアストリーク」が,ようやくゾンビモードでも利用可能になる。ゾンビモードのスコアストリークはサポート兵器として利用でき,「セントリータレット」や「ウォーマシーン」に加え,「コンバットボウ」「チョッパーガナー」,そして「セルフリバイブ」の5つがローンチ時に利用できる。前述したように,これらはミステリーボックスで得ることもでき,特にソロでゾンビモードをプレイする際には強力な助っ人となってくれそうだ。
大人になったサマンサ・マキシス 〜 ゾンビモードモードのリードライターにインタビュー
Treyarchのリードライターであるクレイグ・ヒューストン(Craig Houston)氏に,ゲームのストーリーを中心にしたインタビューを実施したのでお届けする。途中,そのストーリーの世界観をより明確にするために,その概要も挟んでいるので,コールドウォーのゾンビモードを満喫するためにもお読みいただきたい。
「コールドウォー」では,前回の「ブラックオプス 4」のエンディングで一区切りついたかのように感じられたゾンビモードのストーリーを仕切り直すにあたり,ベテランプレイヤーでも新しいプレイヤーでも楽しめるように開発していると説明されています。これはゲームプレイにおいてでしょうか? それとも背景となるストーリーについてでしょうか?
クレイグ・ヒューストン氏:(以下,ヒューストン氏)
その両方ですね。「コールドウォー」のゾンビモードは新しいストーリーですが,このストーリーが始まったのは,そもそも前作「ブラックオプス 4」のエンディングに起因するものです。前作では,様々な時空を移動しながらゾンビと戦い,マルチバースを崩壊させることによって1つのユニバースを作り出すことに成功したため,我々が住む時間軸ができたのです。私のように対戦ゲームが得意ではなく,他のプレイヤーに撃たれてキルされるのを楽しめないというゲーマーには,ゾンビモードモードが与えてくれるチャレンジに満足できるでしょうし,過去のストーリーを知らなくても楽しめるようになってます。
4Gamer:
そもそも,ダーク・エーテルとは何でしょうか。ヒューストンさんの言葉で簡単に説明すると?
ヒューストン氏:
ダーク・エーテルというのは,ゾンビを含む全ての邪悪なものが特定のユニバースから消滅した際に行き着くところです。不幸なことに,第2次世界大戦期にナチス軍の秘密研究機関が,パーティクル・アクセラレーターのプロトタイプ開発を行い,その失敗によって時空に穴が開いてしまい,ダーク・エーテルの汚染が我々の世界を含むマルチバースに広がっていってしまったのです。
一度は封印されたものの,冷戦時代になって汚染が徐々に広がり始めているという設定であり,冷戦の勢力争いそのものもダーク・エーテルに影響されて発生しているという設定ですね。私は1980年代に思春期を迎えましたが,冷戦時代の核の恐怖は凄く実感していました。もし,核だけでなくゾンビアポカリプスも加わっていたなら,夜も眠れなかったでしょうね(笑)。
4Gamer:
トレイラーの序盤に電話ボックスの中にいるのは,あのアクセントや時代から言って,大人になったサマンサ・マキシスなのでしょうか。彼女はオペレーターなのですか。しかも,トレイラー中のミステリーボックスの上には,(サマンサを意味する)クマのぬいぐるみではなく,(リヒトーフェンを意味する)ウサギがありましたが……。
ヒューストン氏:
彼女はサマンサ・マキシスで間違いありません。数日前に脚本を読み返してみると,ぬいぐるみのことが判明するのはしばらく先のことになっていましたね。ゾンビモードが長らく積み上げてきた,こうした秘密や暗号を含む世界観や,多くのファンが知っている絡み合った細かいストーリーは,ゲームをプレイしていくうちに全て紐解かれていくよう努力していますので,楽しみにしていてください。
しかし,アポティコンたちが異なる次元に送り込んでいた謎の素子「エレメント115」(Element 115)を,1931年にドイツの科学研究チームGroup 935が見つけたことによって,我々の次元にひずみが生じる。エレメント115に秘められた邪悪な力が人々の心を汚染し,ナチスが誕生するきっかけになっただけでなく,劣勢になったナチスはエレメント115の持つ死んだ細胞を復活させるという特徴を利用して,死んだ兵士をゾンビとして生き返らせるというプロジェクト「Der Riese」を遂行させるのだ。
このGroup 935を率いていたのがルドウィグ・マキシス(Ludwig Maxis)博士であり,その助手の1人としてDer Rieseだけでなく,パーティクル・アクセラレーターや物質テレポーターなどのプロトタイプ開発に深く関わっていたのが,エドワード・リヒトーフェン(Edward Lichtofen)だ。テレポーターの実験台に志願したリヒトーフェンは月の地下にある謎の迷宮に飛ばされてしまい,そこでアポティコンが隠していたイーサー・ピラミッド(Aether Pyramid/M.P.D.とも)に触れることによって,彼の心はダーク・エーテルに汚染されてしまう。
しかし,リヒトーフェンは自らが開発したワンダーウェポンの大量生産計画が,Der Riese計画を急ぐマキシス博士にもみ消されたことに怒り,マキシス博士とその娘であるサマンサをテレポーターの実験として別次元に葬り去ろうと決意。結果的にはマキシス親子も月の秘密基地に到達してM.P.D.に汚染され,マキシス博士は電気と同化してしまい,サマンサをマインドコントロールしてゾンビ計画を遂行するという使命を果たそうとする。ゾンビモードが初登場した2008年の「Call of Duty: World at War」や,それ以降のブラックオプスシリーズで語られてきたストーリーだ。
ヒューストン氏は,「コールド・ウォー」で描かれる新しいストーリー「ディー・マシーネ」では,新しいプレイヤーがこうした背景を知らなくてもしっかりと楽しめるとしているが,過去12年にわたって築かれてきた,様々なキャラクターが織りなしてきた物語をベースにしているのは,成人したサマンサが登場することでもわかる。
4Gamer:
ストーリーと絡んだゲームシステムについては,X-Fil Systemがユニークなところですね。
ヒューストン氏:
ええ。これまでのゾンビモードは,プレイを終わらすためにはプレイヤーたちがある地点で諦めて,キルされて終わるというものでした。X-Fil Systemによって,例えばゲーマーたちが「じゃあ,Lv30に達したらゲームを終わろうか」などと了解し合えば,そこで救出ヘリを召喚して,脱出すると言う形でゲームを終わらせて,それ相応の報酬を得ることができるわけです。救出シグナルを発信してから,ヘリがやってきてマシンガンをぶっ放すまでの数分間は,次々とゾンビたちが沸いて攻撃を仕掛けてくるのでクレイジーになりますが,そこでキルされるかどうかはともかく,X-Fil Systemでポジティブにゲームを終わらせることができるというのは,ゾンビモードにとっても素晴らしい改良点であると思います。
4Gamer:
日本のゲーマーコミュニティが知っておくべきことは?
ヒューストン氏:
私の仕事は,何千ものセリフを書いていくことですが,何百人もの開発メンバーが自分の得意な部分を持ち寄って,この「コールドウォー」を作り上げています。新型コロナウイルス感染症の拡大という試練がありましたが,スケジュールどおりにゲームを完成させたチームを誇りに感じています。まだまだストーリーについては語れない部分も多いのですが,実際にプレイしていただいて,私が今回のインタビューでお話しできなかったことを体験してほしいと思います。
4Gamer:
ありがとうございました。
「コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー」公式サイト
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