インタビュー
PC版「ゴッド・オブ・ウォー」開発者インタビュー。PCでしかできない,プレイヤー独自の体験を提供したい
本作は,伝説のスパルタ兵・クレイトスが,北欧神話を舞台とした強大な神々とのバトルを繰り広げるPS4用ソフト「ゴッド・オブ・ウォー」を,PC向けに最適化したものだ。2005年にPS2で第1作を発売した「God of War」シリーズの魅力を継承しつつ,新たに自由度の高い育成要素やフィールドの探索要素,そしてクレイトスとその息子の関係にフォーカスしたシナリオなどを導入し,シリーズの新たなスタートを飾った。
今回のPC版は,PS4版のビジュアルをさらに強化しており,対応デバイスではフレームレートの上限なしで4K解像度の映像を楽しめる。そのほかグラフィックスの強化ポイントとしては,高解像度のシャドウ,改善された反射,GTAOやSSDOによるアンビエントオクルージョンパイプラインの強化なども挙げられ,対象のNVIDIA製GPUでは超解像&アンチエイリアシング技術であるDLSS,低遅延技術のNVIDIA Reflexが有効となる。加えて,21:9のウルトラワイドディスプレイにも対応した。
今回,「God of War」シリーズを手がけるSIE サンタモニカスタジオにて本作のディレクターを務めたCory Barlog氏と,UXデザインおよびアクセシビリティパートのリーダーを担当したMila Pavlin氏にインタビューする機会を得たので,PC版の見どころを聞いた。
Cory Barlog氏 |
Mila Pavlin氏 |
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは今回のPC版開発にあたって,掲げたコンセプトや目標などを教えてください。
Cory Barlog氏(以下,Barlog氏):
「ゴッド・オブ・ウォー」は,ずっと寝不足の状態で,長年かけて作り込んだゲームですから,新たにPCゲーマーの皆さんにプレイしていただける今回の取り組みは,非常に魅力的でした。今回,PC版を作るということで,PCでしかできないゲームにしよう,プレイヤー1人1人がそれぞれ独自の体験をできるようにしようと考えて作っています。
4Gamer:
それでは,PC版ならではの機能や要素を改めて教えてください。
Mila Pavlin氏(以下,Pavlin氏):
まず,さまざまなコントローラをサポートしているだけでなく,キーボードとマウスでのプレイにも対応しています。あらゆるプレイヤーが心地よく,自由奔放なプレイができるよう,キーアサインの自由なカスタマイズも行えるようにしました。
また,グラフィックスの改良やウルトラワイドディスプレイへの対応により,よりシネマライクな体験が楽しめます。
Pavlin氏:
NVIDIA DLSS(Deep Learning Super Sampling)により,対応デバイスなら4K解像度の映像であっても高フレームレートによる表現を提供しますし,逆に少々古いGPUであっても,最適なフレームレートを実現します。とくに本作のバトルは,プレイヤーに迅速な反応を要求しますから,そうした高フレームレートのもたらす恩恵を感じられると思います。
4Gamer:
PC版をプレイしてみて,グラフィックス面で一番変わったと感じたところはどこでしょうか。
Pavlin氏:
奥行きの表現ですね。カメラから遠いところにあるオブジェクトのテクスチャが,シャープになっています。とくにワイドスクリーン環境では,より奥行きが精細になったと感じられますね。
4Gamer:
PC版の開発期間はどのくらいでしたか?
Barlog氏:
話自体はかなり前からあったんですが,実際にデベロッパのJetpack Interactiveと一緒に開発を始めてからは18か月前後です。
本作は,もともとPS4のために開発したゲームですから,書き直さなければならないプログラムもありましたが,開発はスムーズに進みました。
4Gamer:
今回のPC版で,初めて「God of War」シリーズに触れるプレイヤーもいるかと思います。シリーズの中ではリブート的な立ち位置の本作ですが,その魅力を改めて教えてもらえますか。
Barlog氏:
リブートといってもやんわりとしたもので,それまでのキャラクターとタイムラインをそのままに,世界観を少しずらすことにより往年のファンに新しい体験を提供しつつ,シリーズに触れてこなかった人もプレイできるゲームを目指しました。
その中で注力したのが,カット割りを使わない「ワンショットカメラ」による演出です。クレイトスと彼の目の前に出てくるものを,常に1つのカメラでシームレスに捉えることにより,大きな冒険を体験できるようにしました。またストーリーでは,大人として成長していくクレイトスと,その息子のアトレウスが神として成長していく姿を描いているのも見どころです。
4Gamer:
アトレウスの登場で,荒々しいクレイトスのまた違った一面が描かれましたよね。
Barlog氏:
私自身は,2003年からずっとシリーズに関わっていますが,初期はバイオレンスやファンタジーを楽しめる体験をメインに据えていたんです。しかし開発チームも年齢を重ねて,人間的に成長したことで,同じように家族を作って成長したクレイトスを描きたくなったんですよね。そんな彼の物語を楽しんでもらいたいです。
4Gamer:
最後に,本作に注目している人に向けてメッセージをお願いします。
Barlog氏:
繰り返しですが,私自身はクレイトスが誕生したときからシリーズに携わっており,ほぼすべてのタイトルに関わってきました。すでに本作をプレイ済みという人は,優れたPC環境を整えていただけると,新たな気持ちでシネマライクで壮大な体験をできるかと思います。今回初めてプレイするという方は,シリーズに飛び込むスタートポイントとして,非常にいいタイトルです。チーム全員で何年もかけて注力してきたタイトルですので,皆さんに最高の体験をしていただければと考えています。
4Gamer:
最新作の「ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク」については、何かお話しできることはありますか。
Barlog氏:
ラグナロクのディレクターはエリック・ウィリアムですが、私も最近プレイする機会を得て,間違いなくエキサイトできる仕上がりとなっています。お待たせしていますが,最高の体験を皆さんにお届けできるよう,納得のいくまでがんばりますので,ぜひ楽しみにしていてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
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