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[TGS2022]目黒将司氏が手がける「Guns Undarkness」は順調に制作が進行中。クラウドファンディングも始まった同作の近況を聞いてきた
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印刷2022/09/18 19:55

インタビュー

[TGS2022]目黒将司氏が手がける「Guns Undarkness」は順調に制作が進行中。クラウドファンディングも始まった同作の近況を聞いてきた

画像集 No.001のサムネイル画像 / [TGS2022]目黒将司氏が手がける「Guns Undarkness」は順調に制作が進行中。クラウドファンディングも始まった同作の近況を聞いてきた
 「ペルソナ」シリーズや「真・女神転生」シリーズの作曲家と知られ,現在はフリーランスのゲーム開発者として活動している目黒将司氏。荒廃した未来を舞台としたSF作品で,ステルス要素のあるターン性バトルが特徴という“戦略JRPG”「Guns Undarkness」(ガンズ アンダークネス)を制作していることは,4Gamerの読者であれば知っている人も多いだろう。

 東京ゲームショウ2022の会期中,目黒氏にインタビューをする機会を得たので,ゲーム制作の近況,講談社ゲームクリエイターズラボのサポートや実施中のクラウドファンディングについて話を聞いてきた。

画像集 No.002のサムネイル画像 / [TGS2022]目黒将司氏が手がける「Guns Undarkness」は順調に制作が進行中。クラウドファンディングも始まった同作の近況を聞いてきた

4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。目黒さんと言えば,独立してすぐのインタビューでマフィア梶田がいろいろとお話をうかがいました(関連記事)。
 あれから1年近くになりますが,会社員としてゲームに携わっていたころと,個人の開発者としての現在では,生活はどう変わりましたか?

目黒氏:
 そうですね。だいたい,朝起きるのは10:00から遅くても12:00前で,そこから20:00から22:00ぐらいまでゲーム制作の作業をするという日々です。無理矢理起きても眠くて頭が働かなくて効率が悪くなるから寝ていた方がいいし,疲れているのに無理してやったらガス欠になるから休んだ方がいい。そうやって自分で調整できるようになったことは大きいですね。

4Gamer:
 「調子がいいから今日はいつもより夜遅くまでやろう」とかも自由で。

目黒氏:
 いえ。そうはいっても生活リズムは大体決まっていて,会社に勤めていた時とそんなに大きく変わった感じはないんですね。タイムカードがないだけでも違うけど,会社がテレワークだった流れから独立したこともあるかもしれないです。

4Gamer:
 現在,ゲームはどれくらいできているんですか?

目黒氏:
 システムはもうだいぶ前から7割,8割くらいできていましたから,ほぼほぼ固まっていますね。ダンジョン……僕のゲームではフィールドと呼んでいますが,マフィア梶田さんのインタビューのときが30%くらいだったかな,それがいま60%くらいまで進んでます。
 今やっている作業は,頭から順番にフィールドにシナリオを当てはめていったり,あとはシステムとかアクション,バトルの調整みたいな小改良をしたりとかですね。そういった作業を粛々と行っています。

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4Gamer:
 前回のインタビューで,「同じ作業が続くと飽きちゃう」とおっしゃっていたのですが,そのあたりは解決……というと変ですが,何か変わりったりはあったのでしょうか。

目黒氏:
 ああ,そうですね,そんな話をしていました(笑)。それでいうと,今は大丈夫って言い方は変ですけど,そもそも同じ作業がずっと続くってことはないですね。フィールドを作ったらプログラムして,シナリオをそれに実装してみたいなスパンで作業が切り替わっていくので。

4Gamer:
 「真実の愛を人類が知る,革新の物語」という確固たるテーマがあるとおっしゃっていたシナリオはいかがですか? マフィア梶田も「そのテーマはシナリオ初心者には困難すぎるのでは」と言っていましたが,どうまとまったのか気になります。

目黒氏:
 あの時もお話ししたんですが,とある会社帰りに「これだ」と閃いてできたものが基本そのまま,いまは初めから終わりまでそれなりに形になったものになりました。フィールドに実装する段階で変わったりはありますが,セリフもわりとしっかり出来上がっています。

4Gamer:
 講談社ゲームクリエイターズラボと話し合ったり,何かアドバイスをもらったりとかはあるんですか?

目黒氏:
 はい。シナリオについては,ゲームクリエイターズラボの皆さんは漫画のシナリオの専門家じゃないですけど,そういった意味でシナリオ面はいろいろな意見をもらいましたね。
 ゲームのシナリオと漫画のシナリオはやはり見せ方は違うので,ゲームのシナリオを書くのは初めてだけど,実際の現場を知る身としては「ゲームではそれは難しいなあ」みたいなところもあって,そういうところを整合性を取ったりしつつ直したりはありました。

4Gamer:
 シナリオ以外の部分でもそういったお話はしていたのでしょうか。

目黒氏:
 そうですね。今はそれほどではないんですが,開発がもっと前の段階の時は片山さん(講談社ゲームクリエイターズラボのチーフ 片山裕貴氏)と1〜2週間に1度,毎回2時間くらいすごく話をしていました。
 片山さんがかなりのゲーマーで,本当にゲームのことをよく知っていて。ゲーム作りに携わるのは初めてですが,「あのゲームのこういうシステムが面白いですよね」「こういうことやりましょうよ」みたいな話がどんどん出てくるんです。けっこうはっきり言ってもらえることもあって,なかなか濃い体験でしたね。

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4Gamer:
 個人で制作していると考えると,そういった第3者の意見というのがもらえるのはいいですね。ただ,ゲーム開発の現場を知る目黒さんからみて「ちょっとそれは無理じゃないか……」ってこともありそうです。

目黒氏:
 それはありましたね(笑)。「その一つを変えると,残りの全部変えなきゃいけなくなっちゃうよ」って思ったことや「それの実装の仕方はわかんないなあ」ってこともあったし,「一度やってみましょうよ」と言われてやったら「ほら,言った通りになったでしょう」みたいになったとか。
 でも,やっぱりそれですごく良くなったこともあるんですよ。おっしゃるとおり,一人で作っていると「これであっているのかな」とか「本当に面白くなっているのかな」とかって,分からなくなるんですよね。そういうところで判断材料になるような意見をもらえたことは,とてもありがたかったです。

4Gamer:
 だいぶゲームのシステムなど全体的な部分は形になっているようですが,ゲーム進行はどういうものになっているのでしょう。

目黒氏:
 オーソドックスな日本のRPGの進め方といいますか……ざっくりとイメージで思い浮かべていただくなら,「ペルソナ」。やっぱりペルソナですね(笑)。
 真似しているとかそういうのではなくて,やはり長く関わってきたゲームだから僕の中にあるものが大きいんですよね。あと,初めて個人でゲームを作る人が,これまでにないまったく新しい仕組みなんてそうはできないですし,そこは無理をするじゃないけど大冒険はしない方がいいと。それよりシステムやゲーム進行は手堅くじゃないですけど,ゲームをプレイした人に「ああ,こういうゲームなんだ」って分かってもらえて,多くの人が安心してゲームを楽しめるものがいいなあと思っています。

4Gamer:
 ゲーム進行は馴染み深く遊びやすく,目黒さんのゲームらしさとか個性みたいなところは,物語やビジュアル,音楽とかそういったところで楽しんでもらうと。具体的にはどんなゲーム進行で,プレイ時間はどれくらいになる想定なんでしょうか。

目黒氏:
 ベースとなるアジトには普段の生活があり,アイテムを調達するショッピングモールや,ちょっと遊びの要素として釣りができる場所もあって。そこにはコミュみたいな感じで仲間との交流がある。フィールドで探索やバトルをして攻略して戻ってきたらまたベースで過ごす,みたいな流れですね。
 バトルは,敵とエンカウントしたら,障害物に隠れながら近づいていき,銃でアタックを仕掛けるというのが特徴なんですが,バトル自体は「通常攻撃」「スキル」「アイテムを使う」みたいな,皆さんお馴染みのコマンドRPGの定番みたいになっています。想定しているプレイ時間としては20時間くらいですね。

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4Gamer:
 コミュのようなものがあると聞いて,アジトでできることが気になるのですが,こんなことがやりたいとかはありますか?

目黒氏:
 釣りをもっと凝ったゲームにしたいっていうのがありますね。いまのところ竿を振って仕掛けを投げ込んで,あたりを合わせて釣り上げるっていうシンプルな作りなんですが,もっとルアーのカスタマイズみたいな要素を入れたり,ゲーム性を高められるといいなあと。

4Gamer:
 5年前に「真・女神転生」シリーズ25周年企画でサウンドチームにお話をうかがったとき(関連記事),アトラスサウンドチームの小西利樹さんが目黒さんの釣りへのこだわりや愛情を話していらっしゃったんですが,やはり釣りへのこだわりは強いと。

目黒氏:
 ああ,そんな話をしましたね(笑)。釣りのモードはストレッチゴールの結果次第でもあるんですが,そうですね。僕の趣味と言えるものなので,そこはできるならこだわりたいなあと思います。

4Gamer:
 こういう要素を追加したいとかはありますか。

目黒氏:
 拠点でっていうと,核戦争後の荒廃したポストアポカリプスの世界の日常感みたいなところは,これからちゃんとやらなくちゃいけないんですよね。ペルソナって,高校生たちの日常があの街の探索要素に集約されているじゃないですか。ああいうふうに,荒廃した世界だけど暗くなりすぎないよう,過酷な世界だけど頑張って生きている人たちの日常が出せるといいなと思っています。
 ……ああ,ペルソナは例に出さなきゃよかったかなあ。自分で勝手にすごくハードル上げちゃっている気がする(笑)。

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4Gamer:
 (笑)。ところで,目黒さんと言えばやはり音楽の話は欠かせないですが,音楽はどれくらいできていますか。

目黒氏:
 1曲,いや1.5曲という感じですね。というのも,楽曲は後に回しているんです。自分で作ったゲームの音楽だから,ゲームを作りながら「このシーンならこういう感じだな」ってイメージして,ゲームがある程度仕上がったらそれを形にしようと。

4Gamer:
 どんなジャンルの楽曲になりそうといった,イメージはできていますか。

目黒氏:
 オルタナティヴロック系のイメージはあるんですが,それだけじゃなくて。あまりジャンルとかは決めず場面によってそれにあったテイストの曲にしようとか,いろいろなアーティストに参加してもらいたいとか考えていますね。

4Gamer:
 作詞でペルソナの楽曲でもお馴染みのLotus Juiceさん(ペルソナファンから“アニキ”の愛称で親しまれているアーティスト)が参加しているので,Lotusさんのラップが入った曲があると嬉しいです。

目黒氏:
 ああ,そうですね,ラップ。本当だ。Lotusさんと言えばなのに,それ考えていなかったなあ(笑)。

4Gamer:
 先ほどポストアポカリプスの世界の日常感みたいな話ありましたが,廃墟みたいな一角にたむろしているストリートキッド……みたいな場面に,フリーキーな感じのLotusさんのラップ曲とかあると面白そうだなと。

目黒氏:
 なるほど。ちょっとそれ,参考にさせてもらおうかなあ(笑)。

4Gamer:
 (笑)。あらためて,今実施されているクラウドファンディングの話をしたいのですが,支援で得た資金はどういったことに活用したいと考えていますか?

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 「ペルソナ」「真・女神転生」シリーズの作曲家として知られる目黒将司氏は本日,自身のオリジナルRPG「Guns Undarkness」クラウドファンディングを,Kickstarterで2022年9月12日に開始すると発表した。本作は,アトラスを離れた目黒氏が正式に手がける初のプロジェクトだ。

[2022/09/10 01:00]

目黒氏:
 ストレッチゴールにもあるんですが,フィールドやライティング,エフェクトなどは,仕上げとして外部の会社を入れてクオリティを高めたいなと思っています。とくにラストですね。僕だけの力でどこまで要素を落とし込めるのかってところもあって,ここはできれば外注さんに力を借りたいなと。

4Gamer:
 では,最後に読者にメッセージをお願いします。

目黒氏:
 まず,すでに発表はしていますが,来年(2023年)の年末の12月のリリースに向けて粛々と作業を進めていて,着々と順調にゲームができていますと伝えたいです。
 そして,すでにたくさんの支援をもらえていて,本当に嬉しいです。支援金はもちろん大事なんですが,日本に限らず世界中のバッカーの皆さんから意見をもらえていてることがありがたいです。それも本当にクラウドファンディングをした目的でもあるんですね。
 そういった声に応えてしっかりゲームを磨いていって,皆さんの手に届けたいと思います。過度な期待をしないでっていうと怒られてしまいますが(笑),期待して楽しみに待っていてください。ありがとうございました。



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