プレイレポート
楢村 匠氏の新作「ツクールシリーズ MEDIUM-NAUT」プレイレポート。死者の声を聞きながら,墜落した宇宙船で起きた事件を解き明かそう
本作は,霊媒師の主人公が乗組員の魂とコミュニケーションを取りながら,宇宙開拓船内で起きた事件を調査していくSFホラーアクション。名作インディーズゲーム「LA-MULANA」の制作者である楢村 匠氏が,「アクションゲームツクールMV」を用いて1人で開発をしている。
今回は,そんな本作のPC版を発売前に触れる機会を得たので,プレイレポートをお届けしよう。
SFとオカルトが交差する奇妙な世界観。そして何度も迫られる重要な選択
本作の舞台は,未開拓星に墜落した宇宙開拓船オストラシーダ号だ。当初は,調査団による生存者救出が試みられたが,霊的な現象によって船内に入れない事態が起きていた。そこで,霊媒師である主人公ユーミ・キサラに調査の依頼がきたというわけだ。
本作の世界では,現実同様に幽霊などが科学的に証明されているわけではなく,霊媒師は怪しい存在として認識されているようだ。依頼主もユーミ対して不信感を抱いているので,本来ならばこのような調査に霊媒師の出番はないのだろう。
難なく船内に入れたユーミだが,気が付けば入口は塞がれ,脱出できなくなっている。しかも船内には,こちらに危害を加えてくるさまざまな生物や“霊的な何か”が待ち受けているのだ。そのような過酷な状況下で,乗組員のIDチップの回収と船内調査を行わなければならない。
本作において,本作において重要になるのは,船内の地形を覚えることだ。ユーミが持っているマップ画面はあくまで墜落前のもので,船内は墜落の影響で地形が変化しているため,マッピングをしながら探索をする必要がある。
霊媒師のユーミは,乗組員の魂に話しかけて重要な情報を引き出したり,遺体に祈りを捧げてIDチップを拾ったりできる。また,魂の中には取引を持ち掛けてくる者もおり,これに応じることで,ユーミの最大HPと引き換えに武器や装備を手に入れたり,船内の環境を変化させたりできる。
魂との取引は,一見すると有益なものばかりだが,取引に応じてばかりだと敵に1発で倒されるほど最大HPが減ってしまう。プレイヤーは,「これは本当に必要なものなのだろうか?」と思案しながら取引を行う必要がある。
筆者は,初回プレイ時にすべての取引に応じたことで最大HPが激減し,ゲームの難度をグンと上げてしまった。ただ,その失敗のおかげで,乗組員の魂との取引の際に会話をちゃんと聞くのが重要だと理解したし,武器や装備などの能力も把握できた。魂との取引がどれだけシビアなのかを確認するために,初回プレイではあえて失敗してみるのもいいかもしれない。
ちなみに船内には,最大HPを向上させるアイテムがいくつかあるので,それらを収集すれば取引のコストをカバーできるはずだ。
船内で乗組員のIDチップを回収すると,持ち主のプライベートルームに入ることができる。ルームの中には,乗組員の日誌が記録された情報端末が置かれていることがあり,それらを調べると,事件の詳細が分かるようになっている。
また,各パブリックターミナルにあるセーブポイントを調べると入手できる「サイモン博士のレポート」でも事件について記されている。じっくり目を通して,事件の全貌に迫っていこう。
徐々に明らかになっていく世界観や事件の全貌。真のエンディングを目指してすべての謎を解き明かそう
バトルの難度はやや控えめな印象を受けた。どの敵も行動パターンさえ分かれば簡単に倒せるし,そもそも安全な距離を取って攻撃すれば,ノーダメージで倒せることが多い。各所に出現するボスの攻撃もそこまで激しくはなく,初見でもほとんど苦戦することはなかった。とはいえ,数で圧倒されることも多々あったので,油断は禁物だ。
最初のうちは,マップ画面で現在地が表示されないこともあり,かなり迷ったが,探索していくうちに,船内の地形やゲームの世界観,墜落事件の全貌,乗組員の人間関係などが分かっていく。そうなると本作は,加速度的に面白くなる。
一方,プレイしていて不満を感じたのは,ハシゴを使って高所から下る際の操作性だ。少しでも適切な位置がズレると降りることができない。ハシゴを降りられず,まごついていると,敵に不意打ちを食らうこともあった。
筆者は,オストラシーダ号からの脱出に成功した……が,船内の謎をすべて解き明かすまでには至らなかった。本作には通常のエンディング以外にも,真実を解明することで見られる真のエンディングがあるようだ。
これからリトライを重ねて,武器や装備などを入手する適切な順番を考えたり,すべてのIDチップを収集したりと,自分なりの攻略方法を編み出しながら手探りで真のエンディングを見つけることになりそうだ。
探索要素の面白さは,楢村氏が手掛けた「LA-MULANA」にも一部共通するところがあり,同作のファンはもちろん,探索アクションが好きな人にも楽しめるはずだ。興味を持った人はぜひプレイしてみてほしい。
「アクションゲームツクールMV」公式サイト
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