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「THE FINALS」プレイヤー主体のコミュニティ大会はどこか懐かしくもあり,“あの”楽しさをあらためて確認できるイベントだった
このイベントは,事前の申し込みを行った約30名のプレイヤーが3チームに分かれ,3種のルール,計7試合で獲得したポイントを競う参加費無料のコミュニティ大会だ。優勝チームにはオリジナルパーカー,各試合のトップチームにはギフト券が贈られる。
さらに,参加者全員にもイベント限定グッズがプレゼントされるという大盤振る舞いだったが,注目すべきポイントはコロナ禍以降,その開催数が少なくなっていた「プレイヤー主体のコミュニティイベント」であることだろう。
昨今,シューターシーンのオフラインイベントと言えば,やはりプロゲーマーやストリーマーの試合を観戦・応援するイベントのイメージが強く,プレイヤー自身が主役となるイベントは,どうにも少ない印象を受ける。
プレイヤーがゲームをプレイし,みんなで大いに盛り上がる。「昔はこういうの,よくあったなあ」と思わされるイベントが開催されたことに,“イケイケゲーマー”から“お兄さんゲーマー”に片足を突っ込んでいる筆者としては感慨深いものがあった。こういうイベント,楽しかったよね。
というわけで,どこか懐かしくもあり,ある意味では新風を吹き込むようなイベントの模様をお伝えしたい。
「THE FINALS」公式サイト
シーソーゲームが繰り広げられ,盛り上がった全7戦
イベントはチーム振り分けと作戦会議から始まった。各チームは約10名ずつの構成となったが,外国籍の方から6歳のお子さんとそのご家族まで,かなり幅広い顔ぶれだ。それにしても6歳とは,FPSの英才教育にもほどがある。将来がとても楽しみだ。
3チームの名称には,ゲーム内に登場する架空の企業スポンサー「ENGIMO」「ISEUL-T」「HOLTOW」が冠されており,大会の雰囲気作りに一役買っていた。なお,運営側によると,特定のチームが強くなりすぎないように編成時の戦力バランスには非常に気を配ったそうだ。
全7試合のうち,全プレイヤーが1試合は参加しなければならなかったり,ゲーム内のランクに応じて出場試合が制限されていたりと,各チームのバランスを考慮した進行だった点も好印象。和気あいあいとプレイできる環境を重視していたことがうかがえる。
全体の進行も非常にスムーズだった。長年,オンラインゲームのサービスを手がけているネクソンの手腕をひしひしと感じる。
大会は3チームが拮抗するシーソーゲームになった。どこかがポイントを重ねれば,直後にどこかが追い上げるため,非常に見ごたえのある展開だ。取材目的の筆者が楽しかったのだから,参加者はなおさらだろう。試合を重ねるにつれて,次第にチームの結束が生まれていったようだ。
参加者には各チームのロゴ入りペンライトが配布されており,それを手にした応援も熱を増していく。最初こそ,ファインプレイが飛び出した時や試合終了時に軽く歓声が聞こえるくらいだったが,どんどん盛り上がり,気づけば大歓声が飛び交っていた。まさにオフラインコミュニティイベントの醍醐味を感じる瞬間だ。
試合間のインターバルでは,直前の試合を振り返ったり,本作の話題で盛り上がったりとアイスブレイクは無事に果たされていた。イベントの参加資格には「一緒にプレイする仲間を見つけたい方・もっと仲間と仲良くなりたい方」と記載されていたが,こうした熱い心を持ったプレイヤーが集結していたようだ。
笑いあり歓声ありのデッドヒートが繰り広げられ,迎えた最終試合は対戦する2チームが奇しくも同ポイントで並んでいた。この試合を制したチームが優勝となる,なんとも手に汗握る展開だ。
勝利の女神はどちらに微笑んでもおかしくなかったが,常にディフェンシブな姿勢で身を固め,終始優勢に試合を進めた「HOLTOW」に軍配が上がり,会場は大きな歓声に包まれた。
大会終了後,アフターパーティーが行われた。ほとんどの参加者がそのままパーティーにも参加し,ふるまわれた軽食やドリンクを片手に大会を振り返ったり,記念撮影をしたり,一緒にプレイする約束をしたりしていたようだ。
他愛もない話が聞こえるようになったのも,このあたりからだった。初対面の人と他愛もない話をするのは,いささかハードルが高いものだが,一緒にゲームをプレイしたことで仲間との距離感がグッと縮まったのだろう。
筆者はパーティーの途中で会場を離れたが,その後も温かい雰囲気が続いたことは想像に難くない。参加したプレイヤーの記憶にしっかり残る,素晴らしいイベントだったはずだ。
プレイヤー主体のコミュニティイベントの意義
ここからは,今回の取材を通じてコミュニティイベントの意義を総括したい。
まず第一に思ったのは「やっぱりプレイヤーが主役のオフラインイベントはいいなあ」ということだ。
コロナ禍は人々の日常に多大な変化をもたらしたが,ゲームシーンも例外ではなかった。
近年,プレイヤーとしての楽しさだけでなく,試合を観戦したり,応援したりする文化が広まっているが,あまり大規模ではないコミュニティ系のオフラインイベントが数を減らしたのも事実だ。
本稿の冒頭,「『昔はこういうの,よくあったなあ』と思わされるイベント」と述べているが,数十人の規模感で初対面のプレイヤーが交流を図り,一緒にゲームをプレイして盛り上がるスタイルを「懐かしい」と感じるプレイヤー,「新しい」と感じるプレイヤーに分かれているのではないだろうか。
実際,数人の参加者に感想を尋ねてみたところ,「“やっぱり”こういうイベントはいいですね」と「こういうイベント“も”いいですね」という声に分かれていた。
今回,こうしたイベントが開催されたことで,楽しさを再確認する人もいれば,新たな楽しさを知る人もいる。ここ数年,仕事柄とはいえ「ゲームのオフラインイベント=大きな箱(会場)で行われる大規模イベント」という印象が固まっていた。
それが「オフイベって,いろいろあるよね。あっていいよね」と,あらためて気づかされたようで非常に貴重な機会だった。
イベントの話に戻すと,今回の会場は東京だったため,参加できなかった人もいるだろう。個人的にはぜひ場所を変えて第2回以降の開催してほしいと思うし,コミュニティイベントならではの楽しさを多くの人に知ってほしいし,思い出してほしい。
ゲームメーカーには今回のようなイベントを再びやってほしいと強く感じた。ゲームは楽しい。その楽しさの幅を広げることは,どのゲームであっても,きっとプレイヤーなら誰でも歓迎するはずだ。
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