プレイレポート
[プレイレポ]「Fate/Samurai Remnant」は“はじめての聖杯戦争”にピッタリ。アクションも育成も戦略シムも楽しめる欲張りなタイトルだ
本作は,江戸初期の日本で巻き起こった聖杯戦争「盈月の儀」を描く「Fate」シリーズの最新作だ。宮本武蔵の弟子にして養子でありながら,奥義を受け継ぐ前に父を失ってしまった剣士「宮本伊織」を主人公に据え,セイバーのマスターとして聖杯戦争に挑む物語が描かれる。
今回は製品版のゲーム序盤をプレイする機会を得たので,さっそくレポートをお届けしよう。
「Fate/Samurai Remnant」公式サイト
Fateシリーズ初心者でも安心。江戸探訪を楽しみながら,新たな聖杯戦争を勝ち抜こう!
新たな聖杯戦争の物語は,江戸の浅草から始まる。二天一流の奥義を受け継ぐ機会を失った主人公・宮本伊織は,浪人として貧しいながらも平穏に暮らしていた。
ある夜,伊織が住む長屋が謎の刺客に襲撃される。殺気を感じた伊織は素早くその場を離れるものの,圧倒的な力を持つ漆黒の鎧武者に圧倒されてしまう。
命運尽きたかと思われたそのとき,波打つ刃を持つ謎の剣士が伊織の窮地を救う。セイバーを名乗るその剣士は,鎧武者と人知を超えた戦いを繰り広げ,その戦いは第三勢力を含む乱戦に発展する。そして,戦いが終わる頃には浅草の街が半壊していた――。
後日,伊織は聖杯戦争「盈月の儀」の存在を初めて知る。選ばれた7人の魔術師(マスター)が,それぞれ1騎の英霊(サーヴァント)と協力して戦い,生き残った1組だけが最後に“願い”を叶えられるという。
局地戦ですら甚大な被害をもたらすサーヴァントたちの戦いを放置すれば,多くの民衆が犠牲になる。そう考えた伊織は「人の道に反する行い」を止めるため,セイバーと共に盈月の儀に挑むことにする。
宮本伊織はなかなか珍しいスタイルの主人公だ。いわゆる愚直な正義漢でもなければ,利己的な冷血漢でもない。利他的であるが,あまりに自己犠牲的すぎるわけでもない。自他の力量に対する判断も正確であり,嫌味な部分がない清涼感のあるキャラクターだ。
対する相棒のセイバーは力を絶対視している様子。弱肉強食的な考えが根源的にあるようだ。基本的な礼儀作法は整っているものの,ところどころで危なっかしい発言が見られる。
人間離れしたセイバーの力量を素直に認めつつ,(江戸時代の観点から)時代離れした振る舞いに振り回される伊織の姿は,見ていてなかなか楽しい。互いにクセはあるが,デフォルメされすぎていない性格のバディものといった雰囲気がある。
本作のストーリー要素から強く感じられたのは,「きちんと独立した作品として成立させる」という意識だ。前述の通り,本作はFateシリーズの最新作にあたるが,聖杯戦争のルールや仕組みは分かりやくストーリーに織り込まれ,物語を理解するのに旧作の知識を必要としない。
一方で,物語の理解に直接関わらない部分では,シリーズ作品のオマージュがたくさん取り込まれている。例えば,セイバーの登場シーンが「Fate/stay night」を再現していたり,セイバーが盈月の儀のルールを説明するシーンはアニメ版「Fate/Zero」を意識した演出だったりするのだ。
そうしたファン向けの要素は,あくまで「知ってる人は気付く」程度の範囲に留まるようだ。初見の人には一つの演出として,シリーズファンはニヤリとできるシーンとして楽しめるだろう。
ストーリーは章立てで進行し,浅草を中心にしてさまざまな町へと足を運べる。町では戦闘中に使用できる回復アイテムや,拠点を強化できる素材などを入手でき,報酬を得られるクエストも受諾できる。
探索の中で面白かったのは,当時の江戸文化をセイバーの反応と,伊織の解説を通じて学べる点だ。セイバーはかなり昔の時代から喚ばれた英霊らしく,町を歩いていると目新しいものを見つけては伊織に質問を投げかける。
そこらじゅうを歩き回っているだけで「意外と知らない江戸時代の生活」が垣間見えるため,それを探すだけでも楽しくなる。ついでに落ちているアイテムを拾ったり,探索中に出現する怪異と戦ったりすれば,成長にもつながる。新しい町に行けるようになったら,積極的に探索したくなるはずだ。
状況判断能力が問われるバトルシーン。「残光」の存在が命運を分ける
バトルの基本操作は「無双」シリーズから受け継がれており,素早い通常攻撃と,威力や効果範囲に優れる強攻撃の組み合わせによって,多彩なアクションを手軽に繰り出せる。
伊織は「型」を切り替えることでバトルスタイルを変更可能だ。さらに「共鳴ゲージ」を消費してセイバーの力を借りた技を繰り出したり,一時的にセイバーと交代して戦ったりできる。基本的に伊織よりサーヴァントの方が強いので,それを前提に戦略を組み立てるシステムとなっている。
なお,バトルの基本システムは先日掲載の「体験版プレイレポート」で詳しく紹介している。ぜひ参考にしてほしい。本稿では,新たに判明したシステムのプレイフィールを中心にお届けする。
[プレイレポ]「Fate/Samurai Remnant」は地に足ついた人間達と,反則級のサーヴァント達との対比が「強さ」を引き立たせる
コーエーテクモゲームスがリリースを予定している新作アクションRPG「Fate/Samurai Remnant」。今回,海外のイベント「Anime Expo 2023」に出展された体験版をプレイする機会を得たので,プレイレポートをお届けしよう。
体験版には存在しなかった要素は,特定の型で長時間戦っていると発動する「残光」と呼ばれるシステムだ。残光が発生した状態で型を切り替えると,直前の型に応じた特殊効果を得られる。
発動する特殊効果はそこそこ強力なので,残光が現れるたびに型を切り替えて戦うだけでも有利に立ち回れる。「特定の状況下では,特定の型に切り替える動き」が常に正解とは限らないため,状況に応じた型の使い分けが大事になったのは面白い。
一方で敵も強化されており,赤いオーラをまとう準備状態を経由して「強力な攻撃」を放ってくる。発動前に強攻撃を当てれば攻撃を中断させられるが,リスクもある。確実に止められるように,敵の行動をよく見て使う技を決めよう。
なお,体験版では攻撃範囲が広く,敵の拘束時間が長い技を振り回すのが有効だったが,考えなしにモーションの長い攻撃を使うと,赤いオーラに対応できない可能性が生まれる。大群との戦いにおいても「小技で様子を見ながら,敵の攻撃を止めてから隙を見て大技を放つ」といった動きが意味を成すように調整されており,個人的に歓迎したいところだ。
一方,ロックオンの操作には少々慣れが必要だと感じた。「とりあえずロックオン」という感覚で戦うと,視界から外れる敵が出てしまうため,定期的にロックオンを外して周囲を見回す必要がある。初期設定のカメラ操作スピードは遅めだったが,設定で速度を調整したらだいぶ快適になった。
レベルが上がるとステータスの向上だけでなく,スキルツリーの開放に使用できるポイントを獲得できる |
伊織の刀を強化できるアイテムを敵が落とすこともある。追加効果が付与される場合があり,グラフィックスにも反映されるので,手に入れたらチェックしよう |
ボードゲーム的な楽しさが詰まった,戦略シム風の陣取り合戦「霊地争奪」
大きな都市のある場所は,力が噴出する「霊地」と呼ばれている。この地を掌握すれば,ステータスに大きなバフを受けられるため,サーヴァント同士の戦いを有利に進めるには,霊地をいかに獲得するかが大切だ。
そうした霊地の奪い合いを表現しているのが,これまた体験版にはなかった「霊地争奪」である。霊地は伊織たちが拠点としている浅草から,霊脈と呼ばれる線でつながっている。戦略シミュレーションゲームの駒のように霊脈を辿り,徐々に霊地を占領していこう。
占領の手順は簡単だ。誰もいない霊地に足を踏み入れれば,自動的に占領したことになる。もちろん,敵がいる霊地に入ると戦闘になるが,それまでにできるだけ多くの霊地を占領しておきたいところだ。
ただし,霊地争奪には制限時間が設けられており,勝利条件を達成しないまま制限時間を迎えると敗北となる。また,拠点の浅草から現在地につながる霊脈を敵に寸断されてしまった場合も即座に敗北となり,「常にすべての霊地を埋めてから戦う」といったことは難しい。
そこで覚えておきたい戦略が,敵が利用している霊脈を寸断すること。敵も伊織たちと同じく拠点と霊脈でつながっているので,その間を潰してしまえば戦わずして撃破できる。敵を追わなくていいことから移動回数を節約できるだけでなく,きちんと経験値などの報酬も得られるのが嬉しい。
周囲の霊地をすべて占領すれば,その内側の霊地も自動的に占領できる。これを活用して手数を減らしたい |
霊地争奪の終了時,占領した霊地の数に応じた報酬が得られる。余裕があれば,勝利条件を満たす前に占領範囲を広げておこう |
ゲームが進行すると,共鳴ゲージを使ってセイバーに敵を撃破してもらったり,ドロップした「援護礼装」を用いてワープをしたりといったアクションが少しずつ増えていく。
また,霊地に紐づいた“逸れ”のサーヴァントと協力関係にある場合,そこに移動したときに助けを得られることも。今回は上野に拠点を置く「タマモアリア」と協力することで,制限時間を延ばしてもらえた。
さまざまなアクションの利点を生かし,最大限の報酬を得ながら,勝利条件を満たす最善の一手を考える。霊地争奪にはボードゲーム的な楽しさがある。失敗してもすぐにリトライできるので,慣れるまで何度も挑戦して勘どころを押さえよう。
体験版をプレイしたときは「無双アクションをFate風にアレンジしたゲーム」という印象が強かったが,今回は序盤とはいえじっくりと遊んだ結果,ストーリーやRPG要素もかなり骨太であり,「独立したFateシリーズの新作」として楽しめる作品だと感じた。
戦略シミュレーション風の霊地争奪には,原作の雰囲気を残しながら新しい遊びに挑戦している姿勢を伝わってきた。ただ,今回はチュートリアルを兼ねていたためか,「勝利条件を満たすには明らかに行動回数が足りないが,行けるところまで行ってみるとイベントで状況が好転する」といった状況だったのは少し引っかかる。序盤以降では,しっかりと先を考えて手を打っていく戦略シムらしさが色濃くなっていると嬉しい。
いずれにせよ,とても意欲的であり,さまざまな楽しさが詰まったタイトルだと言えるだろう。繰り返しになるが,Fateシリーズを知らなくともに楽しめるうえ,独自色を出しつつも,シリーズの“お約束”でファンも楽しませてくれる。はじめての聖杯戦争を体験する作品を探している人には,とくに手にとってみてほしい。
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(C)TYPE-MOON/コーエーテクモゲームス All rights reserved. 制作協力 アニプレックス
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