コロプラのテクニカルデモ「PRINCIPLES」が本日配信。新境地を切り開く，フォトリアルなグラフィックスや立体音響に注目

　コロプラの新作アクションゲーム「PRINCIPLES（プリンシプルズ）」が，iOSとAndroid向けに本日（2023年1月24日），リリースされた。事前に情報が公開されることもなく，サプライズ的な登場となった同作だが，これは本作がテクニカルデモの側面を持つからだという。そのためプレイ時間は短めで，かつ価格も無料でダウンロードできるタイトルとなっている。


　しかし，コロプラのこれまでのタイトルとはひと味違う，フォトリアルな本作の映像表現には，同社が今後のアプリ開発に投入予定のさまざまな技術が用いられているとのこと。本稿では，そうしたグラフィックス面のこだわりにフォーカスを当てながら，レポートをお届けしてみたい。

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コロプラの開発技術が詰まったテクニカルデモ「PRINCIPLES」

　本作は明確なストーリーが用意されておらず，ゲームを開始すると，謎の古代遺跡に降り立ったところから唐突に操作が可能になる。三人称視点の3Dアクションということで，バーチャルパッドと画面のタップ，スワイプによるカメラ変更でゲームが進行していく仕組みだ。

洞窟に落下してしまった名もなき主人公。ランタンを手に洞窟を探索していく

洞窟の深部には，何者かの手による遺跡があった。電気も通っているようだ

　探検中に足を滑らせ，洞窟へと落ちてしまった冒険者（プレイヤー）。そこで謎めいた古代の遺跡を発見し，直感の赴くままに洞窟を探索する彼女だが，やがて青い光を放つガントレットを手に入れることに。それを使ってさらに深部に進むと，滝が流れる洞窟の外で3つの光が輝く扉のようなものを発見する……といったところで「To be continued」のメッセージが表示され，ゲームは終了となった。プレイ時間としては，長くても10分程度のものだが，この短いプレイの中に，さまざまな技術が駆使されている。

宝箱に収められた光を放つガントレット

ガントレットから衝撃波が放たれる

向こう側には怪しいタルが。ガントレットの力を使ってみよう

洞窟の外には明るい日が差す空間が広がっていた

光を放つ3つの意味深な扉（？）の意味とは……

　プレイしてまず目を惹くのは，そのフォトリアルなグラフィックスだ。コロプラといえば「白猫プロジェクト」（iOS / Android）や「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」（iOS / Android）といったアニメ調のグラフィックスの印象が強いが，本作はそれらとは一線を画す，リアルな表現がとられている。
　洞窟の岩肌や足元に転がる石や木の梁，繁る植物など，背景は極めて写実的で，映像を大画面に映しても遜色がない。ガントレットを手にした主人公が障害物を破壊したときは，壊れた物体の破片を物理演算でリアルタイムに表示しているそうだ。

リアルに表現された背景

破壊したオブジェクトは物理演算によって破片が飛散する

　加えて，洞窟を照らす光の演出にも注目したい。序盤で主人公が手にしているランプの光は，その足元にランプ本体の格子の影が落ち，それが主人公の動きに合わせて揺れる凝りようである。洞窟内部では，照明や外から差す明かりに，さらにガントレット自体の輝きも加わる。電極から飛び散るスパークなども見どころだろう。

光源の位置によって影はリアルタイムに表現される

　さらにもう一つのポイントがサウンドだ。本作にはBGMもあるが，それ以上に効果音が際立っている。移動時に主人公の足音や衣擦れの音が聞こえるのはもちろんのこと，特定の場所に近づくと水滴やスパーク，配管から噴き出す蒸気などの音が聞こえてくる。
　これらは立体音響で再生されていて，ヘッドホンなどの音を聴く環境を整えてプレイすれば，音で方向を認識することもできる。またサウンドデザインとしては，プレイヤーに進んで欲しい方向から音が聞こえるよう，調整されているとのことだった。

飛び散るスパークは音もリアルだ

　これらのグラフィックスや演出は，さまざまなDCC（Digital Content Creation）ツールを活用し，クオリティの高いデータを短時間で制作できる環境の元，制作されたという。またサウンドにおいては，ミドルウェア「Wwise」を使ったシステムで，洞窟の中で反響するリアルな音響を表現している。

　今回の体験会では，iPhone 13 Proでの試遊とともに，その6世代前となるiPhone 7で動く「PRINCIPLES」も遊ばせてもらったのだが，iPhone 7でもiPhone 13 Proで遊ぶのとほとんど変わらないプレイフィールが得られたことに驚かされた。現行の最新機種だけでなく，下位機種のスペックにも最適化される仕様だそうで，これより対応端末の幅が大きく広がっているとのことだった。

映像やサウンドは細かく設定可能で，スマートフォンのベンチマーク的な使い方もできそうだ

　コロプラでは，本作に投入された技術を今後のタイトルに活かすと同時に，これらを「COLOPL Creators」ブランドのSNSやブログ，講演などで積極的に発信していくという。すでに公開されている「COLOPL Creators Blog」では，その一部が掲載されているので，興味のある人はこの機会に覗いてみるといい。

ちなみに「PRINCIPLES」というタイトルは，「原理」や「法則」「仕組み」といった意味の「プリンシプル（Principle）」が元になっており，さまざまな試行錯誤を加えた結果として，複数形にしたとのことだった

　取材に応じてくれた開発陣によれば，本作はあくまで技術のアピールを目的としたものとのことで，チーム内では続編の話題も出るものの，目的がブレないよう，検討には慎重を期しているという。とはいえ，ゲーム中に見られる世界観の片鱗は想像力をかき立てられ，続きが気になる内容でもあった。技術的にも，まだ踏み込む余地が残っているとも話していたので，将来的にも楽しみなところだ。
　コロプラの最新技術と新境地を体験してみたい人は，ぜひ本作をダウンロードしてプレイしてみるといいだろう。

「PRINCIPLES」について解説してくれた，プロジェクトリーダーの秋友 覚氏（左）とリードエフェクトデザイナーの丸野未奈氏（右）

※画像は開発中のものも含みます。

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