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中東のパブリッシャが手がけるタイトルは,なぜか親しみやすくてノスタルジック? Red Dunes Gamesブースレポート[TGS2024]
中東では,サウジアラビアがゲーム産業に注力していることがよく知られているが,UAEでもゲーム産業の動きは活発だ。Red Dunes Gamesのほかにも,アブダビ市政府が設立したアブダビ・ゲーミングが,UAEに拠点を置く4スタジオのタイトルをTGS 2024に出展している。
UAEのパブリッシャが手がけるゲームとはどんなものなのか? 気になってRed Dunes Gamesのブースを覗いてみると,意外にも親近感や懐かしさを覚えるタイトルが揃っていたので,レポートしよう。
Black Finger JET
数多くの名作アクションシューティングを手がけてきたAkio氏やみいはあ氏らを擁するKOHACHI STUDIO開発の横スクロールアクションシューティングゲーム。2Dのキャラクターと3Dの背景が融合したグラフィックスが特徴となっている。
2024年7月にRed Dunes Gamesがパブリッシャとなることが明らかとなり,9月20日にはアクワイアの開発参加が発表された。
ブースには試遊台こそなかったが,TGS 2024に合わせて公開されたムービーが,ゲームの雰囲気や開発体制の一新を伝えていた。
ブースにいたKOHACHI STUDIOの石黒しなの氏に話を聞いたところ,Red Dunes Gamesがパブリッシャとなったことで開発メンバーも増え,アクワイアへ協力を仰ぐこともできたとのこと。
協力相手にアクワイアを選んだ理由は,主にグラフィックス面だったという。2Dと3Dが今ひとつ馴染まずに苦心していたため,「OCTOPATH TRAVELER」などで見事な2Dと3Dの融合を実現させたアクワイアの力を借りたいと思ったそうだ。
Port of Jumanah
Red Dunes Games内のスタジオが開発するタイトル。中東のゲームらしく,主人公のマンスールは砂漠の街にターバンを身に付けた姿で登場するが,本作は水中アドベンチャーゲームなので,船で海に出た後,すぐに海パン一丁の姿になってしまう。
今回の試遊版は,水中深く潜って財宝を探すというシンプルなもので,ドットグラフィックスと相まってファミコン向けタイトルの雰囲気が感じられたが,トレンドに合わせたローグライク要素も取り入れられる予定とのこと。
Nightmare Battler Zozo
夢の世界に閉じ込められた少年Zozoが主人公の2Dプラットフォーマー。ショットやボムが主な攻撃手段となるので,軽く試遊したところではロックマンの雰囲気だったが,新たなアイテムを入手することで探索エリアが広がるメトロイドヴァニアの要素も取り入れられている。
本作は,こちら(関連記事)で紹介したスマホ向けプラットフォームアクション「ゾゾの冒険!」を,インドネシアのデベロッパに委託してアレンジした作品とのこと。とは言え,世界設定やキャラクターは大きく異なるので,もはや別物と言っていいかもしれない。
Princess of the Water Lilies
手描き風のやわらかなグラフィックスと,主人公のかわいい猫が印象的なパズルアドベンチャー。1970年代から1990年代に日本で放映されたアニメ物語にインスピレーションを得た作品だそうだ。
この猫はカエルに育てられ,魔法の力を持っているという設定になっており,ゲーム中にも,カエルに物を届けると塞がれていた道が通れるようになったり,ツタにつかまり,スイングさせるという猫らしからぬアクションで足場に飛び移ったりといった感じでゲームが進んでいく。
今回の試遊では体験できなかったが,戦略が物を言うボス戦も用意されているとのことで,ただ可愛いだけのゲームではなさそうだ。
Blades of Mirage
東南アジア風の世界を舞台にした見下ろし型視点のアクションRPG。マップは複雑に入り組んでおり,閉ざされた扉を開けるため,離れた場所にあるスイッチを弓矢で作動させるといった,パズル的思考が必要になる。
また,戦闘もなかなかハードで,敵は2,3回攻撃をヒットさせただけでは倒れてくれず,回避アクションをしっかり使わないとこちらが倒れることになる。
Red Dunes Gamesの取材時,ブースにはCEOのSultan Al Darmaki氏,Chief Development OfficerのMohamed Al Jneibi氏,Head of OperationsのDave Audelo氏が姿を見せており,Audelo氏に短いながらも話を聞けた。
左からDave Audelo氏,Sultan Al Darmaki氏,Mohamed Al Jneibi氏 |
Audelo氏は,UAEを含む中東のゲーム人気が現時点でも高いことを説明したうえで,今後8年から10年の間は高い成長を続けるだろうと予測。今回の出展については,ドットグラフィックスを採用したノスタルジックなタイトルが多いこともあり,幅広い層からいい反応を得ていると語った。
出展タイトルのSteamストアページには日本語非対応となっているものが多いが,リリースに向けて対応を進めるともコメント。日本のプレイヤーに向けては「中東の小さな会社に注目してもらえて嬉しいです。今後さらに成長していく会社,産業だと思いますので楽しみにしてください」とのメッセージを残してくれた。
東京ゲームショウ2024公式サイト
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