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[TGS2023]「ODDADA」は,ローグライトなステージ型ミュージックシーケンサー? 自分だけの“ミニマルで大きな”音楽と世界を作り上げよう
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印刷2023/09/25 14:11

プレイレポート

[TGS2023]「ODDADA」は,ローグライトなステージ型ミュージックシーケンサー? 自分だけの“ミニマルで大きな”音楽と世界を作り上げよう

 だいぶ前すぎて思い出せないのだけれども,少なくとも1年は経っているだろう。なんとなく見つけた,「なんかおもちゃみたいな箱庭に家を乗っけたら,オルゴールみたいな音が鳴るゲーム,すてき」と思った作品があった。

画像集 No.002のサムネイル画像 / [TGS2023]「ODDADA」は,ローグライトなステージ型ミュージックシーケンサー? 自分だけの“ミニマルで大きな”音楽と世界を作り上げよう

 「なんだったっけなあ」と思うこともなくときは流れ,東京ゲームショウ2023の取材準備のためにTGS2023公式サイトの「selected Inside 80」のラインナップをを眺めていたときである。

 あれっ,これじゃないかな――見つけました,「ODDADA」。そうそう,これだっ。


手前がアート制作とプログラミングを担当したSven Ahlgrimm氏,その後ろでピースをしているのが音作りを担当したMathilde Hoffmann氏
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 「ODDADA」は,ドイツのインディーゲーム開発者であるSven Ahlgrimm氏とMathilde Hoffmann氏が手掛ける“ローグライト音楽制作ゲーム”だ。
 と,まるで以前から知っていたような説明をしたけれど,これはTGS2023のSelected Inside 80コーナーでお会いしたときに「えっ,2人で作っているんですか?」と聞いて知ったことで,Ahlgrimm氏は主にアート制作とプログラミングを,Hoffmann氏は音作りの担当である。ちなみにHoffmann氏は,ミュージックデザイナーとして「Unrailed!」などのゲームのサウンドにも関わっているそうだ。

 そんな2人が制作する「ODDADA」は,最初に「オルゴールみたいな音が鳴るゲーム,すてき」と伝えたが,実際に触れてみたらまったく違った。それはネガティブな意味ではなく,「えっ,こんなん一生遊べる音楽制作ツールじゃん!」という衝撃を受けての感想である。

 ゲームの流れを簡単に紹介すると,おもちゃ風の箱庭,ビル,トイピアノといった6つのステージで,それぞれ異なる動きや機能を持つステージに,箱庭やビルであれば建物,トイピアノであればアヒルの顔といったモノを乗せてループするメロディを制作していく。と言っても言葉で説明は難しいので,こちらの動画をご覧いただきたい。


 どうです? 分かってもらえただろうか。このように,“どのモノを置くか,どこに置くか”でリズムや音の高低が変化し,さらにステージ自体のモノを伸ばしたり縮めたりすることでも音の高低や強弱を変えられる。
 これが恐ろしくハマる。「ここが気になっていじったら,今度はあっちにアクセントがほしくなったぞ」「いま音(ブロック)一つ足したことで,ループのつながりがちょっと好きじゃないほうにいったなあ」なんて思いながらずっと調整し続けてしまう。抜け出せない。

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 そうやって作ったメロディは,プレイヤーの任意で完了させて次のステージ(メロディ作り)に移れる。なお,“音の部品”は全部使う必要はない。例えば箱庭だと,ステージの周囲にたくさん家や四角いブロックが散らばっているのだが,乗せられるだけ乗せて重ねたり横にずらっと並べたりもできるものの,ホントにわずかな音数に絞るのもぜんぜんありだ。

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 できあがったメロディはおもちゃの機関車に積まれていき,以降のステージではそれを再生しながらメロディ作りもできる。できているものすべてを鳴らして全体の仕上がりをみながら制作してもいいし,特定のメロディだけ鳴らして今作っているものとの相性を確かめてもいい。全部が仕上がるまであえて聴かないなんてこともできそうだ。

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 こうしてメロディを作っていくと,一つ気がついたことがあった。それは,「これ,ループベースのミュージックシーケンサーじゃん!」ということ。
 音を鳴らすためにステージ内の任意の場所にモノを置くのはノートの入力で,再生せずにモノを置くのはステップ入力,ほかのパートを鳴らしながらメロディを作るのはリアルタイム入力の感覚だ。筆者は普段からおもちゃ感覚でミュージックシーケンサーやドラムマシンをポチポチ打って遊んでいる(そういう人は少なくないはず)のだが,「エッ,コレって普段からやってる遊び…ってコト!?」と気がついたのである。

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 そして,ゲームとしても音楽ツールとしても新鮮だったのが,メロディ(パート)作りがステージで分かれているところ。クリアしたステージ(メロディを仕上げたパート)には戻れないことによって,ステージが進むたび「想像していなかった面白い音の鳴りかたができてる!」「うわぁー,この一音はちょっと違ったなあ……」みたいに一喜一憂できるのが楽しい。システムとして用意されているものというより,能動的にローグライト的楽しさが生みだせるという感覚で“ゲームを遊びながらの音楽作り”に没入できるのだ。

さらに,仕上がったサウンドに音を足したりピッチを変えたりして演奏できる。マイクがあるけど,外部音声も入れられるのだろうか(聞き忘れた)。なお,公式サイト(リンク)にはサウンドのサンプルがいくつか置いてある。好きが高じてロンドンとベルリンに渡った過去があるエレクトロっ子のテクノっ子な筆者にもろ刺さりです
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 そしてなにより素晴らしいのがビジュアルとサウンド。どちらもシンプルでポップ,温かみのある魅力にあふれており,この組み合わせによって生み出せるミニマルな音楽,そして“自分だけの,小さいけど大きな世界”は格別なものがある。

なお本作は,TGS2023に出展されているインディーゲームを対象に行われるアワード「センス・オブ・ワンダー ナイト 2023」にてBest Arts Awardを受賞している(関連記事)。納得である
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 仕上がった音楽でカセットテープを作って(もちろんゲーム内で)保存できるのもうれしく,そして音楽同様カセットテープのデザインもいろいろ凝ったものにできるのが,これまた時間泥棒な面白さがある。
 1人でもくもくと遊ぶだけではなく,何人かで集まって1つの音楽を作るのも楽しそうだし,仕上がった音楽を広い世界に発信するのもいいだろう。そういった様子をリアルタイムで楽しむゲーム配信なんかも盛り上がりそうだ。

カセット作りの画面。ツールがテクノ・エレクトロにゆかりのあるPocket Calculator(電卓)やTalking Whiz Kid Plus(子どもの教育向けのスペルマシン)みのあるデザインなところも好っき
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 試遊終了後には,「UNLOCK NEW TOOLS!」というメッセージとともに新しいおもちゃが表示された。今回の試遊で体験できたのは一部のステージで,ほかにもいろいろなおもちゃや音があるそうだ。

 そんな“ローグライトなステージ型ミュージックシーケンサー”である「ODDADA」は,PC向けに2023年内(Steamページでは“近日登場”)のリリースが予定されている(Macでも遊べる! うれしい!)。日本語にも対応予定とのことなので,ゲームファンはもちろん,音楽好きにも刺さる本作をぜひチェックしてほしい。

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「ODDADA」公式サイト

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