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Intel,デスクトップPC向け第14世代Coreプロセッサの「K」型番モデルを発表。最高のゲーム性能を謳う
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印刷2023/10/16 22:00

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Intel,デスクトップPC向け第14世代Coreプロセッサの「K」型番モデルを発表。最高のゲーム性能を謳う

 10月16日22:00,Intelは,開発コードネーム「Raptor Lake Refresh」と呼ばれてきたデスクトップPC向け第14世代Coreプロセッサを発表した。

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 コードネームから推測できるとおり,第14世代Coreプロセッサは,既存の第13世代Coreプロセッサ(開発コードネーム Raptor Lake)の「リフレッシュ版」で,アーキテクチャは現行の第13世代と変わらない。対応ソケットも既存のLGA 1700で,Intel 600シリーズおよびIntel 700シリーズチップセットを搭載するマザーボードで利用できる。

 9月に報じたとおり,Intelは2023年中に「過去40年で最大の変革」とアピールするノートPC向けの新CPU,開発コードネーム「Meteor Lake」を投入する予定だ。しかし,Meteor Lakeで導入される斬新なタイルアーキテクチャを使用したデスクトップPC向けのCPU製品が登場するのは,2024年中とも言われている。
 それに対してライバルのAMDは,アーキテクチャを刷新した「Zen 5」を用いる「Ryzen 8000」シリーズを,2023年末から2024年第1四半期に市場に投入する計画だ。Intelとしては,来るべき新世代Ryzenを迎え撃つ製品が必要であり,そのために登場したのが,今回のRaptor Lake Refreshと理解すればいいだろう。

 ただ,アーキテクチャの変更がないとはいえ,第14世代Coreプロセッサにはいくつかの新機軸が盛り込まれている。その特徴をまとめてみたい。


動作クロックの向上やCPUコアの追加で世界最高のゲーム性能をアピール


 まずは第14世代Coreプロセッサのラインナップを見ていこう。
 今回発表となったのは,CPUコアクロック倍率がアンロックされた,いわゆる「K」SKUの製品だ。Core i9,Core i7,Core i5の3ブランドそれぞれに,統合型グラフィックス機能(以下,統合GPU)を備える末尾「K」と,統合GPUを無効化した末尾「KF」の計6製品が発表となった()。

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 米国での予想実売価格は,第13世代Coreプロセッサのスタート価格とおおむね同程度だ。微妙に値上がりしている品目もあるが,基本的にスタート価格は据え置きという理解でいい。

第14世代Coreプロセッサの主な特徴を示したスライド
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 第13世代のK SKUと比べて,前世代との違いがもっとも目立つのは,ミドルハイ市場向けの「Core i7-14700K,KF」だ。現行の「Core i7-13700K,KF」は,8基のP-coreと8基のE-coreを備える16コアのCPUだが,Core i7-14700K,KFはE-coreが4基増えた計20コアのCPUへとパワーアップした。
 それにともない,対応スレッド数もCore i7-13700K,KFの24から,Core i7-14700Kでは28へと増加しており,P-coreとE-coreの最大クロックも200MHz高くなったので,前世代のCore i7に比べて,Core i7-14700K,KFは大きな性能向上が期待できそうだ。

 その一方で,最上位の「Core i9-14900K,KF」とエントリー市場向けの「Core i5-14600K,KF」は,前世代から動作クロックが100〜200MHzほど向上している程度で,前世代との目立つ違いは見られない。最上位のCore i9-14900K,KFは,P-coreの最大クロックが6GHzに達しているが,第13世代も「Core i9-13900KS」が6GHzに達していたので,特筆できる点と言うほどではない。

 ただ,クロックが向上しているものの,第14世代CoreプロセッサのTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は,第13世代の同級品と変わっていない点は評価できそうだ。
 メモリクロックも,公称値は第13世代と同じであるものの,Intelによると,第14世代では拡張メモリプロファイル「XMP」において,DDR5-8000までの動作が可能と謳っている。あくまでもXMPを使ったオーバークロックでの話なので,Intelが動作を保証しているわけではないが,メモリ周りのオーバークロック耐性は向上しているのだろう。

第14世代Coreプロセッサでは,XMPによりDDR5-8000までの動作が可能とIntelは謳う
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 動作クロックの向上により,Intelは,Core i9-14900Kを「世界最高のゲーム性能を持つCPU」と謳っている。ゲームで極めて高いフレームレートを叩き出すライバル「Ryzen 9 7950X3D」をも上回るゲーム性能を持つとIntelは主張しているのだが,Core i9-13900Kも極めて高いゲーム性能を持っているCPUで,その高クロック版となれば,Ryzen 9 7950X3Dに比肩する性能が得られても不思議ではない。

主要なゲーム25タイトルにおけるフルHD解像度でのフレームレート比較グラフ。Ryzen 9 7950X3Dを1としたグラフで,半数以上のタイトルでCore i9-14900Kが上回る
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「Starfield」など,6タイトルの99パーセンタイルフレームレートを,Ryzen 9 7950X3Dを基準として比較したスライド。AMDの3製品と比べて,ほとんどでCore i9-14900KがAMD製のCPUを上回る。つまり安定したフレームレートでゲームを楽しめると主張しているわけだ
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 ラインナップを眺めて見ると,第13世代Coreプロセッサと代わり映えしない,という印象を持つかもしれない。ただ,Intelによると,クロックの向上は製造プロセスの改良と最適化の結果とのことなので,多少の改良は行われていると理解していいだろう。


プラットフォームへの最適化でゲームの性能を大幅に向上?


 仕様上は第13世代Coreプロセッサとあまり代わり映えのしない第14世代Coreプロセッサだが,いくつかの新機軸が盛り込まれている。中でも興味深いのが「Intel Application Performance Optimization」(以下,APO)と呼ばれるゲーム性能を向上させる機能だ。

 Intelによると,APOは,「Intel Dynamic Tuning Technology」(以下,DTT)フレームワークに基づく最適化技術だという。DDTとは,ノートPC向のメーカー向けに提供されてきたもので,排熱システムなどのプラットフォーム固有の設計にアプリケーションの動作を最適化することで性能向上やバッテリ運用時間の向上を図る技術である。
 具体的には,ノートPCのメーカーが,DTTに基づくファームウェア(UEFI)とドライバを開発して製品にプリインストールする。するとDTTドライバがアプリの動作を監視しながら,ファームウェアと協調しながら,電力や熱の配分などの最適化をリアルタイムに行う仕組みだ。これによりノートPCではバッテリー駆動時間が向上したり,性能が向上したりすると期待できる。

 そのDTTを「ゲーム性能の向上に全振り」して,デスクトップPCに応用したのが,第14世代Coreプロセッサ向けのAPOと理解すればいいだろう。APOは,DTTをベースとして,ドライバソフトが実行中のゲームスレッドのスケジューリングなどを最適化することで,ゲームの高性能化を実現するとのことだった。
 DTTをベースにしているので,APOもまたファームウェアとDTTドライバによって性能向上を図る仕組みになっている。APOのファームウェアとDTTドライバを提供するのは,マザーボードメーカーやPCメーカーだ。

ASUSTeK Computer製のマザーボード「ROG MAXIMUS Z790 FORMULA」では,UEFI設定の「Advanced」にある「Thermal Configuration」に,APO関連の設定が組み込まれていた
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ASUS製マザーボードの場合,APO向けのDTTドライバがASUSが提供している
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 APOを利用するには,UFEI設定でAPOを有効化したうえでDTTドライバをインストールする必要があるが,これらを行っただけで,すべてのゲームで性能が向上するわけではない。Intelによると「APOの動作と効果を検証したゲームのみが,APOの対象リスト(ホワイトリスト)に組み込まれて効果を発揮する」そうだ。
 つまり,APOで性能が向上するのはAPO対応ゲームのみというわけだが,その効果はびっくりするほど高いようだ。Intelによると,APOがまず対応するのは「Rainbow Six Siege」と「Metro Exodus」の2タイトルとのこと。APOによって前者は約13%,後者は約16%もの性能向上が得られるというデータを,Intelは示している。

Rainbow Six SiegeとMetro Exodusは,APOによって性能が向上するとIntelはアピールしている
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 普通の手段で1割以上の性能向上を得るのは簡単ではないので,APOの効果がいかに高いかが分かるだろう。Intelによると,第14世代Coreプロセッサ発売後に,「Microsoft Store」を通じて,APOを対応ゲームごとに有効,無効を切り替えられるユーザーインタフェースアプリを提供する予定とのこと。無効にする意味は不明だが,予期せぬトラブルが発生したときに,ユーザーが対処できる意味があるのかもしれない。
 ちなみに,APOの対象アプリはゲームだけを予定しているそうだ。原理的にはさまざまなアプリで性能向上が可能そうではあるが,対象を拡大しすぎるとIntel側でAPOを検証する作業の負荷が高くなりすぎるだろうから,ゲーム専用に位置付けたのだろう。

 APOはなかなか興味深い機能ではあるが,第14世代Coreプロセッサのアピールポイントになるかというと,微妙かもしれない。APO対応ゲーム以外にはまったく意味がなく,先述の2タイトル以外のゲームが,いつAPOのホワイトリストに加わるかがはっきりしないからだ。APOの価値を左右するのは,Intelと,APOの開発や検証に協力しているというゲームデベロッパや,マザーボードメーカーといったパートナー各社の働き次第ということになりそうだ。


AIを使った自動オーバークロック「AI Assist」に対応


 もうひとつ,第14世代Coreプロセッサ専用の機能となるのが,Intel純正オーバークロックツール「Extreme Tuning Utility」(XTU)に実装される自動オーバークロック機能「AI Assist」である。IntelがCPU固有のオーバークロック時の挙動を学習させたAIモデルを使って,CPUに最適なオーバークロックを自動で行ってくれるという機能である。ユーザーにオーバークロック経験がなくても,AIが賢くオーバークロックを実行してくれるのだそうだ。

オーバークロックを学習したAIモデルを使って自動でオーバークロックを行うAI Assist
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XTUのAI Assist機能。「Characterize」をクリックすると,AIがCPU固有の特性を調べて最適なオーバークロック設定を行ってくれる
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 オーバークロックは,CPU個体ごとの特性が影響してくるので,設定を決めるのが面倒なものだが,それにAIを使うというアイデアはなかなか面白い。
 なお,XTUには以前から,「Intel Speed Optimizer」という自動オーバークロック機能があるが,AI Assistは,Intel Speed Optimizerに取って代わる機能ではないとのこと。というのも,AI Assistが対応できるCPUはかなり限定されているからだ。
 第14世代Coreプロセッサの発売時に,AI Assistが対応できるCPUは,Core i9-14900Kのみ。理由は簡単で,現時点でAIモデルが学習しているCPUがCore i9-14900Kだけだからだそうだ。Intelによると,モデルの学習にはかなり手間がかかるものの,「近日中に第14世代のアンロックモデル(※つまりK SKU)すべてにAI Assistの対応を拡大したい」とのこと。
 原理的には,AIモデルが学習しさえすれば,さまざまな世代のアンロック版CPUにAI Assistを適用できそうだが,第14世代Coreプロセッサ以外に,対応を拡大する予定はないようなので,専用機能となりそうだ。

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 第14世代Coreプロセッサの主だった特徴をざっくりとまとめてみた。第13世代のリフレッシュ版だけにインパクトにはかけるが,Intel 600シリーズおよび700シリーズチップセットを搭載するマザーボードなら,UEFIの更新だけで基本的には利用できるとIntelは述べている。Intelが主張するように最高のゲーム性能が得られるなら,対応マザーボードをすでに持っているゲーマーにとって貴重な製品になるかもしれない。実際の性能に期待しよう。

IntelのCoreプロセッサファミリー情報ページ

  • 関連タイトル:

    第14世代Core(Raptor Lake Refresh)

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