企画記事
「3分でイヤなことがどうでもよくなるゲーム特集」。バカとパズルのシンクロで,日常のストレスを溶かしちゃおう!
それは現代社会の大敵。憂鬱の源泉。万病の元。
社会情勢の不安に,なぜか大声あげて歩き回る近所のおじさんに,絶対に机の下に落としたはずなのに見当たらないシャーペン。
現代にはそういう,ストレスの種になるイヤなモノコトが多すぎる。ああもうイヤだ。こんな世界もうイヤでイヤでストレスで――。
じゃあもう,イヤなこととかどうでもよくなっちゃわない?
バカになって知的になって,頭を使ってどうでもよくならない?
というわけで今回は,「3分でイヤなことがどうでもよくなるゲーム特集」と題して,短時間のプレイでいろんなことがどうでもよくなりそうな体験を与えてくれる,愉快なゲームたちを紹介する。
正気を疑うものから,頭をひたすら動かすものまで。3分(くらい)で熱中できる新旧さまざまな6作品で,ストレスの波を受け流そう。
「McPixel」
メーカー:Sos Sosowski
発売年月:2012年9月26日〜
対応機種:PC / iOS / Android
残された時間は20秒。考えてるヒマはない。とにかく生きろ。
「McPixel」は,さまざまなステージで,制限時間内に爆弾を解除したり排除したりするゲームだ。その手段はなんだってアリ。導火線の火を消す,爆弾自体をどこかに運ぶなんてのは序の口で,宇宙人に食わせる,お小水をかけてみるなど,奇抜な方法も含めて爆弾をどうにかする。
ぶっちゃけバカゲーと言えばバカゲーだが,“シビアな制限時間内で柔軟な発想を問われる”というゲーム性はかなり深い。バカゲーなのに,いつのまにか真面目に解法を考えている自分が見えてくる。
そして真剣に考えた結果。
「ヨシ! たくさん水分あるから,おしっこで消火だっ!」
みたいな結論をスムーズに引き出せるようになったら,あなたも立派なMcPixelマンだ。ワンプレイのテンポがとてもいいので,最初はなにも考えずに頭からっぽでひたすらトライ&エラーするもよし。
なお続編の「McPixel3」は配信中だが,2は存在しない。なんで?
「Cats Organized Neatly」
メーカー:DU&I
発売年月:2020年10月13日
対応機種:PC
「Cats Organized Neatly」は,かわいいかわいい箱詰め系のパズルゲーム。プレイヤーは多種多様なネコ(キャッツ!)を回したり,移動させたりしてお部屋に敷き詰めていく。ただそれだけ。
柔らかなタッチで描かれたネコちゃんの種類は,ほそなが〜いネコや,おなかプニプニなネコなどたくさんだ。画面を操作せずに待っていると,ちょっとしたリアクションを見せてくれたり,「にゃーん」とか「ゴロゴロ」とか鳴いたりしてくれる。ああかわいい。とってもかわいい。
ネコのかわいらしさはもちろんだが,ゆったりとしたBGMもステキだ。ステージ数も全80と,長く楽しめるボリューム感である。
難度の感じ方は人それぞれだろうが,個人的には「ちょうどいい」といったところ。難しすぎもせず,簡単すぎもせず,いい塩梅のインテリジェンス。息抜きにプレイするのにぴったりな作品である。
古来より癒しと言ったらネコ。ネコと言ったら癒し。つまりストレス解消にはネコが一番。そういうこと。完璧な理論である。なんか明日がツラいなあ……と思ったら,知性的なキュートさに浸ろう。
「SUPER 56」
メーカー:WhisperGames
発売年月:2023年10月12日
対応機種:PC
「SUPER 56」は,全56ゲームを収録したミニゲーム集である。
それらの内容は「鳥になってたくさんの人の頭にフンを落とす」「乙女なおじさんになって車を破壊する」「年号発表で文字を掲げるアレをイイ感じに撮る」など,どっからどう見ても隙のないトンチキ of トンチキな仕立てだ。早い話,おバカなメイドイン的ゲームである。
特筆すべきは“すべてのゲームがワンボタンで操作できる”ところ。シチュエーションが意味不明なのに,誰でも直感的にプレイできる点が,ゲーム体験に奇妙な心地よさを生んでいる。
端的に「考えるな,感じろ」を地でいくタイトルと言えよう。
ちなみに本作のデベロッパであるOnion Soup Interactiveは,過去に「Nippon Marathon」という名のヤベぇゲームを世に送り出した。つまりはこのゲームもその系譜にあるのである。
本作には,同作のキャラクターたちも登場するので,ヤベぇゲームのファンは両作ともに遊んで悩みを溶かそう。
「Sliding」
メーカー:JJZ
発売年月:2023年10月18日
対応機種:PC
「Sliding」は,タイルを指定箇所までスライドさせるパズルゲーム。“納車ゲーム”だの“こおりジムのアレ”だのと言えば,ピンとくる人も多いだろう。物体がカベにぶつかるまで滑り続けるアレだ。
特色としては,タイルの動きが変化したり,タイルが別の場所にワープしたりするギミックの多彩さだ。頭を混乱させてくる仕掛けも多いが,うまく使えたときはとてもキモチィィ気分になれる。
ステージごとに提示される目標の「手数」もいい刺激だ。キレイに動かしてクリアしたはずでも「目標手数より2手多い!」といった場面に遭遇すると,ストレスとはまた別の悔しさがこみ上げる。
そういったことをいっさい気にせず,とにかくどんどん解いていくのもアリなので,お楽しみスパイスの味わい方はぜひお好みで。
画面全体がシンプルでミニマルなデザインで洗練されており,いい雰囲気を醸し出している本作。感覚が合ってきたのなら,ストレスの原因も最小構成に丸めてポーイっとできるようになるかも?
「ローション侍」
メーカー:Retsu Teikoku
発売年月:2020年6月4日
対応機種:PC
そろそろバカと知的のサンドウィッチで脳が負荷に耐えきれずストレスを追い出さざるを得ない体調になりそうだが,まだまだいこう。
「ローション侍」は,人体改造により全身からローションがあふれるようになった信長を操り,直立や歩行ができないぶん,壁を蹴って高速滑走しつつ,立ち塞がる忍者たちを刀で切り伏せて城から脱出するゲームだ。いろいろと濃密すぎて,瘴気がこみ上げてきそうである。
ゲーム的には,ステージ踏破型の2D見下ろしアクションゲームである。過去に,バラエティやYouTubeなんかでローションまみれで床を滑走するお笑い芸人を見たことがある人は,あれをそのまま刀を持った信長に置き換えるといい。このアハ体験だけでもストレスが飛ぶだろう。
ここまでの説明もそうだし,“ふんどし一丁で廊下を爆滑走する信長”という絵面も出オチ臭が強いものの,内容は練られている。
コースのひとつひとつは短いながらも,ギミックや経路,敵配置が凝っていて,アクションゲームとしての手応えは十分。タイムアタックに白熱するヌルついたファンも多数いるくらいだ。
ゲームのテンポもよく,SEも小気味よい。敵撃破時やギミック突破時に鳴るSEはとくにお気に入りで,遊んでいて爽快になれる。
なお,本作はギミックなどを多数進化させた「真・ローション侍」も配信されている。気になった人はこれらでヌルヌルしよう。
「Understand」
メーカー:Artless Games
発売年月:2020年10月31日〜
対応機種:PC / Switch
「Understand」は,〇や□などの複数マークをひと筆書きでつなぐパズルゲーム。ただし,全マークをつなげばクリアとはいかず。
「〇と□をつないで線を引く。その際,△は可だが,☆は不可」
「△から☆を通って〇につなぐ。ほかは通ってはならない」
などなど,ステージごとにクリア条件が設定されている。これにより,一辺倒な攻略とはいかないのが本作のおもしろいところだ。
各ステージには複数種のパズルが用意されており,プレイヤーはそれらを解いていく過程で,ステージごとに共通した解法を探っていく。しかし,クリア条件は“言語では説明されない”。
タイトル名にもある通り,解き方を感性で理解するのがキモだ。
……まあときおり「おちょくってんのかテメエ!」となるイジワルなステージも用意されているが,それはそれ。解けばスッキリ。
パズルを解きながらステージの解法を推測する一風変わったルールでのみ融解できる,凝り固まったストレスの対症療法にぜひ。
以上が「3分でイヤなことがどうでもよくなるゲーム特集」だ。
今回紹介したタイトルは,お手ごろ価格なものだけを見繕った。全購入でも約2500円。セール時期を狙えばもっと安くなるだろう。
デモ版でも構わないが,プレイ時はぜひとも革新的なバカゲーと知能的なパズルという,サウナもビックリな交互浴がおすすめだ。本当にすべてがどうでもよくなってくる,はず。そしてそれを乗り越えた先で,すべてを許せる自分になれる“ととのい”が感じられる,はず。
嫌気も多い現代社会。どうせならゲームで楽しく気分転換したい。イヤなことというのはだいたい,どうでもよくできてしまうものだ。
- 関連タイトル:
McPixel
- 関連タイトル:
Cats Organized Neatly
- 関連タイトル:
SUPER 56
- 関連タイトル:
Sliding
- 関連タイトル:
ローション侍
- 関連タイトル:
Understand
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