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[プレイレポ]汚染MAXで即終了。環境テーマの最新版「カタン エネルギー版」をゲームマーケット会場で遊んできた
Catan GmbHの開発による「カタン エネルギー版」は,21世紀のカタン島を発展させていくことを目的とした,シリーズのバリエーション作品だ。環境汚染問題をテーマとしており,資源に電気エネルギーが加わった代償として,電気を生み出す施設が環境汚染を引き起こすリスクがゲームに加えられた。プレイヤーたちは,この汚染が広がらないよう注意を払いながら,互いに島の覇権を争わなくてはならないのだ。
カタン最新作「CATAN - New Energies」が2024年春発売へ。エネルギー問題に直面した21世紀のカタン島を舞台にした独立型作品
Catan GmbHは,同社が展開するボードゲーム「カタン」シリーズの最新作として,21世紀のカタン島を舞台にした「CATAN - New Energies」を2024年春にリリースする。価格は69.99ドルで,ECサイトのCatan Shopでは予約を受付中だ。※2024年1月10日12:34追記
そうしたテーマに関心が湧く一方,ゲーマーとしては「ちゃんとゲームとして面白いのか?」が,やはり気になるところだ。テーマがどれほど立派なものであっても,プレイして面白くなければ,ゲームとしては本末転倒というもの。短い時間ながら,会場で序盤のプレイを体験してきたので,そのプレイフィールを見ていこう。
ジーピー「カタン エネルギー版」紹介ページ
2つの新資源「科学力」と「電力」がカギ。再生可能エネルギーへの切り替えタイミングを見極めよう
カタンのシリーズ作品であるだけに,ベースとなるルールはオリジナルと変わりない。プレイヤーに手番が回ってくると,2つのダイスを振って出た目の合計と同じ番号の土地から資源が生み出される。それを使って新たな建物や道路を作り,いち早く勝利点を10点獲得するのがゲームの目標だ。
21世紀が舞台ということで,各種資源のイラストが加工品になったり,開拓地や都市の名称が「村」「研究都市」に変更されたりしているが,数値上のバランスには変化がない。もちろん,交渉にもとくに制限はないので,オリジナル版の経験があれば,追加要素だけ把握すれば問題なく遊べることだろう。
最も重要な追加要素は,全プレイヤーで共有するトラック「環境汚染度」だ。これは新たな施設を建てるごとに増加していくステータスで,上昇するほどラウンド開始時に多くのランダムイベントが実行される。さらに環境汚染度が最大値に達すると,ゲームが強制終了され,環境改善への貢献度が最も高いプレイヤーが勝者となる。
では,環境に配慮して極力建物を建てず,道路やチャンスカードを中心に戦略を組み立てるのが最適解かといえば,そうとも言い切れない。そこで出てくるのが,2つの新資源「科学力」と「電力」だ。
科学力は科学都市(発展した村)の稼働時に出力される資源で,通常の資源カードと同じように手札に加えられる。この資源を1枚消費すると「火力発電所」,3枚消費すると「再生可能エネルギー発電所」を,村や科学都市に隣接したタイルに建設できるのだ。
発電所が置かれたタイルが稼働すると,最大5個までストックできる特殊資源「電力」が出力される。電力はさまざまな効果を持つ資源で,任意の資源と交換したり,手札上限を増加させたりと,かなり多方面に活用できる,便利な資源である。
ゆえに強制終了が発生しない程度の環境汚染度であれば,科学力や電力を使ったほうが有利に立ち回れるだろう。
面白いのは,2種類の発電所による環境汚染の押し引きだ。どちらの発電所も同等の性能を持つが,建設時に発生する環境への影響は真逆で,火力発電所は建設時に環境汚染トラックの数値を増加させるが,再生可能エネルギー発電所はこれを低減させる。
さらに再生可能エネルギー発電所が建設されると,ラウンド開始時に発生するイベントプールに“緑色のイベント”が追加で投入される。これは「環境汚染を進めたプレイヤーへのデメリット」および「環境改善を進めたプレイヤーへのメリット」を持つイベントが主になっているので,プレイヤーは早晩,建てる発電所を切り換えていかなくてはならなくなる。
つまり環境改善が不利益を生みにくい序盤は,インスタントに電力を作り出せる火力発電所を建てたほうがゲームを有利に進められ,後半は環境改善に務めたプレイヤーが,イベントで利益を得やすいことになる。
環境改善が常に最適解ではなく,発展のためには汚染を甘受しながらも,バランスをとる形で環境改善を進めていく。こうした仕組みはカタンの資源交換システムともマッチしていて,環境問題という難しいテーマをうまく表現しながらも,カタンらしい駆け引きに落とし込まれているように感じられた。
ただ,オリジナルのカタンに複数の新要素を追加した形なので,管理しなければならない数値やリソースは思いのほか多い。ボードゲームにまったく触れたことがない人にとっては,やや“重い”かもしれないので,まずはオリジナル版を遊んでみて,慣れてきたら本作に挑戦してみるのがいいかもしれない。
「カタン エネルギー版」は2024年12月13日の発売予定だが,初回出荷は1000個限定とのことで,すでに予約で埋まってしまっているという。その人気はすさまじく,Amazonでの予約は開始から3時間で,それ以外を含めても3日で終わってしまったそうだ。
担当者に確認したところ,再生産は2025年後半になる可能性が高く,その理由としては,自然素材やリユースプラスチックを使用していること,また海外で一括生産しているため,素早い再生産が難しいことなどが挙がっていた。
ただ,国内の反響の大きさは認識しているようで,輸入品の和訳付きバージョンを販売する可能性はあるという。確実に入手したい人は,ジーピーの公式X(旧Twitter)アカウントをフォローしつつ,続報を待とう。
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