プレイレポート
[プレイレポ]「HIT : The World」は,クラス切り替えと収集要素が楽しいMMORPG。遊びやすく,美麗なグラフィックスにも注目
本稿では,序盤のプレイレポートを通して,本作のシステムと魅力をお届けしていこう。
クラスをコレクション要素として収集・強化
本作の舞台となるのは,完全を夢見る女神「エッダ」が創造した世界「エルバーデン」だ。人々は女神の祝福により,豊穣と繁栄を享受していたが,邪悪な欲望によりすべてが崩壊してしまった。プレイヤーは「思いを受け継ぐ者」として,この地に導かれることとなる。
本作には6種類のクラスがあり,キャラクターを作成するときに1つ選択することになる。ただし,この最初のクラス選択については,さほど悩む必要がない。というのも,プリセットシステムからも分かる通り,少し進めばいつでもクラスを切り替えられるからだ。最序盤は選んだクラスで戦うことになるが,気負わずに気になるクラスを選べばいい。
6種類あるクラスについて簡単に紹介しておこう。クラス名は,使う武器種がそのまま名称となっているのだが,MMORPGにおける基本的なものが揃っている。
- 大剣:ダメージと耐久性を兼ね備える。最前線で敵と戦うファイター
- 鈍器:いわゆるパラディン的な立ち位置。近接攻撃クラスだが,範囲バフと治癒スキルが使える
- 双剣:高い攻撃力と敏捷性のあるスキルを使い,対人戦に強い。中距離攻撃もできる
- 宝珠:治癒とバフスキルを得意とするヒーラー
- 杖:強力な魔法で範囲ダメージを与えるクラス。状態異常付与も得意とする
- 弓:遠距離から高いダメージを与えることに特化している
クラス選択を終えると,スタート地点に送られるのだが,グラフィックスをウリにしているだけあって,キャラクターも景色も美しい。ちなみに,キャラクター選択時の容姿とは別に,初期の容姿が設定されている。また,本作にキャラメイク要素はなく,容姿はクラスに依存する仕様だ。
スタートすると,いきなり波の島とかいうよく分からない場所に放り出される。しかも,移動のチュートリアル的なものはほとんどない。このあたり,黎明期のPCMMORPGを思い出す,ちょっと懐かしい雰囲気だ。もちろん,基本的な仕様は近年のスマートフォン向けMMORPGと似ているので,経験者であれば問題ないはずだが,初めてこのジャンルのゲームを遊ぶなら,まずは右上に表示されているクエストをタップして受諾しよう。
クエストは色やアイコンでカテゴリ分けされている。黄色はメインストーリーに関連するクエストなのだが,緑色はチュートリアルや新しい機能のガイドといったクエストになっているので,真っ先にチェックしておきたい。
クエストの進行についてだが,受諾してもう一度タップすれば自動で進行してくれる簡単仕様だ。ゲームを進めていけばできることが増えていくが,序盤はひたすら自動でクエストを進めていくのが効率のいい成長方法だろう。
カメラモードは3種類が用意されており,自由に視点を変更できる「フリー」,見下ろし型の視点で固定される「クォーター」,リアルな戦闘を楽しめる「アクション」がある。アクションは自身の後ろに追従するようなカメラで,戦闘の臨場感が味わえるのだが,自動戦闘中は動きが激しく画面酔いしそうになる。強敵と戦うときに使うものといった印象だ。
戦闘で使用するスキルは,レベルアップで習得するのではなく,アイテムの「スキルブック」を消費して習得するシステムになっている。スキルブックはクエストや敵からのドロップで入手したり,街にいるスキルブック商人から購入したりできる。スキルを強化する場合も,アイテムを消費して行う。
最序盤のクエストで最初に選んだクラスのスキルブックをもらえるが,これは街で安く買えるので,別のクラスを使いたくなったら,武器を手に入れて,街でスキルブックを買えるようになってからがいいだろう。クラスごとに使えるスキルは決まっていて,クラスを自由に替えられるとは言っても,武器とスキルの仕様上,ある程度使うクラスを絞ったほうが強くなりやすいと感じた。
続いて,クラスについてもっと詳しく解説していこう。クラスは「クラス召喚」という,いわゆるガチャで入手でき,それぞれにランク(レアリティ)が設定されている。本作のクラスは,ランク,武器種,追加ステータスが決められた1枚のカードのようなものだと考えれば理解しやすいはずだ。
召喚は主に有料アイテムを使って行う要素だが,体感としてイベントなどで無料の召喚権利がかなり配布されているし,さらに毎日決められた回数まではゲーム内通貨を消費して行える。
ただし,イベント配布やゲーム内通過で行う無料の召喚は,有料アイテムを使用したものと比べて高ランクの排出率が低くなっている。ランクには一般,高級,希少,英雄,古代,伝説という6段階があり,召喚では古代までのランクのクラスが排出される可能性がある。だが,古代ランクの排出率は0.0015%,有料アイテムを使った召喚でも0.015%と,相当渋め……というかまず出ない設定だ。
では,上位ランクのクラスを入手するにはどうするかというと,合成機能を使って地道に上げていくことになる。合成機能は,同じランクのクラスを3〜4つ素材にして,ランダムな同ランク以上のクラスを入手する機能だ。得られるのは“同ランク以上”なので,素材と同じランクが出ることがほとんどだが,最低ランクの一般でも無駄にはならない。
クラスにはランク,武器種,追加ステータスのほかに,外見の要素もある。この外見については,同じ武器種のクラスに限り外見変更の機能がある。例えば,希少ランクの弓のクラスに,一般ランクの弓のクラスの外見だけを適用して見た目を変更する,といったことができるというわけだ。
集めたクラスは,本作のキモであるプリセットシステムで使う。プリセットに3つのクラスを登録しておくと,画面右下の兜のようなマークから変更でき,敵と戦闘しているときでも瞬時に切り替えられる。PvPにおいては,突然敵のクラスがまったく違うものになるわけで,読み合いも発生しそうだ。ほかにも,パーティープレイでアタッカーを中心に遊びつつも,ピンチのときはサポートに回るといった立ち回りもできる。
また,旅のお供となるペットも,クラスに近い仕組みになっている。ペットは「ペット召喚」で入手でき,クラスと同様,ランクと追加ステータスが設定されている。合成や外見変更の機能もクラスと同じ仕様で,外見変更については,武器種がないぶんさらに自由な見た目に変更できる。
クラスやペットには,コレクション要素も備わっており,新しいものを入手すると追加ステータスを獲得できる。合成に使用できるのは重複したもののみなので,このコレクションによるステータス上昇が消えることはない。同じクラスやペットを複数所持していても意味がないので,積極的に合成して,コレクションを増やしていくのが重要だ。
コレクション要素は,戦闘などで手に入る装備アイテムを使用して埋めていく「収集」もある。こちらは条件を満たすアイテムを消費して図鑑を埋めていくシステムで,集め終わると追加ステータスを獲得できる。装備アイテムの入手方法は簡単にチェックできるので,お目当ての装備がドロップする場所で放置するなど,狙って埋めていきたいところだ。
ほかにも「探検手帳」というコレクション要素がある。指定されたモンスターを倒して進行度を上げると,追加のステータスが獲得できるというもので,時間はかかるものの,確実に強くなれる要素の1つだろう。
こういった収集要素で気になるのが,移動の問題だ。ゲームによっては,遠くまで歩いて行く必要があったり,マップを開いてどこにモンスターがいるか探しながらテレポートする必要があったりするが,本作では大体のコンテンツの右上についているテレポートピンを押せば,ゴールドを消費して即座にテレポートできる。ゴールド消費も非常に低額で,ほとんどの移動をこれで済ませてしまえるため,すごく快適だ。
コレクション要素などでステータスを上昇させられるが,プレイヤーキャラクターを強くする際にもっとも効果があるのは,やはり装備強化だ。装備の強化は強化書を消費して行う。強化値が高くなってくると失敗率が上がり,失敗すると破壊されてしまう。また,装備に魔法を付与して新しい効果をランダムで追加することもできる。
ルーンの欠片というアイテムを消費して,キャラクターを強化する機能もある。こちらは装備の強化システムに近く,段階によって成功率が存在する。ルーンの強化が特定の段階まで進むと,刻印ボーナスポイントを獲得でき,これを割り振ることでさらなるキャラクターの強化が可能だ。
オート機能や放置機能も充実した遊びやすいMMORPG
戦闘システムについても触れておこう。本作に回避やジャンプといったアクション要素はない。基本的にプレイヤーが行うのは,移動,ターゲット指定,通常攻撃,スキル,アイテムの使用といったところだ。
モンスターやほかのプレイヤーが多く,ターゲットを指定するのが難しいときは,スキャン機能が役に立つ。スキャンは,周囲のターゲット可能な対象を一覧表示してくれるもので,フィールドボスと戦うときなどに重宝する。
本作は,自動クエスト進行や自動戦闘などの自動機能も充実しているが,ゲームクライアントを落としても放置モードとして,キャラクターが稼働し続けてくれる。自動戦闘と放置モードの違いはドロップ品や経験値で,自動戦闘では装備アイテムなどが直接ドロップするのだが,放置モードの状態ではその地域のドロップアイテムが含まれる戦利品(宝箱)が手に入る。
当然,自動戦闘より放置モードのほうが,時間に対して手に入るアイテムや経験値の量は少ないが,カバンの枠を消費しないので,「カバンが溢れてアイテムを拾えてなかった!」といった悲しい事件が発生しないメリットはある。あとは単純に,ゲームを起動するたびに報酬を貰えるのは嬉しい。
自動戦闘については,省エネモードという機能で,画面を簡素にして負荷を下げられる。クライアントを落とすほどではないが,負荷を下げて効率よくアイテムを集めたいときに便利な機能だ。
装備はドロップを狙うほか,製作するという方法もある。装備の製作で消費する素材は,モンスターからのドロップや,毎日受諾できるデイリークエスト的な扱いの「ルチェオ商談の依頼」で入手できる。
同ジャンルのゲームでなかなか見ない機能として,「調律者の祭壇」がある。これはワールド全体に適用される効果をプレイヤー全員で決める機能で,投票制のシステムになっている。
例えば,アイテムのドロップについて,一般モンスターのドロップを増加させるか,ボスモンスターのドロップを増加させるか,といったことを決められるのだ。現状は本作がリリースされて間もないため,ボスモンスターとの戦闘が少なく,圧倒的な得票率の差が生まれているが,プレイヤーの成長に合わせて傾向が変わってくるかもしれない。
この投票は週に1回リセットされ,投票用のアイテムは個人間の取引が可能となっている。つまり,投票券を買い集めて,大きな影響力を持つこともできるのだ。
ここまでは本作の特徴的な部分に触れてきたが,ほかにも,MMORPGの標準的な要素は一通り揃っている。フィールドボスやダンジョンといったパーティ向けのPvEコンテンツ,フレンドやギルドといったコミュニケーション機能,ほかのプレイヤーとアイテムを取引するための取引所などだ。
本作をプレイした感想としては,しっかりした完成度と美しいグラフィックスは見事で,UIもゴチャゴチャ感がなく,遊びやすいゲームだと感じた。そのうえで,コレクションや強化などのやり込み要素のボリュームがすさまじく,時間をかけて少しずつ強くなって,長く楽しめる設計になっている。
本作は,今年3月に行われたメディア向け体験会で発表されたとおり,「日本ユーザーに向き合い,真摯な変化を続ける」という運営方針を掲げており,ユーザーファーストな姿勢がうかがえる。これを運営方針として発表するというのは,けっこうな勇気のいることだろうな,と関心させられたものだ。
今でも十分に楽しいMMORPGに仕上がっているが,今後もどんどん遊びやすく,真摯な変化を続けていってくれることを願っている。本稿を読んで気になった人は,ぜひプレイしてみてほしい。
「HIT : The World」公式サイト
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