インタビュー
[インタビュー]体験版は本日配信!「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」プロデューサーの田付信一氏が語るリメイク版の方向性
世界の平定を目指す帝国と,かつて世界を救った七人の英雄たちとの戦いを描いた本作。発売に先駆け,9月26日から開催される東京ゲームショウ2024では試遊出展が行われる。また,本日からゲームの序盤(七英雄のひとり,クジンシーを倒すところまで)をプレイでき,製品版に引き継げる無料体験版も配信中だ。
名作RPGのフルリメイクということもあり,シリーズファンだけでなくRPG好きも気になっているであろう「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」だが,プロデューサーであるスクウェア・エニックスの田付信一氏にお話をうかがうことができたので,その内容をお伝えしていこう。
「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」公式サイト
未プレイ層にも遊んでほしいフルリメイク版
オリジナル版の魅力を損なわないアレンジを
4Gamer:
本日はよろしくお願いいたします。
先日のプレビュー版ですが,シリーズが大好きなこともあって楽しいひと時を過ごすことができました。とくに「沈没船」はしっかりお膳立てがしてあったおかげで,技から技への派生や,「地相」を操作しながらのバトルがたまらなかったです。無料体験版のほうではプレイできないので,TGS2024に行く人はぜひこちらのパートも触れてほしいと感じました。
[プレイレポ]フルリメイク作品「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」は,新鮮かつ往年の知識も生かせる作品だ
スクウェア・エニックスが2024年10月24日に発売を予定している,RPG「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」のプレイレポートをお届けする。本作は,1993年にリリースされたスーパーファミコン用ソフト「ロマンシング サガ2」のフルリメイク作品だ。
田付信一氏(以下,田付氏):
ありがとうございます。TGS2024では,試遊だけでなくステージでの生放送も用意しているので,こちらも楽しんでいってほしいですね。
4Gamer:
フルリメイク作品である「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」は,往年のファンと現在のRPGファンの両方を意識した作品かと思うのですが,どちらかといえば新規プレイヤーとなる後者をより強く意識しているのでしょうか。
田付氏:
シリーズ未プレイの新しい層に遊んでいただきたいという考えは大きいですね。
「ロマンシング サ・ガ2」(以下,ロマサガ2)は,皇帝継承をしつつ,千年以上もの長いスパンで七英雄たちと戦うRPGです。オリジナル版が発売された当時としては非常にユニークな作品だったのですが,いまプレイしても新鮮なテーマだと思うんですよ。
もちろんオリジナル版を遊んだ人たちにもプレイしてほしいです。ただ,昔と変わらない良さを味わいたいならスーパーファミコン版やリマスター版がありますので,無理に昔のシステムに縛られることなく全体的に現代風のゲームに作り替えているんです。
ですので,プレイヤー側も昔の思いに縛られることなく,新たな「ロマサガ2」として楽しんでほしいなと思います。
4Gamer:
新規層に遊んでもらうためには,どんな課題があると考えましたか。
田付氏:
多くのゲームファンにとって,「ロマサガ2」は“名前は聞いたことがあるけど難しそう”といったイメージがあると思うんです。ですので,その障壁をなくすためにいろいろな変更を加えました。ただ,オリジナル版のいい部分を損なうことだけはしないようにと,細心の注意をはらっています。
4Gamer:
バトル中,コマンドを都度入力・実行する形式になったのも,それが理由でしょうか。
田付氏:
じつは開発の初期段階ではオリジナル版と同じように,まず全員分のコマンドを入れてから結果を見るスタイルで作っていたんです。しかし,どうにもテンポが良くならなかったんですね。
4gamer:
ドット絵から3Dに映像表現が変わった分,従来のコマンド入力方式だと「ロマサガ」的なテンポに達しなかったと。
田付氏:
そうですね。「ロマサガ」には,シリーズ最新作「サガ エメラルドビヨンド」のように熟考して楽しむゲームとはまた違ったテンポ感が求められると思うんです。
4Gamer:
戦闘では,2ターン分の行動が見える形になっていますが,これも同じ理由でしょうか。
田付氏:
はい。戦闘の見せ方としては,弊社の「オクトパストラベラー」シリーズに近いのですが,これもバトルの駆け引きより,テンポ感やわかりやすさを重視したからです。
なお「瞬速の矢」のような行動順に影響を与える技は,今回のバトルシステムだとメリットがなくなるので,次のターンの行動順に影響を及ぼす性質を持たせています。あらかじめ2ターン分の行動順を見せておくことで,その効果がわかりやすくなっています。
システムをわかりやすくするため,
元々あった仕組みを「見える化」する
4Gamer:
リメイク版では,技の派生ひらめきや地相の概念が「見える化」されていますね。
田付氏:
これらの要素はオリジナル版にもありますが,現在のRPGファンの基準では分かりにくく感じる部分だとも思うんです。
とくに地相は,続編の「ロマンシング サ・ガ3」の時点でも気付きやすいようにグラフィックスで補足されていましたので,隠そうとした要素ではないはずなんです。開発初期は「ロマサガ3」に準じる形でビジュアルで示していたのですが,それでもまだ伝わりにくいという声があり,アイコンでも表示することにしました。
地相の影響ですが,通常の戦闘ではあまり気にしなくても大丈夫です。ただ,七英雄など強敵と戦う際には注意しないといけないバランス感になっています。たとえば,スービエが地相をコントロールしたあとに放ってくるメイルシュトロームが強力になる,毎ターン大量にHPを回復するといった具合ですね。
4Gamer:
新要素の「強地相」にしても,完全に打ち消すまで対策するのか,多少は影響が残っても許容するのかなど,プレイヤーに見せた上でそれぞれに判断してもらうわけですね。
田付氏:
極端な話,状況によっては無視して一気に畳みかけてもいいかと思います。なお本作は,3段階の難度設定を用意しているのですが,難度“オリジナル”の場合は,事前にどんな技や術を準備していくかで戦闘自体の難度が大きく変わりますので,自分で考えて遊びたい方にも楽しんでいただけると思います。
一方,難度“カジュアル”なら,戦い方を綿密に組み立てなくても大丈夫ですので,身構えずに楽しんでもらえればなと思っています。
4Gamer:
シリーズ初体験でも,カジュアルならほぼ悩まず進めていけそうですね。
田付氏:
派生ひらめきに関しても,同様にわかりやすくしてあります。以前なら攻略本や攻略サイトなどから得ていただろう情報を,ゲーム内だけで分かるようにしたんです。
しかし,これは内部でも意見が割れたこともあり,オプションで無効にすることもできます。自分の好きなスタイルで遊んでください。
4Gamer:
オリジナル版は,同じクラス(職業)でも人物が違えば,ひらめきやすい技が違うなど,だいぶ複雑な作りでしたからね。全体的に「わからない」「突き放された」と思われがちな部分をケアしているイメージでしょうか。
田付氏:
まさにそうです。帝国全体での技や術のレベルである「マスターレベル」や,「敵勢力レベル」を見せるようにしたのも同じ理由になります。
結局のところ,情報が見られるか見られないかで考えたとき,「ロマサガ2」は見られるようにしたほうが遊び心地が良いゲームだと思うんです。
往年のシリーズファンは
変わった部分にも期待してよし?
4Gamer:
オリジナル版にはなかった「連携」は,プレイヤーによって使い方が分かれそうな気がします。連携で戦闘を終わらせると技術点にボーナスが付くので,なるべく狙っていく手もあるし,ちょっと敵が強く感じるときは保険的に温存しておくというような。
田付氏:
連携は,開発の最終段階でかなり力を入れて調整しているんですよ。まず,最大連携数はゲームの進行によって増えていきます。また連携ゲージは,同じバトル中に2連携を使うと3連携まで溜められるようになり,3連携を発動させたら4連携まで溜められる……という仕組みになっています。
4Gamer:
すると,バトルが長引く強敵にこそ大連携を決めることができるわけですね。
田付氏:
そうなります。だから通常のバトルではなかなか3連携までいかないと思いますし,溜めるよりどんどんフィニッシュに使ってもらうほうがお得かもしれません。
4Gamer:
オリジナル版から変化した箇所としては,会話イベントの見せ方もありますよね。細かいところは変わっているのですが,全体としての印象はあまり変わらない,いいアレンジだと感じたのですが,どういったことを重視していましたか。
田付氏:
オリジナル版のドット絵とテキストでの表現はある意味小説のようなもので,プレイヤーが余白を補完しつつ楽しむものだと思っています。それを3Dモデルとモーションでそのまま再現すると,けっこう余白が目立ってしまうんです。原作小説と映画の関係にも近いですね。
4Gamer:
原作そのままのセリフを残そうとすると,どうしても不自然な箇所は出てくるものですよね。
田付氏:
なので実際に映像を作る前に,まず各場面の絵コンテをおこし,その段階で足りないところを検証して,セリフやカットを追加しているんです。
さらに場面を組んだあとも確認して,必要ならセリフ等を付け加えるということをしています。といっても,オリジナル版になかった新たな展開や要素を付け足すのではなくて,映像を3Dにしたときに伝わりにくかったところや不自然に見えた点をケアしたという感じです。
4Gamer:
そこはバトルの変化にも通じるところですね。今の映像表現に置き換えたときに,不自然な印象にならないようしていったと。ただ,オリジナル版でもカギとなるセリフが映える構成になっていたり,音楽が切り替わったりするタイミングもいい具合で,心地よく楽しめそうです。
田付氏:
その辺りはかなり意識して開発を進めました。BGMは「音楽のHD化」といった方向性でアレンジしているのですが,もしスーパーファミコンの時代に音源の制約がなかった場合,どんな曲になっていたかをイメージして作っていただいていますね。
楽器の生音が欲しい箇所はちゃんと収録するだとか,適材適所で使い分けている感じです。ちなみにアレンジャーの方が何人かいらっしゃって,伊藤賢治さんがそれを統括しているという体制です。新曲も少しだけありますので,そちらにもご期待ください。
4Gamar:
では最後に,読者のみなさんに向けて一言メッセージをいただければと思います。
田付氏:
「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」は,オリジナル版で強い技がしっかり強かったり,盛り上がるべき場面がちゃんと盛り上がったりと,懐かしさを感じつつも,新しい体験ができるリメイクになったかと思います。シリーズファンなら,懐かしさと新しさを体験できる作品になっているので楽しみにしていてください。
また新規の方は,これだけシリーズが続いているとルールが難しそう,どれから始めていいのかわからない,みたいなことを感じていると思うのですが,本作は戸惑わずに遊べるよう作りました。シリーズ入門にピッタリなものになっていますので,気になったらぜひ体験版を試していただければと思います。
4Gamer:
ありがとうございました。
「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」公式サイト
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