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白居易の漢詩がゲームに!?「唐傳奇:琵琶行」は,琵琶を武器にするステルスアクション[CJ2024]
Virtuosはシンガポールが本拠のデベロッパだが,本作の世界設定は中国の詩人である白居易(白楽天)の作品「琵琶行」をベースにしており,開発も中国の成都にあるチームが担当しているという,ChinaJoyにふさわしいタイトルだったので紹介しよう。
ブースではプレイ中の画面を撮影できたのだが,グレアタイプのディスプレイだったことに加え,ゲームの舞台が夜間のため,ほかのブースの照明などが映り込んで見づらいものになってしまった。そのため,本稿ではVirtuosから提供されたスクリーンショットを使用している。
「琵琶行」は,身に覚えのない理由で中央から地方に追いやられた白居易が,そこで同様に都落ちした琵琶の名手である女性と出会って,お互いのやりきれない過去を詠んだ七言歌行形式の漢詩だ。中国では学校の教科書にも掲載されていて,多くの人が知っているという。
それを原作とする「唐傳奇:琵琶行」の主人公は,白居易ではなく琵琶弾きの女性だ。敵と正面からの戦いが難しいステルスアクションにはぴったりのキャラクターと言えるかもしれない。
今回の試遊は,ある屋敷にとらわれの身となっている弟を助けるため,主人公がその屋敷に忍び込むところから始まった。入口という入口は兵が見張っているので,隣の建物から飛び移ったり,軒下から入り込んだりといった方法で忍び込むことになる。
もちろん兵士は屋敷内の不審者を見つけると攻撃してくるし,物音にも敏感なので,身をかがめずに歩いていたりするとすぐ気づく。攻撃はできるが,正面から戦って勝つことは難しいので,見つかったらひとまず逃げるのが基本だ。
ここまでは普通のステルスアクションだが,本作には琵琶弾きという設定にちなんだ要素が導入されている。
まずは,侵入を見逃してくれる人がいること。琵琶弾きだからか,屋敷の中にいる貴人のような人物と出くわしても「演奏してくれるの?」といった感じで迎えられ,咎められることはなかった。兵士に見つかったときは,こういった人物がいる部屋に逃げ込むのがよさそうだ。
そして,アクション面では琵琶の弦を使って罠を仕掛けられる。通路に弦を張っておくと,そこを通った兵士の体がスパッと切れてしまうのだ。普通の弦であればそんなことにはならないはずだが,どうやら主人公は魔力を持っているようで,相手の体を切り裂く刃のようなものを飛ばすこともできる。
さらに面白いのが,鏡のようなワープホールを作り出す能力。2か所に設置でき,その間を行き来できる。兵士に見つかったときの逃走経路として使うのも,兵士を誘い込んで排除するのにもよさそうだ。
今回は残念ながら弟を救出するまでには至らず,すべてを見られなかったが,開発を手がけるVirtuosのHu Tao氏に話をうかがうことができた。
Tao氏によると,本作は「琵琶行」ありきで始まったものではなく,ステルスアクションを企画している中で,歴史に詳しいシナリオライターが出してきたの案が「琵琶行」だったという。
中央と地方の格差や対立といった興味深いテーマが込められており,時代的にも暗殺者がいてもおかしくないということで,すぐに採用を決めたという。
琵琶という,これまでにない“武器”を使ったアクションのアイデアは100個以上も出され,その中から現在実装されているものが選ばれた。ただ,弦を使った罠は,中国の作家である劉 慈欣氏のSF小説「三体」で描かれているエピソードから着想を得たとのこと。「唐傳奇:琵琶行」は,新旧の中国文学から影響を受けたゲームとも言えるわけだ。
開発はこれからが本番といったところで,現時点でのリリース予定は2026年。複数言語への対応を実装したいとのことなので,その中に日本語が含まれていることを祈りつつ,リリースを待ちたい。
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唐傳奇:琵琶行
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