イベント
北米最大のアナログゲームイベント「Gen Con 2024」が開催中。お祭りの予感に満ちていたゼロ日目,現地インディアナポリスの様子をレポート
同イベントは,北米では最も古い55年以上の歴史を持つ,世界最大級のアナログゲームコンベンションだ。同じく欧州最大の「SPIEL Essen」は1983年の開始なので,歴史でいえばGen Conのほうが長いことになる。テーブルトークRPGやTCG,ミニチュアゲームから各種ボードゲームまで幅広く取り扱われるこの4日間イベントについて,4Gamerでは今回,現地からのレポートをお届けする予定だ。
本稿ではまず,その開催前夜までの様子を中心に現地の盛り上がりをお伝えしていく。
「Gen Con」公式サイト(英語)
ゲームのための最高の4日間
テーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の創始者の一人であるGary Gygax(ゲイリー・ガイギャックス)氏が立ち上げたゲームイベントに端を発するGen Conは,北米におけるアナログゲームの隆盛に大きく貢献してきた,アナログゲームを語るうえで欠かすことのできないコンベンションだ。
ウィザーズ・オブ・ザ・コースト(以下,WotC)のTCG「マジック:ザ・ギャザリング」が発展する揺籃の舞台となったのもこの場所であり,一時期はWotCが運営を担っていたこともある。こういった象徴的な意味にとどまらず,2003年にインディアナポリスに開催場所を移してからも開催規模を拡大。現在では中心市街のホールおよびホテルの多くを会場として,1万5000を超えるトークイベントやゲーム大会,そして新作タイトルの発表など,アナログゲームにまつわるありとあらゆる催しが行われている。
アナログゲームにとくに熱心なファンとメーカーが集った,まさに「ゲームのための最高の4日間(The Best Four Days in Gaming)」なのである。
到着。Gen Conロゴやマスコットが空港でお出迎え
まずは日本からアメリカへ。取材班が現地に降り立ったところからイベントは始まっていた。開催日2日前の7月30日,乗り継ぎを経てインディアナ州の州都,その玄関口であるインディアナポリス国際空港に着陸すると,そこにはGen Conのロゴやマスコットキャラクターのかわいいドラゴン「Genevieve(ジェネヴィーヴ)」がお出迎え。まさに街を挙げてのお祭りといった光景に,早くもドキドキしてしまう。
前日の会場を散策。チケットはすでに売り切れの盛況
一夜明けた7月31日。イベント前日となるこの日は,入場バッジ(チケット)の受け取りのため早速会場へと向かうことに。メイン会場となるインディアナ・コンベンションセンターは,インディアナポリスのダウンタウン(中心市街)に位置するイベントホールだ。まだ準備期間のため,ゲームの販売や試遊ができる展示ホールなどには入れないが,これらを除いたエリアは歩くことができる。
会場に近づいていくと,Gen Conの垂れ幕が徐々に増えてくる。中でも目を引いたのは,「SOLD OUT for ALL DAYS(全日チケット売り切れ)」と書かれた看板やサイン。どうやら今回の入場バッジは,事前のオンライン予約で売り切れてしまったようである。
昨年参加したときは,前日の段階でまだチケットが残っていた気がするので,今年は昨年以上の参加者数なのかもしれない。なお正面エントランスは,昨年に引き続き日本のコンテンツが,大きくフィーチャーされていた。
先述のとおり,筆者の目的地は「Will Call」と呼ばれる入場バッジの受け取りカウンターだが,そのほかにも公式の物販コーナーで買い物をしたり,プレイベントに参加したりといった楽しみもある。入場バッジを受け取ったあとは,そちらも散策してみることにする。
物販とクーポンブックをチェック
物販コーナーでは公式グッズの販売が始まっていた。Tシャツやピンズ,ストラップといった定番アイテムに加え,ミニ・ダイスなどGen Conならではのグッズもあり,午前中からすでに盛況である。
また「Will Call」の隣ではクーポンブックの配布も行われていた。会期中の買い物に使用できるクーポン券に加え,一抱えもある超大容量のプラスチックトートがもらえることもあって,明日以降の買い物に備えた参加者が次々と立ち寄っていた。
コンベンションセンター以外にも会場が
インディアナ・コンベンションセンターの周辺には,建物を取り囲むように幾つものホテルがあり,そうしたホテルのボールルーム(いわゆる宴会場)でも各種イベントが行われている。さらにホテルは,それぞれが渡り廊下のような空中回廊でコンベンションセンターに接続されているので,夏の日差しや雨を避けて会場間を移動できる。
また,会場はそれぞれ独特の雰囲気があるのも面白い。例えば駅舎を改装した壮麗なホテルなんかもあって,そうした会場でプレイするゲームはやはり格別に違いない。
インディアナポリス周辺の見どころ
ダウンタウンの外にも目を向けてみよう。インディアナポリスといったら,Gen ConよりもNASCARやインディ500の聖地として思い浮かべる人ほうが多いかもしれない。インディアナポリス・モータースピードウェイはダウンタウンから車で15分ほどの距離にある。
コントロールタワーに登ってコースを見下ろせるなどの体験ツアーもあり,モータースポーツ好きにはたまらないスポットだろう。あいにく併設のミュージアムはリニューアル中であり,にわか雨も降っていたのだが,帰り際に日差しが覗きインディカーとおぼしきレーシングカーの走行音を身体で感じることができた。なんたる幸運。
続々と増える参加者,前夜祭さながらの盛り上がり
一度ダウンタウンを離れたあと,18時には再び会場へ。この時点では入場バッジ受け取りの列は伸びに伸び,会場通路の端まで達していた。会場にはプレイベントへ向かう参加者や,設営を終えた出展者で昼間と変わらず賑わっている。
インディアナポリスの日はとても長く,日没は21時近くになる。よって参加者は会場で,ホテルで,街中で,夜遅くまでゲームに遊びふけっており,このGen Con 2024で発表となる作品の話題もそこここで聞こえる。実質「イベント本番ゼロ日目」といった趣きであり,ここから明日以降の4日間が本当に楽しみになる一日であった。
事前発表も続々。本番への期待が高まる
Gen Conを前に今年もさまざまな作品が各社から発表され話題となっている。
「ダンジョンズ&ドラゴンズ」は今年が50周年にあたり,これに関連した展示や催しが数多く行われる。また最新ルールの改訂版にあたる,2024年版「Player's Handbook」の先行発売も行われる予定で,例年に増して注目が集まる。
「マジック:ザ・ギャザリング」ではアニマルフレーバーの「ブルームバロウ」セットを発売。また11月15日発売予定の最新セット「ファウンデーションズ」のデモンストレーションも行われる。
また日本からの出展では,イクリエなど数社による合同ブース・Japan Pavilionに出展される「真・女神転生 THE BOARD GAME(仮)」が気になるところ。そのほかオインクゲームズ,バンダイ,ブシロード,ポケモン,ホビージャパンなどもブースを構えている。
次回以降の記事では,これらのタイトルに注目しながら,会場のレポートをお届けしていく予定だ。お楽しみに。
「真・女神転生」シリーズのボードゲームプロジェクト始動。Kickstarterキャンペーンを9月11日に開始
イクリエは本日(2024年7月31日),アトラスのRPG「真・女神転生」シリーズのボードゲームプロジェクト「真・女神転生 THE BOARD GAME(仮)」を発表した。Kickstarterによるクラウドファンディングキャンペーンは9月11日に開始を予定している。
「Gen Con」公式サイト(英語)
著者紹介:Im Karton
海外アナログゲームイベントを訪ねて旅する3人組。読み方は「イム・カートン」。これまでに世界最大のアナログゲームイベントであるドイツ「SPIEL Essen」をはじめ,アメリカ「Gen Con」,フランス「Festival International des Juex」などを訪問。昨年はSPIEL Essenに行きたい旅行者向けのガイド「Essen Spiel Guidebook 2023」を同人誌として刊行。
ginrei
Im Kartonメンバー。訪問時の撮影とデザインを担当,海外ボードゲーム好き。ドラゴンも好き。 最近D&Dをおそるおそる始める。好きなボードゲームは「REDWOOD」。
- 関連タイトル:
真・女神転生 THE BOARD GAME(仮)
- 関連タイトル:
ダンジョンズ&ドラゴンズ 第5版
- 関連タイトル:
マジック:ザ・ギャザリング
- この記事のURL:
キーワード
Copyright (c) 1993 - 2023 Wizards of the Coast LLC, a subsidiary of Hasbro, Inc. All Rights Reserved.