プレイレポート
[プレイレポ]ダークSFでローグライト風味な高難度弾幕TPS「SAROS」。狂気と未知に満ちた世界を一足先に体験してきた
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また,開発チームへのオンラインインタビューの模様もあわせてお届けする。最後まで読み進めていただければ幸いだ。
Housemarqueと「SAROS」
さて,開発を担うHousemarqueと,本作の特徴を振り返ろう。
プレビューイベント中,Play Station Studios XDEVのアソシエイトプロデューサーCarina Calvert氏が登壇し,概要を紹介してくれた。
冒頭にも記したが,本作の開発を担うHousemarqueは,設立30周年を迎えたばかりの,フィンランドの古豪ゲームスタジオだ。プレイヤーのゲームプレイ体験を第一にゲーム制作へ取り組むことを理念とし,数々の名作を送り出してきた。
最近では,2021年にPS5向けにリリースしたローグライクTPS「Returnal」が,高い評価を得たことで知られる。
「Returnal」の精神的続編ともいうべき「SAROS」は,鮮烈なサウンドや映像,PS5が持つ機能のフル活用といった部分を受け継いでいる。
一方で,さらに進化した戦闘,リッチな世界観,1プレイあたりの所要時間短縮,発売時からオートセーブへの対応など,さらに進化した側面も持つ。より豊かなゲーム体験をもたらしつつ,遊びやすくなったといっていいだろう。
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単なる高難度な弾幕アクションではなく,プレイヤーの成長を促す設計としたうえで,ローグライクとしての味わいを堪能するための変化し続ける世界,謎に満ちた物語と緻密な世界観の設定,60fpsを維持するパフォーマンスにより,歯ごたえのある高いリプレイ性を持つとCalvert氏は述べた。
「SAROS」の物語の背景となるのは,敵意に満ちた適性生物が闊歩する異星「カルコサ」だ。プレイヤーはソルタリ社の護衛官,アルジュン・デヴラジとなり,連絡が途絶した入植地へ仲間とともに赴く。そして謎に満ちた星を調査していくことになる。
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苦しいけどやめられない。時間を忘れるゲームプレイ
ここからは実際に「SAROS」をプレイした模様をお届けしよう。
先に断っておくと,我々がプレイしたのは開発中のビルドであり,本稿に掲載する画像は後日に提供されたスクリーンショットだ(プレイ時のものではない)。その点にはご留意を。
本作のゲームシステムをざっくりと表現するなら,弾幕(バレットヘル),ローグライクといった要素を備えるTPSというべきだろう。メインの攻撃手段は射撃で,3人称視点である。
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全体的な操作システムは手堅くまとっており,移動,カメラ(照準),射撃,メレー(パンチ)といったスタイルはシューターそのもの。一方で,弾幕に対抗するためのシールドや,効果時間中はすべての攻撃を無効化するダッシュ(ブリンク)など,本作ならではの操作システムもある。
エイムや射撃では「R2 / L2」トリガーを使用するが,PS5ならではのアダプティブトリガーを活用した射撃モードの切り替えや,メインウェポンとは異なる強力な攻撃の使用を直感的に行えるようになっていた。
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今回のプレビューでは,ゲーム序盤から約3時間程度のエリアをプレイできた。なお,3時間というのはゲームが何事もなく順調に進行する仮定であり,無論,そんなにうまく行くわけもなく……。
事前に「エリア探索→ボス→エリア探索→ボス」と内容の紹介があったのだが,1体目のボスを討伐し,2つめのエリアを探索している時点で時間切れとなってしまった。
今回,筆者と編集部の担当者で交代しながらプレイをしたのだが,日常的にパッドを用いてシューターをまったくプレイしない筆者が見事に足を引っ張った形だ。苦し紛れの言い訳とさせていただきたい。
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唐突だが,初期状態のアルジュンは弱い。とても弱い。敵から攻撃をまともに食らえば即死するし,お世辞にも使いやすい武器を持っているとはいえない。実際に筆者も慣れない操作に苦戦していたら,あっという間にやられてしまった。
そこで重要なのが,マップを探索してより強力な武器を手に入れること,主に敵を倒すことで入手できる資源「ルセナイト」を集め,少しずつ能力を強化していくことだ。
ルセナイトは集めれば集めるほど,拠点で能力の強化に使用できるほか,ドロップする武器のレベルも上昇していくのだ。
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ただ,探索中に死亡すると,武器のドロップレベルはリセットされ,所持している武器のレベルも大きく低下してしまう。だが,一度強化した能力は失われることはない。
強化はツリー式となっており,アンロックを進めていくことで,「セカンド・チャンス(倒れても一度だけ復活可能)」といった,強力な恩恵を受けられるようになる。探索をし,やられては強化を繰り返し,プレイヤーの腕前とともに,強くなっていく。
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言ってしまえば「やられることが当たり前」のゲームシステムだが,マップも探索のたびに少しずつ変化する。マップ構造そのものは基本的に変化しないようだが,武器のドロップはもちろん,敵の配置が変わったりする。
ドロップする武器もランダムであり,インベントリに保管しておけないので,その場で交換を迫られる。時に,「装備している銃よりレベルは高いけど使いにくい」といった類のものがドロップするなど,その場その場で判断を悩ませてくれる。
戦闘は爽快感たっぷりだ。一定のエリア内に敵を収めると,かなり強力なロックオン機能が働くため,射撃に精密なエイムが必要とされるわけではない。敵の攻撃に対応しつつ撃つことになるので,ここはありがたい点だ。
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単純に回避しながら,敵をセンターに収めて撃てばいいというものでもない。シールドを使用することで短時間,敵が放つ特定の弾幕を防げるうえ,防いだダメージをエネルギーに転換できるのだ。
エネルギーは「パワーウェポン」という強力な攻撃に使用できるので,あえてシールドで受けることも重要な選択になる。この性質を理解していないと太刀打ちできないようなボスも登場するので,回避するか,受けるかの判断が戦いの鍵を握るのだ。
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マップの探索中,「日蝕」と呼ばれるイベントが発生することがある。簡潔にいうと,これは難度高めの本作が,さらに高難度になるイベントだ。神秘的でありながらどこか恐ろしい赤色の空に染まる。
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とくに強烈なのが,敵の攻撃に被弾した際,ダメージを受けるだけでなく,同時に体力の上限値も同時に削られるというもの。
先述したパワーウェポンを使用することで削られた上限値が回復するのだが,パワーウェポンは無尽蔵に使えるものではないので,いつも以上の緊張感が思考を鈍らせる。そして死んで,拠点に戻されて,強化するを繰り返すことになる。
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「死ぬたびに 君に近づく」とは,本作のホームページに記載されている言葉だ。まさにそのとおりと言わざるを得ない。
定期的にファストトラベル地点があるわけでもなく,ボスにたどり着くまでの道中でやられても,「いきなりボスから再戦」なんて優しいシステムは搭載されていない。
ただし,これはプレイヤーが強くなることの証でもある。バイオーム(ステージ)ごとのファストトラベルを使用するのではなく,あえて順番にマップを進んでいくのもいいだろう。でも,運が悪ければ倒れる。死は身近な存在だ。だが,そのたびに強くなる。
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このリプレイ性に,ローグライクなランダム性が加わることによって,怒りで指が震えながらも無言でスティックを倒して前進するような,思わず目がガン開きするような,無意識の内にディスプレイに近づいてしまうような,今はどこか懐かしいともいえる,ドスの効いたプレイフィールをプレイヤーに提供してくれる。
読者の諸兄諸姉におかれては,親の忠告を無視してゲームに没頭したり,アーケードで無限に100円を投入してしまったりした経験はないだろうか。あの中毒性を本作は備えているのだ。
率直にいって面白かった。ダークかつ退廃的なビジュアル,サウンド,謎に満ちたSFの世界も実に気に入った。
……だが,ここまで自分の不甲斐なさにイライラするPvEシューターも久しぶりだった。マウスとキーボードを振り回しがちな筆者は,パッドももう少し日常的に触れておこう思った次第である。
古き良きアーケードゲームや,日本のカルチャーから大きく影響を受けて「SAROS」は作られた
最後に,後日行われた,Housemarqueへの合同オンラインインタビューをお届けし,本稿の締めくくりとしたい。
インタビューに回答してくれたのは,Gregory Louden氏(Creative Director),Simone Silvestri氏(Art Director)の2名だ。
――シールドを使った攻防や永久的なスキルツリーなど,「Returnal」から得たフィードバックを生かしたシステムが取り入れられたのを感じました。本作を開発するにあたり,どのような作品を目指してプロジェクトをスタートさせたのでしょうか。
Louden氏:
「Returnal」のような歯応えのあるアクションは継続させつつ,一度のランで死んでしまっても次につながるような仕組みを取り入れたいと考えていました。
そのうえで新たな体験として,弾幕を避けるだけでなく,弾幕に立ち向かえるシステムを取り入れました。成長を実感できるシステムを必要としていたのです。
――弾幕に立ち向かうシールドメカニクスが導入されたり,PVではパリィがあることもうかがえました。このような新しいアクションの導入は,どのような体験をプレイヤーに届ける目的で導入されたのでしょうか。
Louden氏:
我々は弾幕ゲームが大好きですが,「SAROS」では単に回避するだけでなく,弾幕へ対処する体験をお届けしたいと考えました。そのため,さまざまなインタラクションの要素を取り入れています。
前作「Returnal」を弾幕避け競走のようなものとすれば,本作は弾幕との触れ合いを目指したともいえるでしょう。危険な存在だけはでなく,逆にチャンスにできる。そうした体験をお届けしたかったのです。
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――「Returnal」はダークな空間が特徴的でしたが,本作は空が青かったり,日蝕が起きても赤く染まったりと,全体的に明るい印象を受けました。どのようなコンセプトを持ってビジュアル制作に取り組んだのでしょうか。
Silvestri氏:
我々も「Returnal」の空気感には非常に思い入れがあるのですが,本作では別の方向性からのアプローチに取り組みました。ビジュアル,映像,サウンドを含めてです。
そこで重要なのが,カルコサを包み込む日蝕でした。ひとたび日蝕が起これば,ゲームプレイも,ビジュアルも変化します。各バイオーム(ステージ)のデザインをする際に,色彩の変化を考慮したうえで制作しています。
また,皆さんにプレイしていただいたフェーズは,まだカルコサが持つ狂気の側面をそこまで表していません。ゲームを進めていくにつれて狂気に満ちていく体験を,ゲーム全体で表現しているためです。
作曲家のサム・スレイター氏が手がけた音楽も日蝕によって変化するんです。日蝕という存在が記憶に残ってくれることを願っています。
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――日蝕に入る際の無数の手のようなオブジェクトや,壁に埋め込まれている身をよじるような石像が印象的でした。こうしたアートが生まれた経緯や,インスピレーションを受けたものを教えてください。
Silvestri氏
本作を制作するにあたり,かつてカルコサに存在していた古代文明を練り上げる機会がありました。古代文明には日蝕を崇拝するような文化を持たせたのですが,そこで着目したのが,我々の世界でネオ・クラシコと呼ばれるスタイルでした。
スタート地点としては適切だったのですが,ソフトで親しみのあるような建造物なので,個性を出すためにイタリアン・フューチャリズムを取り入れました。こちらはもともと,ネオ・クラシコに対抗する形で生まれたスタイルなんです。
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背反する2つのスタイルを取り入れ,暴力的かつ美しさを備えたビジュアルに取り組みました。エッセンスとして,日本のアニメやマンガといったカルチャーからの影響も取り入れています。
コズミックホラー的な要素を抱えつつも,何かを崇拝するような思想,矛盾を抱えている文明。そうして,美しくも不穏で不気味な世界観を作り上げました。
――「Returnal」では近距離タイプの武器や,継続ダメージを与える武器が強力だった印象です。本作はどのようなコンセプトで武器をデザインしたのでしょうか。
Louden氏:
アルジュンは単独の存在ではなく,任務で地球から仲間とともにカルコサへ来た存在です。そこで地球製と感じられる武器を制作しました。
また,「Returnal」では基本的に異星の技術を用いた武器がメインでしたが,今作は地球の武器,カルコサの武器を使い分けられるようにしました。また,ハンド・キャノンひとつとっても複数種類が存在し,それぞれ異なる性能を持っています。プレイの幅を広げることにもつながっており,より多様な体験を提供できればと考えています。
――おふたりのお好きな武器や,おすすめしたい武器はありますか。
Louden氏:
ネタバレになってしまうのであまり言えないのですが(笑)。ゲーム序盤で手に入るものの中だと,リコシェ・ハンドキャノンが好きです。地面や壁に当たった発射体が跳弾するユニークな性質が気に入っています。
Silvestri氏:
ショットガンが気に入っています。接近戦で強烈なダメージを与えたり,ショットガンからメレーでとどめをさすのが好きです。
――製品版では「カルコサ・モディファイア」によって,難度や要素の変更ができるとうかがっています。どのような変更を行えるのでしょうか。
Louden氏:
大きく分けて2種類のモディファイアを用意しています。ゲームプレイの難度をやわらげる「プロテクション・モディファイア」と,さらにハードな体験のための「トライアル・モディファイア」です。
どちらのモディファイアを利用しても,ゲーム内で特別なメリット・デメリットが生じることはありません。プレイヤーの皆様のニーズに沿ったゲーム体験を実現するシステムと捉えてください。
――モディファイアの中で,とくにユニークだと思うものはありますか。
Silvestri氏:
トライアル・モディファイアの一例ですが,永続的な成長システム(スキルツリー)をごっそり無効化したり,セカンド・チャンスを無効化できます。
ゲームをプレイすれば困難に直面します。その中で「このスキルは使いたい」「このスキルは縛りたい」というような,プレイヤーのスキルレベルや嗜好に応じて調整できる役割を持たせています。
――本作はバイオームを順にクリアしていけば,ストーリーは分かるような設計になっているのでしょうか。また,エンドコンテンツはどのようなものになりますか。
Louden氏:
「Returnal」と比較すると分かりやすい導入のプロセスを設けていますが,奥深く,複数のレイヤーが重なるようなストーリーは健在です。あまり深くは語れませんが,1回目のエンドクレジットを見たあとでも,解き明かすべき謎はあると思いますよ。
――最後に,読者へメッセージをお願いします。
Silvestri氏:
ぜひ,「SAROS」を楽しんでください!
古き良きアーケードゲームや,日本のカルチャーからも大きく影響を受けて「SAROS」は作られました。プレイを通じて,そうした片鱗を感じ取っていただきたいです。我々がこのゲームに込めた愛を感じていただき,皆様の好奇心のまま,カルコサを楽しんでいただければと思います。
Louden氏:
我々にとって「SAROS」は,夢のチームによって作り上げられた夢のプロジェクトです。歯ごたえがありながら,困難を乗り越えたときの達成感を目指して作りました。奥深いミステリーと,記憶に残るストーリーもぜひ堪能してください。
Simoneも語ってくれましたが,本作は日本のカルチャーの影響を大きく受けていますし,個人的には,Housemarqueはヨーロッパの中でも,もっとも日本的なゲームスタジオだと自負しています。日本のゲーマーの皆様に「SAROS」を楽しんでいただければ幸いです。
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