2025年12月20日から2026年2月22日まで,東京・京橋のCREATIVE MUSEUM TOKYOにて
「大カプコン展 ―世界を魅了するゲームクリエイション」が開催される。これはカプコンのゲームクリエイションに焦点を当てた展覧会で,これまで大阪,名古屋,鳥取の会場を巡回してきた。
本稿では,東京会場の開幕前に実施されたプレス向け内覧会をレポートする。
カプコンの牧野泰之氏が展示の解説を行った
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START「想像したことは創造できる」
東京会場は「START」に始まり,「ROUND1」〜「ROUND3」,そして「BONUS STAGE」と「FINAL ROUND」まで,5つのエリアによって構成されている。
来場者を出迎えるSTARTエリアの「キャラクターパレード」では,カプコンの歴代人気キャラクター約30体が行進する新作アニメーションが巨大スクリーンに投影されている。「お気に入りのキャラクターと一緒に入場してほしい」という思いが込められているそうだ。
ROUND1「カプコン ゲームクロニクル」
ROUND1は,40年以上におよぶカプコンの歴史を振り返る内容になっている。「ヒストリー」コーナーでは1983年〜2025年の主なトピックを紹介し,壁面には歴代タイトルのロゴ(一部を除く)が並ぶ。
また「モンスターハンター」「バイオハザード」「ストリートファイター」など,主要IPの系統図も展示されている。「バイオハザード」の派生作として,「ディノクライシス」や「鬼武者」「デビル メイ クライ」といったIPが生まれていったことも分かるようになっていた。
「キャラクター」コーナーには,人気キャラクターの設定画や設定資料,フィギュアなどが展示されている。ゲームだけでなく,映画「逆転裁判」で実際に使用された小道具なども確認できた。
「ポスター/メインアート」コーナーには,歴代タイトルのポスターやキービジュアルの原画などが展示されている。パッケージやROMカートリッジなどもあり,国内版と海外版の違いも確認できる。ポスターに関しては,展覧会の開催に向けてオークションで買い戻したものもあるとのこと。また原画は世界に1点しかない貴重なもので,値段が付けられないほどの価値があるという。
ROUND2「テクノロジーとアイデアの進化」
ROUND2は,カプコンが40年以上にわたって培ってきたゲーム開発ノウハウの裏側を伝える内容だ。「新旧 波動拳の作り方」コーナーでは,「ストリートファイターII」と「ストリートファイター6」の波動拳の開発工程の違いが一目瞭然だ。実際に両方の波動拳を撃てる体験展示も興味深い。
「フェイシャルトラッキングミラー」コーナーでは,来場者の表情をカメラで読み込み,そのままキャラクターモデルに即時反映させる体験ができる。
「カプコン流 効果音メイキング」コーナーでは,収録現場と実際のゲーム画面を見比べることにより,何を使ってどのように効果音が作られているかを紹介している。生活の中にある身近なもので作られているケースもあり,意外性や創意工夫が伝わってくる。
「ドット絵時代の創意工夫」コーナーでは,主にファミコンやスーパーファミコンの時代に,使用可能な色数などの制約が厳しい中,どんなテクニックを使ってドット絵でキャラクターを表現していたかを解説している。こうしたドット絵によるキャラクター作成を体験できる「カプコンピクセルラボ」も注目したい。
また「ゲームでは半透明が難しい」コーナーでは,当時困難だった半透明の表現をどのように実現したかが紹介されている。
「サウンドシアター」コーナーでは,ファミコンの8bitサウンドから現代の3Dサウンドまでの変遷を確認できる。
ROUND3「ファンタジーとリアリティ」
ROUND3では,カプコンが注力してきたゲームにリアリティをもたらすノウハウを展示。「リアルさの追求 -3Dスキャン-」のコーナーでは,「ストリートファイター」の春麗と「デビル メイ クライ」のダンテの白い石膏像に,テクスチャデータをプロジェクションマッピングして色づけしていく過程を確認できる。
「『らしさ』を描く -キャラクター造型の秘伝書-」コーナーには,ドット絵時代にトップクリエイターがまとめたカプコン流の人体解剖図が展示されている。同社のデザイナーに教科書として受け継がれているという。
「アタリ判定の世界」コーナーでは,かつてのアーケードゲームから最新コンシューマ機まで存在するアタリ判定を解説している。
「モンスターハンター 超立体図鑑」コーナーでは,「モンスターハンターワールド:アイスボーン」に登場するモンスター・イヴェルカーナが周囲の環境に与える影響を,ジオラマとプロジェクションマッピング,ARを駆使して再現。自然豊かな緑の大地が,イヴェルカーナの到来により,雪が降って凍っていく過程を確認できる。
一方,「モンスターハンター 超顕微鏡」コーナーでは,モンスターが細部にわたって設定,描画されていることがミクロの視点で示されている。
「エフェクトはゲームの華」コーナーでは,ゲームにおけるエフェクトの重要性を解説。プレイを盛り上げるだけでなく,遊びのルールやゲームの進行状況を表現していることが分かる。
また「【王の雫】」コーナーでは,「モンスターハンターワールド:アイスボーン」に登場するムフェト・ジーヴァの超必殺技のエフェクトを体感できる。
「演出効果は視点で変わる」コーナーでは,「バイオハザード」シリーズのカメラの変遷を例に,定点カメラ,三人称視点,一人称視点それぞれの表現と演出の違いを解説している。
また「バイオハザード・新ウォークスルー体験」コーナーでは,センサーに光を当てると暗闇にゾンビが出現するプロジェクションマッピングを活用した,現代アート的な恐怖体験ができる。
「ストリートファイター」のアニメーションアート。それぞれの国を代表する格闘技をモチーフにしている
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「ファイナルファイト」の地下鉄ステージを立体的に再現したフォトスポット「ファイナルファイト メトロシティ サブウェイ」。実際にシートに座れる
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BONUS STAGE
「制作資料/原画展示」コーナーには,歴代タイトルの企画書や制作資料,原画などを展示。「ロックマン」や「ソンソン」など,カプコン創業期のタイトルの手書き企画書もある。なお「ロックマンX」「ブレス オブ ファイア」「ヴァンパイア」などは東京会場で新たに加わった展示だ。
「モーションキャプチャーミラー」コーナーでは,特殊なスーツや機材を使うことなくモーションキャプチャーを疑似体験できる。
FINAL ROUND「受け継がれるカプコンらしさ」
FINAL ROUNDでは,カプコンの現役クリエイター12名が「カプコンらしさ」や「大事にしていること」などを語るインタビュー映像を鑑賞できる。
「逆転裁判」の法廷を再現したフォトスポット。「異議あり!」をはじめとする決めゼリフのパネルも用意されている
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カプコンのゲームやキャラクターにまつわる来場者のエピソードやイラストなどを掲示する「みんなのカプコンエピソード」コーナー
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物販コーナーでは公式図録や記念メダル,カプコンタイトルのグッズを販売。東京会場から新登場するグッズも用意されている
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併設のテーマカフェ「大カプコン展Food Festival」では,ゲームの世界やキャラクターをイメージしたコラボメニューを提供
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大カプコン展の入場には,チケットの購入が必要だ。なお,会期初日となる12月20日,および12月21日は日時指定制となっている。詳細は
公式サイトを確認してほしい。
■「大カプコン展 ―世界を魅了するゲームクリエイション」東京会場概要
会期
2025年12月20日(土)〜2026年2月22日(日)
休館日
1月1日(木)
開館時間
10:00〜18:00
*12月21日,2月22日と毎週金・土曜日および祝前日は20:00閉館
*入場は閉館30分前まで
会場
CREATIVE MUSEUM TOKYO
〒104-0031 東京都中央区京橋1丁目7番1号 TODA BUILDING 6階
主催
読売新聞社,CREATIVE MUSEUM TOKYO
特別協力
カプコン
後援
TOKYO MX
お問合せ
050-5541-8600(ハローダイヤル)
*本展覧会に関する内容や情報は予告なく変更になる場合があります。