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クラウドベースの機械学習でファンを制御? NZXTがゲーマー向けPCケース「H700i」などを発表
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印刷2017/11/10 00:00

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クラウドベースの機械学習でファンを制御? NZXTがゲーマー向けPCケース「H700i」などを発表

 2017年11月9日,米国のPCパーツメーカーであるNZXT(エヌズィーエックスティー)は,東京・秋葉原で新製品発表会を開催し,ゲーマー向けPCケース「H700i」「H400i」「H200i」の3製品と,ファンコントローラ「GRID+ V3」を国内発売すると発表した。

発表された新製品。左からGRID+ V3,H200i,H400i,H700i
画像集 No.002のサムネイル画像 / クラウドベースの機械学習でファンを制御? NZXTがゲーマー向けPCケース「H700i」などを発表

 発売時期は,H700iとGRID+ V3が2017年11月15日発売,H400iとH200iは2017年12月以降の予定である。メーカー想定売価は,H700iが2万7500円前後GRID+ V3が7000円前後(いずれも税別)なので,単純計算した税込価格は順に2万9700円,7560円となる。H400iとH200iのメーカー想定売価は未定だ。
 発表会で撮影した写真を中心に,新製品の見どころを紹介しよう。

新製品のラインナップ。PCケースの3製品は,いずれもブラックとホワイトのカラーバリエーションが用意されるとのこと
画像集 No.015のサムネイル画像 / クラウドベースの機械学習でファンを制御? NZXTがゲーマー向けPCケース「H700i」などを発表

 まずはPCケースから見ていこう。なお,3種類のPCケースは,いずれも基本的な特徴やデザインは共通で,筐体サイズや搭載可能なマザーボード,ストレージベイの数といった仕様が異なる製品だ。そのため本稿では,H700iを中心にチェックしていく。

 来週発売となるH700iは,Extended ATX(E-ATX)仕様のマザーボードに対応するミドルタワータイプのPCケースである。同様に,H400iはMicro-ATX仕様のミニタワータイプ,H200iはMini-ITX仕様の小型PCケースだ。
 まず目につく外観上の特徴は,ドライブベイや吸気用のメッシュ孔などが一切ない,フラットなフロントパネルだろう。ドライブベイを備えたフロント部分を,開閉式のフラットなカバーで覆った製品は過去にもあったが,H700iは,フロントパネル自体が完全にフラットなのだ。そのため,ミドルタワータイプのPCケースでありながら,H700iは5インチベイを備えていない。

H700iのホワイトモデル。前面は完全にフラットで,下側にNZXTのロゴがさりげなく書かれている程度。前面からの吸気は,サイドパネルの前端にあるスリットから行う仕組みだ。左側面のパネルは強化ガラス製である
画像集 No.004のサムネイル画像 / クラウドベースの機械学習でファンを制御? NZXTがゲーマー向けPCケース「H700i」などを発表

ミニタワータイプのH400i(左)と,Mini-ITX用の小型PCケースであるH200i(右)。サイズは異なるものの,フラットなフロントパネルと左側面の強化ガラスという点は共通している。ただ,H700iは,天面前端にあるUSBポートなどを除けば,トップパネルもほぼフラットであるのに対して,サイズの小さなH400iとH200iは,エアフローを確保するためか,天面に吸排気孔が開いている
画像集 No.005のサムネイル画像 / クラウドベースの機械学習でファンを制御? NZXTがゲーマー向けPCケース「H700i」などを発表 画像集 No.006のサムネイル画像 / クラウドベースの機械学習でファンを制御? NZXTがゲーマー向けPCケース「H700i」などを発表

 見た目に関わるもう1つのポイントは,マザーボードから伸びるケーブル類を隠す「ケーブルバー」の存在だ。下に掲載した写真で,筐体内部にある縦長のバーがそれで,マザーボードにつないだ電源ケーブルやSerial ATAケーブルなどをこの裏側(前面から見て右側面側)に通すことで,見せなくするというものである。

H700iの内部。白い縦長のバーがケーブルバーで,裏に回したケーブルをこれで隠せるという。ちなみに,ケーブルバーは基本的に取り外したりしないものとのこと。ケーブルの取り付けが面倒ではないかと思うのだが,コネクタ類や背面のケーブル孔との間隔は十分にあるようで,取り付けが難しいことはないという
画像集 No.003のサムネイル画像 / クラウドベースの機械学習でファンを制御? NZXTがゲーマー向けPCケース「H700i」などを発表

 ケーブルをマザーボードを取り付けたプレートの裏側に回して見せなくするPCケースは珍しいものではない。だが,NZXTでは,H700iでケーブルバーを設置したことにより,PC自作に慣れていない人が適当に組んでも,ケーブルを隠してきれいな見た目にできるとアピールしている。

ATXサイズの電源ユニットを収納できる電源ユニットカバーには,左側面に1つ,上側に2つの2.5インチHDD/SSD用ベイがある(左)。パッと見では3.5インチHDDベイが見当たらないが,実は電源ユニットカバーの裏側に2基用意されていた(右)
画像集 No.007のサムネイル画像 / クラウドベースの機械学習でファンを制御? NZXTがゲーマー向けPCケース「H700i」などを発表 画像集 No.010のサムネイル画像 / クラウドベースの機械学習でファンを制御? NZXTがゲーマー向けPCケース「H700i」などを発表

 ケーブルカバーと同様に,「誰が組んでもきれいに組める」を体現する要素の1つが,マザーボードを取り付けるパネルの裏側に複数のケーブル収納スペースが設けられている点だ。
 パネル裏側に回した電源ケーブルやSerial ATAケーブルなどを,このケーブル収納スペースに沿って配線し,さらに付属の面ファスナーで固定すれば,比較的簡単にケーブルをきれいにまとめられるのである。マザーボード裏面を這うケーブル類は,きれいにまとめるのが面倒だったり難しかったりしがちであるが,H700iの仕組みであれば,初心者でも簡単にできるかもしれない。

マザーボード取り付けパネルの裏側を拡大してみた。パネルの裏側に立ち上がったケーブルガイドに沿ってケーブルが配線してあり,それを面ファスナーで固定しているのが分かるだろう
画像集 No.008のサムネイル画像 / クラウドベースの機械学習でファンを制御? NZXTがゲーマー向けPCケース「H700i」などを発表

H700iの内蔵ファン&LEDコントローラ。サイズは2.5インチHDDよりもやや小さい程度だ
画像集 No.011のサムネイル画像 / クラウドベースの機械学習でファンを制御? NZXTがゲーマー向けPCケース「H700i」などを発表
 今回の3製品が備えるもう1つの大きな特徴は,PCケース内にNZXT独自のファン&LEDコントローラを標準搭載していることだ。ファンコントローラと言えば,単体売りの製品を購入し,マザーボードに接続して使うというのが一般的な導入パターンかと思うが,新製品では,これを最初から内蔵しているのだ。
 このファンコントローラで興味深いポイントは,筐体内の騒音を収録する小型のマイクを内蔵している点にある。通常のファンコントローラは,ファンの回転数や筐体内の温度をチェックする機能を持つが,H700i内蔵のファンコントローラは,騒音レベルも同時に計測できるわけだ。

筐体内の上側に仕込まれたLEDバー。これの発光色や発光パターンもCAMで設定できる。H700iとH400iでは,これ以外にLEDストリップが1本付属するとのこと
画像集 No.009のサムネイル画像 / クラウドベースの機械学習でファンを制御? NZXTがゲーマー向けPCケース「H700i」などを発表
 このファンコントローラが取得したデータの閲覧やファン回転数の制御は,NZXTが提供しているアプリケーション「CAM」を利用して行う。CAMは,PCのハードウェアモニターやファン回転数制御,LEDイルミネーションの設定といった機能に加えて,非常に独特な機能を備えている。それは,NZXT側のクラウドサーバーと接続して,筐体内やCPU,GPUの温度,ファン回転数や騒音レベルといった情報をサーバーに送信するというものだ。
 クラウド側では,世界中のユーザーから送られたこれらのデータを機械学習にかけて,ファン設定の最適解を導きだすという。そして,その結果をユーザー側のCAMに送って,回転数の自動制御パターンをアップデートできるというのだ。つまり,多くのユーザーが使い続けることで,H700iのファンコントローラは,より賢い自動制御が可能になるという理屈である。
 謳い文句どおりに,自動制御が賢くなっていくのかはなんとも言えないが,興味深いアイデアであるのは確かだろう。

CAMのハードウェアモニタリング画面。CPUやGPU,マザーボードの細かいデータを一覧できる
画像集 No.012のサムネイル画像 / クラウドベースの機械学習でファンを制御? NZXTがゲーマー向けPCケース「H700i」などを発表

CAMには,ゲームの画面上にフレームレートやCPU,GPUの温度をオーバーレイ表示する機能もある。ただし,ゲームを全画面表示している状態でなければ機能せず,ウインドウ表示や枠なしウインドウによる全画面表示時には機能しないとのこと
画像集 No.013のサムネイル画像 / クラウドベースの機械学習でファンを制御? NZXTがゲーマー向けPCケース「H700i」などを発表

 単品販売のファンコントローラであるGRID+ V3は,H700iのファン&LEDコントローラから,LEDの制御機能を省いたものとのこと。GRID+ V3を自分のPCに組み込み,CAMを利用すれば,NZXT製PCケース以外でも,クラウドベースの回転数自動制御機能が利用できる。

GRID+ V3の本体(右下)と同梱のケーブル類。左下にあるのが付属のマイクで,延長ケーブルを介してこれをPCケース内に取り付ければ,PC内の騒音レベルを測定できる
画像集 No.014のサムネイル画像 / クラウドベースの機械学習でファンを制御? NZXTがゲーマー向けPCケース「H700i」などを発表

GRID+ V3は6チャンネル分のファン制御が可能。付属の分岐ケーブルを併用すれば,最大で10基のファンをコントロールできるとのことだ
画像集 No.016のサムネイル画像 / クラウドベースの機械学習でファンを制御? NZXTがゲーマー向けPCケース「H700i」などを発表

 Coffee Lake-SやRyzenの登場で,PCを新しく自作しようと考えている人もいるだろうが,それに合わせてPCケースを選ぶときには,選択肢の1つに入れてみてはどうだろうか。

NZXT 公式Webサイト

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