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[CES 2018]LG,「FreeSync 2」&「HDR10」対応モデルや「DisplayHDR」対応モデルなどを披露し,HDRディスプレイへの本気度をアピール
その中で,4Gamer的に最も注目すべきと言えるのが,ひっそりと展示されていた32インチワイドディスプレイ「32GK850F」だ。
ざっくりとした製品概要の書いてあるポップ以外に情報がなく,発売時期や想定売価も不明だが,HDR10に対応したうえで,AMDのディスプレイ関連技術「FreeSync 2」にも対応するという点において,注目すべき製品と言えるだろう。
「FreeSync 2とは何か」は西川善司氏が詳しく解説しているので,そちらを参照してもらえればと思うが,大雑把に言えば,HDR表示におけるディスプレイ内部での処理遅延や,HDR対応ディスプレイのスペックをPC側で把握できるようにする機能といった,HDR関連の技術をまとめたものだ。
「FreeSync 2対応のPC用ディスプレイ」自体はすでにSamsung Electronics(以下,Samsung)が製品化済みだが,Samsungのディスプレイ事業は日本市場から撤退して久しい。一方,LGは多くのディスプレイ製品を日本でも販売しているので,場合によっては,32GK850Fが国内初のFreeSync 2対応ディスプレイとなる可能性があるだろう。
FreeSync 2以外の仕様も見ておくと,31.5インチサイズで解像度2560×1440ドットのVA液晶パネルを採用し,最大垂直リフレッシュレートは144Hzに対応となっている。また,残像感低減機能の「1ms Motion Blur Reduction」や,暗部の表現力を向上させる「Black Stabilizer」といった具合に,LG製ゲーマー向けディスプレイでは定番の機能も装備しているようだ。
ゲーマー向け液晶ディスプレイの新製品としてはもう1つ,「34GK950G」にも注目しておきたい。
34GK950Gは,LGが「Nano IPS」と呼ぶIPS方式液晶パネルを採用するのが特徴の液晶ディスプレイだ。LGによると,Nano IPSは,不必要な波長の光を吸収する特性を備えたnm(ナノメートル)サイズの粒子を素材に含めることで,輝度や色純度を向上させた液晶パネルとのこと。実際,34GK950Gの色域は,デジタルシネマ向けの色空間規格「DCI-P3」のカバー率にして98%に達しているそうだ。
液晶パネルサイズは34インチで,解像度は3440×1440ドット,アスペクト比は,LGのお家芸とも言える21:9といった仕様となっている。
最大垂直リフレッシュレートは100Hz,オーバークロック動作を有効にすると最大120Hzに対応し,NVIDIA独自のディスプレイ同期技術である「G-SYNC」にも対応するという。
こちらも,価格や発売時期は公表されていないが,日本市場にも積極的にディスプレイ製品を投入するLGだけに,国内販売の可能性は高そうだ。
DisplayHDR 600の液晶ディスプレイが早くも披露
FreeSync対応でゲーム用途にも使えそう
一方,ゲーマー向けに特化していない液晶ディスプレイでは,DisplayHDR対応を謳う2製品が見どころと言えよう。とくにLGが力を入れて展示していたのが,32インチサイズで解像度3840×2160ドット(以下,4K解像度)のNano IPS液晶パネルを採用する「32UK950-W」である。
32UK950-Wは,最大輝度が600cd/m2(=600nit)に達し,DisplayHDR規格の「DisplayHDR 600」(関連記事)に準拠するのが大きな特徴となっている。色域は34GK950Gと同じくDCI-P3のカバー率98%で,これはDisplayHDR規格のハイエンド仕様である「DisplayHDR 1000」が求める「DCI-P3カバー率90%」をも上回るスペックだ。
メーカー想定売価や発売時期は未公表であるが,4K解像度+DisplayHDR 600対応ということで,HDR対応のPC用液晶ディスプレイを欲していた人にとっては,魅力的な選択肢となるかもしれない。
DisplayHDR 600対応の製品としては,「34WK95U-W」という液晶ディスプレイも展示されていた。34インチサイズで解像度5120×2160ドットと,4K解像度並みの縦方向解像度を備えつつ,横方向の解像度はさらに広いという,アスペクト比21:9の液晶ディスプレイである。
DCI-P3カバー率が98%である点や,Thunderbolt 3対応などは32UK950-Wと同様だ。ただ,FreeSyncへの対応に関する情報は見当たらなかった。
そのほかに,DisplayHDRには対応していないが,HDR10とFreeSyncに対応する液晶ディスプレイ新製品として,37.5インチサイズで解像度3840×1600ドット,アスペクト比21:9(※正確には21.6:9程度)の湾曲型液晶ディスプレイ「38WK95C」や,27インチサイズで4K解像度の「27UK650-W」といった製品もブースでは確認できた。
なお,27UK650-Wは国内発売も発表されたので,興味のある人はそちらも参照してほしい。
ディスプレイ市場におけるLGのライバルと言って差し支えないSamsungは,少なくともCES 2018のメイン会場にディスプレイを出展していなかった。それもあり,よけいに「HDR推しのLG」が目を惹くCES 2018だったとまとめることができそうだ。
LGのゲーマー向け液晶ディスプレイ製品情報ページ(英語)
LGの液晶ディスプレイ製品情報ページ
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