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生成AIで自然に対話できるNPCを作る技術「NEO NPC」をUbisoftが発表
NEO NPCは,ゲーム用途向けAI対話生成エンジンを開発するInworldの大規模言語モデル(LLM)や,NVIDIAの音声および表情合成技術「Audio2Face」を利用して,プレイヤーキャラクターやNPC自体の置かれた状況と矛盾しない,自然に対話できるNPCを実現するための取り組みである。
生成AI技術を用いて,NPCと自然な言語でやり取りできるようにする技術や,NPCの表情を台詞に合わせて柔軟に変化させる技術は,NVIDIAも含めてさまざまな企業が開発に取り組んでいる(関連記事)。NEO NPCもそうした技術のひとつである。
NEO NPCにおけるポイントは,個性のないロボットやチャットボットに話しかけるのとは違い,NPCの性格や背景事情,置かれた状況,会話の傾向といった要素に基づいて,AIによる応答を適切な方向に調整できる点にあるという。簡単に言えば,NPCが人間として適切な会話を生成するために,生成AIに方向付けを行えるのがNEO NPCということのようだ。
一方で,単に「ゲームの状況から見て適切」というだけでなく,無意味な言葉に対して反応しないようにしたり,倫理的に不適切な台詞を発しないようにフィルターをかけることも可能であるという。
今回,Ubisoftは,NEO NPCの開発途中版を用いて作り出したNPCを2人披露したとのことだ。
NEO NPCはAAAクラスの大規模なゲームだけでなく,小規模なゲーム開発でも利用できる柔軟性のあるツールを目指して開発を続けているという。ただ,実際のゲームに応用できるようになるには,まだ時間がかかると,UbisoftのGuillemette Picard氏(Senior Vice President of Production Technology)は述べている。
先進的な技術をゲームに取り込むことに熱心なUbisoftらしい取り組みとも言えよう。今後の同社ゲームで,NEO NPCの技術を用いたキャラクターが登場するようになれば,ゲームにおけるリアリティがまたひとつ進化するのではないだろうか。
Ubisoftの当該ニュースリリース(英語)
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