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[TGS 2013]伊藤賢治氏,光田康典氏,下村陽子氏が,旧スクウェア時代の思い出を語った「スクウェア・エニックス コンポーザー スペシャルトークショウ」をレポート
ステージでは,お三方がスクウェア・エニックス在籍時の貴重なエピソードを披露。初めて明かされるエピソードの連続に,来場者は大いに盛り上がっていた。本稿では,その時の模様をレポートしてみよう。
左から,伊藤氏,光田氏,下村氏。伊藤氏曰く,この3名が一同にそろったことは今まで一度もなかったとのこと。かなり貴重な3ショットだということだ |
伊藤氏,光田氏,下村氏の年表も公開 |
1995年3月当時の秘蔵写真が公開された。光田氏,下村氏を含む当時の仲間で,金沢に旅行に行ったときのものらしい |
一方の下村氏は,当時の光田氏と伊藤氏に対して「凄く気を使っていただいて,とても良くしてもらいましたね。優しい先輩でした」と振り返っていた。
次に話題は,伊藤氏,光田氏,下村氏のかつての上司に当たる,植松伸夫氏の思い出について。伊藤氏が旧スクウェアに入社した当時,植松氏は30歳になるかならないかくらいの年齢だったが,みなが敬意を持って接していたので「偉い人なんだな」と率直に思ったとのこと。
下村氏は,自身がファイナルファンタジーシリーズのプレイヤーだったので「あの植松さんだ……」と,ファンとしての気持ちもあったと明かした。ちなみに,植松氏をクリエイターとして尊敬はしているものの,いわゆる一般企業の上司のイメージとかけ離れていたため,同氏を上司として意識したことはなかったそうだ。
さらに下村氏は「ライブ・ア・ライブ」の作曲を行っていた際,スランプに陥っていたことを明かす。そんな時,植松氏と時田貴司氏に呼び出され,「どうした? 何か,男のことで悩んでいるのか? 悩んでいるなら相談になるよ」と言われたことがあったらしく,「今だったらセクハラになると思うんですけど」と,冗談っぽく笑っていた。
この時,伊藤氏はすでに「聖剣伝説 〜ファイナルファンタジー外伝〜」の楽曲を手がけていたため,引き続き同シリーズの「聖剣伝説2」を選択。すると植松氏から「一日考えさせてくれと」と返答を保留され,次の日,植松氏に呼ばれた伊藤氏は「サ・ガで河津(秋敏)さんに揉まれてこい」と言われ,「ロマンシング サ・ガ」を担当することに。
伊藤氏は「揉まれてまくって,こんなブヨブヨになっちゃいました(笑)」と言っていたが,そのおかげで「ロマンシング サ・ガ」という代表作を手に入れられたことに「ありがたいことです」とも話していた。
ここでゲスト陣にも知らされていない,サプライズのビデオメッセージが上映される。登場したのは,ガンホー・オンライン・エンターテイメントの田中弘道氏。言わずと知れた,旧スクウェア時代より,長い間,同社の人気シリーズに関わってきた人物だ。
田中氏はビデオ内で,光田氏が「ゼノギアス」のマスター入れ直前になって救急車で運ばれたことや,伊藤氏が,植松氏や菊田裕樹氏(「聖剣伝説2」の楽曲を担当)に「お前はプログレが分からん!」と言われていたことなど,田中氏だからこそ話せるレア(?)なネタを披露して,会場を笑いに包んでいた。
これにはお三方も驚きを隠せないようだったが,伊藤氏は「(田中氏が自分達を)見ていないようで見てたんだね」と笑顔でコメント。光田氏と下村氏も嬉しそうだった。
続いては,お三方が,ゲスト陣の好きな楽曲を発表するというコーナーへ。
ここでは,光田氏が「ロマンシング サ・ガ2」の「オープニングタイトル」,「聖剣伝説 レジェンド オブ マナ」の「Legend of MANA〜Title Theme〜」,伊藤氏が「クロノ・クロス」の「CHRONO CROSS ー時の傷痕ー」,「パラサイト・イヴ」の「Primal Eyes」,下村氏が「聖剣伝説」の「Rising Sun」,「クロノ・トリガー」の「クロノ・トリガー」など,リスペクトの念を込めつつ挙げていった。
こんな感じでステージは進んでいき,あっと言う間にトークイベントは終了。最後は伊藤氏から,今年の2月に行われた伊藤氏のライブ「One Night Re:Birth」が,2014年1月に再演されることがサプライズ発表される。
続いて光田氏から,「クロノ・トリガー」の20周年企画を色々と考えているとのコメントも。また下村氏からは,まだ未確定ながら,アルバムを構想していることや,「コンサートをやりたいと思っている」など,ファンには嬉しいお知らせが続き,大盛況のうちにステージは幕を閉じた。
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