テストレポート
ソフトバンクの夏スマホ,AQUOS PHONE Xx 206SHとARROWS A 202Fをじっくり触ってきた。ハイエンドモデル2機種の実力はいかに?
AQUOS PHONE Xx 206SH |
ARROWS A 202F |
「5インチフルHD+フルセグがハイエンドの証」。ソフトバンクモバイルが2013年夏モデルスマートフォンを発表
5インチサイズながらも持ちやすい形状
AQUOS PHONE Xx 206SH
省電力性能よりも発色を重視して液晶パネルを選択したのは,AQUOS PHONE Xx最大の特徴である,地上デジタル放送の「フルセグ」対応内蔵テレビチューナーを生かすためだろう。本体だけでフルセグの地上デジタル放送を受信できるというのは7日の記事でお伝えしたとおりだが,AQUOS PHONE Xxではフルセグとワンセグのどちらにも対応し,番組の録画もできるため,携帯型テレビとして十分実用に足りる印象だ。
AQUOS PHONE Xxには長いロッドアンテナが内蔵されており,テレビ受信時にはこれを伸ばして使う。しかし,移動中での受信も考慮して設計されたワンセグとは異なり,固定されたアンテナと有線でつながったテレビ受像機で視聴することを前提としたフルセグの地上デジタル放送は,ロッドアンテナだけだと受信しにくい場面が少なくないそうだ。
そこでシャープは,同梱の卓上ホルダーに,テレビアンテナ端子を搭載してきた。これにアンテナケーブルを接続すれば,据え置き型テレビ並みの受信性能を発揮できるようになるという。卓上ホルダーを自室の机などに置いておけば,超小型フルセグテレビとして利用できるようになるというわけである。
フルセグ受信用の収納式ロッドアンテナ。本体の長辺と同じくらいの長さがあり,最大に伸ばした状態はいささか異様に見える |
……と,製品的には重要だが,4Gamer的にはそうでもない仕様をチェックし終えたところで,外観のチェックに移ろう。
AQUOS PHONE Xxのカラーバリエーションは,「ブラック」と「ラスターホワイト」「ブルー」の3種。[ホーム]ボタンや[戻る]ボタンが画面上のソフトウェアボタンとなっているので,最近のAndroidスマートフォンらしい設計だといえそうだ。
ただ,そんななかで目を引くのは,音量調整用のタッチセンサーが[▲][▼]のマーク入りで前面下部に用意されているところ。電源/スリープボタンは本体頂部にあるので,音量調整用のボタンだけタッチセンサーに切り替えられた格好だ。大きめの筐体ということで,音量調整用ボタンの“誤爆”を避けられるようにという配慮だろうか?
本体前面下部のボタン周り。音量調整用のタッチセンサーが写真向かって右下部に用意されるのが目を引くところだ |
両側面にはボタン類がない。すっきりしたデザインであり,どこを持ってもボタンを誤爆する心配はないのは好印象 |
サイズと重量は「測定中」とのことだが,本体のベゼル部は丸みを帯び,細く感じられるようなデザインになっており,しかも音量調整用ボタンがなく,どこを握っても問題ないことから,大きくて持ちにくい印象は受けない。既存の5インチサイズスマートフォンに対して「大きすぎる」と感じている人でも,AQUOS PHONE Xxは意外にアリと思うかもしれない。
なお,手に持った印象では,重量は140〜160g程度だった。
本体頂部。左から順にヘッドフォン端子,[電源/スリープ]ボタン,SIMおよびmicroSDXCカードスロット(カバーの中に2スロット用意),フルセグアンテナとなっている |
本体底面。206SHは防水対応なのだが,展示機は試作品であるためか,USB Micro-B端子がむき出しだった。最終製品ではカバーが用意されるのだろう。底面にはストラップホールもある |
ちなみに,搭載する撮像素子の種類は非公開とのことだが,画素数と発色傾向から考えると,ソニー製の「Exmor RS for mobile」ではないかと思われる。
中身も押さえておこう。SoC(System-on-a-Chip)には,Qualcomm製の「Snapdragon S4 Pro APQ8064」。Qualcomm独自のCPUコア「Krait」を4基統合して最大1.7GHzで駆動させ,やはりQualcomm独自のGPUコア「Adreno 320」を組み合わせてた製品だ。
メインメモリ容量は2GBで,内蔵ストレージ容量は32GB。前述のとおり,microSDXC対応のカードスロットを持つので,ストレージ容量は最大で64GB分を拡張可能だ。おサイフケータイ機能を持つ点も触れておく必要があるだろう。
珍しい特徴としては,内蔵する無線LANコントローラが,最新世代の高速通信規格「IEEE 802.11ac」(以下,11ac)のドラフト仕様に対応することが挙げられる。11ac対応ルーターは今年登場したばかりなので,今すぐにあると役立つ機能というほどではないが,Samsung Electronicsの「Samsung GALAXY S 4」が世界市場向けモデルで対応するなど,今後のハイエンドスマートフォンで標準的な機能になる兆候は見られるので,そうした機能をきちんと取り込んできたことは,評価に値しそうである。
なお,AQUOS PHONE Xxのバッテリーは,ユーザーによる交換ができない内蔵式だ。本機は防水仕様が特徴の1つでもあるので,これは致し方ないところか。
その代わりというわけではないだろうが,バッテリー容量は約3080mAhと大容量で,約2日間充電いらずと謳われている。
ハイエンドモデルのスマートフォンとくれば,ぜひともその性能をチェックしてみたいところ。今回は「3DMark」のAndroid版によるグラフィックス性能の計測と,連射測定アプリケーション「ぺしぺしIkina」によるタッチパネルの連打に対する応答性をテストしてみた。
なお,これらのテストを実行した機材はあくまでも試作機であり,製品版の機材とは異なる結果になる可能性があることをお断りしておく。
というわけでまずは3DMarkからだが,モバイルデバイス向けテスト「Ice Storm」の総合スコアは1万1000を超え,より負荷の高い「Extreme」プリセットでも6500を超えてきた。標準プリセットにおけるスコアは,Android版3DMarkの発表時に計測した,CPUコアクロック1.5GHz版のSnapdragon S4 Pro APQ8064搭載スマートフォン「Xperia Z SO-02E」の10134というスコアを上回るもので,相当に良好だと述べてよさそうだ。
一方のぺしぺしIkinaでは,連射回数が93〜96になる程度でタップして,測定結果は「89」だった。50タップめ前後に処理が飽和して一瞬止まった程度で,反応は極めて良好。ゲームを快適に操作できそうだ。
3DMarkの標準プリセットスコア(写真左上)。総合成績で1万1000を超えてきた |
連射アプリ「ぺしぺしIkina」の結果。激しく画面を連打しても,取りこぼすことなく反応してくれる |
5インチでフルHDクラスの液晶パネルを持つスマートフォンでは,この種の機能を持つ製品が増えており,たとえば前出のXperia Z SO-02Eには,「スモールアプリ」と呼ばれる,似たような機能が用意されている。スマートフォン画面上での複数アプリ動作は,5インチクラスでは定番になりそうな機能であり,そうした機能をきちんと揃えていることからも,隙がない製品に仕上げてきた印象は強く受けた。
細かい気配りが魅力の5インチ&フルセグスマホ
ARROWS A 202F
「ブラック」と「ホワイト」,「グレースブルー」「ピンク」の4色で展開されるARROWS Aだが,その外観で目に付くのは,5インチサイズで1080×1920ドット解像度の液晶パネルを上下から挟み込む,ゆるいカーブを描いた頂部と底部だ。これはNTTドコモから登場した「ARROWS X F-02E」と共通するもので,ARROWSシリーズらしいデザインと言える。
本体サイズは約69(W)×139(D)×9.8(H)mmで,重量は約158g。写真を見ても分かるように,左右のベゼルをぎりぎりまで細くしたデザインで,背面形状はAQUOS PHONE Xxと同様の,ラウンドフォルムとなっている。いずれも5インチサイズの液晶パネルを搭載しながら,持ちやすいように配慮したデザインによるものだ。
本体前面にハードウェアボタンはなく,すべてが画面上のソフトウェアボタンとなっているのは,AQUOS PHONE Xxと共通。一方,サイドボタンは向かって左側面だけに配置されている。防水仕様の端末なので,頂部や底部にあるスロットやコネクター類は,防水カバーで覆われていた。
プロセッサなどの内部スペックは,AQUOS PHONE Xxとよく似ている。フルセグチューナーの搭載がウリで,プリインストールのOSがAndroid 4.2(Jelly Bean)となっており,CPUコアに最大1.7GHz動作となるSnapdragon S4 Pro APQ8064,さらに11ac対応の無線LANコントローラを搭載し,おサイフケータイ機能を持つあたりは,AQUOS PHONE Xxとまったく同じだ。
そんなARROWS Aの仕様で優れる点は,内蔵ストレージ容量が64GBと,AQUOS PHONE Xxの2倍もあることだろう。ゲームアプリのファイルサイズは大きくなる一方であり,動画や音楽,電子書籍をスマートフォンに溜めておくにも,内蔵ストレージ容量は大きいほうがありがたいので,この仕様は評価できる。
内蔵するバッテリーは容量約3020mAhの大容量バッテリーで,約2日間充電いらずを謳っていることはAQUOS PHONE Xxと同様だが,プレスリリースによるとARROWS Aは,急速充電機能に対応しているという。この機能に関する具体的な情報はまだないものの,短時間の充電でも長時間使えるようなら,使い勝手はよさそうだ。
試行回数が1回と少なかったので誤差の可能性は捨てきれないものの,標準プリセットにおけるスコアの落ち込みは誤差の範囲を超えるように思える。もっとも,スコアの差はともかく,ARROWS Aのスコア自体は優秀で,ゲームの快適な動作が期待できるのは確かだ。
ぺしぺしIkinaの計測結果。連打をほとんど取りこぼすことなく処理したのは驚いた。ちなみにここで右下に見える下向きの[↓]ボタンが,本文で触れているボタンだ |
画面全体が下方向へズレたところ。この状態で[↑]ボタンをタッチすると,画面は元に戻る |
ソフトウェア面での付加機能についても触れておこう。ARROWS Aには5インチサイズの大きな画面に合わせた面白い機能として,「画面全体をした方向にずらす」という機能が用意されているのだ。
これは,画面の右下,ソフトウェアボタンが並んだところにある[↓]ボタンを押すことで利用できる。富士通モバイルコミュニケーションズが行ったユーザーテストでは,5インチサイズの画面に対し「片手操作では指が上まで届かない」というフィードバックがあったとのことで,まさに,その意見に応えたものというわけだ。
[↓]ボタンと[メニュー]ボタンの位置が近いため,とっさのときの“誤爆”が気になるものの,使いこなせれば確かに片手操作は便利になりそうである。
最大13時間駆動でダブルLTE
Pocket WiFi 203Z
203Zの特徴は,2.5GHz帯の周波数を使うTD-LTE方式「SoftBank 4G」と,1.7GHz帯FDD-LTE方式を使うイー・モバイルのLTEサービスという,2つのサービスに1台で対応することだ。片方のサービスで通信できない場所において,もう片方のサービスに接続を試みられる。また,どちらでもつながる場所であれば,空いているほうを使うということもできそうだ。さらに,1.5GHz帯を使う3G通信の「ULTRA SPEED」にも対応しているので,カバーエリアも広いだろう。ソフトバンクモバイルの1契約だけで,これらのサービスをすべて利用できるというのもポイントが高い。
ソフトバンクモバイル 2013年夏モデル 公式ページ
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