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[OGC 2015]フジテレビジョンがゲームに特化したクラウドファンディングに参入した「5つの理由」とは
ゲーム企業でもないフジテレビがなぜ,このようなサービスに関わることになったのか,という疑問に対して,「5つの理由」によって説明するというのが,この講演の主旨となる。塩原氏は,その理由として,フジテレビジョンの「強み」「豊富なリソース」「弱み」「乏しいリソース」「アレルギー反応」を挙げた。
「ONLINE GAME CONFERENCE 2015」公式サイト
■「強み」
以上のような説明のあと,塩原氏は「フジテレビジョンの強みとは,地上波をはじめとするメディアを使い,情報を分かりやすく伝えるところにある」と述べた。
クラウドファンディングという言葉は一般にはあまり知られていないかもしれないが,気に入ったものに出資するという考え方は根源的なものなので,こうした取り組みによって一般化できるのではないか,と塩原氏は語った。
■「豊富なリソース」
ここでいうリソースとは,フジ・メディア・ホールディングス傘下のさまざまな事業者のこと。
フジ・メディア・ホールディングスには,放送だけでなく,映像制作,音楽,広告,出版,都市開発といった分野を手がける傘下企業がある。こうした会社の力を使うことで,クラウドファンディングに提出されたプロジェクトを,アニメ,イベントなどさまざまなエンタテインメントに展開できる力を持っているという。
■「弱み」
塩原氏によれば,フジテレビの弱みとは,テレビなどのメディアで情報発信はできるものの,「一方的な価値の提案」になる場合が多いことだ。
もちろん,テレビ番組にも視聴率や視聴者からの声といったリアクションがあるが,Webなどの双方向メディアに比較して,ユーザーからのフィードバックの影響力が薄い。これは,多くの人に向けて情報を発信するマスメディアの宿命であるという。
■「乏しいリソース」
ここでいう「乏しいリソース」とは,リソースが不足しているという否定的な意味ではなく,複数の会社が互いの得意分野を担当することにより,少ないリソースで物事を進められるという,肯定的なニュアンスのものだった。
クラウドライブ自体はフジテレビだけのプロジェクトではなく,セガネットワークスとグーパを合わせた3社による取り組みだ。
それぞれの会社が自ら得意とする分野で活躍する「ある種の企業間分業」(塩原氏)により,自社のみですべてをまかなうよりも少ないリソースと低いリスクで事業を進め,パフォーマンスとスピード感を向上させられるという。ちなみに,フジテレビにおけるクラウドライブの実働部隊は,塩原氏ただ1人だという。
■「アレルギー反応」
アレルギーとは,生体に異物が侵入したときに起こる拒否反応のことで,塩原氏がここで言うアレルギーとは,フジテレビに新しい価値観を提示することで,肯定にせよ否定にせよ,社内からさまざまな反応が返ってくる状況を指している。
しかし塩原氏は「こうしたザワザワはフジテレビの健全な成長と新陳代謝のために必要なものだ」と述べる。放送事業は成熟した産業と思われがちだが,さらなる成長領域を探すために,新たな価値観やプロジェクトの提示によってザワザワを起こす必要があるというわけだ。もちろん失敗することもあるのだが,挑戦し続けることが大事だと塩原氏は語った。
最後に塩原氏は「クラウドファンディングは資金調達やマーケティング,プロモーションにも使えます。クラウドファンディングを使いたい人,アイデアがある人,プロジェクトを実現させる方法が分からない人など,何かやりたいと思っている人はぜひ相談してください」と語った。
「クラウドライブ」公式サイト
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