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大規模アンケート集計から見る日本のゲーマー像(その4):平均ゲーム支出額は1万2491円/月,プレイ時間は2.6時間/日。ゲーマーが費やす時間とお金を探る
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印刷2016/12/28 01:10

企画記事

大規模アンケート集計から見る日本のゲーマー像(その4):平均ゲーム支出額は1万2491円/月,プレイ時間は2.6時間/日。ゲーマーが費やす時間とお金を探る

 2016年夏の特大プレゼントで行われたアンケート集計記事も今回で最後となる。4Gamer読者の,ひいては日本のゲームプレイヤーのプロファイルを浮き彫りにしようというこの企画,これまで基本的なユーザー属性,ハードウェア環境,ゲームのプレイ状況と3回にわたって見てきたわけだが,最後のテーマはズバリ「お金と時間」である。
 ちなみに「その4」とはなっているが,今回の記事から読んでもほとんど問題はない。一応,前提となる部分を把握しておくほうが記事も読みやすいかもしれないので,未読の人は,すでに掲載されている記事も参考にしてほしい。

大規模アンケート集計から見る日本のゲーマー像
(その1)ユーザー属性編

大規模アンケート集計から見る日本のゲーマー像
(その2)ハード環境編

大規模アンケート集計から見る日本のゲーマー像
(その3)プレイ状況編

4Gamer 2016冬の特大プレゼントはこちら



みんなどれくらいお金を使っているのか?


 最初に,記事内で使われる「課金」という用語そのものについてあらかじめ解説しておこう。
 多くの人は,「ゲームの課金サービスを利用する」を短縮した意で「課金する」と使っているはずだが,字義どおりに捉えると「課金する(料金を課す)」はサービス提供者側の立場での用語であるので正しいとは言えない。
 「納金」を使えという人もいるが,納金という言葉は支払いをすることと対価を得ることが適度に分離されている場合にはよいのだが,ゲームの課金機能ではしっくりこない。物品であれば「購入する」が適切であり,それは若干の違和感はあるが,サービスの場合でも使えなくはない。ただ,すでに「課金する」がど真ん中の意味で広く使用されるようになっているので,以下,課金という単語については,お金を払う側の立場を示す場合があることをお断りしておく。主客の逆転は日本語ではまま見られるものであり,なにかと「現状が優先する」のが世の中というものだ。

 まずは,集計の生データを中心に紹介してみよう。下は,オフラインゲームの購入に毎月いくら使っているかである。2015年夏と2015年冬のデータも並べてみた。

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 ピーク帯は月に1本程度のパッケージゲームを購入できる5001〜1万円の部分になっている。だいたい4割の人は月に1本以上のゲームを購入しているという結果だ。1〜3000円の範囲の人は半年で1本とか2,3本という感じだろうか。この傾向は,過去2回のアンケート結果からの推移でもほぼ変わっていない。

 次にオンラインゲームの支出データだ。

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 無料の範囲ないし遊んでいない人の率が低下傾向にあり,支出金額は全体的にやや増加傾向にあるように思われる。なお,アンケート集計(その3)の結果と照らし合わせると分かるのだが「プレイしない」人がそもそも27%いるので,無料の範囲で遊んでいる人は10%程度ということになる。実感としてはもっと多いのではないかという気がするのだが。
 PCオンラインゲームでは大きな動きは減ってきているので,お金を使って遊ぶ人が残っているという感じだろうか。

 続いてスマホアプリでの支出データを以下に示す。

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 スマホの場合は,最初からプレイしていない人と無料の範囲を分けて集計されているので傾向が分かりやすいのだが,スマホでゲームをする人は増加傾向にあることが分かる。お金を使わない人が多数で,遊ばない人が2割,無料の人が3割という比率だ。逆に言えば,約5割はいわゆる「課金ユーザー」である。ほかのジャンルと比べて,全体に低金額層が多いものの,3万円以上の支出層が目立って多いのも特徴といえるだろう。

 では,5万円以上使われているゲームはどんな感じかとランキングを取ると,以下のようになる。

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 ポケゴー,デレステ,フェイト……と,一般的なアプリのプレイ傾向とそう大きくは変わらない。プレイヤーベースが多いので高額支出者も多いのは当然の話だ。ほとんどのタイトルでiPhone勢がAndroid勢を上回っているのだが,FGOと星のドラゴンクエストのみ,Android勢が優位なのもちょっと興味深い。

 ところで,大昔に説明したこともあるのだが,4Gamerの集計ツールには全体的な傾向からの偏移を抽出する機能がある。全体的な傾向から目立って特徴的な部分があったら教えてくれる機能で,その項目に対するある程度の相関を探ることができる。この機能は,多重応募などにセンシティブで,設問が複数回答であるため必ずしも直接的に抽出された項と関連があるとは言えない部分もあるとお断りしつつ,スマホアプリについて5万円以上の支出者が多い傾向のゲームを挙げてみよう。

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 これが直ちに課金兵御用達のゲームないし重課金のゲームを意味するものではないにせよ,これらのゲームでは,毎月スマホアプリで5万円以上使う人の割合が多いという結果が出ている。FFVIIなどの単発売りのゲームが入っているが,先ほど「直接的に関連があるとは言えない」と断った部分の分かりやすい事例と言える。これは「毎月多くのお金を使う人が,期間内にプレイしていたゲーム」の抽出であって,FFVIIそのもので毎月多額のお金を使うことを意味しているわけではないことに注意してほしい。
 いずれにせよ毎月多くのお金を使う人ほど,こういった有料のゲームを買っているということは読み取れる。

 なお,グラフの長さは標準値に対しての突出の度合を示すもので,値自体の意味合いは薄いので数値は省略している。

 ちなみに,3万円から5万円の範囲で特徴的に支出の見られるゲームは以下のとおりだが,まったく似通っていない。共通して登場するゲームがあってもよさそうなものなのだが。

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 さらに,無料の範囲でプレイしている人の率が高いゲームを見てみよう。

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 結果を見ると,2016年5月に始まった「LINEアルカノイドvsインベーダー」が無課金の人に人気だ。このゲームの課金要素などを調べようと思ったのだが,すでにサービスは終了していた。Google Playでのユーザー評価は3.7と,ゲームそのものの評判はそこまで悪いわけではないと思うのだが,無料でのプレイヤーの比率がかなり高い。マネタイズに失敗していたと思われる。


 以上,(主に)コンシューマゲーム,オンラインゲーム,スマホアプリについての支出動向を簡単に見てきたのだが,もう少し分かりやすい指標として,平均でどれくらいお金を使っているのかを出してみた。上で掲載しているように,アンケートの設問は金額の範囲で設定されているので,各設問の中央値,「3001円〜5000円」であれば4000円を,「5万円以上」には7万円を設定して計算してみた。数値の精度は推して知るべしなので,細かい桁の部分はほぼ誤差と思っておいてほしい。

 結果は,

コンシューマ 5734円/月
オンライン  3645円/月
スマホアプリ 3112円/月

となった。合計すると,毎月1万2491円をゲームのために使うのが平均的な4Gamer読者像ということになる。
 「えー,そんなに使わないよ」と思う人もいるかもしれないが,平均なので全員がそうだというわけではない。年齢層や職業などによっても傾向は異なってくる。以下は,職業別の平均支出額を示すグラフである。

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 さすが業界関係者といったところだろうか。4Gamer読者の主力である会社員(技術系)もかなり平均値を底上げしており,とくにモバイルアプリでの課金額が高い(平均で月1万円超えてるって……)。公務員の人は,PCやゲーム機ではさほどゲームをしていないようだが,スマホでは結構ヘビーにやっているらしい。また,オンラインゲームでの最強勢は大学生が専業主婦かといったところだが,支出額自体は大きなものではないようだ。

 しかし,高校生でも毎月ほぼ1万円をゲームに使っているというのは驚きだ。そのほか,小学生にはスマホ課金をさせていない親ばかりのようで,ここはちょっと感心させられた。


時は金なり。金がなければ時間でカバー?


 続いて1日あたりのゲームプレイ時間を見ていこう。これはジャンル別の設問は行われていないので,総合的なゲームプレイ時間となる。

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 以上のとおりで,支出額と同様に範囲の中央値をもって平均を取ると,平均プレイ時間は約2.6時間だ。

 さらに職業別で平均時間を調べると次のようになる。

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 中高生がだいたい3.3時間で揃い,会社員は事務・技術・その他問わず,だいたい2.4時間くらいで揃うという結果になっている。トップは家事手伝いで,社会的に似た位置にある無職に大差をつけている。次点となるのが中高生グループというのもちょっと不安な感じではある。勉強も頑張ろう。

 職業ごとの内訳を見ると,下のような感じになる。

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 これを見る限り,無職が家事手伝いに負ける理由はなさそうなのだが,1時間未満の部分が平均を下げているのだろうか。便宜上,10時間以上を12時間と算定しているのだが,それも足を引っ張ったかもしれない。オンラインゲームだと無職でなくても休日に長時間こもる人はそう珍しくないだろうから,20時間くらいまで刻んだ設問項目になっていれば逆転していた可能性は高い。

 プレイ時間の長い人はどんなタイトルをプレイしているのかを,前述の特徴抽出機能で探ってみよう。まず,10時間以上プレイしている人が突出して多いものと,6時間〜10時間プレイしている人が多いものをそれぞれ抽出してみた。

10時間以上
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6時間〜10時間
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 うーむ。よく分からない。多重投稿をチェックしたほうがいいかもしれないと思いつつも,ブラウザゲームの時間占有の度合が高そうなことはなんとなく見えてくる。
 ランキングイベントとかがあると必然的に睡眠時間が4時間以内になってたよなあと,終わってしまったゲームを遠い目で思い起こしつつ,ゲーム運営の人には常識的な範囲でイベント開催を行ってほしいと切に願いたいところだ。

 「時は金なり」という言葉があるが,ゲームではやり込み時間の代わりにお金を注ぎ込んだり,お金の代わりに時間をかけて攻略するといった相互関係がある。どれくらいの時間とお金をゲームに投資しているのかを職業別で見ていこう。ここでは単純に平均支出金額を平均プレイ時間と掛けてみた。

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 どれくらい意味のあるグラフになっているのかは不明だったが,ゲームへの投資度はこんな感じになるわけだ。
 ついでに,人数比率も掛けてみよう。

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 ということで,圧倒的に技術系会社員がゲーム業界を支えていそうな結果が見えてきた。4Gamer読者の主力層でもあり,最も影響力の強い読者層を抱えていることが確認できて一安心といったところだろうか。

 さて,この記事が掲載されるタイミングで「2016年冬」の特大プレゼント企画も行われている。アンケートの項目数がこれでもかというくらいあってうんざりする人もいるだろうが,ぜひとも記入は正確に行っていただきたいところだ。こういったデータの山が明日の4Gamerを,ひいては日本のゲーム業界を作っていくので,ご協力のほどよろしくお願いしたい。

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