プレイレポート
逃げちゃダメだ,逃げちゃダメだ……「エヴァンゲリオン VR The 魂の座」を先行体験,LCL注入によって溺れそうな感覚まで伝わる
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「Project i Can」公式サイト
既報のとおり,この夏,新宿・歌舞伎町において,VRエンターテインメント施設「VR ZONE SHINJUKU」のオープンが予定されている。同施設に設置予定のVRアクティビティ第1弾として,このたび発表されたのがエヴァVRだ。
エヴァVRの流れは,プレイヤーがエヴァ(初号機,零号機,2号機のいずれか)のコクピット(魂の座)に乗り込み,「発進シークエンス」で地上に射出後,ほかのプレイヤーと協力しながら「第10の使徒」と戦うといった内容だ。
ただし,取材陣が体験できたのは,発進シークエンスの「格納庫から地上に出る直前まで」。限られた時間のVR体験ではあったが,それでもエヴァらしさを実感することができた。
VR HMDとヘッドホンを装着して座席で待っていると,真っ暗だった視界が突然,明るくなる。「まぶしい!」と思ったら,そこがお馴染みエヴァのコクピット内だと分かった。
コクピットには2つの操縦桿があるが,地上に出るまではこれを使うことはない。つまり,今回体験した発進シークエンスでは使わないのだが,なんとなく動かしてみると,画面内のプラグスーツを着用した自分の手が動く。どんどんシンクロしている感覚だ。
ほどなくして,エントリープラグ内にLCLが注入される。徐々にコクピットが液体で満たされていくのだが,アニメではこれを初めて体験する碇シンジが溺れそうになって,慌てるシーンが印象的だった。さすがにVRでは「溺れそう」という感覚は味わえないよなあ……と思っていたら,一瞬,息苦しいような感覚があった。え,どうして?
その理由は体験後に判明する。パイロットの正面に送風システムがあり,この風がプレイヤーの身体に吹きかけられる仕組みになっていたのだ。息ができなくなるというわけではないが,ちょっと慌てる感覚とうまくマッチングしている。
LCLに満たされたところで,あらためて周囲を見渡してみると,そこはNERV内のエヴァ格納庫だ。アニメで見慣れたはずの景色だが,HMD越しのコクピット視点になるとすごく新鮮だ。プレイヤーが搭乗するエヴァの身長は約80メートルとのことで,地上十数階のビルに相当する。コクピット視点はエヴァの頭部からとなっているため,かなり高い位置だ。頭を動かし左右を見下ろすと,エヴァの肩部が見える。
葛城ミサトから通信が入り,いよいよ発進が近づく。肩部のロックが外され,発射台まで移動すると,コクピットがガクンと揺れた。グンと後方に引っ張られていく感覚が,しっかり再現されている。
発射台に到着すると,目の前に上向きの矢印が表示される。「なんだろう?」と見上げると,ちょうど発射口のシャッターがカシャン,カシャンと順に開くところだ。これはカッコイイ!
そのままボーッと上を眺めていたら,コクピットがガタガタと勢いよく揺れ出し,高速で地上に向かって射出……といったところで体験は終了した。
VRアクティビティの説明と発進シークエンスが約5分,その後,プレイヤー3人で協力して第10の使徒と戦うシーンが約3分とのこと。戦闘では操縦桿を使ってエヴァを動かし,視線で照準を合わせてトリガーを引くと銃で攻撃するという操作方法だ。攻撃手段は銃のみで,格闘戦は用意されていない。
体験終了後,エヴァVRの開発を手がけたコヤ所長(小山順一朗氏),タミヤ室長(田宮幸春氏),井本一史氏に話を伺った。
エヴァに限らず,アニメでは決められた見栄えのいい角度からの絵が中心となり,あらゆる方向を見渡せるという前提で設定が作られていない。そのため,VRアクティビティの開発陣が解釈したり,検討を重ねたりして全方位対応のVR空間を作っていくという。
今回,取材陣が体験した発進シークエンスの見どころを尋ねると,「LCLが注入される場面ですね。溺れる感覚に近いものが表現できたと思います」(井本氏),「(送風システムは)ハードウェアエンジニアからの提案でした。最初は『どうかな?』と思ったんですが,試作したらかなり良かった」(コヤ所長)とのこと。当初,送風システムは想定していなかったそうだが,その効果は大きかったようだ。
もちろん,原作の権利元による監修も行われており,実際にVRアクティビティを何度か体験してもらったという。タミヤ室長によると「たとえば,エヴァVRで上を見るとそのまま外が見えますが,実際のエヴァもそういう設定なのかは分からない。でも,そういう解釈で問題ないことが分かりました」。
「VR ZONE SHINJUKU」に設置予定のアクティビティ第1弾として,エヴァVRが発表されたが,そのほかにもさまざまなIPのアクティビティを用意しているという。コヤ所長が「こんなのとか,あんなのとか」と身振り手振りを交えてヒントを教えてくれると,周囲が慌てるという一幕も。とりあえず,それは見なかったことにしつつ,エヴァVRをはじめとするVRアクティビティのローンチを心待ちにしよう。
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