中国市場で増加する女性プレイヤー。彼女達が新たなゲーム市場を作るというレポートがChinaJoyの公式サイトに掲載

　2019年8月2日〜5日，中国・上海で中国最大のゲームショウ「ChinaJoy 2019」が開催される予定だが，その公式サイトに「“Her” age of the game is coming! Women's game market has a bright future」（彼女達の時代が到来。女性ゲームの市場には未来がある）という記事が掲載されているので，簡単に紹介したい。

“Her” age of the game is coming! Women's game market has a bright future

　中国のオーディオビジュアルデジタル出版協会（GPC）やアメリカの市場調査会社International Data Corporation（IDG）などがまとめたレポートによれば，2018年の中国市場の規模は前年比5.3％増の2144億元（約3兆3936億円）で，世界のゲーム市場の23.6％に相当するという。また，昨年末までの中国のゲームプレイヤーの数は6億2600万人で，日本の人口より多かったが，そのうち実に半分近い2億9000万人を女性ゲーマーが占める。これは前年比で11.5％の増加であり，これらの女性ゲーマーが生み出した消費は約490億元（約7756億円）に達し，これは前年比で13.8％の増加になるとのこと。


　今年で16回めを迎えるChinaJoyでは，開催当初こそ数万人規模だったものの，2017年には34万人の来場者を数え，そのうちの28.23％が女性だったという。それ以前の数字が出ていないので，増加傾向にあるのかまでは分からないものの，4日間の会期中に約10万人以上の女性ゲーマーが訪れた計算になる。


　こうしたことから，ChinaJoyに参加するゲームメーカーも女性ゲーマーに大きな可能性を見いだしている。例えば，昨年初参加した蘇州市のPaper Gamesは，女性向けのブースデザインやタイトルで多くの女性プレイヤーを集め，ビッグデータを専門に扱うJiguangの調査によれば，同社が12月にリリースした女性向けの恋愛シミュレーション「Love and Producer」（「恋与制作人」）は，2〜3億元（約47億円）の売上を上げたという。


　Paper Gamesだけでなく，Friend Timesなどの類似メーカーもChinaJoyで女性ゲーマーの評判を集めており，女性市場の拡大を印象づけた。このため，TencentやSeasun Entertainmentなどの大手メーカーも独自に女性市場への投資を拡大していると記事は述べており，こうしたゲームメーカーと女性ゲーマーの橋渡しをするために，ChinaJoyは格好の機会だという。
　2018年にはまたFacebookが「Her Age of Game」と題されたシンポジウムを開催しており，中国ゲーム業界の多くの女性達が集まり，ゲームやインターネットの将来について議論したとのこと。


　中国の調査会社CNGのレポートによれば，現在のゲーム市場と女性ゲーマーの間にはタイトルや操作方法などから供給が需要に追いついていないが，潜在成長性は140億元（約2209億円）に達すると見られている。さまざまな理由で減速の可能性もある中国のゲーム市場だが，eスポーツを始め，MOBAやFPSなどへの女性進出も目覚ましく，Tencentの「Arena of Valor」では，実に54.1％のプレイヤーが女性であるとのことだ。


　こうした切り口で記事が作られること自体，男性中心の中国ゲーム市場の有り様が垣間見られて興味深いが，いずれにせよ，女性達の時代は確実にやってくると書かれており，コスプレなどを含めて，ChinaJoyに参加する女性ゲーマーは今年，さらに増えるはずだ。その現状をChinaJoy 2019で確認してほしいと記事はまとまられている。

ChinaJoy 2019公式サイト