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[CEDEC 2021]近年,盛り上がりを見せる"ゲーム実況"について,いちユーザーによる独自の分析をレポート
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印刷2021/08/26 15:29

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[CEDEC 2021]近年,盛り上がりを見せる"ゲーム実況"について,いちユーザーによる独自の分析をレポート

講演を行った中田朋成氏
画像集#001のサムネイル/[CEDEC 2021]近年,盛り上がりを見せる"ゲーム実況"について,いちユーザーによる独自の分析をレポート
 ゲーム開発者向けのカンファレンス「CEDEC 2021」の初日となる2021年8月24日,ゲーム実況をテーマにした講演が行われた。本稿では,「この1時間でゲーム実況業界の全てがわかる!?ゲーム実況の過去・現在・未来【2021年版】〜「ゲームコミュニティ」を形成せよ!」の講演レポートをお届けする。

 今回の講演を行った中田朋成氏は,いち視聴者としてゲーム実況に長年接しているとのこと。「NGC」(ニコニコゲーム実況チャンネル)との出会いを機に,ゲーム実況業界を独自に分析するようになり,近年はCEDECや東京ゲームショウで語ったり,ゲームコミュニティ「NGC2」で広報を担当したりしている。今回の講演では私見と前置きしたうえで,中田氏によるゲーム実況界隈の分析について語られた。

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 ゲーム実況の歴史をかいつまでんで紹介すると,最初は認知度が低いうえ,配信するには特殊な機材が必要で,ハードルが高い状況が続いていたという。そういったなか,ゲームバラエティ番組「ゲームセンターCX」の登場によって,流れが変わったという。
 本番組にメイン出演する有野晋哉(よゐこ)さんは,これといってゲームが上手なわけではない。ときおり登場する番組スタッフも,番組を盛り上げるトークに精通しているわけでもない。にもかかわらず,ゲーム実況として面白い番組となっているのは広く知られているとおりだ。
 そして,ゲームセンターCXを見た視聴者のなかから,番組を楽しむだけでなく「私でもゲーム実況ができるかも?」と考えるようになる人が現れ,ゲーム実況そのものに対するハードルが引き下げられたとの分析を示した。

 そうしてゲーム実況に参入した人のなかには,のちの人気実況者となり,着目したメーカーが協力するケースも出始めてきたという。中田氏が見たなかでは,「スタジオえどふみ」(現:スタジオNGC)がゲーム実況のプロとしての活動を表明したのが,とくに印象に残っているそうだ。

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 言うまでもないが,ゲーム実況で番組で取り上げるゲームはゲームメーカーの著作物である。ゲーム実況の勃興期は,この分野の認知度の低さも相まって,権利者側はガイドラインを制定しておらず,客観的には「ほぼ違法」の状態だったとのこと。これに関しても少しずつ流れが変化しており,PlayStation 4に「SHARE」機能が搭載されたのは,その流れを象徴する事例だという。

 その後は配信プラットフォームも,YouTube,Twitch,ツイキャス,OPENREC等が続々と登場し,ゲーム実況の認知度が大きく広がっていった。ただ,それはプラットフォーム間の競争が激しくなっているともいえるわけで,すべてが順風満帆というわけではない。
 実際,マイクロソフトが展開したストリーミングサービスのMixerは,人気配信者を擁立するも短期間で閉鎖に追い込まれている。ビジネスとしてのゲーム実況の難しさが,次第に浮き彫りになってきていると中田氏は語る。

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 全体として見るとゲーム実況の可能性は広がる一方で,さまざまな分野からの参入も行われているという。以前は“芸能人”として知られていた人物が,ゲーム実況者としてブレイクする事例は珍しくない。また,eスポーツ系のプロゲーマーがゲーム実況を行うのも,ゲームの魅力を的確に伝えるという面において,適任といえるだろう。

 とりわけ,複数名によるグループ活動を行っているバーチャルYouTuber(Vtuber)は,ゲーム実況との親和性が特に高いとの見解を中田氏は示した。というのも,Vtuberグループは,その気になれば身内だけでゲーム大会が行え,その様子を各Vtuberが配信することでシナジー効果などが見込めるからだそうだ。

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 こうしてゲーム実況の認知度が広がり,熱心なファンにとって視聴するのが当たり前になると,さまざまなメリットが得られるという。

 まず最初に,ゲーム実況を通じて,新たなゲーム作品を知るきっかけとなりうること。中田氏によると,人間は基本的に自分の守備範囲外に対する関心が低いが,贔屓にしているゲーム実況者が遊んでいるゲームを見ることで,その作品に興味を持つ機会が多いとのこと。中田氏自身,以前は洋ゲーに対して関心が薄かったそうだが,ゲーム実況を通じて知り,現在はハマっているそうだ。

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 また,ゲーム実況には“ゲーム離れ”に対する抑止効果も存在するとのこと。
 たとえばゲーム以外に趣味を持ったり,所有しているゲーム機が壊れてしまったりと,環境の変化などによってゲームとの“ご縁”が切れるタイミングが意外とあるという。そういったなか,ゲーム実況を視聴するのが日常生活の一部となっている人は,ゲームとの“ご縁”が切れにくいのではと感じているそうだ。

 そのほか,ゲーム実況者によっては,その当人を中心としたコミュニティが形成されていることもある。視聴者がコミュニティに参加することで,ゲーム仲間が増えたり,そこで行われているイベントに参加したりと,ゲームの楽しみ方の幅が広がることもあるそうだ。

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 ただし,ゲーム実況は良いことづくめではなく,たとえばゲームメーカーがプレゼン目的でゲーム実況を行う場合,なんらかの理由によって番組が盛り上がらないと,ヘタをすると逆効果になりうる。ゲームに不慣れな実況者をゲストに招く際は,事前にゲームの説明を行ったり,放送時間内にゲームの魅力を視聴者に伝えられるポイントを調べておいたりと,実況者がゲームを楽しみ,番組を盛り上げるための下準備が必要とのことだ。

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 今回の講演を行った中田氏は,ゲーム実況にいち視聴者として長年接することで,幅広いゲームタイトルの情報を得られ,またゲームの楽しみ方が大きく広がっているという。インターネットの世界ではネガティブな情報を目にすることも多いが,その一方で,ポジティブな要素もある。とりわけゲーム実況に関しては,そういったポジティブな効果を強く感じているそうだ。

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「CEDEC 2021」公式サイト

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