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印刷2023/07/01 14:06

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AIが研究開発を加速させる? ChatGPTが与えた衝撃とその可能性を語る「AIの未来」セッションレポート

 2023年6月28日から30日にかけて,京都市勧業館みやこめっせでカンファレンス「IVS 2023 KYOTO / IVS Crypto 2023 KYOTO」が開催された。その中で行われたパネルディスカッション「AIの未来」の模様をお届けしよう。

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 モデレーターは日本ディープラーニング協会理事 事務局長の岡田隆太朗氏,スピーカーは日本マイクロソフト執行役員 常務 クラウド&ソリューション事業本部長 岡嵜 禎氏,Bestat代表 松田尚子氏,AI inside代表取締役社長 CEO 渡久地 択氏,Spiral.AI CEO 佐々木雄一氏だ。

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岡田隆太朗氏
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岡嵜 禎氏
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松田尚子氏
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渡久地 択氏
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佐々木雄一氏

 トークセッションの話題の中心は,大規模言語モデルである「GPT-4」および,それを利用した「ChatGPT」だ。これらの登場が業界に与えた影響,そして一般に与えた衝撃を各登壇者が語った。

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 まずは,岡嵜氏がGPT-4を説明した。ChatGPTが登場した2〜3か月後には利用者が1億人を突破したが,そのスピードは既存のサービスをはるかに上回る。なぜその速さで1億人が利用したのかというと,答えはシンプルで「便利だから」だという。
 ChatGPTが登場したのは2022年で,その時のベースとなったのは「GPT-3.5」である。

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 生成系AIは,入力されたプロンプトからテキストや画像などを生成して出力するものである。生成系AIのブレイクポイントになったのが「GPT-3」あたりで,深層学習モデルであるTransformerといった技術もあり,膨大なパラメータをベースに学習をさせればさせるほど進化していくという。GPT-3の登場は2020年ごろだが,ChatGPTが出てきたことで,自然言語処理が注目され,話題になったとのこと。

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 そしてGPT-4とこれまでの大きな違いが,さまざまな用途に使える汎用モデルであるということだ。特定のデータを準備しなくてもいろいろなタスクをこなせるため,利用コストが小さくなったという。
 生成系AIが登場してからは,多くの企業がこれを導入し始めたほか,AIに命令を出すプロンプトのエンジニアリングが脚光を浴びるなど,大きな反響があるそうだ。

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 佐々木氏はChatGPTに可能性を感じ,上場企業の役員を辞めて起業した。もともと1年任期であり,2023年3月31日で役員を辞める予定だったそうだが,2022年11月30日にChatGPTが登場する。「この時期を逃したらまずい」と考えた佐々木氏は,代表と相談し,任期を繰り上げて2月17日に退任したという。佐々木氏は生成系AIに関する起業をするなら,刻一刻と状況は変化するので,今すぐやったほうがいいと語っていた。

 渡久地氏もChatGPTの登場について,即座にアクションを起こしたくなるようなすさまじい衝撃を受けたと語る。実際,ChatGPTの登場後は社内にすぐにXResearchというチームを作り,開発に乗り出したという。

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 話題は「各社が考えるAIの未来とは? そして今後について」に移る。

  岡嵜氏は,Microsoftとしては3〜5年であらゆる体験がAIによって変わり,さらにその先はもっとダイナミックに変化していくだろうと予測しているという。

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 佐々木氏は,5年より先のプランとして,研究開発を大規模言語モデルを使って行う構想を語った。佐々木氏はもともと物理学の研究者だったが,例えば「ヒッグス粒子をこういう仮説で考えたときに,このモデルは成立するか」という質問に対して,大規模言語モデルは成立する可能性があるという。実際に友達がAIを用いて試したときに,それっぽいものが出てきたそうだ。間違いも多々あったそうだが,たたき台としては十分使えるレベルだったとのこと。
 例に挙げたように,研究分野で活用できるようになれば,研究開発が加速し,みんなが夢を見ているSFの世界を早く実現できるのではないかと考えているそうだ。

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 松田氏は,3D生成AIを開発しているが,その技術が進歩すれば,世界は3Dであふれるようになると考える。今はまだ画像をベースに3Dを生成しているが,将来的にはテキストで生成できるようになり,頭の中にある想像を具現化することも容易になるのではないかと語った。

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 渡久地氏は,AIはプロンプトを入力する必要がなくなると予測した。5年後には量子コンピュータが登場し,さらにその先に核融合発電なども登場すれば,ほぼ無限の電力を利用して,AIが加速度的に生成し,AI同士で学習していき,人間以上の知性を持つAIになるのは間違いないと語った。その時代が来た時に,どうするべきかを考えていく必要があるという。

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 最後に質疑応答の時間となり,「僕は文系で知識がないのですが,そこから生成系AIを使って起業したいとなったら何から始めるべきか」という質問が寄せられた。

 佐々木氏は質問に対して,チャットウインドウがあるので思ったことをとりあえず書いてみて,何ができるかを試してみると,ChatGPTでできることが見えてくると答えた。また,プログラムを書く必要はなく,プロンプトを日本語で入力すればいいので,文章力のある文系のほうが実はポテンシャルが高く,実際にプロダクトを作る段階になれば,プログラマーを雇えばいいとコメントしていた。

 それぞれの立場からAIについて語っていたが,佐々木氏のコメントは特に未来を感じる内容だった。AIの発展とともに研究開発が加速し,より革新的な技術が発明されるようになれば,今以上にはるかに発展した未来が来るのも,そう遠くないのかもしれない。

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