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懐かしい初期「カードダス」のゲーム性に,今あえて本気で向き合ってみた。実はコレクターでも知らないルールだらけ?
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印刷2024/07/13 10:00

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懐かしい初期「カードダス」のゲーム性に,今あえて本気で向き合ってみた。実はコレクターでも知らないルールだらけ?

 1988年に発売されたバンダイのトレーディングカード「カードダス」は,そこから1990年代にかけて「SDガンダム」や「ドラゴンボール」などの人気コンテンツを題材にしたものが大ブームを巻き起こした。かつて熱心に集めていた4Gamer読者も多いのではないかと思う。

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 カードダス自体は,当初のブームが落ち着いた後も続いており,2023年の35周年を経た現在も新たなシリーズが展開中。アーケードゲーム機と連動した「データカードダス」(2005年〜),NFCチップを搭載した「ICカードダス」(2015年〜)など,よりハイテク化したものも加わりながら,新旧ファンを楽しませている。

 こうして長期間にわたり展開されてきたカードダスのなかで,1980年代〜90年代の初期カードダスを再評価し,原点回帰したような新作も登場している。「SDガンダム」や「ドラゴンボール」の懐かしい絵柄のカードダスをそのまま復刻させたものは以前からあったが,最新コンテンツで大胆なオマージュに踏み切ったものも出てきた……というのがここ最近の商品の特徴だ。

 特に,TVアニメで多くの新規ファンを獲得した「機動戦士ガンダム 水星の魔女」は,「SDガンダムワールド」の初代カードダスをあえて「完コピ」したようなデザインのカードが話題に。このほかにも,ゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」や,VTuberグループ「ホロライブ」のカードダスシリーズも,初期カードダスをリスペクトしたデザインフォーマットを採用している。

「カードダス 機動戦士ガンダム 水星の魔女」
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「カードダス ウマ娘 プリティーダービー」
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「カードダス hololive」
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 こうした動きの中でも極め付きとなったのが「ポプテピピック クソハイパーDXカードダス」。これは「ポプテピピック」の「ポプ子」と「ピピ美」により,歴代カードダスの徹底的なパロディが繰り広げられる30種のキラカードセットとして2023年に発売された。
 “クソ”を自称しつつも「SDガンダム」生みの親であるイラストレーター・横井孝二氏とコラボしたり,パロディのネタもかなりマニアックだったりと,むしろカードダス愛の深さを感じさせる一品だった。

「ポプテピピック クソハイパーDXカードダス」
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 前置きが長くなってしまったが,本稿のメインテーマは,こうして最新商品にも影響を与え続ける1980年代〜90年代の初期カードダスだ。

 カードダスには最初期からゲームとしての要素が入っているのだが,筆者の知る範囲では,集めたカードで実際にゲームをプレイした人は意外なほど少ない。ゲームの内容に関する多くの情報がカードに記載されていたにもかかわらず,それらを理解していた人はごく少数派だったように思う(確かなデータは存在しないが,筆者個人に加えて,現在ネットで確認できる思い出話でも「よく分からなかった」とする当時のプレイヤーは多い)。

 近年のトレーディングカードゲームとは違い,ゲーム性の部分が「よく分からないもの」として扱われがちなのは,知名度の高さに対してアンバランスな印象を受ける。黎明期のカードダスならではの妙味とも言えそうだ。

 筆者は,この“よく分からない”部分を,本気で掘り下げてみたくなった。もともと趣味で初期カードダスを集めていたのだが,これを機に古い書籍も漁り,できるだけ正確なゲームルールを検証することにした。当時を知っている人は懐かしさ,知らない人はカードダスのルーツを知る楽しさを味わってほしい。

参考資料にしたカードダス関連書籍の一部。カードの絵柄を集めたカタログ要素に加え,ゲームルールや勝利のコツといったテキストにゲーム攻略本の趣があり,今ではなかなか貴重なものとなっている
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カードダスの原点といえるシンプルなデザイン

SDガンダムワールド

(プレイ人数:2〜4人)

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 1988年から1992年にかけて販売された,最初期のカードダスのひとつ。「SD」は「スーパーデフォルメ」の略で,「機動戦士ガンダム」およびガンダムシリーズの世界観を,丸っこくデフォルメしたキャラクターで次々にカード化し,大人気となった。

 すべての原点ともいえるそのカードデザインは,歴代カードダスの中でもとりわけシンプルで,特にキラカードはほぼ全種が金色のプリズムに統一されている。このギラギラしたきらめきは,いつ見ても物欲をくすぐるものがある。

 カードゲームとしては,カード表面に記載されたHP(ヒットポイント)を競い合う簡単なバトル要素が用意されていた。そのうえで,キャラ(人間)カードや特殊ルールカードなどによるサポートや,HPが同点の場合に適用される「3すくみ」のジャンケンなどで独自のゲーム性を演出している。

●遊び方
 ゲームに参加するプレイヤーは,メカカード(HPに+や−がついていないカード)とキャラカード(HPに+や−がついているカード。特別ルールのカードもこれに含む)を,それぞれ同じ枚数用意する。この枚数には厳密なルールが存在しないが,当時の資料では「メカカードを10枚,キャラカードを5枚」を例にした説明が行われているため,これを基準としたい。

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 用意したカードのうち,キャラカードを自分の手札として持ち,メカカードはよく切って裏返した山にして自分のそばに置く。各プレイヤーは,伏せたメカカードから一番上のカードを「1,2の3」で同時にめくってバトル開始。めくったメカカードのHPを見比べて,HPが一番大きいプレイヤーが勝ちとなる。

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HPが同点の場合
 キャラ名の脇に表示された所属軍マークによって勝敗を決める。「3すくみ」のジャンケンになっており,「連邦軍はジオン軍に勝つ」「ジオン軍はネオジオン軍に勝つ」「ネオジオン軍は連邦軍に勝つ」というルール。

自分が負けた場合
 さらにもう1枚メカカードをめくる(戦うカードを交換する)か,手持ちのキャラカードの中から1枚を出すことでメカカードにHPをプラスすることが可能。このとき,メカ+キャラがベストコンビ(原作のモビルスーツ+パイロットの組み合わせなど)となった場合,合計HPが2倍になる。手札に特別ルールカードがあれば,それを出すこともできる。

「ベストコンビ」の例。左上の「グフ」(HP70)に「ランバラル」(HP20)を加えた場合,合計HPは(70+20)×2=180となる。メカカードには隅のほうにパイロット名が書いてあり,これを手がかりにベストコンビを見つけることができる
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特別ルールカードの例。これを出せば即座にゲーム終了となる「終戦カード」(レビル将軍とデギン・ソド・ザビ公),終戦カードが出てもゲームを再開できる「開戦カード」(ギレン・ソド・ザビ),ネオジオン軍カード以外を全滅させる「ドッカンカード」(アクシズ),場に出たカードの処遇を次の勝負に持ち越す「ひきわけカード」(ハロ)。これらの効果を把握するには当時のルールブックが必須といえる
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 各プレイヤーがカードを出し終えた段階で,勝利したプレイヤーは対戦相手のメカカードを獲得。メカカードの山を使い切った後に自分のカードとして使うことができる。こうして勝負を繰り返し,手持ちのメカカードが1枚もなくなった人が負け。

●プレイしての感想
 基本的に「HPが高いカードをたくさん持っている人が強い」という,単純なゲームであることは間違いない。そのうえで,勝敗を分ける要素として興味深いのが,メカ+キャラの組み合わせによるベストコンビだ。
 この対戦ゲームを真剣にプレイしたなら,アニメを観ていなくても「機動戦士ガンダム」のストーリーや設定を覚ええてしまうようにできている。

 所属軍によって勝敗が決まる「3すくみ」要素は,原作中のパワーバランスを再現する意味合いがほんのり感じられるところが秀逸だが,HPが同点になるケースが少ないのがややもったいない。このため,うまいこと接戦になるようカードのHP上限を決めたり,HPが近いカードを集めたりといった一工夫を加えるのが楽しむポイントになりそうだ。

 気になったのが,HPも所属軍もすべて同じカードが出た場合の明確なルールがないこと。ここは「引き分けて次の勝負に持ち越し」と考えるのが妥当な気もしつつ,キャラカードや特別ルールカードを足し「必ず何らか決着をつけなければならない」という縛りにすれば,ゲームとしては盛り上がるだろう。


カードバトルゲームではなく「集めて楽しむRPG」

SDガンダム外伝

(プレイ人数:1人)

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 「ドラゴンクエスト」をはじめとしたファミコンRPGが爆発的な人気となっていた1980年代末期,こうしたRPGのフレーバーを「SDガンダム」と掛け合わせ,“世界初のロールプレイングカードダス”として登場したのが「SDガンダム外伝」だ。
 デフォルメされたガンダムキャラと「剣と魔法」の世界がマッチしたことにより,当時のキッズに絶大な支持を受け,以降7年間にも及ぶシリーズ化に成功する。

 キャラの名前やセリフ,設定,HPなどをカードの上下に配した情報欄が特徴的で,この黒い帯や独特の文字フォント(古印体)はデザイン上のアイデンティティにもなっていた。

 カード裏面では背景となるストーリーがじっくり語られているなど,想像がふくらむ作りは魅力的。このカードダスを原作として,ファミコンやスーパーファミコン用のRPGがリリースされた事実も当時の人気を物語っている。
 ゲーム性としては,HP(またはMP)を使った単純な数値バトルもできるようになっているが,本シリーズ最大の特徴は,カードを集めることによって楽しめる「謎解き」にある。

「SDガンダム外伝」第1弾発売当時の広告。 “ついに登場!世界初のRP(ロールプレーイング)カードダス!!”というキャッチフレーズにすべてが詰まっている
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●遊び方
 章(シリーズ)ごとに用意された約40種のカードの中に,ストーリー上で主人公が倒すべき強大なボスキャラが存在する。カードの表・裏に記載された様々な情報を読み解いて,このボスを攻略する方法を見つけ出すことがプレイヤーのおもな目的となる。

 謎解きの攻略法は章ごとに異なるため,ここでは最も有名な第1弾「ラクロアの勇者」の場合を紹介しよう。

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 「ラクロアの勇者」の主人公は,HP500の「騎士ガンダム」。ボスキャラである「モンスター ブラックドラゴン」のHP欄は「データ不明」となっており,このカード単体だとHPがわからないが,ザコキャラの「戦士ザク」のセリフにヒントがあり,そこで「9999」という極めて高い数値を持つことが判明する。

「戦士ザク」(右)の「赤い翼のあのお方は,9999の力を持っておられる。」というセリフに注目
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 次に,全カードの右下に1文字ずつ記載されているひらがなに注目。カードナンバーを1から順番に並べると文章になるという,いわば暗号だ。

 42枚をつなげて読むと,「ぶらっくどらごんをたおしたければ ふたつのいしをあわせ そのことばにみみをかたむけてみよ」となる。ここで言う「ふたつのいし」とは,2つに割れた石板のこと。
 この石板は,カードに描かれたイラストから見つける必要がある。1つは「アイテム石板」,もう1つは「モンスター スライムアッザム」のカードだ。

「モンスター スライムアッザム」のカードに描かれているのは石板の断片で,これだけで文章全体を推測するのは難しいが,謎を解くうえで重要な部分が含まれている
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 2つの石板をつなげて読むと,「選ばれし者の許に三つの星が集う時 大いなる力が十の分身を生むだろう」というメッセージが浮かび上がった。「三つの星」をヒントにカードを探すと,星のマーク(ガンダムのシールドにあしらわれている十字型の星)が刻まれたアイテムを発見できる。「力の盾」「霞の鎧」「炎の剣」,これら“伝説の三神器”が揃うと,「大いなる力が十の分身を生む」,つまり,騎士ガンダムのHPが10倍になる……!

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 騎士ガンダムのHP500に,150(力の盾),150(霞の鎧),200(炎の剣)を足した合計は1000。これを10倍にすると10000となり,HP9999のモンスター ブラックドラゴンを破ることができるのだ。

●プレイしての感想
 数値,セリフ,暗号など,カードに表示されたあらゆる要素を集め,読み込む楽しさは,「アメダス」(気象データ収集システム)を語源に持つというカードダスならでは。性質上,それなりに枚数を集めないと謎が解けないようになっているが,個々のカードをなんとなく眺めているだけでも楽しめるデザイン性は今見ても秀逸だ。

 この「SDガンダム外伝」のデザインフォーマットが,最近になって「ガンダム」以外のカードダスにも継承されていることから,カードダスそのものを象徴する存在にもなっているとしても過言ではないだろう。

 ちなみに,SDガンダムのカードダスとしてもっとも息の長いシリーズとなった「SDガンダム外伝」は,2024年になって再び新作も登場している。「機動戦士ガンダム 水星の魔女」のキャラをモチーフにした第1弾「SDガンダム外伝NEO 禁じられた魔法 竜人の巫女」は,「プレミアムバンダイ」限定商品として4月〜5月にかけ受注販売がおこなわれた。


「戦闘力」と「スカウター」による秀逸な原作再現

ドラゴンボールカードダス

(プレイ人数:2人)

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 数あるカードダスの中でも,「ドラゴンボール」のアニメや原作コミックスとともに爆発的な人気で一時代を築いたシリーズ。放送当時のアニメとストーリーが連動したカードラインナップに,戦闘力=BP(またはDP)を比べ合う対戦ゲームを用意している。「ドラゴンボール」のカードダスには多数のシリーズがあるが,最初に登場したこのシリーズにはほかと区別する名称がないため,“本弾”と呼ばれることが多い。

 ゲーム性におけるポイントは,孫悟空たち「Z戦士」と強敵との戦いが,カードの対戦要素と密接にリンクしていること。フリーザ,セル,魔人ブウなど,普通のカードでは戦闘力が及ばない強キャラに勝つためには,さまざまなカードに散りばめられたヒントから特殊ルールを探し出す必要があるのだ。

 大ざっぱに言えば,先に述べた「SDガンダムワールド」に近い対戦バトルと,「SDガンダム外伝」における謎解き要素のいいとこどりのような作りになっている。そのうえで,戦闘力(見かけ上の数値)とは別に,各キャラの潜在能力を示す「スカウター」欄を設けたことも大きな特徴だ。

細かな赤い点々が描かれた部分が「スカウター」欄。数値や技名などが隠されており,それによりBPが何倍にも引き上げられたり,逆にマイナスされたりもする(写真の「フリーザ」の場合は、「×10」と記載されておりBPが10倍になる)。この欄を見るための玩具も発売されたが,赤い半透明のセロファンや下敷きなどで代用できた
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“本弾”と呼ばれるこのシリーズは,デザインが一定のものではなく何度か変更が行われた。BPを初めて記載した第2弾(左),イラスト全体を黒い枠で囲んだ第3弾(右)を経て,これにスカウター欄を追加した第5弾により基本フォーマットが完成する
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●遊び方
 プレイヤー全員分のカードを集め,裏返しにしてよく切ってから,各プレイヤーに6枚ずつ配る。残ったカードは,1つの山にして中央に置く。全体の使用枚数に規定はないが,多ければ多いほど勝負が長引くため,まずは30〜40枚程度で試してみることをおすすめする。

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 各プレイヤーは,6枚の手札のうち,BP(戦闘力)が表示されたカードを1枚ずつ選び,「1,2の3!」の合図で場に出し合う。それぞれのBPを見比べて,数値の大きい方が勝ちとなる。

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BPが同点の場合
 カード裏面に表示されているドラゴンボールの星(★)マークの数で勝負。この星の数も同じ場合は引き分けとなる。(引き分けたカードは場に残しておき,次の勝利者が手に入れられるものとする)

自分が負けた場合
 手札の中に特別ルールカードがあった場合,「待った!」をかけて使用できる。

 上記が通常のBPバトルの方法だが,バトル開始前に「スカウターバトル!」と宣言した場合はカードのスカウター欄を使った対戦となる。この場合は,スカウターの内容によりBPを大きく増やしたり特殊技を使ったりすることが可能だ。

特別ルールカードの一例。使用時の効果がスカウター欄の横に明記されているカードもあれば,写真の神龍のように「3つの技が使えるぞ!」などのラフな説明しか書かれていないものもあり,さまざまなカードからヒントの読み解きが必要になる
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 各プレイヤーがカードを出し終えたらバトル終了となり,勝利者はその場に出ているカードを獲得できる。獲得したカードは,手札とは別の山にして自分のそばに集めておく。

 続いて,各プレイヤーはバトルで使用した手札を補充して再び6枚にする。中央にある山から必要な枚数分のカードを引いたら,次のバトルがスタートだ。

 こうしてバトルを続けて,手札からBPの書かれたカードがなくなるか,中央の山がなくなるか,もしくはゲームを強制終了する「ゲームオーバーカード」が出されたら対戦終了。その時点で,バトルで獲得したカードの枚数が一番多いプレイヤーが最終的な勝利者となる。

●プレイしての感想
 単なるBPの比べ合いだけでは少々面白みに欠けるが,特殊ルールカードや,特徴的なスカウターの要素を加えたことで,原作を巧みに再現しつつゲーム性を高めている。スカウター欄に赤いものをかざして暗号を見るという行為そのものが玩具らしくて楽しいし,カードのデザイン上でもスカウターは当シリーズの重要なアイデンティティになっていると感じる。

 なお,対戦ではすべてのバトルを「スカウターバトル」としてもいい気がするが,「スカウターバトル!」を宣言する行為こそがカードダスっぽくて独特なので,ぜひ省略せずに宣言してからプレイしたい。

 ただし,スカウター欄の内容はシリーズを追うごとに複雑化しており,その効果によって最終的に数百万BPまでインフレを起こすカードも続出した。謎解きも難解になり,特別ルールの種類も増えた結果,解説書がないとゲームとして実践するのは至難の業となってしまっている。

「超サイヤ人」の登場によりBPが爆発的にインフレした第8弾。左の3枚はスカウター欄に“山線”や“Z”のマークが記載されており,それぞれの意味を「山ふたつは100倍,山ひとつは200倍」「奇跡の1000倍パワー」といった,別のカードのヒントから導き出す必要がある
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 このドラゴンボールカードダスは現在も新作や復刻版がときどき発売されている。最新商品としては,カードバトルの公式ルールを記載した特製ガイドやスカウター型カードなどを同梱した限定セット「ドラゴンボール カードダス リミックス」などがあるので,興味を持った人は最新情報をチェックしてほしい。


ゲーム性とコレクション性を高めた「隠しキラ」という発明

スーパーバトル

(プレイ人数:2人)

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 カードダスが全盛期を迎えた1991年,対戦カードバトルに特化した新シリーズとして登場したのが「スーパーバトル」だ。当初は「ドラゴンボール」の新作カードダスとして発売されたが,そのフォーマットがほかのIPでも展開されるようになったという珍しいシリーズでもある。

 「スーパーバトル」の対戦システムは,「1」〜「11」のパワーレベル(数字)による一発勝負を基本とする。これは複雑化が進んでいた当時のカードバトルと比べると非常に分かりやすく,誰にとってもプレイしやすい内容となった。

 そのうえで,このシリーズに共通する特徴が「隠しキラ」の存在。パワーレベル「11」の一部のカードをはがすと出てくる「12」のキラカード(Wプリズム),キラではなくノーマルに見えるカードをはがすと出てくる「MAX」パワーのキラカード(隠しプリズム)などがあり,バトルそっちのけで隠しキラ探しに夢中になるキッズが続出した。

ノーマルに見えるカードがシール素材になっており,それをめくると「MAX」のキラカードが出てくる。これを発見したときの喜びをまた味わいたい……
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最弱であるパワーレベル「1」のカードの中には,特定のキャラのカードにのみ無条件で勝てるなどの効果を持つものもある
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●遊び方
 バトルは1対1で行う。カードを16枚以上用意したら,よく切ってから8枚ずつ配る。各プレイヤーは手元に3枚のカードを手札として残し,残りの5枚は裏にして自分の正面に並べる。

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 準備ができたら“3,2,1,バトル”のかけ声で,並べたカードを端の1枚から同時にめくる。カードの右下に書かれたパワーレベルの高い方が勝ちで,レベルが同じときは引き分けとなる。

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 自分が負けた場合にも,「プラスアップ」という逆転のチャンスがある。手札の3枚のカードのうち,負けたカードと箔マーク(流派)が同じ場合はその場で加勢させることができ,2枚のカードのレベルを加算することが可能だ。

パワーレベル5対9で負けていたカードに,同じ「惑」マークのカードを加勢(プラスアップ)することにより,12対9となって勝利となる
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 勝負が確定したら,勝った人は相手のカードを自分のそばに集める。これを5回繰り返し,バトルで獲得したカードと,手札のカードの最終的な合計枚数により勝敗が確定する。

●プレイしての感想
 これまで紹介したほかのゲームと比べてカード記載外の特殊ルールが少なく,予備知識をほぼ必要としないうえ,すぐに勝負がつくこともあり非常に遊びやすい。全盛期のカードダスの中でも後発のシリーズとあって,さすがによく練られた作りと感じる。パワーレベルの数値が新旧カード間で固定されており,強すぎるカードが少ないのもポイントだ。

 なお,パワーレベルの真下にはもう1つの数値である「ゲージ」も記載されており,これについてはカード上の情報のみでは意味するところが分からない。
 公式ルールをよくよく調べてみると,このゲージを使うのは「GAUGE UP」というカードを持っていた場合のみだと分かったのだが(詳細は後述),これが極めて特殊かつレアなカードであるため,基本的には無視しておいてもよさそうだ。
 個人的には,「パワーレベルが引き分けだったときはゲージ勝負」とするなど,独自のローカルルールにも使えるようにした“あそび”の部分であると好意的に解釈したい気持ちもある。

「GAUGE UP」カード(左)が手札にあり,かつ「負けたカードのゲージと数値が一致」「相手のパワーレベルがMAX以外である」場合に限り逆転勝利できる。このほか,ゲージ欄に「裏」と書かれたカード(中央)が出たら,裏面の「Z」の文字色での勝負になる(金は赤に,赤は黒に,金は黒に勝つ)という公式ルールも存在する
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 そして「スーパーバトル」を語るうえで欠かせないのが,パワーレベル「12」と「MAX」の最強キラカードだ。これらはシールをはがさないと出てこない隠しキラなので,当時は見つけ次第はがした人も多かったと思う。
 しかし大人になってコレクションの観点で考えると……シールを完全にはがしてしまうのは,やはりもったいない。「ゲーム性とコレクション性のどっちを取るか?」の二択を作り出したという意味で,カードダス史上最大の発明とも言うべき悩ましい要素だ。

好評を博した「スーパーバトル」シリーズは,「SDガンダム」や「幽☆遊☆白書」など,「ドラゴンボール」以外のカードダスでも展開されていった
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遊びが洗練されていない初期カードダスならではの魅力


 あらためて初期カードダスの遊び方を検証すると,対戦タイプのゲームではいずれも公式ルールがあり,バトルの仕組みもわりと考えて作り込まれていると感じる。
 しかし,現代的なカードバトルゲームのように「自分のデッキ」と戦略を作り上げるものとは違いも大きい。対戦の際はプレイヤー同士のカードを混ぜて遊ぶことが前提となるので,自分のカードを大事に持っておきたい,という心理が働くとなると気軽に遊びにくい面もある。それゆえに,対人戦ではなくコレクション寄りの遊びとなった「SDガンダム外伝」が長く支持されたのも納得といえる。

 しかしそのうえで,「ガンダム」なり「ドラゴンボール」なり,作品が好きな人の間で盛り上がるように作られていることは間違いなく,あえて真剣にルールに向き合ってプレイすれば,今でも楽しめると思う。例えば,友だち同士でカードを持ち寄るのではなく,ルールを把握した1人がたくさん買い集めた状態で,それを参加者全員に配って遊ぶ(つまりカードゲームのワンセットを用意する)形であればゲームとして実現しやすいだろう。

 各シリーズでは,1980〜90年代の商品を復刻したものも時折発売されている。現在もリスペクトされ続けるカードデザインとともに,初期カードダスならではの“洗練されきっていない”がゆえのゲーム性と,その楽しさをみなさんにも体感してもらえたら嬉しい。

カードダスドットコム 公式サイト

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