特集
Version 3.1
Text by Jo_Kubota
定番の3Dベンチマークアプリケーション「3DMark05」。「Build」と呼ばれるバージョンは,2007年1月時点の最新版である1.3.0を用いる。
Build 1.3.0では,主に最新GPUへの対応やバグフィックスが行われており,実際に比較してみたところ,両バージョンにテスト結果(=スコア)の違いはほとんどない。バージョンが異なる以上,完全に横並びの比較は行えないものの,ざっくりと比較するレベルに留めるなら,過去のテスト結果と比べても問題はなさそうだ。
もっとも,ベンチマークレギュレーション2.1以前でもお伝えしているとおり,3DMark05は,AMDとNVIDIAによるドライバチューニング合戦が進んでおり,異なるメーカーのGPUを比較するには不向きという点は変わらない。
では,そうしたテストをなぜ使い続けるかといえば,主にテスト条件が適切かどうかを見るためだ。このとき3DMarkの「スコアの算出方法が確立されており,スコアの“ぶれ”が少ない」ことが,そこでのメリットとなる。
ぶれが少ないと,同じGPUを搭載してグラフィックスメモリ容量が異なるとか,動作クロックが異なるとかいったバリエーションモデルのスコアを比較的予想しやすくなる。過去のデータの蓄積があるために,「動作クロックが20%上がると,スコアが500程度上昇する」「メモリ容量が倍になると,高解像度&高負荷設定時にスコアの落ち込む率が低くなる」といった予測が可能になるのだ。
そして,この予測をもとに,測定環境のおおまかな整合性を確認できるようになる。予測から大きく外れたスコアが得られた場合,ドライバの設定やら何やらといった,測定環境のミスを疑うことができるというわけである。
そこで測定環境に問題がなければ,“予測と外れたスコア”がハードウェアのアーキテクチャなどに起因する可能性を推測できる。とくに,情報の少ない新製品や,コストダウンの図られたミドルレンジ以下のグラフィックスカードとその派生品をチェックするとき,3DMark05の示す一定の傾向は,十分な指針として機能する。
ここで注意したいのは,4Gamerとして,3DMark05の総合スコア=グラフィックスカードの性能という形では評価を行わない(グラフィックスカードを固定して測定するCPUのテストは話が別)ということだ。これは詳細項目テスト「Feature Tests」も同じである。
ベンチマークテストの実行手順は以下のとおり。
実行手順
- (1)3DMark05を起動
- (2)テスト時のディスプレイ解像度を3DMark05側で変更
- (3)ベンチマーク実行
※(2)の解像度変更時に,アプリケーションの再起動などは行っていない。そのまま連続して計測している。
「3DMark06」には,GeForce 6/7ファミリーでHDRテスト時にアンチエイリアシング設定が有効にならないという仕様上の制限があったため,ベンチマークレギュレーション2.1以前では,3DMark06のデフォルトとなる1280×1024ドット,標準設定のみでテストを行ってきた。
だが,GeForce 8では,ATI Radeon X1000ファミリーと同じく,HDRテスト時にもアンチエイリアシング設定が有効化できるようになったので,GeForce 8とATI Radeon X1000を比較するには,ある程度“使える”アプリケーションになったといえる。
3DMark06では,マルチスレッドへの最適化も特徴だが,これについては評価が分かれるだろう。マルチスレッドは,特定のゲームタイトルではすでに十分な意味がある一方,まったく意味のない作品もあるため,このあたりの取捨選択は難しい。2007年1月時点でも,3DMark06は,やはり傾向をざっくりと掴むためのものと理解し,純粋なパフォーマンスの比較は,実際のゲームアプリケーションを用いて行うべきだ。
なお,バージョンは,2007年1月時点の最新版であるBuild 1.1.0を用いる。従来バージョンであるBuild 1.0.2との主な違いは,Windows Vistaへの対応と,バグフィックスが主なところ。比較したところ,テスト結果(=スコア)に大きな違いは生じていない。
テスト方法は3DMark05と基本的に同じだが,GeForce 7以前のGeForceを主にテストする場合は,レギュレーション2.1以前と同じく,1280×1024ドット/標準設定のみを用いる。GeForce 8やATI Radeon X1000の検証時は,解像度を変更したり,高負荷設定を行ったりするので,この点は注意しておいてほしい。
実行手順
- (1)3DMark06を起動
- (2)テスト時のディスプレイ解像度を3DMark06側で変更
- (3)ベンチマーク実行
※(2)の解像度変更時に,アプリケーションの再起動などは行っていない。そのまま連続して計測している。
「Quake 4」は,DOOM 3エンジンを採用する最新世代FPSの一つだ。Version 1.2パッチによって,高解像度ディスプレイ対応やマルチスレッドへの最適化が行われ,Pentium 4/D,Athlon 64 X2,Core Duo,Core 2 Duoといった対応CPUを搭載するPCでパフォーマンスの向上が期待できる。
今後,マルチコアCPUがより一般化していくなかで,マルチコアCPUがゲームのパフォーマンスにどう影響するかを見るに当たって,重要な役割を果たすタイトルといえよう。
テストに当たっては,Quake 4英語版を用意し,Version 1.2パッチを適用。マルチスレッドに最適化するため,Quake 4の「ADVANCED OPTIONS」から「Multiple CPU/Core」を「Yes」に設定し,一度Quake 4を再起動する必要がある。当然ながら,論理CPUが1個の場合はこの項目を「Yes」に設定することはできない。
リプレイデータは,後述するコンソールから「recorddemo」と入力して,シングルプレイのストーリーモードを保存したものを使用している。このほか,ゲームの設定は以下のとおり。基本的にはQuake 4のグラフィックス設定「High Quality」に従っている。
ゲーム設定
バージョン:1.2
リプレイデータ:4Gamerオリジナル(53.2MB)
リプレイデータ保存先:
C:\Program Files\idsoftware\Quake4\q4base\demos
ゲーム設定「SYSTEM」
- Video Quality:High Quality
- Screen Size:テストによる
- Aspect Ratio:「Screen Size」と連動して設定する
- Fullscreen:Yes
ベンチマークテストの実行手順は以下のとおりだ。
補足しておこう。まずコンソールは[Alt]+[Ctrl]+[半角/全角]キーの同時押しで呼び出せる。timedemoの実行に当たっては,以下のように入力すればいい。
- >timedemo(ファイル名)[Enter]
例えば「002.demo」というファイル名であれば「timedemo 002」と入力すればいいわけだ。vid_restartも同様で,以下のように入力すればOK。
- >vid_restart [Enter]
(3)でtimedemoを一度実行しているのは,リプレイデータをメモリにキャッシュさせるため。これにより,スコアのぶれがより少なくなる。
次に(4)。バージョン1.2パッチにより,Quake 4はゲームを再起動しなくてもゲームの解像度を変更できるようになったのだが,この影響か,解像度を変更してそのままtimedemoを実行すると,スコアが異様に低く出たり,高く出たりすることがある。そこで,ゲームの再起動なしでグラフィックス関連の設定を即座に反映させるコマンドである,vid_restartを行っているというわけだ。
Sourceエンジンを採用した「ハーフライフ2 エピソード1」(原題 Half-Life 2: Episode One,以下HL2: Episode One)は,全世界で大ヒットした「Half-Life 2」の“続編第1章”となるFPSだ。ゲームの起動に「Half-Life 2」は不要で,HL2: Episode One単体で起動できる。
ベンチマークテスト対象として見たとき,Half-Life 2シリーズ(というかSourceエンジン)が持つ最大の特徴は,ATI Radeonファミリーに最適化されているという点だ。DOOM 3エンジンが徹底してGeForceシリーズに最適化されているのと好対照で,テスト結果をより公正なものにするに当たって,Half-Life 2シリーズの存在は重要である。
さて,HL2: Episode Oneのゲーム本体は,Steamによって自動的に最新版へアップデートされる。そのため4Gamerでも,グラフィックスカードやCPUのテストに当たって,同タイトルのバージョンについてとくに説明してこなかった。
しかし,2007年3月15日のSteamアップデートにおいて,デモファイルのデコードプログラムにあった不具合が修正され,結果として,従来のリプレイデータが利用できなくなったのだ。そこでバージョン3.1では,新たに用意したリプレイデータを用いてベンチマーク計測を行うことにする。
リプレイデータそのものはバージョン3.0と同じ,ステージ「直接干渉」の一シーンを切り取ったもの。バージョン3.0時代とほぼ同じシークエンスなので,若干スコアが高めになる程度の違いしか生じていないが,従来とテスト結果の比較可能性が失われているのは確かなので,この点は十分に注意してほしい。
High Dynamic Range(HDR)レンダリングに関しては,バージョン3.0で説明した内容と変化がないため,当時の見解を踏襲。テスト方法も変わっていない。変更されたのは,あくまでリプレイデータのみだ。
ゲーム設定
バージョン:最新版(Steamによる自動アップデート)
リプレイデータ:4Gamerオリジナル(2.5MB)
リプレイデータ保存先:C:\Program Files\Steam\SteamApps\ユーザー名\half-life 2 episode one\episodic
ゲーム設定「設定−キーボード−詳細」
- 瞬時に武器を切り替える:チェックを外す
- 開発者コンソールを有効化:チェックを入れる
ゲーム設定「設定−オーディオ」
- ゲーム音量:スライドを一番右(高)に
- 音量:スライドを一番右(高)に
- スピーカーの設定:2スピーカー
- 音質:高
- 解説:OFF
- キャプションあり:クローズドキャプション
ゲーム設定「設定−ビデオ」
- 解像度:テストによる
- ディスプレイモード:フルスクリーン
- アスペクト比:テストによる
ゲーム設定「設定−ビデオ−詳細」
- モデルの詳細:高
- テクスチャの詳細:高
- シェードの詳細:高
- 水の詳細:高
- 影の詳細:高
- 色調整:有効
- アンチエイリアスモード:なし
- フィルタリングモード:バイリニア
- 垂直同期を待機:無効
- High Dynamic Range:フル(使用可能な場合)
注意しておきたいポイントはいくつかあるが,まずは,利用するグラフィックスカードによって「ビデオ」の設定が自動的に変更される場合があることは覚えておきたい。テストを開始する前には,レギュレーションと同じ設定になっているか,今一度ご確認を。
また,ベンチマークテスト(というか,リプレイデータの再生)にはコンソールを開く必要があるので,「キーボード」の「詳細」から「開発者コンソールの有効化」を行っておこう。そしてある意味最も重要なのが,「オーディオ」の「クローズドキャプション」。これを選択しておかないと,リプレイ再生時にエラーとなり,ゲームが異常終了する場合があるので,注意したい。
ベンチマークテストの実行手順は下記のとおりになる。コンソールは,日本語キーボードなら[半角/全角]キーで呼び出し可能だ。
実行手順
- (1)Fraps 2.60を起動し,測定時間を20秒に設定
- (2)HL2: Episode Oneを起動
- (3)「設定」の「ビデオ」からディスプレイ解像度を変更
- (4)コンソール画面を開く
- (5)コンソールから「playdemo (ファイル名)」と入力して[Enter]キーを押す
- (6)リプレイが一度最後まで再生し終わるのを待つ
- (7)再びリプレイを再生。始まったらすぐにFrapsのフレームレート計測ホットキーを押す
- (8)20秒以上経過したら,[ESC]キーを押してコンソールに戻り,「stopdemo」と入力。続けて[Enter]キーを押し,リプレイ再生を止める
- (9)適宜ディスプレイ解像度を変更しながら,(3)以降を繰り返す
テストに当たっては,キャッシュによる影響を排除するため,一度リプレイを最後まで再生している。この効果のためか,HL2: Episode Oneではスコアのブレが非常に小さく,それゆえの「1回,20秒間」という測定になっているのだ。
ただし,解像度変更を行うと,画面の表示がたまにおかしくなる。このときは素直にいったんテストを止め,HL2: Episode Oneを再起動して,また(1)からの手順を始めれば,正しいスコアが得られるだろう。
「F.E.A.R.」は,開発元であるMonolith Productions独自の3Dエンジンを採用するという点で,貴重なFPSである。
2005年のタイトルだが,グラフィックスはまだまだ十分に最新世代といえ,とくに,光や影の演出方法,飛び散る血しぶきなど細部は見事。それだけに,描画設定を高く設定したときの負荷はかなりのもので,アクションゲームのテストとして価値がある。
さて,F.E.A.R.には標準で「テスト設定」というベンチマークモードがあるため,4Gamerのテストでもこれを利用している。
ゲームのバージョンは,2006年10月時点で1.08。同バージョンでは,従来のバージョンとベンチマークスコアに変化はない一方,バグフィックスが進み,さらに選択可能な解像度が増え,標準状態でワイドディスプレイがサポートされるようになったこともあり,これで固定する。
なお,選択可能なディスプレイ解像度が増えたことで,F.E.A.R.においても「1280×1024ドット」の設定が可能になった。だが,テスト環境によっては,同設定を行うと「この解像度では最適化されません」という警告メッセージが表示される。また,1280×960ドット設定であれば,以前のレビュー記事とデータを比較できる。このため,横1280ドット解像度では,レギュレーション1世代と同様,縦960ドットを選択することにした。
このほか具体的な設定項目は以下のとおりとなる。
ゲーム設定
バージョン:1.08
リプレイデータ:不要(ゲームアプリケーションにベンチマークモードあり)
ゲーム設定「パフォーマンス」
- コンピュータ:最高
- ビデオカード:カスタム
ゲーム設定「コンピュータ詳細オプション−フィジクス」
- シングルプレイヤーフィジクス:最高
- マルチプレイヤーフィジクス:最高
ゲーム設定「コンピュータ詳細オプション−サウンド」
- 最大ソフトウェアサウンド:最高
ゲーム設定「コンピュータ詳細オプション−エフェクト」
- パーティクルバウンス:最高
- 薬莢の表示:入
- ワールドディテール:最高
- 遺体ディテール:最高
ゲーム設定「ビデオカード詳細オプション−エフェクト」
- エフェクトディテール:最高
- デカール:最高
- 水の解像度:最高
- 反射/ディスプレイ:最高
- ボリューメトリックライト:入
- ボリューメトリックライトデンシティ:最高
ゲーム設定「ビデオカード詳細オプション−グラフィック(上級ビデオカード・オプション)」
- FSAA:切
- ライトディテール:最高
- シャドウ:入
- シャドウディテール:最高
- ソフトシャドウ:切
- テクスチャフィルタリング:バイリニア
- テクスチャ解像度:最高
- ビデオ:最高
- ピクセルダブリング:切
- DX8シェーダー:切
- 画面解像度:テストによる
- シェーダー:最高
ゲーム設定はメニューから「オプション」→「パフォーマンス」を選ぶことで変更できる。F.E.A.R.では,初回起動時にPCのスペックを判定するが,そのとき自動的に描画オプションが設定されることがあるため,ゲーム設定の「コンピュータ」と「ビデオカード」を,両方とも手動で「最高」に指定。この状態から「ビデオカード詳細オプション」→「エフェクト」にある「ソフトシャドウ」を「切」に設定する。上で示した設定リストでは,「ビデオカード」が「カスタム」に変わっているが,これはそういった事情のためだ。
なぜソフトシャドウを無効にするかというと,有効な状態ではドライバ(Catalyst Control CenterおよびNVIDIAコントロールパネル)のアンチエイリアシング設定が有効にならないからである。この点は注意しておきたい。
テストの実行手順は以下のとおりだ。
実行手順
- (1)F.E.A.R.を起動
- (2)オプション→パフォーマンス→「テスト設定」を選択(これでベンチマークテストが実行される)
- (3)テストの最後に結果が表示されるので,これを3回計測し,2回めと3回めの平均フレームレートをスコアとする
- (4)解像度ごとに(2)以降を繰り返す
※なお,NVIDIAコントロールパネルでフィルタリング設定を変更した場合,PC自体を再起動する必要がある。
「Company of Heroes」(邦題 カンパニー オブ ヒーローズ)は,独自のグラフィックスエンジンを採用するRTS(リアルタイムストラテジー)だ。ゲームのデキだけでなく,FPSさながらの緻密なグラフィックスも高い評価を受けている本作は,RTSが迎えた新時代の指標として十分な意味を持つといえるだろう。
テストには,ズーが販売している日本語版を利用し,標準で用意されているベンチマークモード「パフォーマンステスト」を用いる。
ゲームのバージョンは,2007年1月時点の最新版である1.40。詳細な設定項目は下にまとめたが,基本的にグラフィックス周りの設定「グラフィック」は,最も品質が高く,負荷も高い状態に固定するという理解で正しい。
サウンド周りの設定を行う「オーディオ」では,同時発音数を32〜128音の間で変更できるが,サウンドカードを差すなどしながら,いろいろ設定を変更してみても,フレームレートに違いは生じなかったため,今回はすべてデフォルトのままにしてある。
なお,日本語版では訳の一部におかしいところがあるので,念のため( )内に英語版のオリジナルメッセージを並記した。
ゲーム設定
バージョン:1.40
リプレイデータ:不要(ゲームアプリケーションにベンチマークモードあり)
ゲーム設定「グラフィック(GRAPHICS)」
- 解像度(Resolution):テストによる
- 明るさ(Brightness):デフォルト
- カスタム設定(Custum Settings):チェックを入れる
- シェーダーの質(Shader Quality):高画質(High)
- モデリングの質(Model Quality):高画質(High)
- アンチエイリアシング(Antialiasing):オフ(Disabled)
- テクスチャー精細度(Texture Detail):超高画質(Ultra)
- 影(Shadows):高画質(High)
- 反射(Reflections):高画質(High)
- 後処理(Post Processing):オン(ON)
- 建物精細度(Building Detail):高画質(High)
- 物理演算(Physics):高画質(High)
- 樹木の質(Tree Quality):高画質(High)
- 地形精細度(Terrain Detial):高画質(High)
- エフェクト密度(Effect Fidelity):超高画質(Ultra)
- エフェクト密度(Effect Density):超高画質(Ultra)
- オブジェクトスカーリング(Object Scarring):ON
ゲーム設定「オーディオ(AUDIO)」
- マスターボリューム(Master Volume) :デフォルト
- 音楽のボリューム(Music Volume) :デフォルト
- ボイスのボリューム(Speech Volume) :デフォルト
- 効果音のボリューム(SFX Volume) :デフォルト
- スピーカー設定(Speaker Configruration):ステレオ(Stereo)
- 音質設定(Quality Setting):超高画質(Ultra)
- ボイス(Voices):96
- 周波数(Frequency):44100Hz
ベンチマークの実行手順は以下のとおりだ。
実行手順
Company of Heroesのベンチマークモードを実行すると,3〜4分ほどのデモシークエンスが流れ,その結果としてフレームレートが算出されるのだが,所要時間の割にスコアはブレがち。グラフィックスカードの性能にもよるが,おおむね1〜3fpsの差が生じることもあって,ここでは3回のうち,最も高い値をスコアとしている。
ちなみに,今回のGeForce 7やATI Radeon X1000のミドルレンジ以下を利用すると,標準設定でもかなり“重い”。高負荷設定でテストを行う意味に疑問符がつく場合すらあるが,ベンチマークレギュレーション3.0で扱うタイトルのなかで,最も負荷の高い作品と位置づけることで,レギュレーション全体のバランスは取れるものと考えている。
快適かどうかの分岐点は平均60fps以上だ。一方,平均40fpsくらいなら,プレイにそれほどの支障はないはずだが,30fpsを割り込むようだと,画面のカクつきが気になるだろう。
「GTR 2 - FIA GT Racing Game」(以下GTR2)は,FIA GT選手権の公認を受けたドライブシムだ。高い人気を集めた「GTR - Official FIA GT Racing Game」の後継として,グラフィックスの品質が2006年という発売タイミングに合わせた形で高められている。
もっとも,最新世代のFPSなどと比べれば描画負荷は低く,「“軽い”DirectX 9世代のタイトル」という意味において,レギュレーション1世代で用いていたTrackManiaシリーズの代わりには十分なってくれるはずだ。
GTR2は実在のレースを題材にしたタイトルということもあり,リプレイデータは40台がエントリーするものを採用。変化に富んだコースとして知られる「Circuit de Catalunya」(カタルニア・サーキット)で,最下位から追い上げるというシーンになっている。
グラフィックスに関連した設定項目は,Windowsのスタートメニューにある「SimBin−GTR 2−Configure GTR 2」から設定できる「GTR2 Configuration」と,ゲームの「MAIN MENU−OPTIONS」にある「VIDEO」および「ADVANCED」に用意されている。GTR2 Configurationは,インストール直後の初回起動時には自動的に開くので,見覚えのある人もいるだろう。
また,VIDEOとADVANCEDに関しては,「基本設定(VIDEO)はすべて最も高く指定する一方,拡張設定(ADVANCED)には一切手をつけない」ことにした。拡張設定には,設定を変更してもフレームレートに影響しないか,GeForce/Radeonどちらかの有利になる項目が多いためである。
なお,2006年12月に,多くのバグが修正されたパッチ1.1が提供されため,ベンチマークレギュレーション3.0ではこのバージョン1.1パッチを適用した状態でテストを行う。このため,過去のテスト結果とベンチマークテストの相互参照性が失われるので,この点はご注意を。もっとも検証した限り,パッチの適用によるフレームレートへの影響はなかったため,従来のテスト結果と比べても問題はほとんどないと思われるが……。
というわけで,設定項目は以下のとおりとなる。
ゲーム設定
バージョン:1.1(製品版)
リプレイデータ:4Gamerオリジナル(7.1MB)
リプレイデータ保存先:C:\GTR2\ReplayData
ゲーム設定「GTR2 Configuration」
- Video Driver:デフォルト値
- Resolution:テストによる
- Refresh Rate:ドライバ側で設定するため無視
- Shader Level:DirectX 9
- FullScreen Anti-Aliasing:チェックを外す
- Use Vertical Syng:チェックを外す
- Windowed Mode:チェックを外す
ゲーム設定「MAIN MENU−OPTIONS−VIDEO」
- GENERAL DETAIL:Full(※Fullに指定後,下の項目を変更すると,表示は「Custom」になる)
- PLAYER VEHICLE DETAIL:Full
- OTHER VEHICLES DETAIL:Full
- MAXIMUM VISIBLE VEHICLES:40
- SPECIAL EFFECTS:Full
- HEADLIGHT EFFECTS:High
- REFLECTION EFFECTS:Full
- SHADOWS:Full
- SAHDOW QUALITY:High
- TRACK DETAIL:Full
- TRACK DRAW DISTANCE:VeryFar
- PITCREW DETAIL:Full
- TRACKSIDE CHARACTERS:チェックを入れる
- PITBOARD:チェックを入れる
ゲーム設定「MAIN MENU−ADVANCED」
- ハイレベルのテクスチャに関する設定など,パフォーマンスを左右するような項目が並ぶが,特定のGPU有利になる可能性がマニュアルに指摘されていたりと,公平性を損なう可能性があるので,手をつけないでおく。念のため,レギュレーション2.0の設定を右に示した
ゲーム設定「MAIN MENU−OPTIONS−GAME / AUDIO / MULTIPLAYER」
- GAMEは視点変更や速度表示など,AUDIOはサウンドの音量,MULTIPLAYERはマルチプレイといったように,実際のゲームに関する設定項目だ。ベンチマークに当たってはデフォルトのままでかまわない
ゲーム設定「MAIN MENU−REALISM」
- REALISMはブレーキアシストや“オートマ化”など,ゲームプレイに当たっての補助を行う項目。別に物理シミュレーションを有効にしたりするわけではないので,これもデフォルトのままでOKだ
リプレイデータの再生とベンチマーク計測の手順は以下のとおり。手続きは少々面倒だが,作業自体に難しい点はないはずだ。
実行手順
- (1)Fraps 2.60を起動し,測定時間を30秒に設定する
- (2)GTR2 Configurationを開き,解像度を変更
- (3)GTR2を起動
- (4)MAIN MENUから「REPLAY」を選択。
- (5)表示されたリプレイデータを選択し「PLAY」をクリック
- (6)ゲーム画面が表示されたら画面右下にある7個のボタンのうち,視点変更[−]を1回クリックして“引いた”視点にする
- (7)今度は,画面下に並んだ6個のボタンから再生[>]を押す
- (8)6秒経過したらFraps 2.60のフレームレート計測ホットキー(デフォルトでは[F11])を押す
- (9)計測から30秒以上経過したら停止ボタン[■]をクリック。
- (10)巻き戻しボタン[|<]ボタンを押して,クルマをスタート地点に戻す
- (11)(7)以降の作業を計3回繰り返し,平均スコアを得る
- (12)解像度を変更して,(2)以降を繰り返す
少し補足しておこう。(6)の「ゲーム画面」は右に示した。画面右側に7個のボタン,下部に6個のボタンが並んでいるが,(6)でクリックすべきは前者,(7)(9)(10)でクリックすべきなのは後者である。
フレームレートを計測するに当たって,(8)で「6秒後」と指定してあるのは,リプレイデータが6秒後から動き出すためだ。複数のハードウェア環境で試したが,筆者が試した限りは,いずれも6秒後から動き出したので,このように設定してある。6秒後の画面は下に示したので,だいたいこのようなところから計測を開始するといい。
当然,計測開始タイミングには若干の誤差が生じる。そのため,(11)で3回繰り返し,平均値を取得している次第である。
テスト結果の見方だが,平均で40fpsを超えていれば,ひとまずの合格点といえる。画面が露骨にモタついたりカクついたりすることは,まずないだろう。また,60fps超はハイエンドグラフィックスカードの合格点。ここまで来れば,フレームレートの低下によって没入感が損なわれることはないはずだ。
ベンチマークレギュレーションで唯一のMMORPGタイトルである「リネージュII The Chaotic Chronicle」は,2007年3月27日に行われたアップデートにより「リネージュII〜The Chaotic Throne〜インタールード」(原題 Lineage II: The Chaotic Throne - Interlude,以下インタールード)となった。
The Chaotic Throneという新シリーズが始まるまでの幕間(=インタールード)という位置づけのため,これまでにあったクロニクル単位のアップデートと比べると,少々小粒な印象になるが,それでもゲーム内のグラフィックスが一部変更になったり,マップが大幅に拡張されたりし,バージョン3.0で使用していたリプレイデータは利用できなくなっている。
そこで今回は,インタールードで追加された新しいフィールドにおいて,9人パーティがモンスターを狩るシーンをリプレイデータとして用意した。今回も4Gamer編集部外の協力を個人的に仰いでいるため,リプレイデータの公開ができない点は,ご了承いただきたい。
なお,グラフィックス周りの設定はバージョン3.0でテスト対象としていた「クロニクル5 Oath of Blood 血の盟約」から変わっていないため,バージョン3.1でもとくに変更はない。描画負荷を高めるため「HDRレンダリングA」を選択していること,その結果としてアンチエイリアシングが有効にならず,それを受けてテストは標準設定のみで行うこともこれまでどおりだ。
ゲーム設定
パッチ:テストによる(テスト時の最新版)
リプレイデータ:4Gamerオリジナル
リプレイデータ保存先:C:\Program Files\NCSoft\Lineage II\Replay
ゲーム設定「グラフィック」
- 解像度:テストによる
- リフレッシュレート:ドライバ側で設定するため無視
- ガンマ:Medium
- テクスチャー:Medium
- モデリング:High
- モーション:High
- 視野・地形:Very wide
- 視野・人物:Very wide
- 表示制限:なし
- 最低FPSの維持:チェックを外す
- 反射効果:なし
- アンチエイリアス:なし
- 影:チェックを入れる
- 背景効果:チェックを入れる
- GPUアニメーション:チェックを外す
- フィルタリング:チェックを入れる
- シェイダー:HDRレンダリングA
- 気象効果:なし
テスト方法は以下のとおりだ。
実行手順
- (1)Fraps 2.60を起動し測定時間を90秒に設定する
- (2)Lineage IIゲームクライアントを起動
- (3)「オプション」で解像度を変更
- (4)「リプレイ」にてリプレイデータを選択。「録画したアングルで再生」にチェックを入れ,「OK」をクリックする
- (5)リプレイが始まったらすぐにフレームレート計測開始のホットキーを押し90秒待つ
- (6)90秒経過したらリプレイをESCキーで終了する
- (7)解像度を変更して,(4)以降を繰り返す
今回のリプレイデータでは,バージョン3.0までと比べて,大きく平均フレームレートが下がる。
レビュー記事中でも何度か指摘しているとおり,バージョン3.0で用いていたリプレイデータは,2007年春の時点におけるハイエンドクラスのGPUを比較するには,負荷が軽すぎる状態になってしまっていた。そこで,起伏に富んだ地形を遠くまで見渡せるうえ,草木や岩などオブジェクトが増えることで,描画負荷が高まる屋外を,思い切って選択したというわけだ。
なお,これに伴い,スコアの見方には修正が必要となる。バージョン3.0までは,30fpsを合格ラインとしていたが,バージョン3.1からはミドルレンジGPUで25fps,ハイエンドGPUで30fpsを目安としたい。GPU間のスコア差が縮まるため,絶対性能を見るのは少々難しくなるものの,MMORPGでは,平均1fpsの違いに一喜一憂しても詮ないので,ある意味,より現実的になったといえるかもしれない。もちろん,今後登場するであろう,より高性能なGPUを比較するときにもメリットとなるはずだ。
なお,オブジェクトの数が増えたことによるスコアのブレを少なくする意味で,念のためリプレイの再生時間は再生開始から90秒(バージョン3.0では60秒)とした。もっとも実際のところ,スコアのブレはそれほどないので,これまでどおり,初回計測時の平均フレームレートをスコアとして採用する。
4Gamerのベンチマーク測定において重要なツールである,Frapsについてここで説明しておきたい。
Frapsは,DirectX/OpenGLで動作するアプリケーション向けのキャプチャーソフトだ。フルバージョンは29.95ドルするシェアウェアで,4Gamerではボリュームライセンスを取得して利用しているが,開発元であるbeepaのWebサイトからダウンロードできる無料の体験版でもフレームレートの計測は行える。
インストールしたら,フレームレートの計測前にFrapsを起動。メインウィンドウが起動するので,「FPS」タブを選び,「Stop Benchmark automatically after」直後にある入力ボックスに,秒単位で数値を入力する。例えばレギュレーション6.0準拠でCall of Duty 4のベンチマークテストを行うなら,「60」と入力すればいい。
続いて「MinMaxAvg」にチェックを入れ,最少/最大/平均フレームレートがログに書き出されるようにしておく。
フレームレート計測を実行するには,まず,Frapsを最小化して,その状態で計測対象のゲームを起動する。すると,画面の隅に黄色の数値が表示されるはずだが,それがリアルタイムで計測されるフレームレートだ。あとはリプレイを再生し,適切なタイミングでフレームレート計測開始のホットキー(標準では[F11]だが,FPSタブの「Benchmarking Hotkey」で変更可能)を実行すればいい。 ベンチマーク計測中はリアルタイムのフレームレート表示が消え,設定した時間が経過すると計測が終了して,再びフレームレートが表示されるようになる。なお,ログファイルはFrapsをインストールしたフォルダ以下,「\benchmarks」の中に保存されるようになっており,上書きされることはない。
掲載されているテスト方法は誤りを含んでいる場合があり,予告なく修正されることがあります。また,公開しているリプレイデータは,4Gamer.netの読者が実際にベンチマークテストを行うに当たっての利便性を図るためだけに提供されるものですが,出典を明示し,かつ4Gamer.netへのリンクを明示的に張る場合に限り,商用/非商用媒体で利用できるものとします。ただし,このファイルを利用することによって,万が一OS,あるいはPC本体やその周辺機器などといったハードウェアに不具合が生じても,4Gamer.net編集部,著者,およびAetas株式会社は一切その責任を負いません。
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