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[GDC2008#06]脳波で動かすゲームコントローラEmotiv EPOCは,2008年冬に299ドルで発売に
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印刷2008/02/20 21:09

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[GDC2008#06]脳波で動かすゲームコントローラEmotiv EPOCは,2008年冬に299ドルで発売に

画像集#002のサムネイル/[GDC2008#06]脳波で動かすゲームコントローラEmotiv EPOCは,2008年冬に299ドルで発売に
 昨年のGame Depelopers Conferenceで発表され,一部で話題となっていたEmotiv Systems社のブレインコンピュータインタフェースが,今年のGDCでは具体的な製品として発表されていた。
 
 Emotiv EPOCは,特殊なヘッドセットを使うことで,脳内のニューロンが動作する際の信号などを測定し,脳内活動の変化を察知してゲーム操作を行おうというデバイス。4年の歳月をかけて開発されたという本製品は,ジャイロ機構も組み込まれており,頭の動きを追うことも可能。昨年の試作品と比べると,バッテリーが12時間連続使用できるように改善されたほか,センサーに専用の新素材が採用(残念ながら詳細は不明)。性能が向上しているのだという。

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画像集#005のサムネイル/[GDC2008#06]脳波で動かすゲームコントローラEmotiv EPOCは,2008年冬に299ドルで発売に
 今回のGDCでは,そんなEPOCの製品発表のイベントが開催され,Emotiv Systems社の共同設立者兼CEOのNam Do氏などの面々が,製品の特徴について解説してくれた。氏は,

  Affectiv
  Expressiv
  Cognitiv


既存の単語から”e”を取り除いた用語である,3個のキーワードを挙げ,それぞれについて例を挙げた。

Afferctiv


画像集#006のサムネイル/[GDC2008#06]脳波で動かすゲームコントローラEmotiv EPOCは,2008年冬に299ドルで発売に
 Afferctivの例では,音楽を聞いている人の興奮の度合を示すリアルタイムグラフが表示されていた。脳の状態を調べることで,プレイヤー(このグラフでは聞き手)が興奮しているか,あるいは不満を感じているかなどを測定できるという。
 デモンストレーションの計測値のグラフには,直接的な反応のほかに,ある程度長い期間持続する興奮状態なども表示されており,これらを組み合わせて,プレイヤーがどんな状態かをコンピュータが知ることができるという説明だった。
 ゲームでの活用例を考えると,プレイヤーの気分などに応じてダイナミックに音楽や効果音を切り替えたり,ゲームの難易度を制御したりといった活用ができるということ。ゲームの難易度調整は,プレイヤーそれぞれで最適値が異なるため,一律の調整が難しいものではあるが,ゲームに退屈しているなら難易度を上げるとか,ゲームでフラストレーションが溜まっているようなら難易度を下げるなど,プレイヤーの実際の感覚に応じた調整が可能にもなる。これは実現できれば,ゲームバランスの概念を変えかねないデバイスとなるかもしれない。

Expressiv


 これは,人の表情などをEPOCを使うことでコンピュータに入力し,ゲームなどに反映しようという試みだ。EPOCを装着することで感情や表情の変化を知ることができる。脳波の測定による感情などだけではなく,眉の上げ下げやウインクなども検知されるので,脳内の活動だけでなく,顔の筋肉の動きなども捉えていると思われる。
 これを使って,プレイヤーの感情でゲーム内キャラクターの表情を変化させる3Dロボットのデモが行われた。Nam Do氏のプレゼンテーションにあわせて,ヘッドセットを装着したEmotiv Systems社のMarco Della Torre氏による実演デモが行われていたのだが,氏の表情が3Dロボットに反映されていく。EPOCでは,30種類以上の表情を読み取り可能だという。


 ありきたりの表情や,エモーションコマンドの入力によるものではなく,ゲーム内キャラクターにプレイヤーの生の表情を反映させることができるようになる。とかく相手の顔が見えないことでトラブルになりがちなバーチャルでのコミュニケーションを支援するツールになりそうである。

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Cognitiv


 最後は,脳を使った認知の技術である。思考によってゲーム内のオブジェクトをコントロールするという,このコントローラ本来の部分ともいえるだろう。ある意味,念力のようなもので,さまざまなコマンドを頭の中で考えただけで行うものである。どのようなものかを説明したビデオが面白かったので,そのまま紹介してみよう。


 前のデモに引き続きMarco Della Torre氏の実演が行われたが,先ほどよりも難しいようで,会場内での緊張もあってか,なかなかうまく動作しない(会場内でワイヤレス接続に問題があったようだ)。うまくいくと会場からは拍手が沸き上がった。少し練習をすることで誰でも制御ができるようになるのだという。


 これらを使って実際にゲームに生かすとどうなるのかというのが肝心な部分だったのが,ゲームのデモでは,ワイヤレスコントローラに不調があるということで実演は行われなかったのが残念だ。
 
 最初は半ば冗談かと思うようなデバイスだったのだが,将来性は高く買われており,IBMがビジネスパートナーとして名乗り出ている。これによって,ゲームのみならず幅広い分野で活躍する可能性も出てきた。

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 さて,ブレインコンピュータインタフェースは,ゲームで使用するというだけではなく,一般的な入力デバイスとして使用することも可能だ。EPOCを効果的に使ったユーザーインタフェースの研究も行われている。これは,次世代のゲームポータルをイメージしたUIだ。会場では実際に動く場面は登場せずムービーのみでの解説となったが,なかなかクールなものが提案されているようなので,ついでにムービーで紹介しておこう。

 
 EPOCが,夢の入力デバイスとなるかどうかはまだ分からないが,現状ではコントローラとして使うよりも,プレイヤーの状態を知るセンサーとして使う方が有用であるような印象があった。考えてみれば,マウスが登場して以降,ポイントデータが扱われるようになり,PCの使い方,そしてゲームのあり方も変わっていったわけだが,最近では,Wiiで採用された体感コントローラなどがゲームの幅を広げつつあるのは周知の通り。要するに,入力インタフェースの進化が大きな革新のポイントになり得ることは,これまでの歴史が証明しているわけだ。キーボードやマウスでは入力できない,生の感情などといった情報を扱えるようになるということは,今後のPCのあり方自体を変える可能性すらあり,いまはまだネタっぽいEPOCといえども,甘く見ない方がいいのかもしれない。

 ちなみにその注目(?)のEPOCだが,2008年冬に299ドル(推奨価格)で発売される予定。これによってどのようなゲームが登場(対応)するのか。わくわくしながら発売を待ちたい。
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