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[GDC 2011]携帯電話向けゲームの収益モデルは日本に一日の長あり。PapayaMobileが語るお金の稼ぎ方
最初に,PapayaMobileの紹介が行われた。同社は,Si Shen氏とその友人であるQian Wenjie氏が立ち上げ,おもにAndroid端末向けのソーシャルネットワークサービスや,ソーシャルゲームを開発している会社だそうだ。
そのうち,二つめと三つめは,基本的なサービスを無料で提供し,特殊な機能などを個別に販売する,いわゆる「Freemiumモデル」と呼ばれるもので,この方式を採用する場合は,ゲーム内の仕組みが重要になるとのことだ。
4Gamer読者にとって馴染み深いであろう,アイテム課金制のMMORPGもFreemiumモデルに分類されるわけだが,内容は似通っていても,つい料金を支払いたくなるゲームと,無料の範囲で遊んだだけで満足できるゲームがあるのではないだろうか。
もちろん遊ぶ側としては,無料で十分満足できることに何の問題もない(どころか,素晴らしいゲームといえる)が,経営的な観点から見れば問題のある作品ということになるだろう。会社として運営している以上,何らかの形で売り上げを立て,利益を生み出さない限り,会社自体が存続できないからだ。
……というわけで,手を変え品を変え,プレイヤーがつい料金を支払いたくなる仕組み,仕掛けを作り出すことが,パブリッシャにとって最大のテーマとなる。
ちなみに,PapayaMobileが提供するゲームでは,全プレイヤーの1〜5%ほどが,なんらかの形で料金を支払っているという。
PapayaMobileによれば,Freemiumモデルで重要となるのは以下の3点。プールに例えて説明された。
1. とにかくプールに子供を呼び込む
2. プール内で遊ぶ子供を増やす
3. 子供達をプールに居続けさせる
具体的には,認知度を高めるために,ゲームの提供開始に合わせてプレゼントキャンペーンなどを実施し,人気ランキングの上位に食い込ませる。さらにSNSなどを利用し,口コミ効果を狙うことも重要だという。
2番を実現させるために重要なのは,コンテンツのクオリティを高めること。このほか,ランキングやアチーブメントといった要素を盛り込み,プレイヤーの競争心を煽るという方法が紹介された。
そして3番については,頻繁にプレイしたくなる要素や,一緒に取り組む仲間からの「圧力」を感じさせる仕組みを用意することが大切とのことだ。
同社がサービス中のゲームでも,少数の人々が支払う料金が売り上げの大部分を占めており,つまり言い方は悪いが,「取れるところから取る」ことが,ビジネス的な成功に結びついているというわけだ。
……とまあ,PapayaMobileによるレクチャーの内容を紹介してきたわけだが,日本でサービスされているオンラインゲームや,ソーシャルアプリに見られる手法がほとんどで,目新しさは感じられなかった。
だが,アメリカではアイテム課金制がそれほど浸透してこなかったからか,今回のGDCでは,このような収益モデルに関するレクチャーに注目が集まっており,どれもほぼ満員状態。登壇者に熱心に質問する人も多かった。
日本では当たり前の内容が多く,筆者としては若干拍子抜けしたうえに,アメリカ人開発者達の食いつきぶりに驚かされた。
ちなみに例年,GDCの1日目と2日目はモバイル関連のレクチャーが中心で,3日目以降,コンシューマ機やPC用のゲームに関するレクチャーが実施されるというプログラム構成になっている。
数年前までは,最初の2日間に行われるレクチャーへの参加者は少なく,3日目からが本番といった印象だった。しかし一昨年あたりからモバイル向けのレクチャーの注目度が高まっており,今回のレクチャーにも多くの開発者がつめかけていた。
こんな時代の変化を肌で感じ取れることも,GDCを取材するメリットといえるかもしれない。
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